「敵現在位置、表示します」
「ふはははは! おかあさん! これなら負ける気はしませんよ!」
「当然よ」
剛田チーム管制からは不穏な会話が行われていた。
『観戦モードのシステムをちょこっと書き換えることで、相手の位置が障害物越しにも見えるってわけ』
夕呼は開始前にそう説明したが、単刀直入にに言えばウォールハック──不正である。だがばれないように行うのが香月夕呼。
「さあ、どう足掻くのかしら?まりも」
「これはやっぱり……」
冥夜と悠陽が違和感に気づきだした頃、武も何となく事情を把握しだしていた。
「タケル!」
「武様!」
「おお、二人とも無事か」
「まだ一機も墜とせてはいないがな」
「相手がこれなんだから仕方ないって。逆に無傷なのを誇っていいくらいだ」
まったく二人ともこのバルジャーノンをやるまでゲームのゲの字も知らなったというのに。これが御剣の力というのだろうか。
「それよりも武様。先ほどから相手の対処がやけに正確なのです。まるではじめからこちらの位置が分かっているかのようで……」
「ああ俺もだ」
これで確信が持てたな。
「彩峰たちは戦闘に夢中で気づいておらぬな。」
「純夏は……まあ気づかねえよな。でも不幸中の幸いかな。霞の言ったとおりになったぜ」
夕呼先生が何かしらのグレーな手段(今回の場合は真っ黒)をとってくることはあらかじめ予測していた。そしてそのためにと霞が用意してくれたものがある。
~大会数日前~
「システムの書き換え?」
「……武さんは桜花作戦の際に隠匿情報を流していたのを覚えていますか」
「……ああ」
あれは向こうの皆が死んだと思われて俺の覚悟が揺らがないようにと施されたものだ。
「……このプログラムで私たちの偽の位置情報を相手にながすことができます」
「でもそれって不正にならないか?」
「……相手が不正をしていなければ気づかない細工なのでこちらが一方的に不正になることはないです」
「霞!」
「……はい」
「どうやら早速出番みたいだ」
「……分かりました。神宮寺先生」
「なにかしら?」
「……先ほどお渡ししたUSBをプラグにさしこんでください」
「ということは?」
「夕呼先生はこっちの位置をどうにかして正確に特定してるみたいです」
「そうなのね……夕呼ったら~、そうはいかないわよ~」
まりもちゃんが媒体にUSBを差し込む。
「社さん。これでいいのかしら?」
「……はい。あとは効果が出るのを待つだけです」
「あれ? なんだか相手の動きが少し鈍くなったかな?」
「攻撃の鋭さがなくなってきたね」
先ほどまでのヒヤヒヤとさせられる攻撃がいきなりなくなった。相手の変化に天性の危機察知スキルを持つ美琴と、広い観察視野を持つ晴子は気づいた。
「これはチャンスだよ晴子さん!」
「よし、じゃあ援護はまかせてよ!」
二人はさっそく行動を開始した。
「3時方向から2機接近!」
「08、フォックス2!」
120mmの砲撃が敵機のいる場所へと撃ち込まれる。相手は即座に回避行動をとる。
「逃がさないよ~」
注意が逸れたとことで鎧衣機は接近を仕掛ける。
「05、フォックス3!」
〔ハンター5、右手腕機能停止〕
しかし致命傷には及ばない。
──ピピー
〔ヴァルキリー5、左脚部被弾。ハンター6、背部兵装担架機能停止〕
「え? うそッ!? どこから?」
そのとき美琴が損害判定を受けてしまう。しかし同時に相手の1機にも損害判定が出たようで、目の前の2機からの攻撃ではない。
『なんかよく分がんねえけんど当たったっぺ』
「おりゃおりゃおりゃー!」
弾の飛んできた方向を確認すると純夏と多恵が超次元機動戦闘を繰り広げていた。
「霞ちゃん。今のどうだったかな!」
「……狙いづらいです」
息があっているのか、純夏の奇天烈機動に霞が翻弄されているのか、だが確かに二人のコンビは力を発揮していた。霞も大好きな純夏と一緒に戦えて内心ではとても喜んでいる。
『えいッ!』
だが一方で相手の築地も負けず劣らずの機動を見せていた。
「うぅ……全然当たらないよ~。どうしよう霞ちゃん」
「……厳しいです」
ここでも機体性能の差というのは顕著に表れだしていた。このままでは二人が押されるのも時間の問題である。
「よーし、こうなったらアレいっちゃうぞー!」
「……あっ純夏さんそれは……」
このままではまずいと思った純夏はついに、試合前に武から絶対にやるなと言われていたああの技を開放してしまう。
「喰らえ! どりるみるきぃー……ぱーんち!!」
『えッ……』
ドゴーンッ!
