素手と魔法と剣でなんとか旅をしていこうとする奴。   作:クロウト

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原作の物語に入っていくので初投稿。


第七話 縛鎖に伏す ③

 

 

ーー《 メラの死から 1年が経過した 。 》

 

同時にあなたがエルフの集落に訪れてから 1年と 二日が経とうと

していた 。

あなたは エルフの集落から ドラゴンを倒した事を讃えられ 、

ドラゴン討伐の証として 、そのドラゴンの素材をふんだんに使った

防具が あなたに贈られた _____ 。

通称 《 *1黒檀の全身鎧 》 と呼ばれる その防具は 兜から脚に渡るまで

全てが 漆黒で塗り潰されており 、鎧に備わっていた マントは黒く

ありながらも 、竜の皮をなめしたモノを使って居るのか 動物皮特有の

光沢が滲み出ている 。

 

見てくれ は完全に 重装備の戦士のソレだろう。だが あなたは何故か

その鎧には重さの負荷が感じられず 、寧ろ その鎧からは軽さすらも

感じる 。

恐らく 自分の身体に備わった フィジカルギフテッドが作用しているの

だろう 。 防御力が高めの重装備を重量を考えず着れると言うのは、

ありがたい ところだ 。   

 

そして あなたはその鎧を着て 、エルフ達に感謝を示す。そのエルフ達

は、メラとは 似て居る部分がある者らも居れば エルフに共通する

長い耳以外 体格から何から何まで 違うものも居るといった 、

多種多様なエルフがそこに居て 何処か新鮮な気持ちをあなたは抱いた

 

 

_____ 鎧を貰い受けてから 数刻の時が経った頃だろうか 。

あなたは エルフが集まる場所である 教会の形をした 神殿から 、

出て 、その後は 直行で メラの墓にへと向かう 。

メラが今の自分を見たらどんな思いを抱くのだろうか 。

黒檀の全身鎧 、その見てくれ は 完全に 放浪騎士の ソレだろう 。

これで 魔法と素のフィジカルを使うとなると 、やはりこの先 ... 、

悪神の加護で貰った 素の魔力よりも 鍛錬を積み上げ続けなければ

いけないのかと あなたは思う。 この世界の魔力は 長い鍛錬に比例して

その魔力量は量を増えて行く、と聞いた事があるのを思い出したので

少し鍛えるのも悪くない、と思いつつ 石工の階段を下って行く 。

階段は 浅かった為か 終わりはすぐ見えてくるような 半ば装飾と化して

いそうな その階段を下った先 、丁度 道が分かれようとして来た所に...

 

 

『 _____ おかえり 、早かったね 。 』

 

あなたを迎え入れるように 現れた 少女 。 フリーレン が其処に居た 。

そして フリーレン は 黒檀の全身鎧を着ている あなたを見れば 、

感嘆する訳でも 賞賛する訳でも無く ___ 、

 

『 いいね 、その鎧 。 戦士らしくなったんじゃない?

  ... まあ 君の場合は 魔法使いでもあるのか 。 』

 

まるで旧知の友と接するように話すフリーレン 、初めて会った時 は

あなたは思いっきりベッドの上に居たので 、こうして話してみると

意外に 新鮮な気持ちになる 。

実は あなたとフリーレン は、最初に出会ってから 両者共に 魔法が

他よりも使える 、と言う共通点もあるので この1年間 はずっと

フリーレン の 魔法の実験を共にしていた ( 主に実験体にされたのは

あなただが 。) と言う過去を持っているので 仲が良い 、と言うのが

あるのかもしれない。

 

 

『 さ、 早く魔導書の実験の続きがしたいから 行こ 、

   今度は《眠れなくなる魔法》とか使ってみようよ 。 』

 

