元過労暗殺者、平和だが平和じゃない世界へとやってきた   作:シャオロウェをすこれ

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 多分次の話でパヴァーヌ行きます。


幕間 過労暗殺者は過労から逃れられない。

 あの後の話をしよう。対策委員会のみんなは無事にホシノさんを救出したのち、先生とアビドス最後の生徒会長ユメさんの元アビドス生徒会の代理を担う正式な委員会として認可されたそうだ。

これで少なくとも、対策委員会メンバーが誰か一人でも在籍しているならアビドスが中核機能を失っているという理由で廃校にされる事案は避けられるだろう。一件落着といったところか。

 

 借金とカイザーに関しては、ユメさんの粋な計らいで大量の減額が行われた+利子も連邦生徒会標準の規格に戻され、あの悪徳金利による苦痛を味わうことはもう二度となくなった。そしてそれの原因たるカイザー理事は、連邦生徒会から指名手配が出ているが、その前にユメさんが八つ裂きどころか一万裂きくらい(本人談)にしたらしいので、これからも見つかることはないだろう。もっとも、あれと同じようなものは二度も三度も見つからなくていいし出てこなくともいいのだが。

 

 そしてユメさんと関してだが......ユメさんはアビドスに、対策委員会の皆とホシノさんの強い希望で対策委員会の顧問として正式に就任することとなった。色々と課題は山積みだが、とりあえず基礎問題のユメさんの住居問題もホシノさんと一緒に住むことで解決したそうだ。

幸せになれてよかったといったところか。もっとも、私が必要だったかは分からないが。ホシノさんとみんななら、自力で解決できそうな気もする。

 

 私はとりあえずシャーレ近辺の仮住まいに住むことになった。シャーレ所属で、これからは護衛兼様々な業務処理を担当する人間となる。ちなみにお給料も出る。当初は拾ってもらった立場だし、住居と食事を与えられているならば流石に金はもらえないといったが、『まぁまぁ、気にしないで!シグレにはすっごいお世話になってるしさ!』と半ば無理やり渡されてしまった。まぁ、あればあれほどいいものだから嫌というわけではないが......申し訳なさがあるな。

 

 で、そんな私だが......今の現状を、正直に言わせてもらおう。仕事が多すぎないか?

 

「これは先生が担当するものだから置いておいて......この書類は防衛室長に渡すもの。こっちとこっちは処理できるな。あ、違うなこれ、これは代行から頼まれたもので......」

 

 ただいま現在時刻午前2時。周囲の建物はすっかりライトが落ち、明かりはそれこそ街灯と月明かり程度しかついていない真夜中に、ただただデスクライトの光だけが灯っている。押し寄せる眠気をエナジードリンク......あぁ、妖怪マックスというらしい。変な名前だとは思うが、そんなことはどうでもいいだろう。とりあえずそれで打ち消し、ペンを握りキーボードを叩き続けていた。

 

「......最悪だ、一行ズレてる。」

 

 やらかした、紙と並行作業していたせいでソフトの行を一桁間違えてしまった。はぁ~、やり直しだ......クソが。あ、エナジードリンク切れた。多少は余裕あるし、もう一回眠くなってきたらあとで自販機で買ってこよう。まだ大丈夫だからいいけどな。

 

 にしても、私が拾ってもらった立場だから尽くすべきと考えて色々業務を積極的に引き受けているが、それにしたって仕事が多すぎるだろう。普通もっと分配されるはずだし......この前なんて調停室長が階段から書類落として最後の一枚を探すのにどれほど時間が掛かったか。あれだってもっと人がいれば大量の書類を運ぶ必要もないだろうに。

 

 淡々と修正作業をしつつ、左手でペンを動かす。あとちょっとで昨日頼まれていた仕事は終わる......少し家に帰って、数時間休んだらまた戻ってこよう。ちょっとした面白い場所も見つけたし、そこで酒とつまみを少しだけ買って......まぁ、これだけ仕事したんだからそれくらい許してくれ。

 

「......あ~!よし!やっと終わった!」

 

 ペンを机の上に放り出し、帰宅の準備を進める。シ協会でも中々残業はあったが......ユジン部長が基本的には業務処理してくれたから、あんまり深夜まで残るってことはなかったんだよな。まぁ、いざその立場になると、ユジン部長がいかに私たちのために動いてくれていたかが分かる。私もユジン部長のような人になれるよう頑張らないと。

 

 階段を使って一階まで降り、建物を出る。向かう先は家......ではなく、少し離れた場所の裏路地。そこの地下に、少し面白そうな店を見つけたから......名前は何だったか、『ウンボンのチキン酒場』だったか?前にチラッと見て分かったが、この世界のコンビニには酒が売っていない。

 

 私自身酒をそこまで飲む気質ではないが、それでもたまに飲みたくはなるのだ。よくよく考えてみれば、ここは未成年まみれだししょうがないといえばしょうがないんだが。

 

 薄暗い階段を下りて、大きな木で出来た扉を開ける。それが開いた瞬間、香り高いチキンの香りが鼻を突き抜けていく。おお、いいにおいがするな......

