素手と魔法と剣でなんとか旅をしていこうとする奴。   作:クロウト

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10話まで行ったので初投稿。


第十話 黙に息衝く

 

エルフの集落が魔族の襲撃に遭遇し、あなたが バザルトの配下と

死闘を繰り広げていた時の事 _______ 。

 

ー ー《 同時刻 : エルフの集落にて 》

 

焔が畝り 、エルフ達の死骸がそこらに転がって居る 。

エルフの営みの証明でもあった 民家は鮮血に染まり 、見るも無惨に

燃やされて居る。

エルフは 魔族とは違い、死骸が残り続けるので 焔の熱気の風か

死臭を運んでくる 。

それがどうしようもなく不快感を増幅させて来る 。

 

 

楽園だったはずの集落は 地獄と化し 、もはや そこにはエルフの

生き残りも 塵一つすら無いだろうと見なくても有る程度はそう思えて

しまうほどの地獄と化していた。

夜と炎が入り混じる この小さな地獄の中 、一人の 女性がその集落へと

足を踏み入れる 。

年齢は 若々しく 、炎のような朱色の髪 。何処か飄々としていそうな

女性 。

 

 

名は フランメ _____ 、 古き時代に生きた英傑の一人 。

後に大魔法使いと謳われる存在になる 人間 。

彼女が 何故、この地獄にへと足を踏み入れたのかは

誰も知らぬ事実。 だが 、少なくとも こんな地獄に理由も無く

踏み入れるのは愚者がやる事だろう。

フランメは そんな愚者にはどう見繕ったって 見えないほど

彼女には形容し難い “ 強さ “ が有ることを 彼女から漂う

“ 魔力量 “ がそれを証明していた 。

 

燃え盛る小さな世界の前に 、フランメは 何も臆する事は 無く。

前へと 進んで行く 。

 

 

『 _______ 酷ぇ 有様だな 。 』

 

フランメは その集落を見て 一言だけ 、そうポツリと

呟くようにして 言葉にする。その言葉には何ら重みも無く

ただ 目の前にある惨憺たる光景にして感想を述べる。

そして フランメは更に奥にへ 、その地獄の有り様を

見るが如く 、進んで行く。

 

『 ___ エルフの集落か 。 』

 

フランメは 今居る この集落が エルフの集落であると 断定する。

進んで行く度に 数が増えていく 耳長の種類の人間の死骸。

槍に貫かれた者も居れば 、魔法でその身体を穿ち抜かれた者と

その死因の種類は多岐に渡る 。

この事から 、何者かが軍勢を率いて襲撃を仕掛けたのは確定。

だが問題は “ 誰がその軍勢を率いたか “ だ 。

理由も無く、エルフを惨殺し 。 こうも軍としての連携が取れる

となると 、魔族の類いだろうか。

フランメは 導かれるように 、また前へと 地獄の深みを覗くが

如く 前へ進んで行くと 、フランメは その地獄の中に その

答えを見出す 。

 

 

『 玉座のバザルト ____ 、 』

 

 

フランメが見たのは 、一人の少女 と もう息絶えて居るだろう

魔族 の姿だった 。 少女の方は まだ生きており 、満身創痍と

言った感じだろうか 。

そしてもう一つの 魔族 、フランメが玉座のバザルトと呼ぶ者は

少女と正面から闘った形跡がそこら中に残っているが 、

最終的には 巨大な大樹に 叩きつけられてしまったようで

もう動く気配すら無かった。

 

 

『 魔王軍将軍の一人 だな 軍勢を率いて 、集落を潰しに来た

   と言った所か ..... 』

 

 

玉座のバザルト 、魔王軍将軍の一人ならば 軍を率いる事も可能。

そして こうしてエルフの集落を何の躊躇いも無く破壊出来るのは

魔族ぐらいだ 。

点と点が重なった瞬間 、だが フランメにとって それは最早、

どうでも良くなり 、興味の矢先は 一人の少女に向けられた 。

 

 

『 コイツを殺したのはお前か ? そこの死にかけ 。 』

 

 

フランメは 一人の少女にそう問いを投げかける 。

少女は答えなかった 、答える気力すら無かったのだろうか 。

だが フランメは その少女からは 卓越した “ 魔力 “ が有るのを

感じ取る 。

 

