元過労暗殺者、平和だが平和じゃない世界へとやってきた 作:シャオロウェをすこれ
それと、皆さん良いお年を!
「おはよ~......あれ、先生は?」
アビドスに行き、することもないのでとりあえず対策委員会の教室に行くと、そこにはなぜかノノミさんに膝枕されてるホシノさんがいた。
二人とも先生がいないことに疑問を持っている様子で、やはり私一人だと違和感があるのだろう。そりゃそうだとしか言いようがいないか。
私の与えられた目的を知っているなら、その護衛主がいないのは不自然だからな。
「先生は......今はホテルでお休みなさっています。体調が優れないようで。」
「ありゃ、そりゃ~大変だね。おじさん心配になっちゃうよ。」
「今日はせっかく久しぶりにのんびりできる日だと思ったんですけど~....先生がいないのは、残念ですね。」
......なんだか申し訳なくなってくるな。みんな先生のことを大事に思っているし、その先生が休む原因を作った私が少し気まずくなってきた。
さて、先生がいない今私は何をしようか。刀の整備はまだ大丈夫だろうし......あ、そうだ。手袋のメンテナンスをしないと。
前に点かなくなって少し、時間もなかったから仮メンテナンスで済ませていたが......ちょうどいいし、一度掃除するか。
火を使う都合上、どうしても隙間に煤が溜まりやすいからな。こうして定期的に取り除くことで、発火の効率を向上させられる。
指先から炎を出してみる.....お、目に見えて火力が強くなったな。
さて、ホシノさんはサボりに行くとか言ってどこかにいってしまったが.....ノノミさんと話でもしようか。
話題は.....おじさんおじさん言っててなんか気になるホシノさんにしようかな。どうしてそんなこと言ってるか聞いてみたい。
「ホシノさんって、昔はどんな感じだったんですか?」
「ホシノ先輩ですか?そうですね.....今はあんなに寝ぼけている感じですが、昔であった頃のホシノ先輩は......何かに追われているような感じでした。」
「何か?」
「私にも詳しくは分かりませんが.....なんというか、ありとあらゆることに追われていたというか。」
......追い詰められていたという事だろうか?精神状態的に何かがあると、そうなることは分かるが。
私もそうだったしな。セルマのクソ野郎が......思い出すだけで腹が立ってきたな。
「聞いた話ですが、以前とある先輩がいたそうで......アビドス最後の生徒会長だったらしいんですが、とても頼りない人で......その人がここを去ってからはホシノ先輩が全てを引き受けることになったと.....」
......なるほど。それは......またなんとも分かるような話かもしれない。
一度似たようなことはあった。ユジン部長が珍しく任務でしくじってそん時の原因であるなんかの粉を吸って一週間くらい体調不良を起こして、その間シ協会2課が冗談抜きで火の車になった。
一応私が部長代理として指揮を執っていたが、そんなときに限っておびただしい量の書類仕事に追われて依頼も入ってくると地獄絵図になったな......懐かしい。
さて、いい話も聞けたところだし......私は剣技の練習でもしてこようかな。
先生はああは言っていたが、結局こんな銃弾飛び交う世界で生き抜くためには護衛のための術は常に強化しておく必要がある。
ユジン部長は.....悔しいが、今この世界にはいない。自分だけの剣技を探し出さないと。あれだけじゃ足りないんだ。
今日は刀身に炎を纏わせて練習してみよう。ユジン部長の刀、使って分かったが剛性とそもそもの素材が素晴らしい。炎程度じゃビクともしないだろう。
よし、行く____へ!?
「爆発!?」
「え?でも....」
その音が聞こえてきた瞬間、慌ててアヤネさんとシロコさんが部屋に入ってくる。アヤネさんの手には端末が握られていて、しばらくの分析音の後、
「前方、半径10km以内にて爆発を検知!近いです!」
「10kmってことは....市街地?まさか襲撃!?」
........不味いな。そんな近くにもう敵が迫ってきているのか?
