元過労暗殺者、平和だが平和じゃない世界へとやってきた 作:シャオロウェをすこれ
あ、あと匿名設定解除しました。
「はぁ.....はぁ.....」
「.....ふぅ。」
「キリがないですね、これは......」
あれから少しして。
襲い来るロボットや兵士などを捌き続けていたが、みんなの声色には段々と疲弊の色が見えてきていた。
私はまだ平気.....ではなく、負傷した影響か体が少し鈍っていて疲れがある。
既に刀はロボットのオイルでまみれ、手袋は油で引火して常に発火状態だ。だがなぜかは分からないが、倒せば倒すほど力が湧き上がってくる気がする。まだいける、いけるけど.....私一人だけじゃな。
疲れて休みたそうなみんなを置いて、またPMCの兵士共は出現してくる。
何度斬っても、何度殴っても、何度蹴り飛ばしても無限に湧いて出てくる様はまるであの茶色い虫を想像するレベルだ。
しつこいぞ、いい加減......!
.......?待て、この気配は......あの来るときに感じた邪悪な気配だ。
こいつはここで仕留めるべきだ......逃がしてはならないだろうな。セルマみたいな......とても嫌な......
「.....殺す!」
「えっ!?シグレ!?」
「ほぅ....侵入者とは聞いていたが、まさかアビド_____!?」
こいつか。恰幅のいい黒と赤を基調にしたスーツを着たロボットに向かって、思いっきり斬りかかる。
素早い速度を以てして敵を切り裂く閃撃の構えで行ったその刃は確かに体に届き、相手を十文字に斬り裂__________かなかった。
「.....!?お前は......!」
確実に届くはずだった刃は、どこからともなく現れた巨大な槌によって防がれた。
......恐れていた事態だ。なんてこった.....!
「ハハハ.....残念だな、刀使い.....後は頼んだぞ、D.D。」
目の前のトナカイは、私に向かって大槌を構えながら肯定の意を示すかのように首を下げる。
あのロボは後ろに下がっていってしまったが、まぁあいつはいい。自衛能力は低いようだから、いつでも仕留めに行ける。
そんなことより、目の前のこいつだよ......!
「な、なんでトナカイが!?」
「先生、こいつは危険です。今すぐみんなを避難させてください。私だけでやります。」
すぐさま先生へ警告する。情報通り、本当に大槌に杖を持ってるんだな.....厄介だ。
とりあえず大振りの槌の攻撃は読みやすいから、気を付けるべきは接近して攻撃してくるであろうナイフと防御貫通の杖か。
あちら側もそこは分かっているのか、気づけば外野はみんないなくなっている。今ここにいるのは、私と先生達だけだ。
......先生達?
「下がらないんですか?」
「当然だよ。あれが危険なのはわかってるけど、それを差し置いてでもシグレは私の守るべき生徒だから。」
「そうです☆!仲間を置いて逃げるなんてできません!」
「そうよ!ここまできたら最後までやってやろうじゃない!」
......私はよき仲間を持ったな。会ってからあまり日付も経っていないというのに、こうも信用を預けてくれるとは。
ならば私も応えないと、死んでもこの人たちだけは守らないとな.....!
「皆さん!こいつの持つ杖に気を付けてください!あれは防御を貫通して精神攻撃を仕掛けてきます!」
そう言いながら再びトナカイへと斬りかかる。今度は当てて見せると、速度でなく正確性を重視して極剣の構えで攻撃する。
が、懐から取り出したであろうナイフで受け止められてしまう。そして少しの硬直の間に、上からは槌が降ってきていた。
クソッ、中々手ごわいな.....まず一つの武装を無力化しないと。
「うへ、シグレさんがあんな頑張ってるんだからおじさんも頑張らないわけにはいかないな~。」
後方から散弾の援護が飛んでくる。不味い、ホシノさんがおそらくあれと一番相性が悪い人だ。
ご自慢の盾も貫通してあの攻撃は飛んでくるし、ショットガンを使っている都合上どうしても接近しなきゃいけない。
そんなヘマを打つことはないと思うが、盾ごと槌で殴られても不味いだろう。ホシノさんを守るように動いた方がいいか?
「チィッ!」
マジか、銃まで使うのかよ.....!いや、サイの大槌にウサギのナイフまで使うならまさかとは思ったが使えるか.....!
しかも散弾か.....!本当に面倒なことをしてくれる!どこからともなく取り出したと思ったら急に撃ってくるんだもんな!
だがそんな条件を乗り越えてでもとにもかくにも私は接近しないと始まらない。どうにかして近付かないと.......!
!待った、あの構えはまさか.....!
