楯無先輩の特訓が終わりシャワーを浴びて食堂で夕食を食べた。
「な、なんとか食べられた・・・・」
本当になんとか食べきることが出来たのだ。
「セシリアは額に汗を浮かべる程度だったのに対して俺は・・・・いや、四季が言ってたな。代表候補生は長い時間努力してなるモノだって・・・・コレが皆との差なのかな・・・・」
そんなネガティブな思考を頭を振って消してポジティブな事を考える事にした。
「それなら俺は皆の何倍も真剣に、何倍も濃い特訓を繰り返すだけだ。・・・・その為にも部屋でゆっくりしよう」
IS学園での生活で楽しみの1つが自室でのくつろぐ時間。
俺と四季でリフォームした自室の居心地は最高なのだ。
大がかりな事は殆ど四季がやってくれたが部屋の掃除と物置に置いてあった物の整理と家具は俺が選んだ。
過ごしてみると予想以上の出来と自分達でした所為か一瞬で気に入ってしまった。
その時、嫌な予感に襲われて食堂で虚先輩の言葉を思い出した。
「1つだけ忠告しておくわ。警戒しても予防しても絶対に振り回されるから体力だけはしっかりとね」
なるべく食事はしっかりと取りますと言うと
「それがいいわね。食事が喉を通ればの話だけど・・・・」
そういうレベルで振り回されるのかと考えると不安になるが俺の憩いの場である自室があれば大丈夫だ。
そう考えながら元物置き部屋で俺達の部屋であるドアを開けた。
「お帰りなさい。ご飯にします?お風呂にします?それとも、わ・た・し?」
俺は静かにドアを閉じて今見たモノを頭から消して再びドアを開けた。
「お帰りなさい。私にします?私にします?それとも、わ・た・し?」
「現実だと思いたくない・・・・いや、これは悪夢の幻影なんだ・・・・今すぐ消えて下さいお願いしますから」
恥はかき捨てと言わんばかりに裸エプロン姿の楯無先輩に懇願する。
「あれぇっ!?期待していた反応と違い過ぎて逆に私はどうすればいいのかな!?」
「俺が作り出した悪夢の幻影よ!早く消えて下さい!うおおおっ!消えろぉおおおっ!!」
俺は壁に頭を打ち付けて男の煩悩が具現化したであろう裸エプロンの幻影を消そうとした。
「ちょ、ちょっと!?何してるの!?一夏くん落ち着きなさい!し、四季くん!手伝って!!」
壁に頭を打ち付ける俺を止めようとして裸エプロン姿の楯無先輩が放った言葉を聞いて動きを止めた。
「し、四季・・・・」
ゆっくりと此方に来る四季は菩薩の様な優しい笑みを浮かべていた。
「一夏・・・・現実だ。諦めろ」
俺はもう一度だけ強く頭を打ち付けて少しの間だけど現実から目を背ける事にした。
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ようやく落ち着いた俺は楯無先輩と四季と一緒にテーブルに座って熱いお茶を飲んでいる。
「皆に自慢できるなぁ、なにせ逆だけど両手に花状態での寝泊まりだもんね」
「いや、ここって一年生寮なんですけど・・・・」
「おーい、まだ現実から目を背けてんのか?聞くべき事はソレじゃない気がするんだけど」
横から四季の言葉が聞こえるが楯無先輩はいきなりジョーカーを切ってきた。
「生徒会長権限」
「ぐあっ、生徒会長なら何でもアリなんですか?ほら、四季も何か言ってくれ」
横に座っている四季に助けを求めるが四季は腕を組んで目を閉じたまま唸った。
「ん~、今回は互いに強力なジョーカーを握ってる状態だからな・・・・下手な事は出来ないんだ。一夏も諦めた方がいい」
「えっ!ど、どうしてだ!?」
楯無先輩は口を開いた扇子で隠し笑っていた開いた扇子には"急所弱所"と書かれていた。
「いいのかなぁ?この部屋の事を織斑先生に言っても」
四季は気まずそうに目を逸らしているが俺には何で千冬姉にこの部屋の事を・・・・
「ま、まさか四季・・・・許可を取らずに・・・・この部屋のリフォームを・・・・」
「許可っていうか・・・・私物を持ち込んだだけだから何も問題ない。ですよね更識会長」
四季は俺に視線を向けずにそのまま楯無先輩の方を見て笑った。
「ええ、そういう事になったみたいね」
楯無先輩も四季へと笑みを返していた。
「え?ちょ、俺にも分かる様に説明してくれよ」
「分かりやすく言うと、学校の規則的には問題ないが千冬さんにバレると問題ありって所だ」
「え?」
四季の言葉を理解するのにキッチリ10秒は掛かってしまった。
「・・・・ちなみに、どれくらいの折檻を受けるんだ?」
「・・・・出来れば考えたくない位のは覚悟しといた方が良い」
俺は全身から血が抜けたのではないかと気を疑う程の血の気が引いていくのを感じて一瞬だけ意識が飛んだ。
「た、楯無先輩!いつまでそんな恰好してるんですか!?早く着替えて下さい!!」
「えー、いきなり態度が百八十度変わるとそれはそれで困っちゃうなぁ」
「そんなにシャルロットと更識会長の下着を見た折檻が厳しかったのか?」
「・・・・・・・・会長!早く着替えて下さいよ!目のやり場に困ります!!」
楯無先輩はかなり引いた顔をしていて少し顔を青ざめさせていた。
不意にドアをノックする音が聞こえた。
「わ、私だ。差し入れを持ってきてやったぞ」
「げっ!箒!?」
や、やばい!部屋よりも今してる楯無先輩の恰好がマズイ!武士道を信条としている箒に裸エプロンなんて見られたら・・・・
「入ってもいいか?」
「だ、ダメだ。わりい、また今度ってことで」
内側からドアを押さえて箒が入って来ない様にしていると楯無先輩がクスクスと笑っている。
「一夏くん何してるの?あ、分かった。浮気がバレるから必死なんだ?」
一瞬ドアの外に居る箒が静かになったと思ったらISが展開する音が聞こえて嫌な予感がした俺はドアから離れるとドアが両断された。
「のわああああっ!?」
「一夏、貴様ぁ・・・・!?」
箒の顔が怒りから驚きに変わり再び怒りに変わった。おそらく視線の先に裸エプロン姿の楯無先輩が居るだろう。
「女子を部屋に連れ込み、あろうことか破廉恥極りない恰好をさせよって恥を知れ!!」
「土足で畳に上がんじゃねえ!畳がボロボロになるだろうが!暴れるんなら表に出ろガキ共!!」
箒が怒りに任せて俺に襲いかかろうとした瞬間、楯無先輩の更に奥から怒号が部屋に響いた。
「「「・・・・・・すみませんでした・・・・・・」」」
何故か誰も逆らえず3人で頭を下げた。