元過労暗殺者、平和だが平和じゃない世界へとやってきた 作:シャオロウェをすこれ
日常って難しいね....
「あれ、ヘルメット団がもう撤退してる?」
「うわ、テントが消し炭になってるんだけど...なにこれ...」
ヘルメット団を撤退させてから少し。先生から少し休んでいいとの許可が出たので、今はみんなとは少し離れたところで休憩ついでに警戒をしている。ちょうど腰を預けられる壁があったから、これに寄りかかっている...硬いな。
アビドスの人達は奪った物資の集積をしているようで、私も行くまでに少しだけ中身を拝見した。
内容は様々で、食料から雑誌、弾薬から医療品まで様々だ。山積みの弾薬を見ると、この世界は本当に銃が主流なんだな...都市とは価値観が違い過ぎてこんがらがってきた。
まぁ、ユジンさんクラスが何人もいるよりは全然いいんだが...狙いが籠ってないのか弾きやすいし。対峙した敵は今のところ全員9~8級フィクサー程度だしな。
...にしても、襲撃が上手くいったことはいいんだが、少し疑問が浮かぶな。
ヘルメット団というのは要は裏路地に蔓延っている小さい組織か、フィクサー事務所のようなものだろう。碌な資金力もないはずなのに、一体どこからそんな物資を調達したんだ?
奪ってきたと考えるのが一番妥当...しかし...謎だな。
後気になるところがあるとすれば、生活環境が随分整っていたところか。都市の巣に匹敵するレベルの環境を、そう簡単に整えられるのか?
...眠くなってきたな。ここに来てから、碌に休めてないからな...シでの激務も、終わったようなものだし、少しくらいなら...休んでいいか...
大丈夫、周りに先生達以外の気配はしない。それに万が一の時には起きれる、問題はないだろう...
それじゃ、おやすみ...ひと時の平穏を、味合わせてくれ...
「お~い...起きてる...お~い....?」
「ありゃ、完全に寝入っちゃってるな....どうしようかなぁ...」
「ホシノ達に背負ってもらう...のは無理だし、う~ん...」
「私が、おぶってみるかなぁ...」
「....はっ!?ここは...」
慌てて辺りの確認をする。窓から差し込む光は眩しく、すっかり昼が訪れていた。寝かされていたベッドは柔らかく、また眠ってしまいたいような...そうじゃない!
傷は?先生はどこだ?そもそもここは?なんて考えていたが、冷静に考えてみたらここはアビドスの保健室だ。まさか、私はそこまで眠りこけていたのか...?
混乱する頭を抑えようとしていると、保健室の扉が開いた。見れば、そこにいたのは先生だった。だが随分疲れてそうだ、何があったんだ?
「起きたんだね!?体は大丈夫?」
「大丈夫です。先生、私は裏の壁にもたれかかって眠っていたと思うのですが...何故ここに?」
「あ~...実は何回起こしても起きなかったから、私がアビドスまでおぶってきたんだ。すごい深く眠ってて...無理に起こすのも忍びなかったしね。」
...なんてこった。私は自分に近づく気配は愚か、先生にまで迷惑をかけてしまったのか。申し訳ないな...しかし、声を掛けられても起きず、おぶられても起きずとは...
どれほどの疲弊をシ協会で味わっていたかが分かるな。にしたってやり過ぎたが。
「申し訳ありません。今は何時でしょうか?」
「12時だよ。ちょうど昼ごはんにはいい時間だね。」
言われて意識すれば、急に腹が減ってきた。そういえば、昨日から何も食べてないな....あちらにいた時も、まともな食事を摂ったのはいつだったか...
忘れてしまったくらいそんな時間がなかったという事か。今までの感覚が麻痺していたのか、なんだかな...
とりあえず、食事でも摂りたいところだ。聞いてみるか。
「あ~...なんでもいいので、なにか腹に込めるものでもありませんか?前に先生が食べた、合成食糧のようなものでも構わないですので...」
「あ、それなんだけどさ。」
「実は今からみんなで行こうと思っているところがあるんだけど、よかったらそこにしない?というか、流石にあれをもう一度食べるのは中々苦痛でしょ...」
事実その通り、あの食料は出来ることなら二度と食べたくない味だ。ゴミを煮詰めて都市の水で薄めたような味がする。
おえっ、吐き気がしてきた...