だったらすぐにでも迎撃をしないと。前にヘルメット団の拠点を叩きのめして、便利屋も撃退したのに、よくもまぁ懲りないものだ。
だがもう出撃準備は完了している。さっさと行こう。いや、その前に、この爆発の正確な場所を知りたいな。
「どこからです?」
「これは.....柴関ラーメン!?柴関ラーメンが粉々になってしまいました!」
「えぇ.....?」
な、なんで柴関ラーメンを?なにか襲撃する要素あったか?近くに重要な交通網がある訳ではないし、かといって補給の要でもないし.....
「まさか私を狙って.....?」
「あ、なるほど。その可能性はありますね。」
「憶測は後からでも遅くない。早く手を打たないと!」
シロコさんの言う通りか。おそらくセリカさんの予想が的中しているが、そんなことを考えている場合ではない。
いつも通り窓から飛び降りて、一歩でも早く目標地点に到着しないとな。被害が大きくなる前に鎮圧しないと。
先生がいないが.......何とかなるだろう。個々の実力は素晴らしいものだしな。
現場に着くと、そこには爆発の影響で起きた煙がもくもくと立ち上っていた。
確かにそこにあったはずの柴関ラーメンはもはや跡地も分からない程度に粉々になってしまっていて、周囲の建物をそれに応じた被害を受けている。
誰だこんなことをした馬鹿野郎は?本当に何でここを爆発させたんだ?
.......と思ったが、犯人っぽいのがいるな。
ため息が出そうだ。前にここを襲撃して、もう無理だということは分かったと思ったんだがな.....
「便利屋の方ですか。また来て、今度はお世話になった柴関を爆破とは.......」
「あんたたち.....!!よくもこんなひどいことを.....!!」
「......」
セリカさんとシロコさんも怒り心頭のようだ。アヤネさんから、あの犬の大将は無事だという報告をされて、セリカさんは立ったらもう大暴れしてもいいなと完全に戦闘モードに入っている。
かくいう私ももう既に刀を抜いて戦闘態勢だ。相手ももう社長以外は銃を構えている。というか、なんとなくだがこれ多分社長はその気はなかったっぽいな?
視線と構えからして、おそらくあの紫髪のハルカとムツキとやらが吹っ掛けた感じだろうか。なら少しお灸を据えてやる必要があるかな?
「さて.....こんなことをやられてしまっては、私たちも相応の対応をしなければなりませんね。」
「あんたたち、許さない。ぜーったいに許さない.....!」
「......ちょっとタイミングはずれちゃったけど、どうせいつかは白黒つけなきゃいけない相手だし。確保しておいた傭兵をこっちへ呼ぶ。」
「させない。」
手に取られた端末を斬る。これ以上余計なことをされては困るからな。
一瞬にして近づいたからか少し驚いているが、もうここを爆破した時点で宣戦布告したって訳だからな。先手必勝、油断している隙に攻撃を仕掛ける!
「!また.....!今度は手玉に取られない。」
しかし相手も前回の戦いから学びを得ているようで、私が斬りかかろうとした瞬間即座にカバーを入れて後方に下がっていく。
出し惜しみなく爆弾を使われている影響で、無理に近づこうとすればおそらく問答無用で爆死するだろう。
特にあの爆弾カバンは厄介だ。爆弾が複数個詰められているから異様に火力が高い。近接戦をメインとする私とは極端に相性が悪いだろう。
でも、仲間を頼れば......!
「ノノミさん!援護射撃をお願いします!私ごと撃って構わないので!」
「え!?りょ、了解しました!」
後ろから濃密な弾幕が飛んでくる。姿勢を低くして一気に跳躍し、弾幕のその上の軌道を駆け抜ける。
遠ざけられても、もう一度近付けばいい....!この距離なら、そのお得意の爆弾は使えないだろ!
