マブラヴ  ネオ・オルタードフェイブル   作:等速運動する点P

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喧噪(Re)

「おっす、みんな」

 

「「白銀君!」」

「……白銀」

「武さん!」

「武!」

 

昨日無事退院することができた俺は、本日よりさっそく学校に復帰した。

 

「お見舞いいけなくてごめんね?」

 

「気にすんなってハルー。正味二日しか入院してなかったんだし」

 

結局一昨日しかお見舞いに来るタイミングはなかったので、他のみんなは来れずじまいだったんだとか。

 

「まあしっかし、さすがは御剣財閥だな。もうふさがっちまったよ」

 

俺はシャツをめくって傷跡を見せた。

 

「「「「「「「「……」」」」」」」」

 

「な?……ってみんなどうした?」

 

「……あ、ああ…御剣財閥医療チームで研究されていた最新の再生医療を用いた結果だ」

 

───このとき女子一同は武の鍛え上げられた腹筋に目入っていた。冥夜もはじめはやや上ずった様子で答えた。

 

「?……まあおかげでこうやってもう回復できたわけだから助かったぜ」

 

「伴侶のためです。私といたしましても出し惜しみなど致しませんわ」

 

ニッコリの悠陽。こういう場でもしたたかさを隠す気はないようだ。

 

「あっそういえb『3年B組、白銀武君。至急、生徒指導室まで来てください』……っとそうか」

 

夕呼先生が例の件でなにやらひと悶着あるとか言ってたな。

 

「わりぃ、行ってくるわ。あぁ心配すんな!たぶん事件の詳細とか聞かれるだけだから心配ないって」

 

一言告げて、俺は指導室へと向かった。

 

 

 

 

 

 

「失礼します」

 

「白銀君。まずはそこの席に座りたまえ」

 

ラダビノット学園長に指示されて席に着く。

 

学園長が直接ってことは結構問題になってるのかな? 横にいるのは師岡先生と……ゾエさんか……

 

学園長は言うに及ばず。師岡先生は鬼の生徒指導といわれているが話が分かる人だし………たしかまりもちゃんと夕呼先生の恩師だったはず。

だがゾエさんこと川副は声のでかい体育教師で………この人ははっきり言って初めから決めつけて話を聞かないタイプだ。他にも何人かいるがどれも"良い先生"ではない。粗方夕呼先生に弱みを握られてる連中か。端には当事者のまりもちゃんと夕呼先生。

 

───まあ、弁明のやりようはあるか。

 

「では白銀。お前がなぜ呼び出されたかは分かるか?」

 

「まず聞きたいんですけど、これは事情聴取なのか説教なのかどっちなんでしょうか?」

 

「さっさと質問に答えんか! 白銀!」

 

うるさッ!? 最初からエンジン全開かよッ!?

 

「川副先生。白銀、それについては内容を聞いてから判断する。まずは3日前に何があったかを話してくれ」

 

師岡先生がゾエさんを抑えて問いかける。

 

「分かりました。えーっと……3日前の夜に神宮寺先生と夕呼先生をストーカーからかばって怪我をしたことですね?」

 

『ッ!?』

 

「いや、それともあの時間に女性教諭と男子生徒が外で出歩いてたことですか?」

 

「白銀! お前先生たちを舐めてるのか!」

 

「川副先生」

 

「チッ……」

 

やはりゾエさんは少し突っ走りな部分がある。まぁこの人もやましいことがある人ではないんだが、今この場だと追い風になる要因でしかない。

 

「白銀君。君が神宮寺先生のストーカーに刺されたこと、そしてそのストーカーを撃退したということは警察からも確認が取れているから疑念の余地はない。私としても君の勇敢な行動を誇りに思っている」

 

「ありがとうございます学園長」

 

「だがな、白銀。あの時間帯に女性教師二人と出歩いていたというのはこちらとしても詳細を問わなければならない」

 

