元過労暗殺者、平和だが平和じゃない世界へとやってきた   作:シャオロウェをすこれ

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 は.....カイザーPMCということか.....そう簡単にはいかないか.....


元過労暗殺者、カイザーと接敵す

「ここがアビドス砂漠.....」

 

 電車に乗ってアビドスのみんなと一緒にやってきた場所は、どこまでも続くのではないかと勘違いするほど広大な砂漠。

元々ここに来ることは昨日決めていたそうだが、先生が私のお見舞いをするためだけに一日日付をずらしただそうだ。

はぁ、なんだか申し訳なくなってきた。別に気にしなくていいのに......

 

 にしたってトナカイチームがまさかここに来ているとは......私はいいが、もし生徒の人や先生があの攻撃を食らったら......ただどころでは済まないだろう。

一応実体を纏っている攻撃だから弾けないことはないが、攻撃が命中した時点でほぼほぼ致命傷が避けられないというのはかなり面倒だろう。

しかも鞭のような攻撃だから避けても再びやってくるというのがさらに難易度を上げている。特にホシノさんとかの盾持ちで動きが鈍くなっている人には弱点も弱点もいいとこだ。

 

 道中襲い来るヘルメット団を適当にあしらいつつ、それについて思考を重ねていく。

もしここにいるのがあのあらゆる武器を使うトナカイなら、それ以外の対策も考えないと。

ウサギのナイフを使ってくるなら、接近戦に持ち込んだ際の咄嗟の奇襲に気を付けなければならないし、サイの大槌を使ってくるなら、あの圧倒的破壊力と長いリーチに気を付けなければならない。

 

 どっちみちいえるのは、一つ二つの選択肢程度しか取れない私にとって、かなり相性の悪い敵になるだろうということだ。

 

「ここから先が、捨てられた砂漠.....」

 

「砂だらけの市街地に行ったことはありましたが、ここから先は私も初めてです.....」

 

「いや~久しぶりだねこの景色も。」

 

 お、ホシノさんは何か知っているようだ。

聞けば、前に生徒会の仕事で何度か訪れたことがあるらしい。あれ、でも生徒会はもうなくなったとか聞いたが.....その時はまだあっただけか。

ホシノさん曰く、この先を進めばかつて砂祭りとやらが行われていたオアシスがあったらしいが.....正直こんな乾ききった砂漠にそんなものがあったとは信じられない。

 

 とはいっても、ホシノさんのころにはとうに乾ききってしまったらしく、本人も見たことはないらしい。

砂祭りがどんなものかは知らないが、かなり人気があったらしい。砂でも掛け合うのかね?エンケファリンを掛け合う馬鹿祭りなら聞いたことはあるが。生還者はいなかったらしいがな。

 

 さて、目的地まではもう少し時間が掛かるらしい。

というかさっきから思うが、随分ロボが多いな......?こっちとしては手加減抜きで普通に斬れるから楽な部類ではあるんだが。

 

「随分機械が多いですね.......」

 

「ふむ、ドローンにオートマタかぁ.....」

 

「なんでか、この辺りこういうのがよく集まるんだよね。」

 

 どうやらこの土地特有の性質らしい。........いや、絶対何かあるだろう。

そんな磁石が鉄にくっつくみたいに攻撃的なロボがここばかりを徘徊するわけがない。何か裏があるはずだ。

 

『.....っ!?みなさん、前方に何かあります!』

 

『砂埃で、まだはっきりと姿が見えないのですが.......!』

 

その言葉に応じて、感覚を済ませてみる。

.......やかましいな。何かの作業をしているかのようだ。それに人がかなり大量にいる気配を感じる。

しかしどれもこれもごちゃごちゃとした気配.......義体装着者とはいかないまでも、それに準ずるものの気配を感じる。

あと一つ、完全なるロボの気配があるが.......嫌な雰囲気だな。見つけ次第斬ってしまおう。

 

『巨大な街....いや、工場?あるいは駐屯地?と、とにかくもすごい大きな施設のようなものが.....』

 

「......こんなところに施設?何かの見間違いじゃなくて?」

 

「いえ、かなり多い気配がします......間違いはないでしょう。」

 

「ふ~む、参ったねぇ......」

 

 こんな砂漠の奥に作られた場所だ、きっと碌なものではないだろう......

私が前にした予想が当たってるなら、カイザーがまた何かやってるんじゃないかと思うんだが......どうだろうか。

とりあえずはアヤネさんの言葉に従って、肉眼で目視できる距離まで進んでみよう。そこまで行けば分かるはずだ。

 

 

 

 

 

 

「.......これは。」

 

「なにこれ......」

 

 そうして少しの道のりを歩いて見たのは、本当に巨大な何かの施設だった。

施設への侵入を防ぐための有刺鉄線が途方もない長さをしていて、あちこちに障壁がある。

本当に軍事基地のような感じだが......こんな巨大な施設が、あんな砂漠のど真ん中にあったとはな。

 

「こんなの、昔はなかった......」

 

「でしょ.....!?避けて!」

 

 私が警告した次の瞬間、あちこちから銃撃が飛んでくる。バレてたか......