「しまっ....!?」
拳銃を奪い取って、適当にアビドス側へと投げつけておく。そしてそのまま奪われて動揺している隙に攻撃を叩き込み、一人無力化。
そしてブラックマーケットでも似たようなことをやったが、今回もそれをやろう。社長を踏み台に、爆弾カバンを奪わせてもらおうか!
「うぅ!?ハルカちゃん、ちょっとこっちお願い!」
「社長を踏み台にした挙句にムツキ室長まで....!!許さない許さない許さない!」
しかし連携が強固なのか、後方から即座にショットガンの散弾が飛んでくる。
これでは無理だな......しょうがない、腹を蹴り飛ばして時間稼ぎするか.....あ、待った____
「痛ったあ!?よく」「覚悟できてるんでしょうね?」
「え?」
蹴り飛ばした先にはセリカさんが怒りを存分に含んだ笑みで構えており、そこに突っ込む形で飛び込んだムツキさんはセリカさんの拳がもろに顔面に的中する形で吹っ飛んだ。
.......なんかキレたテンマに通じるものを感じるな。怒らせないでおこうか.....あの人は。
「はぁ.....はぁ....こいつら......!」
「なんで......こんな....しぶと....」
後ろでは社長が肩で息をしながらよろけている。
まぁ、どう考えても一度数的優勢な状態で負けているんだから、数が互角なら負けるわけがないというか。
よし、そろそろ捕縛して撤退を_____!?
「さらに爆発だと!?」
「これは.....!」
便利屋の各々も想定外の事が起きているようだ。なんだ?別勢力の襲撃か?
はぁ.....敵の敵は味方というが、今回その味方は便利屋になりそうだな。ちょっとだけ協力関係を結ぶべきか?
「おい、これを。」
「!私の銃.....ありがとう。」
先ほど投げ飛ばした銃を拾って渡す。今は一人でも戦力が欲しい。
便利屋もアビドスのみんなには及ばないまでも個々の実力はそこらの有象無象よりもよっぽど高い。味方なら頼りになるはずだ。
『砲撃です!3kmの距離に多数の擲弾兵を確認!』
あぁ、案の定か.....火力投射部隊が遠距離にいると、こちらとしてはやりづらいことこの上ないんだよな。
距離を詰めるまで時間がかかるから.....ノーガードって訳でもないだろうし。参ったな.....
アヤネさん曰く、所属はゲヘナ.....?の風紀委員会というらしいが.....実力が分からないな、なにせ初耳だしな....
しかししょうがあるまい、敵は敵だ。やらなければやられるだけだ。行くか......
日の光一つも射さない暗い部屋で、普通の人間とは違う異形の姿をした二人が話し合っている。
一人は薄暗い場所にに生きているならおそらく知っているであろう人物、カイザーPMC理事。
そしてもう一人は、頭部に鹿の角のようなものを生やし、手元に謎の杖のようなものを携え、トナカイのような大きな仮面を被った人物。
そんな知らない人が見たら頭上に?を浮かべそうな光景が、どこかとも分からない場所で繰り広げられていた。
「初めましてだな、『D.D』......今回は依頼を頼みたい。」
「......要件を。」
「アビドス高等学校に視察に向かっているシャーレの先生、およびそれの付添人である刀使いの女の捕縛を頼みたい。金は弾むが、どうだ?」
そう持ち掛けられた女性はしばらく悩んだ末、杖を手に取り、表情は見えないが面の下で了承の合図を出した。
「いい結果を期待しているぞ。」
そういって理事は薄暗い部屋から立ち去った。前金と言わんばかりに、札束を一つ置いて行って。
女は被っていた覆面を脱ぐと、すこし苦渋の表情を見せ、同じように部屋から立ち去った。
「......誰も、私のことを知らない......」
.....彼女の容姿は、仮面で見えていなかったがロングヘア―で緑がかった薄い青色をしていた。そして、仮面で隠れていて分からなかったが、彼女のヘイローは.....
数年前に死亡したはずの、ある人物と酷似していた。
おや?なんだか不穏な空気が漂ってきたぞ?
何か見たい話はありますか?
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