シャイニーメモリアルミックス 〜Dig Delight Dramatic Dreamers〜 作:テンカイザー
どうして宇宙が輝いて見えるか、わかるかい?
なんて、突然聞かれてもピンと来ないだろうけど。
はっきり言って、答えなんてないんだけどね。
宇宙っていうのは、未知に溢れたものなのさ。
だからこそ人は未知に好奇心を抱き、そこに神秘を感じるものなのさ。
けど、宇宙ってのはそう簡単に辿り着けるものじゃない。
未知の中には、当然恐怖だってある。恐怖に打ち勝てるほどの勇気がなければ、宇宙の中で生きてはいけない。
それに、例え勇気があったとしても辿り着けるとは限らない。
だから、殆どの者は眺めることしか出来ないだろうね。
けど、眺めていると見えるだろう?
……色とりどりな星たちが
まあ、殆どの者は星の色なんて眩しくて見えないだろうね。
だけど、星の色を見抜くってのは実は難しいようで簡単なのさ。
それは、
その時人は気づくのさ。
宇宙の向こうでは、色んな星たちが自分の色で輝いて、
そうすればあとは簡単さ。
––––––人は誰しも、自分の色で
さて、そろそろわかってきたんじゃないかな?
宇宙が輝いて見える理由が……
だが、確かめることはしないよ。
さっきも言っただろう?宇宙は未知に溢れているのさ。
さっき言ったことだって、必ずしも正解とは限らない。
もしかしたら、別の答えがあるかもしれないじゃないか。
さてと、少し長くなったがそろそろ本題に入ろうか。
何故こんな話を持ち出したのか、気になってただろう?
まあ、とは言えあまり深い意味なんてないけどね。
ただ、ちょっとした前置きさ。これから見せる
いや、物語と言うのは少し語弊があるかもしれないね。
これから見せるのは、誰も見たことのない
本来なら交わるはずのなかった輝きが、まるで探究心に飲まれた神の実験の如く混じり合う。
人によって奇跡とも歪とも取れるような、そんな摩訶不思議なもの。
さて、ここで最初の問いを思い出してみようか?
––––––どうして宇宙が輝いて見えるか、わかるかい?
何故いまさらこんなことを?きっとそう思ってるだろうね。
実は、こんな答えもあるのさ。
––––––自分だけの色を持つ星々が、同じ場所で一緒に輝いているから
興味深いと思わないかい?
星はみんな自分だけの色を持っている。そんな色とりどりな星が一緒に映る時、よりいっそう輝いて見えるんだ。
それならもっと色んな色が映れば、どれだけ綺麗になるか見てみたくはないかい。
これから見せるのは、そんな些細な好奇心から生まれたもの。
もしかしたら誰かの空想の産物かもしれない。矛盾も違和感も含んだ、そんな物語と言うには些か歪に見えるかもしれないものだ。
けど、キミは星空を見上げる時、毎回星空に物語を見出して感動したりはしないだろう?
ただそこに、輝きがあるから見上げるのさ。
なら、見てみないかい?
これから織りなされる、沢山の輝きたちを。
おっと。
どうやら幕間はもう終わりのようだ。
ボクもそろそろ配信を始めるとしよう。
あとは是非キミの眼で確かめてくれたまえ。
ん?
結局ボクは誰かって?
それは近いうちにわかる時が来るさ。
いや、キミはもうすでに知っているんじゃないかな?
なんたったってボクは…………
––––––宇宙一の歌姫になるんだからね⭐︎
▲
––––––D4 FES.
音楽を愛する者たちの間で伝説とまで謳われ、この世界のDJ文化を広めることともなったイベント。
DJがより盛んとなった現代にて、8年の時を経て甦ったこのイベントは、数多のDJユニットたちによって眩い輝きを人々の脳に焼き付け、一先ずの終わりを迎えた。
「想像以上に盛り上げてくれたじゃないか、空くん。D4 FES.は、大成功だよ」
「お客さんもみんな満足みたいだったし。トラブル連続かも、と思っていた自分が恥ずかしいよ」
「お父さんよりいい仕事をしたかもな……」
祭典が終わり、歓声も輝きも冷めた会場の中で語り合う者たちがいた。
–––––– L.M.O.
