元過労暗殺者、平和だが平和じゃない世界へとやってきた   作:シャオロウェをすこれ

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 ちょっと話の順番が滅茶苦茶になっちゃったので再投稿です。すみません。


幕間 過労暗殺者は休暇を過ごす(1)

「シグレ、そういえば服とかどうしてるの?」

 

 先生にお話という名のお説教を頂いてから少し。とりあえず働き過ぎだから休めと言われ、先生と一緒に部屋で適当に雑談でもしていると、不意にそんな質問が先生の口から飛び出てきた。

服か......基本的に外出用の服はシ協会かリウ協会の服でいつも働いているし、最近は連邦生徒会から新しいのももらったし......困ってはいないな.......

 

「私が元から持っていた服か、連邦生徒会のものでやりくりしてますね。」

 

「室内も?」

 

「持ってきましょうか。」

 

 あぁ、室内か。室内は適当な店で買った適当な安物で済ませてるんだよな。まぁ着る分には問題ないからそれでいいんだが。え~と、確かここの棚に入れたと思ったんだが......あったあった。

 

「これですね。」

 

 

 

「......え?」

 

 あれ、なにか可笑しなところでもあっただろうか?これといって特筆するところもない、ただの白いTシャツだと思うんだが。あるとすれば少し安売りされていた程度だが。

 

「どうしましたか?」

 

「いや......えっと......決して馬鹿にする意図がある訳じゃないんだけど......」

 

「ちょっと......ダサくない?なにその、『枕がデカすぎる』に後ろは強調線付きの『落ち着ける!』って、組み合わせが意味わからないというか......私服だからいいのかもしれないけど。」

 

 ........そうか?別に私は何とも思わないんだが......まぁ、先生が思うならきっとそうなんだろう。やはりあの時300円で売られていたのは見た目がダメ過ぎて全然売れなかったからか。私としてはいい買い物だと思ったんだが......う~む、次からはもっと気を付けるべきか。

 

「ん~、じゃあ今度買いなおしましょうか。」

 

「......買いなおす......」

 

 先生は私の言葉を聞くと、何か少し悩むような表情をして頭を抱え始めた。どうしたのだろうか、何か考え事でもしているのか?聞いてみる......考えている途中に言うのもな。う~む?

 

「よし、決めた。」

 

「シグレ、一緒に買い物に行こう!働きの労いも兼ねて、私が全額奢るからさ!一日一緒に楽しもうよ!」

 

「......へ?あぁ.....」

 

 などと考えていると、先生が口を開きそう言ってきた。買い物......先生と。私はいいが、先生はこんな私と買い物なんかして非常につまらない一日を過ごすことになるが......それでもいいのだろうか。ここに来て以来、そういったスポットは何一つ見つけていないしそもそも知らないし......

まぁ、それでもいいなら是非とも受けたい提案だが......一応聞いておくか。

 

「私とでいいんですか?あまり楽しいものではないと思いますが......」

 

「いいのいいの!こっちがしたいことなんだからさ!さっ、行こっか!」

 

「......支度してきます。」

 

 はしゃぎ気味の先生の後ろを通り、服や外出に必要なものを整える。着替えている途中、先生がこっちの方を見て何か言っていたが、上手く聞こえなかったのでそのまま支度を続ける。洗濯機にさっきまで来ていた連邦生徒会の服を入れてリウ協会の制服にして......カバン......支給されたやつでいいか。財布は......あったあった、これだ。中身も大丈夫だな。んじゃ、あとは刀を背中に差して......うん、準備完了。

 

「いつも通りの格好ですが、行きましょうか。」

 

「うん!」

 

 そういって足をぴょんぴょん跳ねさせながら先生は外に出る。やれ、私なんかとじゃまったく楽しくないぞ......?まぁ、いいか......精々楽しませるよう頑張らないと。

 

 


 

「今日はシグレさんがまだ来ていないようですね。彼女にしては珍しいですが、どうしたのでしょうか。」

 

