元過労暗殺者、平和だが平和じゃない世界へとやってきた 作:シャオロウェをすこれ
折れた刀を見つめて、しばらく考えに耽る。
赤い刀身をした、シ協会に入ったころからの相棒は、真ん中からぽっきりと折れてしまっていて、到底修復不可能な損傷を負ってしまっていた。
「はぁ.....」
もちろん後悔はしていない。あの場面で止めていなかったら、先生にもこの学校にも被害が出る恐れがあったからだ。正しい判断だろう。
が、それはそれでこれはこれだ。使えなくなってしまったのは変わりないし、それが私の戦闘力低下につながっているのは、徒手空拳で戦い始めてから十分理解した。
リウでは薙刀、シでは刀を使っていて、私の戦闘スタイルは主に得物を使った戦闘だった。何か代わりになるものを見つけないといけないが、そんなぽんぽんと見つかるものではない。
どうしたものだろうか。この世界では銃が流行している都合上、私の求めているものは見つかりづらいだろうし。
そもそもあっても買えないだろうし、どうしたら....
「あの~......」
いっそ徒手空拳だけに尖らせて......不十分なままの技術を使い続けてもダメだ。
これといったいい考えが思いつかん.....クソッ。
「あの~?」
「!?あ、アヤネさん、どうしましたか?」
背後から聞こえてきた声に驚いて振り向けば、そこにはアヤネさんが立っていた。何か用事だろうかと思って聞こうとして......
手に握られてるものに気づいて、言葉を詰まらせてしまった。
彼女が手に持っているものは、私がこの世界に来て、おそらくもう二度と見ることのないものであろうと思っていたもので。
この世界には、確実にないと思っていたはずのもので。
それは私が尊敬していた人の......ユジン部長の、最後まで握り続けていた刀だった。
「......なんで、それを......あなたが......」
「校庭の隅に、何か輝くものが落ちてるなと思って見に行ったら、これが落ちていたんです。シグレさんが持っていたものと似ていたので、シグレさんのものかなと......」
差し出されたそれを取る。
アヤネさんの話の通り、校庭に落ちてたようで、鞘にはところどころ砂がついている。刀身の状態はどうだろうか。
鞘から抜くと、それは、最後まで図書館で戦い続けた証の血がついていて、柄の部分には、懸命の死闘を繰り広げて擦り切れた滑り止めがついていた。
少しでも刀身に触れれば、そのまま切れてしまいそうなほどの威圧感。それが、私の目の前にあった。
「あの、シグレさんのものでしょうか?」
「......ええ、私のものです。ありがとうございます。」
私のものではないのに、偽って受け取ってしまった。
これは.......ユジン部長が、本来なら持つべき刀だ。私なんかが持っていいようなものではない。
だけど、あるはずのないものがこの世界に流れ着いている。それなら、いずれユジン部長も、失った仲間も、この世界に来るのではないのだろうか?
だったら私のやるべきことは一つだ。シ協会のみんながこの世界に来て、落ち着いて暮らせるようになるまで、私もこの世界をできるだけ良い方向に持っていって見せる。
先生は、それの指導者だ。私はその兵士。シャオさんやユジン部長のように、はっきりとしたカリスマがあるわけではない。戦う事しかできない。
だから、そのために......
「ユジン部長。あなたの刀......使わせていただきます。」
彼方の欠片の依頼を処理してから、出せることのなかった血を拭くための布を取り出す。
図書館での戦闘の影響か、斬った肉のせいで少し刀身は刃こぼれしてしまっているから、決して万全の状態とはいえない。
それでも、今の状態よりはよっぽどいい。研石があればなおいいが、贅沢は言ってられない。
この剣は、私たち南部シ協会2課の活路を切り開くために、何度も何度も使われてきた剣だ。
この剣の行く先を信じて、私たちは終わりなき戦いを何度も続けてきた。だから今度は、私が信じる番だ。
少し人のいない場所に行こう。これを慣らしてみる必要があるしな。
そして私が選んだのは学校の裏手の市街地。事前に気配を探っても人の気配はしなかったから、多分大丈夫。
私が持っていた刀は軽量・小型で取り回しをよくしていたが、ユジンさんの刀は一斬りで敵を断ち斬れるよう重量・大型の刀だ。
まるで性格の違う刀だが、不思議と手に馴染む。
素振りをしてみれば、まるで空間を切り裂くような赤い閃光と同時に、風切り音が辺りに響き渡る。
最初は重心の変化などに身体を取られたが、数回、数十回と振り続けるうちに、段々と適応できて来た。
それが終わったら、シの剣技も試してみることにした。
極剣と言われる、ヴァレンティンが最も得意としていた技。
袈裟斬りからその軌道に沿ってもう一度逆袈裟斬りをするという技。これは重い刀身のお陰で、振り下ろす際にとても威力が乗っていい。それに手首を捻れば、逆袈裟の際も素早く動ける。
飛剣と閃撃、テンマが多用して得意としていた剣技は速度を利用して相手の懐に入ったのち、敵をx字のように切り裂く技だ。
これは大柄な刀を使用している都合上、かなりやりづらかった。まだ実戦で試していないので、実際は違うかもしれないが......あまり向いてはいないだろう。
そして最後、『死の境界』だが......使える試しがなかった。
シの限られた.....いや、ユジン部長しか使えない技だった。見様見真似でやってみたはいいものの、全くと言っていいほどからっきしだたった。部長はどう使っていたんだ.....?