魔導書の実験の事で 、ウッキウキな彼女を見ると どこかあなたの

頭の中には マッドサイエンティストの文字が浮かび上がってしまう。

まぁ 、魔法は要するに 日本で言うところの科学だ 。

科学を探究する者 はいつだって 時代の最先端を 走って来た 。

魔法を探究する者も きっと この時代の最先端を走るのだろう。

今はまだ エルフの少女である フリーレンが いつか 葬送の名を持ち

魔王を倒す勇者パーティーの魔法使いとなる。その移り変わりの様子

こそ 、時代の最先端を走るのだろうか __。

 

あなたは 魔導書の実験に 若干嫌な予感がしたが 、フリーレンの

その言葉を断らず 、首を縦に振り フリーレンの後へと付いて行く。

 

 

そうして 、朝は更け 夜が開けていく _______。

 

 

 

 

 

 

 

ーー 《 数時間後 .... 。 》

 

辺りはすっかり暗くなり 、あなたとフリーレン は魔導書の実験に

明け暮れていたのか 。暗くなった事に気付いたのはかなり遅かった。

 

 

『 もうこんな時間か 、 早いね 一日が経つのは 。 』

 

 

 

フリーレンのそんな言葉に、あなたは頷く 。 人間 やエルフと言えど

夢中になれるモノに取り組んだ時は 皆平等に時が経つのが早く

感じてしまうものなのだろうか 、とあなたは軽く考えてみる 。

 

 

そんなこんなで 魔導書の片付けを始めて 帰る支度をし始める。

呆れるほどに明るく煌めく夕日 は、ドラゴンと戦った あの雨の日とは

真逆とも言えるほどの快晴であり 、黒檀の鎧が 陽光を反射 する。

少しの風が 、黒い竜のマントを靡かせる 。

これからも こんなくだらなくて 平和な日常を過ごして行きたいと、

あなたは無謀とも言える願いを抱く 。

だが 、 あなたは知って居る 。 この集落がどんな末路を辿るのかを。

あなたが知って居る末路は きっとそんな平和な日常では無い 事は

分かりきって居た 。

そしてその末路こそが物語の始まりでもある事も分かっている。

その未来を変えるコトは出来ない 、それは世界の法則を捻じ曲げて

しまう事とほぼ同義であるからだ 。

 

だが 、そんな未来を分かっても尚 、平和を夢見るのは悪い事じゃ

無いだろう 、 ともあなたは考える 。

せめて今だけは こんなくだらない平和が続きますように、と 。

無知のフリをして過ごした方が身の為だろう。

 

 

無知は罪だと人は言うが 、知りすぎるのもまた罰となり返ってくる。

のもまた事実だ。 この集落の未来もきっとそうだろう 。

あなたが未来を知って居たとしても 決まった世界の運命からは

誰も逃れられない 。女神様ですら捻じ曲げられないモノを 、

変えようとしても 無駄だと言うコトは火を見るより明らかな事だ。

 

だから、あなたは無知を貫く 、そうした方が 物語は 緩やかに

流れていくのだ _____ 。

 

 

『 ほら 、帰るよ 。 明日も実験に付き合って貰うんだから 早く

  寝ないと 。 』

 

 

あなたが考え事に耽っていると 、フリーレンから の一声で 自分の世界

から、一気に現実にへと引き返される。

そうだ 、今どうこう考えても 早すぎるのだ 。 この集落 がその未来と

遭遇して 全てが終わった時に 考えれば良いかと あなたは 考える。

考え過ぎても 余計な行動が増えるだけ で、その余計な行動一つで

誰かの未来を変えてしまう事だってあるのかもしれない 。

あなたはこの葬送の世界が そう言う 美しくも残酷である一面がある

事を 知って居た。 知っているのを承知で 、あなたは この世界で 、

その美しさを見出そうとするのかもしれない。

未来はやはり知る物では無いな、と言う考えがあなたの頭の中で

過ってしまう _____ 。

 

 