「例の精神攻撃が来ます!避けて!」
しばしの溜めの後、黄色い光線のようなものが身をしならせてこちらへ向かってくる。
あれに当たると.......当たったやつがほとんど廃人になっているから詳しいことは分からないがとにかく精神が不味いことになる。絶対に避けないと。
でもこれ、鞭みたいにしなってるから上下に動いても避けづらい......!
「な、なにこれ!?足に絡みついて.....!あっ!?うあぁぁぁぁぁ!?」
「セリカさん!クソッ、斬れてくれ!」
斬ってみると、まるでゴムのような感触と共にそこから鞭が斬れた。しかしながら鞭は再び伸びて、再度私たちの元へ向かおうとしてきた。
肝心のセリカさんの様子は顔も真っ青で地面にへたりこんでしまっている。ダメだ、これは戦闘復帰不可能だ。早急に離脱させないと.......いや、そんなことをしている暇はない、とにかくあれをやらないと。
自身の前方に迫ってくる鞭を斬りつつ、また再び接近する。よし、これならある程度は近づけ.....!?
......嘘だろ、鞭が二つに別れやがった!?
「しまっ....!」
速度が出ていて回避する暇もなく、鞭は私の首へと一直線に絡みついてきた。
やばい、早くこれを外さないと......あぁ、苦しい、息ができない.....!マジで速くしないと......!
「らぁぁ!!」
息も絶え絶えになりながら、どうにか首に引っかかていた鞭を斬る。
何故かは分からないが、精神攻撃を食らわなかっただけ御の字だと考えておこう。というかこの攻撃を食らってからなんだかマントが熱を帯びているが......考えるのは後だ。
にしても、あのトナカイ素早いな......!さっきから的確に命中するであろう銃弾ばかり避けている。
R社特製のスーツのお陰で何発かは銃弾を弾いているようだし、やっぱ致命傷を与えるには接近するしかないか......!
というか、トナカイの杖は長く使い続けると使用者を蝕むと聞いたことがあるが........なんであいつはそんなことお構いなしに撃てているんだ!?
あんなに撃ち続けていた死ぬ.....とはいかないまでも精神が崩壊するんじゃないのか......?
.....いや、今は相手の心配をしてる場合じゃないから......落ち着け、大丈夫。
相手は今鞭を打つのに夢中になっているし、その隙に何とか、裏から近づけないか試してみるか.......いや、やらないと終わりだ。
現状先生たちは慣れない兵器の対策に手間取っているし、あの精神攻撃は一度食らったら私以外はお終いだ。セリカさんのあの様子を見ればわかる。
一番槍を担当して、活路を切り開くのは......私の役目だ!
先ほどは防がれたが、今度は確実に斬る。飛剣の流れで敵へ急接近して、目指すはあの不気味なトナカイの仮面だ。
鞭は搔い潜れている、槌は避ければいい、ナイフより長いリーチを用いて一撃で倒す!
「.....!やっぱそう来るよなぁ.....!」
しかし攻撃が命中すると判断した次の瞬間には、鞭の展開が止み代わりに鍔迫り合いするかのように杖を前面に押し出してきた。
先端から黄色い光がビチビチと鳴っていて、構えをずらしたら速攻で鞭が飛んできそうだ。仮面の下で表情は見えないが、今頃どんな表情をしているかが気になるところだ。
こんな膠着状態の現状を打破するには手段は一つしかない。それすなわち相手の意表を突くことだ!
しのぎ合っていた刀から一瞬だけ力を抜き、お互いの体制が少しずれる。相手が前方に崩れたその隙に、脇腹に蹴りを一発入れ込む!
『!』
「さぁ!その仮面の下を吐き出してもらおうか!」
お互いの武器が手元から離れ、取っ組み合いのような状態になる。
かなり力は強いけど......ユジン部長よりは楽だな!顎下ががら空きだぞトナカイさんよ!
力を込めて顎下を思いっきり殴打する。ガゴン、という音と共に少しだけ仮面がずれたが......まだ脱がすには至らないようだ。
互いに一度、姿勢をリセットする為に距離が離れる。相手は銃を、こっちは再び燃えたぎる刀を手にとる。
こっからまた接近するまでに骨が折れるな.....なんせ遠距離攻撃手段が.....いや、そういう時にこそ仲間を頼ればいいか。
「誰か!誰でもいいので援護射撃をお願いします!」
「ん、了解。」
後方からシロコさんの射撃が飛んでくる。放たれた弾丸は何発か弾かれたり避けられたりしてしまっているが、それで全然構わない。
私が欲しいのは、その一瞬のタイミングだからな!私から関心が外れる、その瞬間を待っていたんだ!