〔ハンター9、機体大破。ヴァルキリー0、機能停止〕
「あははは……」
「……純夏さん、それはダメです……」
正に自爆ともいえる方法で難敵多恵を倒した二人だったが、そのまま二人も失格となった。
『千堂さん、今のは……』
『うーむ……自爆……でしょうね』
『……』
「何やってんだあいつは……」
一部始終を目にしていた武は、純夏の相変わらずっプリにため息をこぼす。
「純夏さーん……流れ弾が飛んできたよ~……」
『ご、ごめんねぇ美琴ちゃん……あはは……』
このとき霞が一切責められないのはお察しである。
「あはは、でも鑑さんが多恵と相打ちになったおかげで向こうの戦力の大きく削れたよ」
「それに相手の動きにもキレがなくなってきたしね~」
「あーそれはだな……」
美琴たちに夕呼が仕込んだであろう策とそれの対抗策を興じたことを告げる。
「うわー、なんだか香月先生らしい大胆な策だね~……というかそこまで来るとただの不正だよ」
「ほんとあの人は何考えてるんだか……」
ゲーマーとして許されない行為だが、夕呼先生だからと納得してしまうのは俺も毒されているのだろうか?
そんなことを考えていた武チームたちは優勢に試合を運ぶのだった。
「ッ!」
彩峰は委員長、たまとともに沙霧夫婦を相手取っていた。
「動きの無駄がなさすぎる!」
「あ、当たらないです!」
初心者である榊、たまにとっては正に防戦一方である。
『そんなものか? 慧』
「……まだまだ」
強がる彩峰だが限界は近い。このままでは負けてしまう。
「……千鶴。尚哉はこっちでやるから、もう1機をお願い」
「やるってどうやるのよ?」
「……大丈夫……多分?」
「なんでそこで疑問形なのよ……」
彩峰はこの球技大会の練習期間において思い出したことがあった。
「(……ここ最近の白銀の動きが知ってるのと全然違ってた。……なんでかは知らないけど)」
ゲームセンターでバルジャーノンを遊ぶ武をたまに見かけていた彩峰は、ここ1週間の武の機動が以前よりはるかに極まっていることに気づいていた。
「(……出鱈目だけど、どれも有効的。……認めたくないけど私より圧倒的に強い)」
内心は誰よりも熱い彩峰はひそかに武に対抗心を燃やしていたが、今はそんな武の動きを真似てみることにした。
「(……ジャンプキャンセルの応用。……倒立反転で……)」
斬りかかってきた尚哉機を倒立反転で躱す。
「(……地面に向かって噴射。……着地をキャンセルして……』
『ッ!?』
突如彩峰が見せた高度な三次元機動に一瞬たじろいだ尚哉。
「……斬るッ!」
『クッ!』
振り向くのは間に合わないと判断した尚哉は長刀を後ろへと差し向けた。二機の刃はそのまま交差し、直後におおきな爆発が起こった。
──彩峰機の短刀、尚哉機の長刀はたがいのコックピットを貫く形となり相打ちとなった。
『なんとここで沙霧尚哉さんがまさかの撃墜です!』
『あのヴァルキリー2が最後に見せてくれた機動には洗練されたものがありましたね。さすがのストライク1もあの動きには瞬時に判断で着なかったでしょうね』
『しかし最後には相打ちにまでもっていきました。ひるんでもただではやられない。これが大会優勝者の実力なのでしょうか!』
『……狙撃が厄介ね』
少し前にさかのぼり、夫に慧を任せた咲代子は残った二人を相手していた。たまが見せる狙撃を前に千鶴をしとめるあと一歩のところで攻めあぐねていた。
『もう一人の子は突出した技術は持ってないようだけど……』
それでも狙撃手と上手く連携が取れていると判断した。おそらく判断力が優れているのだろうと。
そんな時であった。
〔ヴァルキリー2、ストライク1。コックピット部被弾。相打ち。〕
それは慧と尚哉の撃墜を知らせるアナウンスであった。
『(あの人が墜ちた!?)』
1対1の近接格闘戦では無類の強さを誇る夫が墜とされたことに動揺してしまう。その瞬間は一瞬であったが──見逃す二人ではなかった。
「(動きが鈍くなった?)」
二人の相打ち判定が流れた直後、相手の動きが一瞬鈍くなったことに気づいた千鶴。
「珠瀬さん! 今よ!」
「いきますッ!」