「……つまり先生方は、俺が先生二人を連れてあの時間までよろしくやってたとおっしゃりたいんですね?」

 

「白銀!きさm「川副先生。俺は今、3日前に何があったのかを客観的に答えただけなんですよ。その上でこっちは勝手な推論で責め立てられてるんですよ?文句を言われても仕方ないでしょう」……ッ」

 

「別に俺はあのとき二人を送ってただけですよ。いくら大人とはいえ二人も女性なんですから。実際こうして殺傷事件が起きてるわけですし。もしあの場に俺がいなかったら二人とも死んでたかもしれませんよ?」

 

別に俺と夕呼先生とまりもちゃんの間にやましいことなどない。調べたところで残る事実は『ストーカーから女性をかばった勇敢な生徒』だけだ。二人を責めれば白陵の教師の不祥事として取り上げられ、その学校の教師である自らの名も汚す。責めたところで自身の名声に傷がつくのだ。

師岡先生ならここで俺の普段の行いがとか、責任をどう取るつもりかだとかを聞いてくるんだろうが、幸い師岡先生は擁護派。ここでぶり返すような質問はしてこない。

 

結局この後は球技大会が終わった後にみんなと御剣御殿でパーティーをしていたこと。俺が気を失ったあとストーカーは警察に引き渡され、まりもちゃんは事情聴取、夕呼先生は俺の付き添いで病院に向かったことなどを本院を交えて説明した。

 

「……というわけです」

 

「……ありがとう白銀。もう帰っていいぞ」

 

「分かりました。失礼します」

 

おそらくこれ以上二人に責任追及をしてくることはないだろう。二人には厳重注意程度で片が付くはずだ。

 

 

 

 

 

「あっタケルちゃん。……どうだった?」

 

教室に戻ると純夏が心配した様子で聞いてきた。

 

「別にどうもこうもねえって。学校からしたら生徒が事件に巻き込まれたわけだし、それについていろいろ聞きたかっただけだろうよ」

 

実際は日頃の憂さ晴らしだの派閥争いだの、醜い大人のやり取りがあったわけだが。

 

「しっかし大変だね~白銀君も。刺されて入院して、復帰して早々呼び出しなんて」

 

「……そう聞くとなんかおれって忙しいな」

 

ほんと災難続きというのかなんというか……

 

「みんなおはよ~」

 

「あ! 神宮寺先生!」

 

「心配させてごめんね~」

 

1時間目が終わるという時間の頃、まりもちゃんが教室に入ってきた。どうやら処分は軽く済んだようだ。

 

「少し遅くなるけどHR始めるわね~」

 

いつもの様子で授業をはじめるまりもちゃん。そのまま次の時間は英語だったため授業が行われた。

 

 

 

 

 

「よっしゃあ、昼だ昼!」

 

「タケルちゃん!」

「武様!」「タケル!」

 

毎度おなじみお昼の弁当。ただ今日は少し趣向を変えようと思う。

 

「ちょっと待った! 今日は皆で丘の上で食わねえか?」

 

「あっいいねそれ!」

 

「どのような丘なのだ?」

 

「学校の裏のところに丘があってな。そっから町が一望できる知る人ぞ知る穴場スポットなんだよ」

 

「それは興味深いですわね」

 

「……私も見てみたいです」

 

「おっ、霞も行くか?」

 

「……はい」

 

霞とは向こうの世界の丘に入ったことがあったんだよな。あっちは廃墟だったし、こっちの景色も見せてやりたい。

 

「なら茜ちゃんとか先生たちも呼ぼうよ!」

 

純夏の提案で茜も召集することにした。

 

「おーい茜~」

 

「あっ武! どうしたの?」

 

「今からみんなで丘の上で昼ごはん食べようってなったんだけどどうだ?」

 

「みんなと?……分かった! 今行くから待ってて」

 

「おう」

 

茜的には武と二人きりがよかったが、鈍感に期待はしないと早々に諦めた。

 