銃弾が飛んできた方向を見てみれば、そこには迷彩柄の銃持ちの敵が多数。ほぅ.....でもロボなら対処は楽だな。

背中から刀を取り出す。みんなももう戦闘態勢だ。

 

「あちらから撃ってきたんですから、やり返してやらないと。全部破壊する勢いで行きましょうか。」

 

「お~、シグレさんもそんな意気込んでるし~。じゃあ、こっちも派手にいこっか~!」

 

 まずは高台の敵から始末しよう。高所をとられているだけで面倒くさいのは過去に何度も対峙して分かってる。

今回は相手がロボだから、一切の手加減をしなくていいのが楽だなぁ.....!

 

 手元の銃を蹴り飛ばして体制を崩した後、首を握力に任せて捥ぐ。

そして肉盾代わりに胴体部を掴んで弾丸を防ぎつつ、用済みになったロボを投げ捨てて別の敵に斬りかかる。

 

 バチバチとした音と共に電気がショートしたのか光が迸るのを確認。うん、これなら火を点けて盛大な爆発をお見舞いできるな。

 

「お届け物ですよ!」

 

『B-3が飛んできた!?』

 

 引火した回線とともにロボットを投げつけると、飛んで行った数秒後には火花をまき散らして爆発四散していった。

よし、即席で思いついた戦い方だが案外うまくいくな。でもまだいる.....

 

 私の方にいた敵はとっくに排除したし、早くあちらの援護に行こう。

折角だし、今日練習した鉄山靠でもやってみようかな。あまり命中精度が高くないから、近づくのは容易だし。

迫りくる弾丸を弾きつつ、時には弾丸自体を反撃手段として返しつつ接近する。

 

 そして刀を......抜かない。加速した肉体任せに、思いっきり突撃する。最大火力で手袋を発火させて、重い質量を伴った体当たりを仕掛ける!

肩に当たる硬い感触と共に、人間一人分の質量が思いっきり直撃したロボットは黒煙を吹き出しながら空中で爆ぜた。吹き飛ぶ最中に仲間を道連れにして。

はぁ......火は綺麗だが汚い花火だな。

 

 そして下にいる敵だが......妙にデカいな。サイチームみたいな大きさだが......こっちは見ていないし対処は楽そうだな?

高台から飛び降りて、おそらく弱点であろう頭部へと思いっきり刀を突き刺す。

さっきから私が乗った途端ジタバタしやがって.....足場が揺れてかなり怖いんだからジッとしてろ!

 

 一回、二回、三回......何度も何度も執拗に突き刺し、最後は力強く蹴り飛ばして倒れさせる。

見ると、あったはずの頭部は既に穴ぼこになっていて煙を吐き出していた。正直どれくらいで機能停止するか分からなかったから刺しまくったが、これなら4撃目くらいで足りたな.......

 

「ふぅ~、うへ~、結局何なのコイツら?」

 

「そんな強くないけど邪魔って言うか、面倒くさいって言うか.....なんか、今まで戦ってきたやつらの中でもひと際『厄介』って感じ。」

 

「何なのでしょう、この方達は.....それにこんなところで、一体何をしているのでしょうか?」

 

 ノノミさんの言う通り、こんな辺鄙な土地で何をしているのか皆目見当もつかない。

何かを探しているんだろうが.......こんな砂漠に大規模基地まで作ってまで探すものってなんだ?

 

『施設に、何らかのマークを発見しました!』

 

 .......マーク。そうか、マークか。マークを見つければ所属が分かるなって......あ~.....これは......

 

『......確認が取れました。このマーク、この集団は......』

 

「カイザーPMC.....」

 

 はぁ.......想定していた考えが当たってしまったか。

しかもPMCとは、想像以上に不味いところに私たちは喧嘩を売っていたのかもしれない。

もっとも、同じPMCとはいえR社とは練度に差があるどころの話じゃないが.......しかし参ったな。

もしここがあのトナカイを囲い込んでいたら......いや、今は最悪の事態は考えないでおこう。

 

 ノノミさんやセリカさんも動揺しているようだ。当然だろうな......自身のお膝元にこんな巨大な敵がいたんだし、その敵の大きさも知ってしまったから。

さて、こうなった以上どうすべきか......!?

 

「警報音.....!?侵入に気づかれたか......」

 

「これ、なんだか大事になりそうな予感なんだけど......」

 

 辺りから続々と重々しい音が響いてくる。ヘリのローター音だとか、戦車が地面を揺らす音だとか......本格的に不味くなってきたな。

 

『大規模な兵力が接近中!こちらを包囲しに来ています!ものすごい数です!』

 

『包囲が完成する前に離脱してください!まずは急いで、その場から脱出を.....!』

 

「.....どうにも、そう簡単にはいかなさそうですね。」

 

 目の前のゲートからは続々と機械化された敵たちがでてくる。

ゴリラのような盾持ちのロボットだとか、爆発兵器を背負った兵士だとか、奥にはブルドーザーのようなものが装着された戦車まで。

......随分、骨が折れそうだな.....やるしかないな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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