わずかに動きが止まったタイミングを狙ってたまの狙撃が炸裂する。咲代子はすんでのところで避けるも右手腕に損害判定を受けてしまい持っていた長刀を落とし無手状態に陥ってしまう。
「いけッ!」
機体バランスを崩したところで千鶴は120㎜を撃ち放った。
『しまッ!?』
弾道はコックピット部を直撃する機動であり、避けられないと悟った咲代子は兵装担架の突撃砲を展開し、最後のあがきと言わんばかりに36㎜を乱射した。
〔ストライク2、致命的損傷大破。ヴァルキリー6、動力部被弾、機能停止〕
「くッ……気が散って油断したわ……」
沙霧夫妻戦。互いに2機を失いここに勝負あり。
『二人がやられるというのは予想外でしたねぇ……』
『千堂さんもこの展開というのは予想できなかったということでしょうか?』
『狙撃の正確さ。その力を最大限に生かした僚機の判断力。ともに可能性を感じさせられました』
『B組チームにはバルジャーノンの原石が埋まっているのかもしれせん!」
「先ほどからデータの更新に異常が発生しています」
「おかしいわね……相手の位置はどうなってる?」
「指示した座標に移動した味方によると、敵機は確認できなかったということです」
つい先ほどから、一部混乱状態に陥っているD組管制。霞の用意したデータ書き換えプログラムがさっそく作動しているようだった。
「沙霧夫婦に通信を〔ストライク1。コックピット部被弾〕なんですって!?」
個人戦闘力でいえば切り札でもあった尚哉撃墜の報が流れ、さすがに驚く夕呼。
「これは向こうがこっちの策に気づいて何かしたに」違いないわね……」
今現在撃墜数はこちらのほうが多いため不利な状況。
「やるじゃないまりも……いや、白銀かしら?」
「武のやつめ、ななかやるじゃないか」
現在の戦域状況を見てひとり呟く剛田。
「ふふふ……しかぁーし! この剛田城二! ほかの連中と同じようにやられると思ったらそうはいかん!」
『武!』
「何奴!?」
次の策を練ろうかというと考えていたら、突如として剛田が通信に割り込んできた。つい思わず雰囲気で「何奴!?」なんて叫んじまったが。
『さすがは好敵手。俺のチームをここまで追い詰めるとは!……だがしかし! この俺を倒せると思ったらそうはいかんぞ!』
はてさて、何をする気だ?
『アルティメット発動!
「……なんだって?」
今なんて言った?
〔G弾投下、直ちに効果範囲から離脱せよ。──繰り返す。G弾投下、直ちに効果範囲から離脱せよ〕
そんなのありかよ!
「アルティメットウェポン!?」
「あるてぃめっとうぇぽん?」
そんあのあったのか? クソッ、予習不足だったか……
「G弾は最高レアリティのアルティメットスキルだよ! 指定した広範囲を敵機方関係なく粉砕する、まさに最後の切り札なんだ! ボクもはじめてみたよ……」
どうやら特定の条件下で発動できる必殺技みたいなやつらしいな。今まで見なかったのは使う機会がなかったのか条件を満たしていなかったかのどちらかだろう。
モニター上のマップには効果範囲が赤く表示されている。敵味方関係なくそのほとんどが効果範囲内に入っていた。俺はかろうじて逃れられそうだが、ほかのみんなは間に合わない……
──そうか、1対1で勝負をつけようってんだな?
「よく分からぬが武、私と姉上はどうにも間に合いそうにない」
「申し訳ございません武様」
「後は頼んだよ白銀君」
「お願いします!」
残ったメンツは逃れられないと悟り武にあとを任せた。そして───
黒い半球がステージを覆った。
『まさかのここでG弾が炸裂しました!』
『最終決戦ということでしょうか。これまでの様子をみていると、両チームリーダーの一騎打ちというところでしょうか』
『爆発によって、フィールドは障害物のない平地となっております。まさに自身の操縦技術だけが勝敗を左右することになるでしょう!』
〔ヴァルキリーズ、及びハンターズ。両者残り1機〕
G弾は武と剛田を除く機体をすべて飲み込んだ。巻き上がった砂埃の中から現れたのは剛田の操るYF-23。
「……」
───今までのこの試合の勝負は何だったんだ?
