「寺子屋…寺子や……ここか。」
そこには立派とは言えないものの。生徒の複数人教えるには十分な広さの建物があった。
「……すみませーん」
声をかけて少し経つとドアが開き水色と白色のような髪色のヘンテコな帽子をかぶった女性が出てきた。
「ん?すまないなんの用だろうか」
「あ。八雲紫の使いです。少し町を散策するのでそのご挨拶をと。」
「…君が例の……なるほど。了解した。私は上沢白慧音だ。よろしく頼む。」
外界に厳しかったりするのかと思ったが随分あっさり了承したな。……八雲紫の力が強いだけか…?まあどちらにせよ好都合だな。
「こちらこそよろしくお願いします。上沢白先生。」
「そこまで他人行儀でなくていい。慧音先生とか慧音で大丈夫だよ。」
慧音は軽く笑いながら話す。
「ではお言葉に甘え。慧音先生と。ところで今は授業などは大丈夫なのですか?」
「ああ。今は休憩時間だ。子供たちを見守る必要もあるが。町のために働いてくれる方を放置などできないだろう」
正義感というか。模範的な人だな。少し眩しすぎるくらいに。
「ありがとうございます。ただ私もこの後警備団体の方にもご挨拶に行かねばならないので。子供たちの方に戻ってあげてください。」
「ああ。そうかやることがあるのだったな。すまない。気が回らなかった。………引き止めることになって悪いのだが。それはタバコか?? 」
慧音先生が引き止めてきた。…タバコを落としていたようだ。普段ポケットに入れないから気づかなかったな。
「ああ。すみません。ポケットに入れる癖がなくて落としたみたいです。ありがとうございます」
「ああ。やはりそうか。すこし私の知ってるものとは違うようだが……」
「あぁ。これは電子タバコといって普通のタバコとは少しだけ違うんですよ。害が少し軽減されてますね。まあ害があるのは変わりないんですが。」
タバコに少し興味を出してきた。この人も吸うのか?あまり想像できないが。
「吸ってはいかんと言いたいところだが。言っても無駄だろう。私の友人も何度言っても一向に辞めないしな。だが。あまり吸いすぎてはダメだぞ。あと当たり前だが。子供の前では特にだ。」
あぁ。確実に喫煙反対派だ。いやまあ。吸ってる人の方が少ないから必然と言えば必然なのだが。
「わかりました。子供の前では吸いません。では失礼しますね。」
「ああ。呼び止めて悪かった。気をつけてな。」
……吸う回数減らすと入ってないからセーフセーフ
その後警備団に挨拶をし。町の探索をしていた。
広くないと思ったが。道を覚えようと歩くと自然と歩くのもゆっくりとなり意外に時間がかかる。
……そろそろ休憩するか。
「ふぅ………働いて吸うタバコも働かずに吸うタバコも格別だな。」
誰も住んでいなさそうなボロ小屋の前で休憩をする。この町で吸うと少し視線が気になり落ち着いて吸えなかったので。人気のないここはありがたい。
「何してんだ」
タバコを吸い終わり。自然と二本目に手を伸ばしていたところだった。突如平坦な声に呼びかけられた。
「……あぁ。すみません少し休憩をしていまして。」
振り向くとそこには白髪でロングの赤と白を基調にした服を着た女性がいた。
「あぁ。そうなのかてっきり物取りかと。いやまあ取られるものなんて無いんだけどね。」
「ここの家主さんですか……?」
「?ああ。そうだが…?」
コテンとした顔でこちらを見てくる。嘘だろ?これが家だと言い張る気か?と思うが顔には出さない。
「それはそれは失礼しました。すぐ去りますので。」
「……いや。ちょっと待ってくれよ。」
去ろうとした瞬間肩を掴まれる。少しめんどくさくなりそうだと思いながらも返答する
「何でしょうか?」
「いやな。ここに喫煙者なんてそうそう居ないもんだからな。少し話したくなってね。」
この少女喫煙者なのか……これは……
「……タバコなんてやめなさい。まだ若いんだから。早死するよ。」
「あんたがそれ言う??それに私はもう大人だよ。体は知らないけど。それに私に早死なんて言葉は程遠い言葉だよ。」
どういう意味だろう?と思い質問しようとするがやめる。つまりそういう事だろう。この子も妖怪なのだ。確かにタバコの早死なんて人間基準だ。妖怪にとっては何ともないのかもしれない。少なくとも口出しすることでは無い。
「あぁ…そうなのかすまない。見た目で判断する悪い癖だな。」
「あぁ。いやいいんだ。仕方ないさ。初対面なんだから。見た目で判断するしかない。……それよりあんたはどこから来たんだい?吸ってるものも見慣れないものだけど……タバコだよな?」
「ああ。れっきとしたタバコだよ。どっから来たかか。あー。この場合外の世界からってのが正しいのか?」
「お。外の世界か。ならその珍妙なタバコにも納得だね。どれひとつ吸わしてくれよ。」
「ん?ああ。いいぞ。」
そう言い俺のタバコを吸う。そして煙を吐く。
なんというか。すごく似合いすぎてドキッとした自分がいた。こんな一回りも下の年齢の……ああいや。妖怪だから関係ないのか?まあ。一回り下に見える妖怪にドキッとした自分を自覚し。すこし恥ずかしくなる。そんな馬鹿なことを考えていると。吸い終わった女が一言。
「なんか。吸い足りないな。吸いやすすぎると言うかなんと言うか……」
「んー。まあ人それぞれって言うのもあるし。君が吸ってるものより弱い可能性は全然あるね。」
「あー。そうかなるほどね。まぁありがとうね。新しい体験だったよ。」
「どういたしまして。……さて俺はそろそろ行くよ。」
「ん。わかったよ。じゃあね」
そう別れを告げ小屋を去っていく。さて。町の探索をするかぁ…………あ。名前名乗るのも聞くのも忘れてた。……まあいいか。
ホンマに少しやった……