元過労暗殺者、平和だが平和じゃない世界へとやってきた   作:シャオロウェをすこれ

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 う~ん.....初がこれでいいのか.....とりあえずパヴァーヌ編スタートです。


元過労暗殺者、ゲーム開発部を訪れる

「ここがミレニアムですか......」

 

 先生に従うままに休日を過ごしたその次の日。私たちはミレニアムのゲーム開発部とやらの依頼によって、ここを訪れることになった。なにやら廃部を阻止するために協力して欲しいだとか。

曰く、科学の研究に特化していて、ここキヴォトスで生まれるほとんどの最新技術はここで作られているのだとか。要は都市で言う翼のようなものと捉えていいだろうか。

 

「目的の場所はどこでしたっけ?」

 

「ええと、確かここらへんにあったはずなんだけど......」

 

 直後、私の耳に風切り音が聞こえてくる。僅かな時間だったが、これが物が落ちてきている音だと私に知覚させるには十分な時間だった。

 

「先生危ない!」

 

 咄嗟に先生を突き飛ばし、鞘で空から落ちてきた謎の物体を弾く。落ちてきたものは......なんだこれ、ゲーム機?ゲーム機が上から降ってきた?そんなことがあるのか......?

 

『あ~!私のゲーム機!』

 

「......声が聞こえますね。」

 

 近くの階段から、ドタバタと誰かが下りてくる音がする。発言を聞くに、この人たちがこのゲーム機を落とした犯人とみるが......ゲームと言っていたよな、まさかこの人たちが今回の依頼主のゲーム開発部......なのか?ならなんで大事であろうゲームをそうぞんざいに扱うんだ......?

 

「先生、大丈夫ですか?」

「あ、うん、大丈夫。ありがとう。」

 

 とりあえずいまだ座ったままの先生の手を取り、周囲の警戒をする。まぁ、語気からして敵意はないだろうが......それはそうとして故意ではないとしても物を落としてケガを負わせようとしたんだから、何が起こっても大丈夫なように姿勢を整える必要はあるだろう。

 

「あっ先生!よかった、当たってなかったみたい......」

 

「私のゲーム機!......き、奇跡だ!中身が飛び出してるけど壊れてはいなさそう!」

 

「お姉ちゃん、まずはそれより先生達の心配でしょ......」

 

 中から飛び出してきたのは、それぞれ色以外色々と瓜二つな人たち二人。様子と言動からして、姉妹という風に見える。もし同じ色の服とヘッドホンをしていたら見分けがつかないだろうな。

 

「えっと、すみません......お姉ちゃんが窓の外に投げたプライステーションが、偶然とはいえ先生達に命中しそうになった時は......あわやこのまま殺人事件の容疑者になってしまうかと思いました。結果的に、そっちの子が弾いてくれたからよかったものの......」

 

「お姉ちゃんの代わりに謝ります。ごめんなさい、先生、それから......」

 

「シグレと申します。」

 

「シグレさん。すみませんでした。」

 

「ふ~んだ。そう言うミドリだって、私が『もしかして先生に当たっちゃったかも!?』って叫んだ時、第一声は、『プライステーションは無事!?』だったじゃん。」

 

 ......どうやら二人とも、ゲームに重い熱意を抱いているようだが......それはそうとして、人の方がよっぽど大事だと思うんだが。まぁ、あくまで個人の価値観は自由だから、私から特に言うべきこともないか......それより、依頼主なら早く本題に入りたい。

先生も二人の会話に置いてけぼりになっているし、とりあえずは話をしよう。まずはそれからだ。

 

「ええと、依頼主のミレニアムサイエンススクールのゲーム開発部の方でよろしいでしょうか。」

 

「依頼主......じゃあ私たちが送った手紙、読んでくれたんだ!もし読んでくれたとしても、本当に来てくれるなんて思ってなかった!」

 

 ピンク色の方が歓声を上げながらはしゃいでいる。そんなに喜ぶことかとも思うが......それほどまでにゲーム開発部の状況が切羽詰まっていたということだろうか。まぁ、先生の方針として、受けられる仕事は受けるというスタンスだからな。そのせいで過労気味になっていることは見逃せない。そういう私でもできるような書類仕事は、私に任せておけばいいのだ。別に絶対先生じゃないとだめとい訳じゃないしな。

 

「とりあえず上に上がろう。お姉ちゃんもほら、行くよ。」

 

「待ってミドリ、プラステだけ回収させて......」

 

 

 

 

 

 

「改めて.......ゲーム開発部へようこそ!」

 

「来ていただいて嬉しいです。」

 

 案内された部室はなんというか......かなり散らかっていた。足の踏み場がない、とまではいかないが......まぁ、人を招くのには適さないだろうなという事だけは断言できる。後全般的に設備が古い、テレビなんてブラウン管とかいう都市でも骨董市やリサイクルショップでも見るか分からないレベルのものだ。どうして先端科学が集まるミレニアムにこんな古いどころの話じゃないものがあるんだ......?まいいか。

 

 それで、ひとまず彼女たちについてだが......このピンク色の方がモモイさんで、シナリオライター担当。緑色の方は名前のまんまミドリさん、ビジュアル担当らしい。そして今はいないが、企画周りを担当している部長のユズさんの3人でゲーム開発部は構成されているらしい。妙だな、事前に調べた情報によると確か最低4人が条件だったような気がしたんだが......

