元過労暗殺者、平和だが平和じゃない世界へとやってきた   作:シャオロウェをすこれ

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 書くことが.....ないんだ....セルマア.....俺涙が出そうだよ.....


元過労暗殺者、アビドスで一日を過ごす

「ユメ先輩も戻ってきたことだし~、なんでこんなことになってるか知りたいんだけど......」

 

 なぜかユメさんの膝に抱えられながら、ホシノさんがそういう。実際このお通夜みたいな雰囲気になっている原因をまだ知らないのだから、飛んでくる質問は当然の質問。

正直私の怒りはいまだ収まったとは言い難い......が、少し落ち着けないと。でも私はアビドスのメンバーじゃないから、私が突っ走っても問題ないはず......あぁ、さも当然かのようにやることを考えるな、今は話す時間だ......

 

「......私が、ここ(アビドス)の権利書と借金の取り消しを要求しに、カイザーのあのガラクタの元へと向かうとしていたんです。しかし止められて......それがこれです。」

 

「えっと、シグレ......ちゃんだよね?ちなみに聞くけど、それはどうやってやろうとしてたの?」

 

「当然、あの産業廃棄物を殺して脅してですが?」

 

 場に静寂が走る。私も反応がない以上何をしゃべればいいか分からず黙っていると、しばらくしてなにかを考えるようにしていたユメさんが口を開いた。

 

「シグレちゃん。ちょっとこっちに来て私と話さないかな?色々話したいことがあるんだけど......少し頭を落ち着けるには最適じゃない?」

 

 確かに私もユメさんについて知りたい、聞きたいことは大量にある。私の頭を落ち着けるには、その長い時間を要するであろう会話は確かに丁度いいだろう。

......ここは一つ、その提案に乗ってみようか。別に取って殺されるわけじゃないだろうしな。

 

「分かりました。」

 

「じゃあこっちについてきて!いい場所を知ってるからさ!」

 

 

 

 

 

 

 ユメさんの後についていき教室を出る。

階段、廊下、玄関とひとしきり降りていき、たどり着いた先は体育館の体育倉庫の中だった。......あれ、もしかして落ち着かせるってバレない状況で殴って物理的に落ち着かせるってことか?ちょちょ、それは洒落にならないが......聞いておくか一応。

 

「あの、ここは?」

 

「ここはね、昔私がよくさぼ.....お昼寝スポットとして使っていた場所なんだけど、この様子を見るにまだ使われてるみたいだね。ささ、このマットに座って。結構フカフカしてて気持ちがいいよ!」

 

 言われるがままに座らせると、言う通り確かにかなり柔らかくて座り心地が良かった。さながら簡易的な布団のようで、これなら昼寝場所にしてたというのも納得だな。

さて、話をするといってもなんの話をするのだろうか。私としてはユメさんとは都市のことについて何があったのか聞きたいところだが......話題の選択権はこちらにあるかな。

 

「ユメさん、一体どんな話をするんです?」

 

「ん~とね、多分だけど私とシグレちゃんって元々いた所が同じでしょ?ほら、都市のこと。」

 

「だからさ、お互いのことを知るために色々話さない?話題は何でもいいよ!」

 

 どうやらユメさんもその気のようだ。そうだな、そしたらさっき思った都市のことについて色々聞かせてもらおうかな。何事もまずは相手を知らないと。

 

「ユメさんは......見た所R社のトナカイチーム所属に見えますが、何群だったんです?」

 

「私はR社の第四群所属だったかな。そっちこそその制服はシ協会の服に見えるけど、どこ所属だったの?」

 

 どこ所属......あぁ、シ協会にも支部やどこの課に所属しているかもあるからな。南部北部西部東部、それ以外かも別けられるし......というか知ってるんだな。まぁ十二協会だから当然か。

 

「南部シ協会2課ですね。階級は一級フィクサーです。」

 

「南部シ......あそこは1課を残して協会長もまとめて壊滅したって聞いたけど......2課ってことは、そこの生き残り?」

 

 ......あぁ、そうか。外から見れば私たちが全滅して一課だけが残ったように見えてるのか。でそんな全滅したはずの2課が生きてるってことなら、当然の質問だな。多分私も逆の立場なら、同じ質問をするだろう。

 

「いえ、一度は死にました。図書館で本にさせられて.......でも気づいたらここにいたんです。」

 

「あ~、なるほど......私も同じような経緯なんだよね。ただここに来るときには、な~んかよく分からない青い外套を纏った人は見えたんだけど......」

 

 青い外套。......青い残響か?またあの青キチは何かしでかしたのか......私達シ協会を壊滅に追いやった挙句、図書館でも暴れ散らかしているのか?あの野郎......どうせ聞こえてないから言わせてもらうが、本当に救えないな。

隣にいるユメ先輩は気づけばすごい眠そうな気配を出している。さっきから目もうとうとしているし、おそらくここに来るまでの激戦で体力が限界を迎えたんだろう。

 

 ふぅ.......かくいう私もこんな話していると怒りが抜けてきたな。それどころか私も少し眠くなってきた。さっきから瞼が重いし体の力も抜けてきた。

そうだな......やっぱり私は少し冷静さを失っていたのかもしれない。こういうときは一度寝て落ち着けるのも悪くはないだろう。もう隣のユメさんはすやすやと寝息を立てて寝ているし、私も寝てしまうか......