あとの基本技はどれも使うことが出来た。防御する際にも、大柄な刀のお陰で防ぎやすい。
リウの頃の経験で、ずっと短刀身のものばかり使っていたが、今思えば私にはこちらの方があっていたのかもしれない。
ちなみにまだ炎は纏わせていない。私の刀は耐火処理を施していたから問題なかったが、これはおそらくそれがないから劣化してしまうからな。
炎を纏わせるなら、キチッとした耐火処理を施してからだ。
「あ、シグレ!ここにいたんだ!」
などと練習を重ねていると、先生が息を切らしてこちらへと来た。何かあったのだろうか?まさかまたヘルメット団が来たのか?
「敵襲ですか?」
「あ、そうそう!もう結構近くに傭兵集団が来てて......出撃してもらいたいんだけど......」
「分かりました。すぐに行きます。」
襲撃に対してこんなことを言うのもなんだが、ある意味ナイスタイミングかもしれない。
私がこの刀に相応しい態度を取れるか、その襲撃で試してみようじゃないか。肩慣らしといったところか?
そんなことを考えていた所、先生がこっちの方を不思議そうな目で見ているのに気付いた。
あ、そうか。先生は私がユジン部長の刀を手に入れたのを知らないのか。まぁ、伝えていなかったから当然か......
「あれ、シグレ......そのかっこいい刀はどこで?確かシグレの刀は折れてたよね?」
案の定、先生はそれに対して質問してきた。先生は私の刀が折れたことをかなり気にしていた様子だったから、聞いてくれたんだろう。
「アヤネさんが見つけて届けてくれたんです。これは私の......私の恩人の人が持っていた刀です。」
「なるほど.......」
先生は納得した様子で頷くと、ハッとした様子で表情を変えた。そうだな、こうしている場合ではなかったか。
ここにはもうすぐ敵が来る。それまでに迎撃態勢を整えて、準備しないと。
『前方に傭兵を率いている集団を確認!』
アヤネさんの言葉に反応して、戦闘態勢に入る。
今回の敵は傭兵集団との事で、おそらくそこらへんにいるゴロツキ集団のようなものとは違う。気を引き締めねば。
にしても、銃使いの傭兵集団か......R社を思い出すな。もう二度と敵対したくないものだが。
まぁ、多分それよりは練度が低いはずだ。大丈夫、そう考えろ。
......待った、あの集団の先頭にいるのは柴関であった少女たちか。
なにやらノノミさん達と言い合いになっているようだが、あそこにいるカヨコ......という人の言う通りだ。
公私は区別する。依頼には個々の感情は必要ない。それはシ協会の理念にも繋がっている。
そこのところ、彼女たちはしっかりしているようだ。もっとも、社長は少し抜けているようだが......
さて、もう敵となった以上容赦は必要ない。行くとしますか。
パッシブスキルが変化しました
リウ協会製の装備→抉り取る一撃(斬撃攻撃的中時、相手に出血2か麻痺1を与える)
リウ協会での経験→シ協会での経験(毎幕毎に、一方攻撃を受ける際反撃ダイス(斬撃 7~10)で反撃する。このダイスは破壊されない限り無限に使用する)
追加:ユジンの刀/鈍い斬れ味(斬撃威力+2、斬撃威力-1)
使用ページ
1 飛剣
使用時 次の幕にクイック2を得る
回避10~15 マッチ勝利時 相手に束縛1を付与
斬撃6~10 マッチ勝利時 次の幕にクイック1を得る
2 閃撃
使用時、速度が6以上ならこのページの全てのダイスの威力+2、相手の束縛と自分のクイックを参照して威力上昇(束縛・クイック1につき威力+1、上限+3)
斬撃8~10
斬撃7~12 的中時出血1付与
回避7~9
2 極剣
使用時、相手に脆弱・武装解除があるならこのページの威力+3
斬撃15~18 的中時出血1付与
斬撃12~15 マッチ勝利時 忍耐1を得る
反撃防御6~9
※あくまでキヴォトス基準です。都市だともう少し弱体化します。
※ユジン部長はこれより強いです。E.G.Oなしシャオさんも同じくらいです。
※特色はそれよりも強いです。
※都市化け物過ぎじゃない?
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ディエーチ協会ウイ
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