「あ、茜ちゃん、どこに行くんですか?」

 

「おっ築地もどうだ? 今から学校裏の丘で飯食うんだけど。茜も来るぜ?」

 

「ほ、ほんとですか! 今すぐ準備しきゃだべ!」

 

最後のほうで方言が漏れてたな。ていうか築地の奴、茜がいなかったらどうなるんだろな……

 

「じゃあ先生も呼ぶか、この時間ならまりもちゃんも物理準備室にいるだろ」

 

「なんでそんなこと知ってるの?」

 

「あぁ……それはできれば聞かないでやってくれ。まりもちゃんの尊厳のためだ」

 

「?」

 

日々まりもちゃんが夕呼先生のコスプレ着せ替え人形になっているなんて言えないしな……

 

一同は物理準備室へと向かう。

 

「夕呼先生いますかー?」

 

「あら白銀、どうしたの?」

 

「実は今から丘の上で昼ごはん食べようと思ってるんですけど、一緒にどうですか?」

 

「なに? もしかしてお誘い?」

 

「はい。"みんな"で一緒に食おうって」

 

武の後ろを覗くと、そこにはおんな、オンナ、女。かつてこれほどまでに女子を侍らせた男子生徒がいただろうか。

 

「なんだか腹がたつわね……」

 

「え? 今なんて?」

 

「うるさい! 準備するから待ってなさい!」

 

「は、はい。あ、あとまりもちゃんにも伝えといてください!」

 

なぜ急に怒ったのかは分からなかったがとりあえず夕呼先生の許可は取れた。

 

 

 

 

 

 

「ぜぇはぁ……ぜぇはぁ……」

「……」

 

「夕呼ったらなっさけないわねぇ」

 

「私は……はぁ……アンタと……違って……はぁ……研究職なのよ……」

 

「大丈夫か、霞?」

 

「……大丈夫、じゃないです……」

 

「霞はもう少し体力と筋肉つけないとなぁ……よいしょ!」

 

「……あっ」

 

昼ご飯を食べるため丘を登っていく一同だったが、体力のない夕呼と霞は息も絶え絶えだった。見かねた武は霞をおんぶしたわけだが……

 

「へぇ……社は背負うのに……私のことはどうでもいいんだ?」

 

「立場というもんを考えてくださいよ。10歳ちょいのいたいけな少女と2▲×歳の教師とでどっち背負うかなんて言うまでもないでしょうが」

 

「……ロ〇コン」

 

「違うわ!」

 

「だって? 社。……白銀は……はぁ……アンタに興味は……ないらしいわよ?」

 

「……嫌ですか?」

 

「いや……嫌ってわけじゃ……」

 

こういう聞かれ方してどう答えろってんだ? 嫌といえば霞が悲しむし、嫌じゃないといえばロ〇コン判定? 

クソッ! 詰んでやがる!

 

「夕呼も息切らしながらしょうもないこと言うんじゃないの」

 

「まりも……あんたなんか口悪くない?」

 

「ふふ、日頃のお返しよ」

 

おぉ! 珍しくまりもちゃんが夕呼先生を言い負かしてる!

 

 

 

 

 

「よし、着いた~」

 

一本の立派な木が立つ丘。その下に腰を下ろしてみんなで弁当を広げる。

 

「おっ! 今日の弁当はお肉か」

 

「牛1頭からわずか500g程度しかとれないと言われる最高級部位を使った一品ですわ」

 

「で、純夏のほうは……おぉ、漫画肉!」

 

「えへへ、作るの大変だったんだ~」

 

「同じ肉料理でもまた違った方向性の二品だな。まぁ今回も両方もらうぜ」

 

人生で一度は味わいたい高級肉と、一度は夢見る漫画肉。どちらかを選ぶかなど俺には無理だッ!