このとき武は何とも言い難い感情を抱いていた。G弾という兵器にたいしての嫌悪感か、それとも……
「……いまはこの勝負に勝つことが大事だよな」
一旦その気持ちを脇に置いた武は剛田を迎えうった。
ガキィィン!
神話の神の名を冠する機体と、世界最強を謳う機体の刃がそれぞれぶつかり合った。
『機体性能じゃこっちが上だぞ!」
「C型の主機出力じゃYF-23には勝てないか……」
最上位機のR型なら押し込めただろうか? 無いものねだり押してもしょうがないと、武は次の行動に移った。後方に一度下がり、そのあとすぐに前方に跳躍、剛田機の頭上から36㎜を斉射する。
『さすが武だ。しかし、そんなものではこの剛田城二は倒せん!』
剛田機は平面滑走で武の放った弾丸を避ける。
「剛田の奴、言うだけはあるみたいだな」
自分とは違い、ゲームの腕として鍛えた技術だろうが、それでも凄腕といえる技量を剛田は持っているようだ。
「でもな、俺にだって自負はあるんだぜ?」
武は次で決めると即座に行動を開始した。
「喰らえッ!」
『ッ!』
片腕に持っていた長刀を、槍のようにして投擲する。
「まだまだ!」
長刀を避けた剛田機に対し、今度は弾丸を浴びせる。
『どうした?やけくそになったか?』
装備を投げ捨て、弾薬をむやみやたらに消費する武を見て、剛田は挑発した。
「……」
挑発に乗らずに、作戦通りにと行動を続ける武。
「……ビンゴ」
ガシャン!
『ッ!? なんだ!?』
突如として剛田のコックピットが暗転する。
「とどめだ!」
身動きが取れなくなった剛田機に向かってもう一振り残していた長刀を振り落とす。
〔ハンター1、致命的損傷大破。状況終了〕
『ここで試合終了です!最後にとんでもないプレイが飛び出しました!』
『長刀に弾丸、これらを陽動に使い、本命はいつの間にやら上空に投降した短刀だったということですね。頭部に落ちるように短刀を投稿して見事に命中。相手の位置とタイミング、それらをすべて計算した素晴らしいテクニックでした』
『大変すばらしい試合を見せてくれた両チームに拍手をお送りください!』
「すごいよタケルちゃん! なになに? あの最後のやつ!」
「ああ、まあな」
「……タケルちゃん?」
試合終了後、超絶テクニックを見せた武は媒体から降りると同時にチームのみんなやクラスメイトから熱烈な賞賛を受けた。
──だが武の顔は素直に喜んでいる顔ではなかった。
「……」
純夏はそんな武を見て違和感を感じ、霞は心配そうな顔で武を見つめていた。
「お疲れさん」
「「「香月先生!」」」
そんなところにD組チームが夕呼を先頭に現れた。
「今回こそは勝ったわよ?夕呼?」
高校時代からやれ何度敗北したことか。ようやくつかんだ勝利にドヤ顔でまりもは問いかけた。
「こっちの策に早々気づくとはやってくれたものだわ。さしづめ白銀の仕業ってことかしら?ねぇ?白がn……白銀?」
勝ったというのに暗い顔をする武を見て、ある程度事情を知る夕呼は何かあったのかと思い問いかけた。
「……剛田はなんでG弾なんて使ったんだ?」
「? それは武と一騎打ちをするために決まっているだろう! そろそろ頃合いかと思い使ったまで。ルールにも別に禁止とは書いてないはずだぞ?」
何がいけなかったのかと不思議そうに答える剛田。
「確かにルールにもダメとは書いてなかったしそもそもを使うなってわけじゃねえよ。ゲーム側がちゃんと正式に用意しているアイテムだしな?」
「ならないが問題で……」
「俺が言いたいのは使った動機だ。今日のこの試合は何の名目でやってたんだ? 『球技大会』だろ? そもそもがチームで戦って勝負しようってのが名目だろ? それなのに俺とただ一騎打ちがしたいからってチームのみんなまで巻き添えにするのか?」
「ッ……」
「1週間みんなで勝つためにって練習したんだろ? それが最後はそいつらの意思なんて無視で個人の目的果たそうってのか?……ふざけるなよ?」
最後に感じた嫌悪感とはこのことだ。まるでそれまでの行いをなかったことにされたかのような。
──オルタネイティブ5でそれまでの散っていった将兵の戦いを無視して、地球を放棄するという計画に抱いた怒りの感情のような……