 

 

『 凄い魔力だな 、お前 強いだろ ? 』

 

 

     『 魔族と 正面からやり合ったのか ? 』

 

 

 

 

フランメの問いには 依然 、その少女は答えなかった。

しかし 、フランメには 少女の口から答えを聞かなくても。

目の前にある惨状 、バザルトの死に体が 有るだけでも

ある程度は予測出来てしまった。

 

 

『 ... くだらね 、とんだ バカだな 。 』

 

『 どうして 、そう 正面から闘いたがるかね 。

  逃げる ... 隠れる ... 不意打ちする ... 選択肢は

  幾らでも有るのに... 。』

 

 

 『 “ 強い魔法使い “ の気持ちは分からんね 。 』

 

 

フランメは 自分が思った事を吐露する 。

それは まるで独り言かのように 、少女にだけ意味が伝わる

ように 話していく 。

しかし 、 フランメの最後の言葉に対してだけは 少女は ___ 。

 

 

            『 ... 分かるはずだ 』

 

 

『 ____ は ? 』

 

 

少女が発したその言葉に 、フランメは思わず 素っ頓狂な

声を出してしまう。

しかし 、それを意に介さず 少女は話していく。

 

 

『 貴女なら 私の気持ちが分かる筈だ 、 』

 

 

  『.......貴女の方が 遥かに強い魔法使いだから 』

 

 

 

少女は フランメの事を “ 遥かに強い魔法使い “ と喩える。

それは 少女が フランメの魔力量を見た時に気付いたからで

あろうか 、フランメ が 自然に “ 魔力を制限している “ 事に

気付いたのは ____ 。

だが 、フランメは その言葉に強い興味を惹かれた 。

自身の魔力制限に勘づいた上で 、そう言って居るので

あれば かなりの魔法使いになれる資質が有る 、と

言ったところだろう。

 

 

 

『 _____ 、どうしてそう思った ? 』

 

 

フランメは その少女に問いを投げかける 。

どうして自分が強く見えたか 、少女からしてフランメと言う

人はどのように映ってきたか を聞く。

考えてみれば 、魔族と正面から殺し合って 五体満足で勝てる

魔法使いなど ましてや 将軍クラスとやり合って それを

成し遂げる存在など 。この時代の魔法使い達には成し得ない

事だろう 。

“ この少女なら _____ 、或いは ... “

フランメはその少女に僅かな期待があった 。

 

そして 、少し の静寂に包まれた後 。少女は その問いに対して

淡白に 返答を返す 。

 

 

『 _____ 、 なんとなく 。 』

 

 

この少女は 恐らく 全てを奪われた 。 だが、奪われても尚 。

己の感情を殺す 。それはエルフが感情に乏しい存在であるか

らか 、 涙一つすら見せなかった 。

 

 

『 お前 .... 、 名前は ? 』

 

 

 

      『 _____ “ フリーレン “ ... 』

 

 

フランメは確信した 、この少女は いつの日にか大成する日が

来ると 。その日はいつかは分からない。

だが 、フランメの中には 目の前に居る少女からは魔王でも

何でも やり遂げてしまいそうな ____ 、そんな予感がした。

 

古き時代を生きた英傑 と 新しい時代を導く先導者である 、

フランメと 葬送のフリーレン の邂逅は 今成された 。

此処が 物語の転換期 、歯車が多く廻るところ 。

小さな歯車でさえも 、本来あったはずの物語が大きく歪み

捻じ曲がってしまう 。

 

そんな精密な機械と言うべき世界 、 そんな世界に ....

“ 小さな小さな歯車 “ が 狂い始める 。

 

 

 

ド " ォ " ォ " ォ “ ォ " ン " !!!!!!!