かつてD4 FES.を立ち上げ、音楽界に新たなる変革をもたらす立役者ともなった伝説のDJユニット。
小舟柳人、海原ハルキ、犬寄傳之丞
祭典の熱狂を思い返しながら、今回の祭典を甦らせた立役者を褒め称えていた。
––––––三橋空
かつて自身たちの前から忽然と姿を消した仲間の息子。
そんな彼が、かつて自分たちが立ち上げた祭典を甦らせたことをとても感慨深く感じていた。
今回のために彼は相当立ち回った。様々な伝手を頼りに、沢山の有名ユニットを招待し、これから羽ばたく若手ユニットにまでチャレンジステージという希望を与えた。
そんな彼の働きぶりにより、D4 FES.は誰もの心に残る成功を収めた。
彼の頑張りは、かつて自身たちの傍で見てきた彼の父を超えるほどのものであると、この場の誰もがしみじみと感じていた。
「––––––大したものだった。まさかアイツの息子がここまでのことを成し得るとはな」
「………努!?」
そんな彼らの会話に、新しい影が割って入ってくる。
––––––天井努
アイドル事務所『283プロダクション』の元プロデューサー。
しかし283プロはある一件から20年近く活動休止を余儀なくされ、同時期に彼もプロデューサーを引退した。
それからというものの、彼と会う頻度は日に日に減っていき、いつからか顔を全く見ない時期が出来ていた。
そんな中、突然顔を数年振りに見せた顔見知りに、傳之丞は少し不貞腐れたように問う。
「お前、いつから来ていた?」
「最初から見ていたよ。
都築さんから、お前らがまた躍起になっていると聞いてな。私も新しい始まりに向けて刺激をもらいにな」
「あはは、詩船さんには本当敵わないなぁ」
今この場にいない、かつて音楽の繋がりから自分たちを沢山しごいた人物を思い浮かべながら、ハルキは思わず苦笑いを浮かべる。
「そう言えば詩船さんのライブハウス、最近閉店したみたいだね。
僕たちがこんなに盛り上がってるって言うのに、彼女はなんだか寂しそうだ」
「あの人は充分に
「
努から彼女の功績を聞き、ハルキは僅かに対抗心を燃やす。
––––––ライブハウス『SPACE』
ガールズバンドの聖地とも呼ばれた場所。
そこでのライブは、厳正なオーディションを突破した実力者のみが立つことを許される、まさにバンドたちにとってはとても栄誉ある場所。
それが先日、終幕を迎えたのだ。
だが、その終幕は音楽を愛する者たちに大きな焼け跡を残した。
結果、今回のD4 FES.に負けず劣らずの変革をもたらし、この世界のガールズバンド文化の大きな活性剤となったのだ。
「お前らも、都築さんも、これから羽ばたく多くの者たちに大きな光をもたらした。
だから、私ももう一度光を照らしたくなったのさ」
「それがさっき言っていた"新しい始まり"とやらに関係あるのかい?」
努の思いを聞き、柳人はさっき聞いた言葉の真意を確かめるべく問う。
「……私は283プロの社長に就任した。
20年振りに、283プロを活動再開させようと思ってる」
「お前が社長!?
おいおい、こりゃまた随分と出世したじゃないか」
努からの思わぬ発表に、ハルキはまた笑い出す。
一方で、柳人は気になることを問うてみる。
「キミが社長ということは、プロデューサーは他にいるのかい?」
「あぁ、すでに目星はついている。
彼がどこまでこれから羽ばたく原石たちを輝かせられるか、見ものだな」
「そいつには、お前のような過ちは犯して欲しくないものだな」
「…………」
ふと傳之丞から言われたことに、努は僅かに沈黙する。
その顔には、どこか後悔の念がまとわりついてるように見えた。
「努、俺はお前がまた歩き始めることには何とも言わない。立っている場所が違くとも、俺はお前のことを互いに磨き合える仲だと思ってる。
……だが、これから俺たちの後輩にもなるかもしれない子たちが迷惑を被るのなら話は別だ」
「…………」
険しい目付きで話す傳之丞を、努はただ黙って見ている。
傳之丞の鋭い言葉は、努の脳裏にかつての自分の過ちがフラッシュバックさせる。
「もしお前が、また
「……おい傳之丞、その辺にしとけよ。
もう努はお前が思ってるような––––––」
「よせ海原、コイツの言ってることはよくわかってる」
「…………」
どこか当たりが強くなった傳之丞をハルキは抑えようとするが、それを遮ったのは努であった。
「お前に言われずともわかってるつもりだ犬寄、あの時の事は他の誰よりも私自身がよく覚えている」
「…………」
相変わらず険しい目付きで睨む傳之丞。
だが、努の目からその覚悟と信念を読み取っていた。
「ほらほら、2人ともその辺にしておけ。
今は祭りの成功を祝う時だろ?」
「そうだね、随分辛気臭い空気になってしまったね。
ここいらで仕切り直しと行こうじゃないか」
2人のどこかジリジリした空気に、ハルキと柳人が場を和ませようと割ってはいる。
今は祭典の成功を祝ってやらねば、今回の立役者である空に申し分が立たない。
そう思い、傳之丞も厳かになっていた顔を崩すのであった。
「ほら、努も……」
「まったく、海原お前は……」
ハルキに渡されたグラスを受け取りながら、努はどこか呆れたような笑みを浮かべる。
「それじゃ、今回のD4 FES.成功を祝って」
「ついでに努の新しい始まりを祝って」
『乾杯……!』
グラスをぶつけ合う音が、静まり帰った会場に木霊する。
それは同時に、これから輝き始める若人たちへの祝福の鐘のようでもあった。
「––––––そう言えば都築さんからお前らに伝言を預かっていた」
それぞれがグラスの中身を飲み込む中、努がふと思い出したことを言う。
「詩船さんから?
けどあの人からの伝言って言うと……」
「あぁ、あれしかないだろうね」
「……一応聞いておくか」
3人の中では伝言の内容は察しがついているようだ。
だが、かつて自分たちが立ち上げた祭典の復活にともない色々と懐かしい思いに浸っていた彼らは、なんとなくまた
なので、3人は努の言葉をそっと待つことにした。
「…………『やりきったかい?』、だそうだ」
それは彼らが予想した通りの言葉。
昔から彼女が何度も口にしていたものだ。
3人はその言葉をしみじみと受け取りながら、今回の祭典を改めて思い返した。
「あぁ、俺たちはやりきったな」
「あとは、若い子たちがどれだけやりきれるかだね」
「我々長老組は、そっと見守ろうじゃないか……」
それぞれの思いに浸りながら、3人は今回の祭典でも一際輝いていた若人たちに期待の念を抱くのであった。
「……私はまだまだ、これからやりきらねばならんな」
一方で努は、これから踏み出す新しい始まりへ向けてまた改めて覚悟を決めていた。
これから新たに羽ばたく輝きの原石たちへ、自分の最善を持って輝かせられるように。
前半部分は何が言いたかったのかと言うと……
要するにこの作品の見所はストーリーではなくキャラの掛け合いだということです。