「今の試合だってお前が動く前までいろんな駆け引きがあったんだぜ? なのにそれを全部リセットして1対1をしましょうだって?」
『……』
武の言葉を聞いていた周りのみんなも神妙な面持ちになった。
「なんのためにクラスでチームを組んでやりましょうってなってるのかを考えろよ。ここはお前個人の欲求を満たす場じゃねえんだよ」
「ッ……」
剛田も、いつの間にか武との勝負のことしか考えていなかったことに気づき、顔をうつむけた。
「……わりぃ。たかが球技大会で何ってんだって感じだよな。優勝で盛り上がろうってときに水を差すようになっちまって……。先に帰るわ……」
たかがゲームで何をここまでオルタネイティブ5だとかスケールのデカいことと重ねてるんだ俺は……
言いたいことを言って冷静になった武はなんだか気まづくなってしまい、この場を離れようとした。
「待ってくれ!」
そこで呼び止めたのは剛田。
「武の言うとおりだ。俺は独りよがりになっていた……」
「……」
「悪かった」
剛田はそういって頭を下げた。
「……頭下げる相手は俺じゃねえだろ?」
「ッ! そうだったな……」
剛田は振り返ってB組、D組両チームに顔を向けた。
「みんなのこと考えず身勝手な行動をしてすまなかったッ!」
「別に私は気にしてないからいいよ」
柏木がどんよりとした空気を少しでも明るくしようと明るく振舞った。
「私も特に気にしてないよ。先に自滅しちゃってたしね……」
あはは、と笑う純夏。
やっぱり俺が気にしすぎてただけかもな。
「白銀も、説教はそのくらいにしときなさい?」
「夕呼先生?」
「あんたの声、全部マイクに入ってるわよ?」
「……え?」
しまった! 俺のはずかしい説教まがいの発言が学校中にきこえてたというのか!?
『いやいや、最後に言いものを聞かせてもらいましたよ』
「専務さん!?」
『もともとG弾は最高レアアイテムとしていわゆる"壊れた性能"にしていたんですがね。今の言葉や試合を振り返ってみると展開を無視したオーバーパワーなアイテムだと感じました。今後の調整も検討してみましょう』
そんな一存で決めていいのか?
『なにより君の操縦につい目を奪われて。私自身YF-23相手にどう戦うのか見てみたくなってしまいましてね。開発者としてこのアイテムの問題点に気づけなかったのは反省点ですね』
「あはは……」
「でもみんないい顔になったわね。よかったわね『熱血クン』?」
「んがぁ!」
いつぞや元の世界でつけられた称号を再贈呈されてしまった……
『よっ! 青春大統領!』
『熱血担当大臣!』
周りからの声援も重なる。上げる顔もございません……
「さあて、暗い雰囲気はここまでにして……無事勝利したまりもには懸賞品を贈呈するわ!」
「俺はこの試合で夕呼先生がやってた"策"についても一ゲーマーとして問い詰めたいんですが……」
「……何のことかしら?」
「イエナンデモ」
目を光らせてこちらをにらみつけてくる夕呼先生に、これ以上厄介ごとには巻き込まれたくないと目をそらす。
「えっ? そ、そういうのは無しって……」
「"ご褒美"なのよ? それに次の有明がなくなっただけで次の次にはまた出てもらうわよ?」
「そ、そんなぁ~……」
その場に崩れ落ちるまりもちゃん。夕呼先生、やっぱりあんた鬼だ……
「にしても夕呼先生、負けたのにあんまり悔しそうにしてないと思ったらこういうことだったのか……」
「あら、それだけじゃないわよ?」
「へ?」
「別に初めから絶対勝とうなんて思ってなったもの。剛田に初めから期待なんてしてないしね」
「でも沙霧さんたちを呼んだのは……」
「じゃないとあんたの相手にならないじゃないの。まぁ今回は彩峰と榊が倒したみたいだったけど。二人も大したことなかったのかしらね?」
「は。はぁ……」
やっぱり俺はいくら人生経験を積んでもこの人には勝てないのかもしれない……
熱血武ちゃんでした()
G弾出したのはこれ以上戦闘描写書くと一生投稿できる気がしなかったからです。いわゆるドラゴンボールでいう「ここだと周りを巻き込むから場所を移そうぜ」ってやつです。
ともかくめんどくさいパートは終わったので、投稿頻度は劇的に解消されると思いますので今後ともよろしくお願いします。