「ええ、その通りですね。分かりました、良ければお供させてください。」
「!分かった、それじゃ早速いこっか!」
そういって先生は扉を開けて去っていた。まだ少し眠いな...だけどシ協会ではそんな甘ったれたこと言ってられない、早く行くぞ...休みが取れただけ素晴らしい事なんだ。
というか今思ったが、服はここに来る前から変えていないはずなのに、何故だか少し綺麗になっている気がする。手袋もあんだけ酷使したのに煤一つもついていない。
どういうことだ?洗ってくれた...訳ないだろうしな。
ま、それは一度置いておこう。とりあえずは飯、飯だな。久しぶりにまともな食事にありつける....あっ。
私、この世界での通貨持ってないぞ...?大丈夫か?
「いらっしゃいませー!紫関ラーメンです!」
三角巾にラーメン屋の制服を着たセリカさんが、元気はつらつとした声で次々と接客をこなしている。
先生についていって来たのは紫関ラーメンというラーメン屋。漂ってくる匂いは久方ぶりに嗅ぐ美味しそうな匂いだ...腹が減ってきたな...早く食べたい...
だけど一応警戒は怠らないようにしなければ。前に寄ったラーメン屋は匂いだけは良かったが豚骨ラーメンならぬ人骨ラーメンだったからな...危うくこっちがスープにされるかもしれなかったことがあった。
まぁ、その時テンマと一緒に食いに来てたから速攻で斬り捨てたが....光景はひどかったな...これ以上は思い出さないでおこう、折角の食欲が消えそうだ。
そんな思い出...いや違うな、嫌な記憶を思い出していたら、なんだか前が騒がしい。少し聞いているかな。
「わわっ....!?みんな、どうしてここに...」
「お、おじさんの予想大当たり~。セリカちゃんがバイトするならここしかないと思ってたからね~...」
おっと、様子からするにセリカさんはここで働いていることを皆に隠していたようだな。って、おいおい...なんだあれ?
店の奥から一つの影が出てくる。姿が露わになればそれは、二足歩行の柴犬のような人...型?まさかねじれか?ここにもねじれがいるのか...!
が、予想に反しそれは人語をしゃべった。それも心底フレンドリーな様子で。....余計意味が分からなくなってきたんだが。
しかも席まで案内してくれとセリカさんに頼み込んでいたし、もう何が何だか...どうなってんだ一体?とりあえず警戒は怠らないでおくか。
さて、あっちではてんやわんややってるが、とりあえず何を頼むかでも決めるか...ラーメンは久しぶりに頼むな、何を頼もうかな...
こういう時は店名と関連があるものを頼むと安牌だとヴァレンティンが言っていたしな。この紫関ラーメンとやらにしよう。
「あっ、シグレ注文決まった?」
「えぇ、ではこの紫関ラーメンとやらを一つお願いします。」
先生が注文をセリカさんに言えば、少し恥じらいながらも応じて通した。他の皆は何かトッピングを付けていたり、別のものを頼んでいたりで少し贅沢(?)をしているようだ。
まぁ私は先生について行かせてもらっている立場だし、これ以上の贅沢はできない。むしろ飯が摂れるだけありがたいだろう。
さて、どんなものが出てくるのだろうか。少しでもおかしなものが入っているようなら問い詰めた結果次第で対処するが...
しかし漂ってくる匂いは美味そうだ。それにさっきから湯切りをしている犬の姿は...その、なんというかとても様になっている。本職だな。
気になる点と言えば、毛が入らないのかということだが...そこらへんはまぁ、多分大丈夫だろう。
「ねぇ、シグレ。」
などと考えていると、不意に先生から声を掛けられた。どうしたのだろうか?
「あそこで助けてくれたのは嬉しいんだけど、どうしてあんな所にいたの?連邦生徒会も知らないなんて...それにシグレが言っていた言葉も気になるしさ。」
あ~...参ったな、どうしたものか。すごい回答に困るものが来てしまったな...
ただでさえ得体が知れないのに、いきなり正直に、『別世界から来ました!』なんて言ったら狂人判定もいいところだ。
しかし何かいい言い訳は思いつかない、どうしよう....どうしよう?
「話したくないの?」
「あ~...いや、そういう訳では...」
「紫関ラーメンのお客様ー!」
!ちょうどいいタイミングに来たな...よし、これでなんとかはぐらかすか....
パッシブスキルが変化しました
死の目/脱力→死の目(威力+4)
極限の疲労/不十分な処置→中度の疲労/癒えきっていない傷跡(舞台開始時にHP55%減少。被ダメージ時、20%の確率で出血1を得る)
異世界での混乱→なし
過呼吸/極度の疲弊→過呼吸/中度の疲弊(本来のコストが4以上のページを使用する際、光を2回復。1~2幕毎に、50%の確率で速度ダイス1つ使用不能。)
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剣楔アリス
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W社ウタハ
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ディエーチ協会ウイ
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