 

「おやすみなさい......」

 

 あ~......このマット気持ちがいいなぁ.......

 

 

 

 

 

『ユメ先輩?ずいぶん遅いから見に来た.......うへ、こりゃぐっすり寝入ってるね......おじさんのお昼寝スポットでもあったんだけどね......』

 

『......それももうないと考えると、寂しいな......』

 

 

 

 

 

 

「.......寝すぎたか?」

 

 小さい小窓から差し込む朝日によって目を覚ますと、私たちの身体にはサイズの大きい布団が掛けられていた。ユメさんはまだ寝ているようで、さっきから寝言を立てながらぐっすり寝ている。

とりあえず布団をユメさんの方に寄せて体を起こす。よっこいせ......あ~、あれ、刀は......あったあった、マットの傍に置いてたっきり忘れてたな。手袋も同じところに置いてあるか。

 

 いつも通り身支度を整えて......あ~、まずはどこへ向かおうか。寝すぎたかと思ったが、体育館の時計を見るとまだ5時だしアビドスのみんなは登校していないだろう。

それつまり先生も来ていないだろうという事。......先生がいないとすることもないな?流石にユメさんを起こして何かするのは申し訳ないし......ここは一つ対策委員会室にでも行ってみようか。

やることもないし、ちょうどいいだろう。資料でも読み漁って、まっとうに借金を返済できる方法があるか考えてみようか......最悪体でも売れば......にしてたって膨大すぎるか。

 

「失礼しま~す......お?」

 

 ふと机の上に目を向けると、そこには手紙のようなパッケージをされたものと1枚の紙があった。こんな机の上におおっぴらに置いてるんだから、何か見られてたら不味いものでもないだろうし......見てみるか。どれどれ......!?

 

「......は?マジか、これ......!?」

 

 机の上に置かれていたのは、少なくとも私にとってはとても衝撃的なものだった。いや、おそらく対策委員会のメンバー、それからユメさんに先生も見たらとても驚くものであろう。私も驚く。

 

 そこにあったのは、対策委員会のリーダーで、たった一人の三年生であった......小鳥遊ホシノさん、その人の退学、退会届であった。

まずこれを見て、どうして?という感情が真っ先に出た。ホシノさんはあの様子だと、このアビドスを最も愛していた人間のように見えた。急に借金が増えたからと言って、アビドスを見限るような人間じゃない。おそらく最後まで抵抗を続けるだろう。

ならなんで.......まさか。そんなことはないと思うが......いやでも、あの様子なら信じられるな。あんなにここを愛していたなら......

 

 私の脳裏に浮かんだ考えとは、それつまりアビドスの為に自身を売ったんじゃないかというもの。もしかしたら、カイザー辺りに借金の減額の代わりに身を要求されたのかもしれない。

それだったら納得がいくが......いや、ここで考えてても仕方ない。とりあえずは先生を呼んで、それから対策委員会の他の人達にも連絡してもらおう。ユメさんも起こさないと。

 

 手に退部届を握りつつ急いで元の道のりを戻る。まずはすぐ連絡できる人から伝えるべきだしな。起きた時から15分も経ってないし、まだ寝ていると思うが......可及的速やかに起きてもらわないと。ちょっと失礼しますよ......

 

「zzz......塩プリンは......」

 

「ユメさん、大変です。起きてもらいますよ。」

 

 そして思いっきり布団を剥ぐ。それでもまだ起きないようなら初対面の時にホシノさんにやったあれをやってでも起きてもらう必要があるが......

 

「......にゃ、あ、シグレちゃん?一体どうしたの?」

 

「これを見てください。」

 

 そういって手に持っていた退部届を差し出す。ユメさんは事態が読め込めずしまし硬直していたが、やがて起きた事態を飲み込んだのか焦燥感の表れる顔になった。

 

「......すぐに対策委員会の皆を呼ぼう。それから先生も.......」

 

「でしたら電話ですね。どこにあるか知ってますか?」

 

「私がここにいた頃から場所が変わってないなら、固定電話が一個あるはず......それを使おうか。急がないと。」

 

 そういってユメさんは杖を持って走り出していった。私にもなにか出来ることを探さないと......いや、ここで私が下手なことをしても事態を混乱させるだけだ。部長を思い出せ、『鎮まれ、そして刻め』だ。落ち着くんだ......冷静になれ、慌てたら負けだ。

ひとまずは先生の到着を待って、そこから事態の解決方法を探っていこう。私にできることは、今は待つことだけだ。戦闘準備でもして、何かあったときのために構えておこう.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 セルマア.....セルマア.....

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