「七神代行、今日はシグレさんは休むとの連絡を先ほど受けました。」

 

「............参りましたね、また仕事を頼もうかと思ったのですが......心配ですから仕事が終わったら様子を見にでも行きましょうか。

 

「代行、どうかしましたか?」

 

「いえ、何でもありません。仕事に戻りましょう。」

 


 

 

「まずは服屋!シグレの普段用の服を買おう!」

 

 手を引かれて第一に連れてこられた場所は服屋だった。名前は『センクミート』という名前で、先生曰く、前からここは質のいい服を売っているからここで買おうとの事だ。しかし窓から見える衣服の数はかなり少ないし、店員もあまり見えない。個人商店だとしても、少し不安になるな。

 

まぁでも、見ているだけじゃわからないこともあるだろう。肝心なのは衣服だからな、とりあえず入ってみないことには始まらない。評判がいいなら、ちゃんとそこのところはしっかりしているということだろうし......うん、大丈夫なはずだ、多分。

 

「失礼しま~す!」

 

「いらっしゃいませ?こんにちは。本日はどのようなものをお探しになりましたでしょうか?」

 

 扉を開けると、そこには袖に両腕を突っ込んだ店員が挨拶してきた。ロボのように見えるが、今までに一度も見たことがないタイプだ。今ままでの奴らはなんとなくどれもこれも同じようなものだったから、新しい発見のようでちょっとびっくりした。

え~、で、探しに来たものは......普段用の服だな。ここにあるかな?

 

「部屋でも外出しても違和感のないものが欲しいのですが......」

 

「ならばこちらがおすすめです?きっと気に入るに違いないです。肌触りが良好です?私達で紡ぎました。」

 

 そういって手渡されたのは三枚の服。茶色のボタン付きのジャケットに、もう一枚緑色のベスト。そしてシンプルな白色のシャツ。しかし触っただけでもわかるほどどれも手触りがよく、一目で良質なものだということが分かる。私達で紡いだといっていたし、手製のこだわりの品ということだろう。

ふむ、これはいいものだ、気に入った。是非とも着てみたいな。試着室とかはあるかな?

 

「試着室はありますか?」

 

「それはあちらにあります?ゆっくりとお楽しみください。」

 

「シグレ、私はここで待ってるね?」

 

「分かりました。」

 

 

 

 

 

 

 試着を終えて出ると、先生と店員がなにやら話し合っていた。先生の雰囲気は穏やかに見えて、店員も同じようにどこか楽しんでいるように見える。先生は普段仕事で働き詰めだからな、ああいう息抜きは最高に楽しいのだろう。邪魔しない方がいいかな。

 

「私はロボが暴走するシーンとか好きなんだけど......仲間の呼びかけで元に戻るとかよくない?」

 

「非常によくわかります?私も大好きです。ゼロシステムは好きですか?私は好きです。」

 

「分かる!私も......あっ、シグレ、帰ってきたんだ!」

 

 しばらく後ろで待機していると、こちらを振り向いた先生が声をかけてきた。あれ、割と静かにしていたつもりだったのだが......待機時間が長すぎて不審に思われたか、はたまた先生が鋭いのか......まぁいいか、今は関係のないことだ。それより値段だな、買えるなら買いたいものだ。とはいっても、この質感の良さと手作りという事から、相当値は張りそうなものだが......足りるかな。

 

「ただいま帰ってきました。これは素晴らしいものですね、お値段のほどはいくらでしょうか。」

 

「お値段2900円です?今ならお買い得です。おまけでもう一つランダムな服をプレゼントします?よかったらどうぞ。」

 

 そういってなにやらぎっしりと物が入っていてかつかなりの重量感がある紙袋を手渡される。中身も服とのことだし、正直おまけつきであの質感に手作りと考えるとあまりにも安い、安すぎる。赤字確定もいいところだろう。いやまぁ、こちらとしてはありがたいといえばありがたいんだが。

 

「じゃあ、支払いは......」「ちょっと待った!」 

 