 

フランメとフリーレン の邂逅が果たされたとほぼ同時に 、

まるで 二人の邂逅を祝福するかのように 。二人を

包むような 蒼穹の光が辺りを轟音と共に包み込む 。

それは 純粋な魔力の爆発 、そこに何も小細工は無い。

ただ純粋に 、馬鹿みたいに 、“ 破壊する “ 事に特化

した 魔力の塊でしか無い “ ソレ “ を、フランメは

“ 視た _____ 、 “ 。

 

 

『 何 だ ? _____ 。 』

 

 

フランメは突如起きた異変に 訝しんだ 。

まだ 生き残りの魔族が居るのかという考えが

頭を過ったが 、あれ程の 魔力の爆発 を 狡猾

の脳しかない 魔族どもが出来るだろうか 。

あれ程の爆破 、しようものなら 魔族自身も

ダメージを負う 。 魔族は 自分を傷付けてまで

人を騙そうとはしないので 、魔族とは違うだろう。

 

となれば 、考え得る可能性は 自ずと浮かび上がる。

 

 

『 まさか 、 まだ あそこに生き残りが ? 』

 

 

魔族とは違うならば 、8割2分の確率で エルフの集落の

生き残りが放った魔法だと考える 。

8割が 生き残りの線 、残り2割が 魔族の中でも熟練された

魔法使いと言う線 。

フランメは その真偽を確かめる為に 、膝を突いていた態勢

から 立ち上がり 、その焔の中へ 一歩 と踏み出してみる。

 

『 _____ ... やっぱりな 。』

 

フランメは 魔力探知を使用して 、その魔力の主を探す。

すると どうだろうか 、フランメの魔力探知には 一つだけ

“ 異質な魔力 “ の持ち主が引っかかる 。

居場所は ここから少し離れた場所 、位置的には まだ集落の中

だろう。

そして 、その魔力の持ち主は 今居る場所から 南下し ... 、

つまり フランメらが今居る場所に行こうとしているのが分かる。

 

生き残りの線なら助けてあげても良いだろう 、それにあの魔力

フランメが感じ取った “ 魔力 “ は 、この集落の半分を覆いつくせ

そうなほどの圧倒的な 魔力量と 、そこに折り混じった ムラが無い

純粋で 、星すらも想起させるような 洗練さ 。

魔法の制限さえを教えれば 、魔王ですらも欺ける魔法使いに

なるだろう。彼女は そんな予感がしていた。

 

 

『 _____ 、来るな 。 』

 

 

フランメの魔力探知は その例の魔法使いが此方に来ているのを

彼女に知らせる 。その速度は まるで獣のように速く。

魔法使い が出せる速さとは到底思えない。

どちらかと言うと 、戦士に近いような雰囲気がする。

 

1 秒 ... 2 秒 ... 3 秒 .... 、その魔法使いはどんどんフランメ達

と距離を詰めていく。

生き残りなら話を聞くなり する 、魔族ならば 迷わずに殺す。

できれば 魔族ではあって欲しく無いものだ 、とフランメの

頭の中にはそんな考えが過ぎる。

 

4 秒 ... 5 秒 ... 6 秒 ... 、やがて その魔法使いの足取りが

魔力探知を使わなくても予測出来るほどの 気配を感じて

来る 。

この選択が 幸を生むか 、不幸を齎すか 。

 

フランメは 一応 、臨戦態勢を取りつつ 訪れる “ 異質 “ に

備え _____ 。

その刹那 だった 。

 

 

 

バ " ッ " ギ " ャ " ア " ァ " ァ" ン " !!!!!!!!!

 

 

焔だけの静寂の黙に息衝くように、燃える民家を突っ切り

やって来たのは 黒色の鎧に身を包んだ 誰かだった 。

黒色の鎧に 、焔の熱風に靡くマント 。顔に染み付く

魔族の残骸でもある 黒い塵芥 。

戦士が持つような 大剣には 上半身だけの身体になった魔族の

残党とも呼べるべき存在。

焔の背景にそう映る ソイツは とても 、人間には見えなかった。

されど フランメの眼には ソイツが 膨大な魔力の持ち主だとは

すぐに気付いた 。

 

それと同時に 、全てを奪われ 絶望や虚無の感情が混ざり合って

しまった フリーレン は 目の前に映る 、魔族を殺す復讐の存在

にへと 恐らく 成ってしまった “ 親友 “ の姿を見れば 、その瞳を

丸くした と同時に フリーレンの瞳には 微かに “ 希望 “ が

宿った 。

 

 

 

 

 





初めて、本格的に 別視点の描写を入れられたと思います。
次回からまた主人公くんの視点で書いていけたら良いなと
思います。

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