「捉えたっ!!」
殺剣の構えで放った一撃は、銃弾を避けるのに夢中になっていたトナカイの身体を確かに捉え_________なかった。
が、その直前でいなされた攻撃は胴体を切り裂くことはなかったものの、顔を隠していた仮面を真っ二つに割ることは出来た。
「.....女だったんだな。」
仮面の先には、淡い青色の髪色をした女。ただしなぜかヘイローが頭の上にある。
都市にヘイロー持ちなんて聞いたことがない....しかもトナカイという翼の一種に所属している人物ならすぐに情報は伝わるはずなのに。どういうことだ?
相手は仮面を斬られた瞬間から、地面に手を付けて口を抑えている。まるで何かを恐れているかのように、落ちた杖も拾わず座り込んでいる。
......先生は悲しむだろうが、ここで殺しておかないと。こいつはここに居ていい存在じゃない。
「死ね。」
「ユメ.......先輩?」
......?
後ろから来た突然の声に振り向くと、そこにはありえないことを見ているかのような表情をしているホシノさんがいた。
ショットガンを落とし、いつも持っていた盾も地に付けて呆然としている。知っているのだろうか?
「ホシノさん?」
「嘘、なんで生きて.....確かに....でも......」
なにかぶつぶつと呟きながら、ふらふらとした足取りでしゃがみこんでいるトナカイに近づくホシノさん。
どうやらなにか二人の間には関係があるらしい.....先輩と言っていたし、過去のアビドスの卒業生とか?でもなんでトナカイを.....
「あぁ......!よかった.....!生きてたんだ......!」
「ユメ先輩.....!どうしてカイザーと手を組んでいたのか分かりませんが早く帰りましょう!あんなやつらと一緒に居る必要は.......」
涙を流しながら、ゆっくりとユメ先輩とやらに近づくホシノさん。
いや、それがまだユメ先輩....なのか分からない以上、ちょっと待った方が.....
「ホシノさん、少し下がった方が......」
「本当に良かった....!また会えるなん」『黙って。』
『どうせ私の事なんて覚えていないんでしょ。』
「え.....?」
その言葉を皮切りに、目の前のユメ先輩?トナカイ?から黒いもやのようなものが出てくる。
見ただけで分かる、あれは不味いぞ.......早くホシノさんを離れさせないと。
「ホシノさん、離れて!」
「え.....なんで?私の事を......」
『今までもそうだった!私に張られたレッテルは私のものじゃなくて、ユメという名の他人のものだった!』
『この身体も!声も!髪も!身分も!全部私に似た誰かのものだった!』
『もう誰も本当の私を知らない!覚えてすらいない!』
『それ以上私に幻覚を見せるな!もうユメはいないんだよ!』
目の前の人が変貌していく。それはもはや人ではなく化け物のような姿へと形を変えていき、声ももはやただの咆哮のようなものへとなって行っている。
これは......ねじれ現象か。なんだってこんなことになってしまったんだ......!?
「ぁ......?」
「ホシノさん!クソッ、とりあえず離れますよ!」
地面に座りこんでは一歩も動こうとせず呆然としているホシノさんを抱えて離れる。
あれの近くに居たら間違いなくいい影響は起こらない、とりあえず離れないと不味い......!
って、なんじゃこりゃ!?
「白い.....壁!?」
「あちこちに構築されて.....これは、モザイクのかかったモノクロ映像......?」
気づけば私たちは謎の化け物の領域のようなものに閉じ込められてしまった。
図書館と似ている......が、おそらく似て非なるものだろう。しかしこれはとんでもないことになってしまったな.....どうすればいいか。
とりあえずホシノさんを......待て、様子がおかしい。どうしたんだ?
「そんな......待って、忘れちゃいけない大切な記憶なのに.....思い出せない、思い出せない、思い出せない.....!」
「いやだ!忘れたくない!思い出さないと思い出さないと思いださないと思い出さないと思い出さないと思い出さないと思い出さないと思いださないと思い出さないと思いださないと思い出さないと思いださないと思い出さないと思いださないと思い出さないと思いださないと......!」
「誰?誰を求めていたんだっけ?どんなことをしてくれたんだっけ?何をしたんだっけ?姿は?形は?贈り物は?なに?一体なに.....!?」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁ!!!!思い出せない!一体どうして!?何で思い出せないの!?大切な記憶なのに!どうして!」
........やばいな。これは........
目の前の怪物は待ってはくれない。もう今にもこちらに攻撃してきそうな勢いだ。
この様子を見るにホシノさんは戦闘なんて到底不可能だ、どうにかして庇いつつ戦っていかないと.....!
「先生!指揮をお願いします!」
「.....!あ、うん!分かったシグレ!」
最悪、死ぬかもな.......これは。
過去おじとユメ先輩のようななにかです。どうでした?
何か見たい話はありますか?
-
剣楔アリス
-
W社ウタハ
-
ディエーチ協会ウイ
-
リクエスト......?