「シグレ、私が最初に奢るって言ったじゃん!支払いはカードでお願いします!」

 

「ありがとうございます?またのご来店をお待ちしております。」

 

 私が財布から現金を取り出そうとしている合間に、先生が私の肩を掴んで止めてそのまま支払いまで済ませてしまった。ああ、確かに最初先生が奢るといっていたが、あれは冗談だと思っていたんだが......なんだか申し訳ないな。次は私が出さないと。

 

「先生、すみません......次は私が払うので。」

 

「いいのいいの!気にしないで!ほら、普段からシグレにはお世話になってるしさ。その恩返しだと思って。ささ、次の店に行こうか!」

 

 ............ありがたいといえばありがたいが、本当に申し訳ないな。普段からお世話になっているのは私の方なのに......傍から見れば経歴不明素性不明銃を使わないと怪しい要素三点盛りみたいな私を雇ってくれているだけで、返しきれない恩がそこにはあるだろう。また一つ借りが増えた......

 

「次はどうするんです?」

 

「次は......ご飯でも食べに行こうか!シグレも私もまだ朝ご飯を食べてないでしょ?」

 

 そう言われて考えてみれば、確かに朝食を食べていなかったな。先生の言う通り、ここは食事の一つでも取りに行こうか。場所も先生のお任せにお願いしよう。

 

「ではどこにするんです?」

 

「ん~......あっ見て!あんな所にカフェっぽいのがあるよ!あそこにしようか!」

 

 先生の指さす方向を見ると、そこには『キャフェ スターバック』と書かれた店があった。カフェではなくキャフェというのは謎だが、見た感じ割りと賑わっているようだ。賑わいがある店なら、多分まぁある程度の味は保証されているだろう。

幸いなことに繁盛しているとは言っても並んではいなさそうだし、素直に入れそうだ。

 

「......歓迎するなり。そなたらは何名で来られたか。」

 

 店に入ると、目元にクマを作ったカーキ色の服を着た店員が出迎えてくれた。少し見ただけでしかないが、なんとなく私と同じような雰囲気を感じるのはきっと気のせいだろう。とりあえず受付を済ませる......いや、先生がしてくれそうだな。

 

「えっと、2名で......」

 

「あれらの席に座して待つべし。今は忙しき時のため、知らぬものと共にする場合ありけり。」

 

「は、はぁ......」

 

 ......店員の言葉がいまいち難解で読み取りづらいが、要はあそこの席に座ってくれ、ただし今は忙しいから相席の可能性あるよということだろう。なんでこんなややこしい言葉遣いをするかは置いておくとして、ひとまずは言われた通り席に着くか。

 

「シグレ、あの店員さんの言葉難しいね......?」

 

「そういうものなのでしょう。メニューはこちらにあるようですし、ひとまず何があるか見て見ましょうか。これですね。」

 

 メニューを広げると、そこにはあの難解な言葉で書かれて.....はおらず、ちゃんと通常語の文字で書かれていた。よかった、流石にメニューまで解読に頭を使いたくはない。

 

しかしメニューがいっぱいあるな。なになに、『バジリスープク』『クラップ蟹の濃厚シチュー』『ファラリスの柔らかビーフシチュー』......全般的にシチュー系が多いようだ。一応他のもあるが、大々的に打ち出しているのは先ほど挙げたシチュー系列だな。

 

 あとはドリンクもかなり種類が多いようだ。その中でも強調線付きで主張されているのが『グレープウェルチアース』とやら。下の説明文に書いてあるものを見ると、ぶどうの甘みと炭酸の爽やかですっきりとした味わいが魅力らしい。......ジュースか、そういえば飲んだことなかったな。

小さい頃は飲みたいと思ったこともあったが、代わりに飲まされたのはクソみたいに甘ったるい薬みたいなやつだったな。......この話は思い出さないでおこう、食事中に思い出すと吐き気がする。

 

「先生は何を頼みますか?」

 

「私は~......この龍の牛肉麺にしようかな?」

 