 

「お客さん、いらっしゃい。ウンボンのチキン酒場へようこそ。」

 

 店主へ軽い会釈をして、席に着く......おっと、ここは持ち帰り可能なのか。いいな、変にここで長く滞在するより持ち帰って食べた方がよさそうだ。あと、やっぱり深夜だから人がいないな。いい雰囲気だ。

 

「お持ち帰りできますか?」

 

「うい、お持ち帰りね。今仕込み中だったから、10分くらいかかっちゃうけど、注文は?」

 

「......」

 

 壁にかけられたメニュー表を見回してみる。オーダーが可能なのは、『ボンちゃんの特製ドキが胸胸チキン』、『熱い肉汁ドラムスティック.verMOMO』、『オリジナルタレのタンゴチキン』の三種。それから、持ち帰り限定でちょっとお安めの缶ビールが2本ほどついてくるらしい。

......私はあんまり味が分からないから、どれも同じに見えるが......まぁ、なんとなく肉汁ドラムスティックにしてみるか。横文字いっぱい使えば......あぁ、でもそれだとタンゴチキンになるな。まあいいか、気にしないことにしよう。

 

「では、肉汁ドラムスティックとビールを......」

 

「あいよ。」

 

 はぁ、にしても最近は激動の時間を過ごしているな。一度図書館で死んだかと思ったら、アビドスとかいう当時は見知らぬ砂漠に来ていて、そこで先生に雇われて、一緒にアビドスの問題を解決しに走って、銀行強盗して、かつての恩人がねじれた人と戦って、最後はまた戦って......

こうして改めて振り返ると、とんでもないな......都市の1年を過ごしたような気分だ。

 

「はい姉ちゃん、ご注文の品だよ。」

 

「ありがとうございます。代金は......」

 

「代金はいらねぇよ、あんちゃん疲れてそうだしな。ビールでも飲んでリラックスしな。......あ、ここのことはあんま広めないでくれよ?」

 

「......分かりました。ありがとうございました。」

 

 ポップコーンのような容器に大量に盛られた、山盛りのチキン達。......やべ、深夜で判断力が低下していたからか、想像よりも大きいの頼んじゃったぞこれ。まいっか、食べきればいいだけの話だが......胃が心配になってきそうだな。

 

 アツアツの袋とキンキンのビールが入った袋をそれぞれ両手に持ちながら、家への帰路につく。明日も仕事があって、明後日もその明日もある。シ協会でも日常茶飯事なことだが、あっちと違ってまだこれといった友という友がいない以上ストレスが溜まる。

特に不知火防衛室長は一度失言をすると気分を戻すまでが大変なんだ。やたらプライドだけは高いんだよなあの人......セルマほどではないが、積極的に関わりたくはない人物だ。

 

「あ~......疲れた......」

 

 鍵を開けて家に入ると、服も脱がずにすぐ備え付けられていたソファーへと倒れ込んでしまった。机の上にビールとチキンを置き、夜中なので碌なものはやっていないだろうがテレビをつける。ソファーの上に寝転がりながら、サクサクとしたチキンの風味を楽しみつつ酒を流し込む。

このチキン、結構美味いな......何度も思ったが、夜中に食うと腹が破壊されそうだが。大丈夫大丈夫、問題はない......多分。

 

 ふぅ、なんだか段々眠くなってきたな......アラームを掛けておいて、そろそろ明日に備えておくべきか......チキンはまぁ、残ったものは後で食べよう。再加熱しても美味いだろ、多分。

 

「おやすみ......」

 

 

 

 

 


 

 

「あれ、シグレがまだ来てないな......」

 

 いつもは朝一番から来ているはずのシグレが今日は珍しくいない。朝のエンジン始動ついでに、シグレにコーヒーでも淹れてもらおうと思ってたんだけど......って、なにあれは!?

 

「書類の山じゃん!しかもこれ期日遠っ......!?」

 

「パソコンは......うわ、全部処理されてる。」

 

「しかも書置きまであるし......先生の分ってあるけど、どれもこれもあとは私のサインだけでOKなようになってる。」

 

 ......まさかだとは思うが、私が一度いなくなった後、これを全部シグレがやったのかな?だとしたら不味い、私は生徒に仕事を押し付けてサボった先生になってしまう......そうしたらシグレはなんて思うかな、所詮何もできない大人って笑われちゃうかな......舐められるのは嫌だな、舐めるのはイオリの脚だけでいいのに......って違う違う、そうじゃない......!

 

 多分シグレが来ていない原因はこの過労によるものだろうし、なにかそうなると買って行った方がいいかな......ええと、とりあえずお見舞いに行って、シグレの様子を見たら戻ってこよう。鍵はあるし、多分家にいるだろうから......もし道端とかで寝てたら、全力で探しに行くしかないけど。

 

「ちょっと行ってきま~す......」

 

 とりあえずエンジェル24でそういったものを買い込んで、シグレの家へと向かう。シグレの家はここからすぐ近くだから、流石にアビドスのときのように迷子に......なんてことはない。もう通い慣れた地形でもあるしね。

 

「シグレ~?いる?」

 

 数回ノックをするが、返事はない。それを2回繰り返して、それでもまだ返事はないので家へと入ってみる。ってうわ、なんか......肉の匂いがするぞ?それに......お酒?

 

「......ビール?で......放置されたチキン?」

 

 ソファーの上にはシグレが寝転がっていて、辺りには空いたビール缶が落ちている。顔は......疲れが見える。まったく、未成年飲酒はダメなんだけど......一体どこで手に入れたんだろう?

 

「......あれ?先生?なんでここに?」

 

「シグレ......ちょっとお話があるかな。」

 

 だけどそんなことはどうでもいい。とりあえず、シグレに色々休ませないと。さぁ、やっとシグレに先生として役に立てるようなことが出来そうだぞ......?頑張ろう!

 

 

 

 

 

 




 ということでまたまたリンバスからウンボンのチキン酒場に登場してもらいました。
 というかシャーレって連邦生徒会内部のビルに入ってるのかな?デイリーでいるから多分そうなんだろうけども......分からない、誰か教えてプリーズ

何か見たい話はありますか?

  • 剣楔アリス
  • W社ウタハ
  • ディエーチ協会ウイ
  • リクエスト......?
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