 

「あれ、4人いないんですか?」

 

「あ~、それは......えっとまぁ、気にしないで!そ、そんなことよりさ!せっかく来てくれたことだし、『廃墟』に行くとしよっか!」

 

「『廃墟』?」

 

 ......廃墟?なんだそれは?私たちはここに来て早々文字通りまんまの廃墟に連れていかれるのか?......すまない、理解できない。

 

「えっと、どういうこと?」

 

「私からも詳しい説明をお願いします。」

 

「あ、じゃあ最初から順に説明するね。」

 

「えっとね、まず私たちゲーム開発部は今までずっと、平和に16ビットのゲームとかを作ってたんだけど。」

 

 うんうん、何もおかしくないな。今のところは何も廃墟に行く理由なんてなさそうだが。

 

「ある日......急に生徒会から襲撃されたの!」

 

 うんうん......うん?えぇ?襲撃された?ミレニアムの生徒会から、襲撃された?

 

「一昨日には、生徒会四天王の一人であるユウカから最後通牒を突き付けられて。」

 

 ユウカ......知っている。確かシャーレの当番としてよく来ていたはずだ。私は仕事に夢中で話す機会は碌になかったが.....かなり世話焼きな人で、よく先生に対して注意をしていたのを覚えている。あ、そういえばエナジードリンクの飲み過ぎだと声を掛けられたこともあったっけ。そんなユウカさんがどうかしたのだろうか。

 

「最後通牒?」

 

「それについては、私から説明しましょうか。」

 

 扉が開く。そこには先ほどまで話題にしていたユウカさんの姿があり、顔にはまぁ一見落ち着いているように見えるが、よく見ると眉が引くついているのが目に取れる。まぁ、さっきから話題が出てきたかと思えば、悪人のように仕立て上げられているわけだししょうがないな。

 

「こんにちは、ユウカさん。」

 

「出たな、生徒会四天王の一人!“冷酷な算術使い”の異名を持つ生徒会の会計、ユウカ!」

 

 ......この人いつか裏でボコボコにされそうだな。面白いといえば面白いが。

 

「勝手に変な異名を付けて、人をモンスターか何かみたいに呼ばないでくれる?失礼ね。」

 

 案の定ユウカさんの怒りを買ってしまったようだ。まぁ、当然のことだな。私もユジン部長やシャオさんといった人を開口一番に馬鹿にされたら怒るだろう。まぁ、なんだ......誰だって入って早々罵倒されたらする当たり前の反応だ。

 

「それよりも......先生。」

 

「ユウカ、こんにちは。一昨日ぶりだね。」

 

「こんな形で会いたくはなかったんだけど......それはまた後にするとして。.........モモイ。」

 

「本当に諦めが悪いわね。廃部を食い止めるために、わざわざシャーレまで巻き込むなんて。」

 

「けど、そんなことをしても無意味よ。たとえ連邦生徒会のシャーレだとしても......いえ、あの連邦生徒会長が戻ってきたとしても!」

 

 そう言われたモモイさんの顔は焦ってるんだか急所を突かれてギュッとしているのが苦い顔をしている。その後もユウカさんは言葉を続けていく。やれ廃部はもう決まっていることやら、なんとか......モモイさんの口も段々とヒートアップしていくが、聞いていると確かにユウカさんの評価が圧倒的に正しいことが理解できる。まぁこれといった成果も残さず、ただ金食い虫をしているだけの部活を残す意味はないという事なのだろう。

 

 あとやっぱり当初違和感を持っていた人数も足りていていないようだ。それじゃさっきのものに比べてさらにアウトな条件をプラスしてしまったと......聞けば聞くほど絶望的すぎないか?これからどう立て直すんだよ......廃墟とやらに行っても、これを覆せる方法があるとは思えないが。

 

 モモイさんはいまだ抗議を続けている。しかし物事全力で取り組んだからって言って、かならず上手くいって報われるわけじゃない。もし報われるんだとしたら、私は図書館の戦いで勝ってきてここにはいないはずだろうからな。いや、でも今ここにいること自体が報われているのかもな......

 

というか本当に、聞けば聞くほど余罪が出てくるな......救援要請も、ユウカさんの言う通り本当に苦し紛れの最後のあがき感が半端じゃないんだが......なんだよ他部活を襲撃してその上違法建築って、ちょっともう何を言っているのか分からないぞ......

 

 ......はぁ、なんだか意味が分からなさ過ぎて混乱してきた。唯一の成果は成果(笑)のようなものだし、部員数は足りないし、犯罪歴は雨あられだし、あ~もうめちゃくちゃだよ......最高に狂っているんじゃないかなこれ。救援......出来るか?分からないんだが......

 

 さて、話を聞いていればモモイさんは切り札があるとか結果で示すとか言っているが......まさか、廃墟とやらそのキーだとか言わないよな?まぁいいや、話は後で詳しく聞くとしよう.......

 

 

 

 

 

 

 

 

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