「では私はバジリスープクとやらを。あとドリンクでウェルチアースを。」

 

「あ、なら私も~!じゃ、ぽちっとな!」

 

 先生が呼び出しボタンを押すと、しばらくして奥からくたびれた様子の店員がやってきた。あの店員はさっきから出てきてはあちこちの対応に走り回っていたので、もしかしたらそれで疲れているのかもしれない。しかしその疲れた様子を客に見せるのはちょっとNGな気もするが。

 

「ご注文は?」

 

「竜の牛肉麺一つと、バジリスープクを1つ。それからウェルチアースを2つお願いします。」

 

「了解しました。3番テーブル注文入りました!グレタさん宜しくお願いします。」

 

「あとちょっとでシフトが終わる......がんばろう、ぐれごぉる。」

 

 ......声が聞こえたが、店員も苦労しているな......辺りを見回してみれば続々とお客が入ってきているようだし、これから先もっと忙しくなっていくのだろう。シフトはもう少しと言っていたが......これは残業確定だろうな。可哀そうな店員、ひとえに店が忙しすぎるせいだが。

 

「そういえば、シグレって普段何食べてるの?」

 

「私ですか?」

 

 食事か......こういう外食でもなければ、基本的に三食全てエナジーバーで解決してるな......ここのエナジーバーは都市のものと違って味がいい。2個食えばまぁ困ることはない。少し物足りなさもあるが、それで十分だし。

確か前食べなかった分のエナジーバーがまだ胸ポケットに入っていたはず......お、あったあった。

 

「これですね。」

 

「これ......?えっ、まさか、三食これ?」

 

「えぇ、そうですが.....何かおかしなとこでも?」

 

 先生は唖然としたような表情をしている。えっ、だってこれ短時間で簡単に栄養補給出来て業務処理をする上では超効率的なのに。なんだったら私は先生の昼ご飯も作っているんだし、その分の時間をこれで回収しようとするのは当然の事では?

 

「え、じゃあいつも私にお弁当作ってくれてるけど、シグレは?」

 

「だからさっきも述べた通り、これで済ませていると......」

 

 沈黙が走る。しまった、なにか失言をしてしまったようだ......なんだかすごい気まずい雰囲気だ。ユジン部長だってセルマから仕事を押し付けられた際は似たようなことをやっていたのに。

 

「あ~、えっと......」

 

「お待たせしました~!ご注文のバジリスープクと、龍の牛肉麺です!」

 

「......と、とりあえず食べようか。」

 

「......はい。」

 

 まぁ、また後で話そう......私もお腹が空いてきたところだしな。

 




 1.オリヴィエのTシャツとンアーッ!枕がデカすぎます!
 2.センクミート.....英語でThank you(ありがとう、感謝)とミート(肉)......感謝、肉=謝肉.....あとは分かるはずです?きっと素敵です。
ちなみに出会いに感謝ともとれる。本当はこの意味。
 3.袖に手を突っ込んだ店員......『謝肉祭・ベータ』で検索
 4.手渡された服......セブン協会の服
 5.『キャフェ・スターバック』......ピークォド号のスターバックはカフェを開きたいといっていたため。店長スターバック。
 6.店員イサン......イサンの人格にはスターバック人格がある。ちなみにイサンは女体化されています。
 7.スターバックのメニュー......『バジリスープク』はリンバスのE.G.Oである一生シチューの元ネタ幻想体。『クラップ蟹の濃厚シチュー』はリンバス4.5章のクラップ蟹から。『ファラリスの柔らかビーフシチュー』はファラリスの牛、真鍮の雄牛みたいな感じ。ウェルチアースはロボトミから。
 8.竜の牛肉麺......リウ協会イシュメールが食べているあれです。龍.....リュウ......リウ
 9.くたびれた店員.......リンバス3.5章のグレゴール
 
 

何か見たい話はありますか?

  • 剣楔アリス
  • W社ウタハ
  • ディエーチ協会ウイ
  • リクエスト......?
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