 

「相変わらず優柔不断ね~。そのうちどっちからも愛憎尽かされるんじゃないの?」

 

女にはこの二品のすばらしさというのが分からないのか? 優柔不断だのなんだのの話ではないのだ、まったく。

 

「ならその時は夕呼先生がもらってくれます?」

 

「……」

 

あっやべ、調子に乗りすぎたか?

 

「……あんたそれ、意識してやってるの?」

 

「は? 何をですか?」

 

「……はぁ、もういいわ」

 

「?」

 

なんだか夕呼先生の顔が赤い気がするが、年中へそ出しコーデのせいで風邪でも引いたんだろうか?

 

「で? タケルちゃん、感想は?」

 

「っと、近いって純夏」

 

その様子を横で見ていた純夏は面白くないといった表情をして武に迫った。

 

「パサパサっせず油もしっかり乗ってて旨かった。これぞザ・漫画肉って感じだ」

 

「ほんと? よかった~」

 

「タケル、我々の弁当はどうだった?」

 

「あぁ、素材が素材だからな。そこに一流のシェフの手が加われば超一級品だ。文句なしだぜ。それになのより二人の気持ちがこもってるしな」

 

「そ、そうか。そなたに感謝を」

 

 

 

 

 

「そういえば茜、剛田君ってどうなったの?」

 

「剛田?そういえばしばらく学校に来てないなぁ……まあでも知らない、あんなヤツ」

 

「え~? 私は結構お似合いだと思ったんだけどなぁ?」

 

「何馬鹿なこと言ってのよ晴子! 本気でやめてよそういうの!」

 

「あはは、ゴメンゴメン。

───そう簡単にライバルは減らないよねぇ(ボソッ)」

 

「え? なんか言った?」

 

「いや、なんでも?」

 

 

 

 

 

「慧の弁当っていつみても焼きそばよね」

 

「……焼きそばは三文の徳」

 

「相変わらず飽きないわね……」

 

「……でもやっぱり千鶴の焼きそばが一番おいしい。また機会があれば作って」

 

「……分かったわ」

 

 

 

 

 

「美琴ちゃん、それは何ですか?」

 

「あーこれはさっき道中で拾ったキノコだよ。あっちなみにそういうキノコって毒キノコなことが多いから専門識がない人は……」

 

「ふにゃぁぁぁ……」

 

 

 

 

 

「おーい霞。……どうだこの景色?」

 

「……武さんの記憶で見たことはありますが、実際に見てみると違います」

 

「だろ? やっぱりこういうのは本物に限るぜ」

 

「……はい」

 

一生見せられないと思ってたこの景色を霞に見せることができたのは本当に良かった。

 

「そういえば! 海に行ったことないんだったよな?」

 

「……はい。まだ行ったことはないです」

 

「向こうじゃ結局いけなかったしな……今度一緒に見に行くか?」

 

「……はい!」

 

よし、今度みんなの都合があったら海辺の報に行ってみよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふう、美味かった。午後の授業も頑張るとしますかね……ん?」

 

みんなも食べ終わって校舎に戻ろうというとき、木の根元に何やら文字が彫ってあることに気づいた。

 

「んーなになに……『たかゆき❤まなみ』?いや、『たかゆき』の上をよく見たらバッテンが書いてる?」

 

たかゆきってどっかで……

 

「あっ!『たかゆき』って鳴海さんか!」

 

「あら、鳴海もここにきてたのかしら」

 

「夕呼先生?」

 

「横に書いてる『まなみ』ってのが鳴海の彼女よ。……まあそれで鳴海の奴もおかしくなってったんだけど」

 

「……」

 

受け継いだ記憶がそれを否定しなかった。

 

「……おっふ」

 

願わくば貴君の挺身が、メ〇ヘラに付きまとわれる男なき世の礎とならんことを──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




孝之good lack!
ひとまず区切りということで1章終了です。
2章は多分旅行編かリゾート編になると思います。TEキャラとかその辺も出していくつもりなのでしばしお待ちを。

──次回は過去編です()
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