あなたは 一時的に考えるのを止め 、フリーレンの呼び声に応える

ように 踵を返し 、片手に 魔導書を持って 共に帰路に着こうとする。

辛く苦しい冒険 も嫌いでは無い 、その辛さの中に意味を見出せば

その冒険をする意味があるからだ 。

だが 、 こんな くだらない魔法の話をしながら 平穏を謳歌すると言う

のも 楽で良いのかもしれない 。

冒険をせず 、唐紅の天道が二つ 三つと昇り降りを繰り返す 様を

ただただ 感じているのは 楽なのかもしれない 。

 

『 今日も 良い実験だったね 、《眠れなくなる魔法》の効果が

 切れてる事に気付かずに そのまま昼寝しようとした 君が 、

魔法の効果で 眼にもの凄い 痛みが走ったのは 面白かった。 』

 

 

あれは痛かった 、とフリーレン に伝える 。 《眠れなくなる魔法》は

文字通り 魔法をかけられた対象はその効果が切れるまで眠る事が

出来ず 、その禁を破ろうと 瞼を閉じようとした瞬間 。瞼から

とんでもなく 鋭い痛みが走る 、例えるなら 熱湯が直に目に入った

ような 痛みに近いのかもしれない 。結果として 外傷は無かったが

もう二度と あの魔法はやりたく無いと 嫌な記憶があなたの脳内に

刻まれる事になってしまった ____ 。

 

 

『 明日はどんな魔法を試してみようかな ___ 、 色んなのがあって

  選ぶのが 大変だね こりゃ 。 』

 

 

そう言いながら 頬を緩ませるフリーレンを見れば 、 あなたも

釣られて笑ってみる 。出来れば 痛みが無いタイプの魔法にして欲しい

が 、多分 自分の興味本位で実験する魔法を選んでくるタイプなのだと

思うので 痛みが伴わない魔法と痛みが伴う魔法で確率は五分五分

だろう 、なんなら《早起きが出来るようになる魔法》とか良いんじゃ

無いかと あなたは提案してみる。

 

『 えー 、 早起き は嫌だなぁ 。私は ゆっくり眠りたい派だし 。 』

 

ゆっくり寝る事は良いが、フリーレンの場合は ゆっくり寝た場合、

昼過ぎに起きる事が ザラにあるので 、度々 あなたが起こしに

行ってるが 未だに早起きをする様子が無く、この1年間 で

早起きした事は指折りの数しか無いんじゃないかと あなたは言って

みる。

 

『 まぁ 早起きしたって 寒いと眠いぐらいしか無いし 。 』

 

 

寒いのもあるかもしれない .... 、けどそれは季節によって違うんじゃな

いかとあなたは考えてみる 。今の時期は 夜風が丁度良い具合に

吹いてて 、朝が来るのが早いので 恐らく 夏と秋の境目と言った所

だろう 。

 

 

そんなこんなで 帰路の終わりに着き 、 あなたの家が見えて来る。

もともとメラの家だったものだが 改造を施し 、今はあなたの家と

なって居る。 広過ぎるので 少々寂しく感じるところもあるが 、

まぁ 特にこれといって不安は無いだろう 。

 

『 じゃあ ... _____ 、 “ お邪魔します “ で良いのかな 。 』

 

ん? お邪魔します ? .... このまま別れて帰るんじゃないのか 。

あなたはてっきり そう思っていたので フリーレンの予想外の言葉に

困惑を示す 。

しかし 、単に家の中を見に来た だけなのかもしれないので まだ

詳しく詮索せずに 自分の扉の中を開けると 、そこは 何の変哲も

無い 自分の部屋 。整えられた カーペットに 磨いたばかりの木製の

椅子が二対 、それに合わせたようにあるテーブル 。どれもが普通だ、

 

“ ただ 、自分の目の前に或る 見慣れ無い魔導書の山 以外は “ どれも

普通だった 。

 

 

『 あれ 、言ってなかったっけ 。 』

 

 

フリーレン がそう言うと 、あなたに向けて 説明を始める 。

元々 メラの家は 客人を迎える為の 施設だったらしく 、最近では

客人の足取りがプツリと途切れてしまったようなので メラの家系が

この家を買ったのだが 、当のメラが ドラゴンの襲撃にあった為に

持ち手がいなくなってしまい 、今はあなたの家 兼 ホテルのような

役割を果たして居る 、そしてそこには フリーレンの魔導書も

収まっているらしく 、魔導書の研究も 元々そこでしていたらしい。

なので フリーレンも 持ち手がいなくなったのなら 戻っても

良いよね !と言うスタンスの元 、この家に来たらしい。

無駄に部屋が多くあったのは そう言うコトか、とあなたは

点と点が線になったように理解した。

 

 

『 ______ 、じゃあ 今日から宜しくね 。 』

 

 

 

 

 

そんなこんなで 、あなたとフリーレン の奇妙な共同生活が始まった。

共同生活と言っても 、 あなたのする事は今までとは何も変わらず 、で

朝 、必ず昼過ぎに起きるであろう フリーレンを起こし 、 朝食を摂り

暫くしたら 魔導書の実験を始める 。と言うのが大体の流れだった 。

魔導書の実験は 実用性があるものから実用性が皆無のものまで 、

幅広い変な魔法が 多くあり 、ある日には 身体が麻痺って そのまま

動かない日もあった程、ランダムで 少々運試し要素が強い面もあった

魔導書の実験だが 、あなたは何故か それが楽しかったのか 。

来る日も来る日も 魔導書の実験を続けた。冬はフリーレンが寒い寒い

と言い出すので 、しょうがないから 家の中で実験をしようとした所、

発動した魔法の影響なのか イスやらテーブルが 浮き出してしまい、

そのまま3日ほど治らなかった、なんて事もあった 。

 

くだらなくて 、平穏な日常 。だがあなたには その全てがひどく新鮮な

景色に見えてしまって仕方なく 、魔導書なんて日本には無かったし、

あったとしても 厨二病呼ばわりされるのがオチなのは見えていた為、

こうして変な魔法の魔導書でも ちゃんと魔法が使える、と言うのは

中々に 新鮮な経験をしてるな、と あなたは心の底から実感する 。

 

実際、あなたも魔法は使える。フリーレンがあなたを魔導書の実験に

誘ったのも あなたの独自の魔法体系に 興味を持ったからであろう。

ある日には 自分が持つ魔法について 彼女から質問責めされる 日も

あった程に 、あなたの魔法は独特らしい 。

悪神が与えた 、とは言いづらいし この世界では 神の存在は信じられて

いるものの 女神様は 神話の時代を除いて その姿を見た人は居ない、と

言われた事もあるようだったので 悪神 とか言う 悪の雰囲気がダダ漏れ

の神様など 僧侶からしたら 、女神様に仇なす 冒涜的存在に見えるかも

しれない 。なので あなたは その独自の魔法については 取り敢えず、

こことは 違う 大陸の魔導書から 拾い上げて来た 、と誤魔化すように

説明した 。

 

だが 、いつかは 自分の魔法や魔力が何処から来ているものなのか を

ちゃんと理解しないといけない日が来るかもしれない 。

悪神の加護とは言っても 、自分の魔法そのものには 何処かルーツが

あるのもかもしれない、と言う 期待の高まりが あなたの冒険心を

誘った 。

 

 

 

そうして 、 あなたとフリーレン が共同生活を始めてから 半年が

経った頃の時に 集落の“ 終わり “ を あなたは視る事になる 。

そして ここから 、物語の歯車が音を立てて 緩やかに 動き出して

行く _____ 。

 

 

 

*1
元ネタ:Skyrim





これで 、縛鎖に伏す編は終わりとなります 。
ここまでが原作には無かったオリジナルストーリーとなっていて 、
次回からは原作に突入して行くので ここで 章を区切ります。
なので次回から第二章第一話みたいな感じに書き上げていけたら良いな、と思ってます。
あと 長らく使っていなかった 素手要素も出す予定なので 気長に
お気に入り登録して待っててください。
良ければ お気に入り登録よろしくお願いします。
俺のモチベが天元突破ァ‼️します。
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