呪術廻戦の世界に転生したので(個人的に思う)悲劇を徹底回避しちゃおうと思います!死なないように。   作:ヨシザエモン

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天内理子は動かない

「ほんっっっっとうに申し訳ありません!」

 う、美しい……この折りたたみ傘のような薄さ──実際折りたたんだような姿勢ではあるが──には感動を禁じ得ない。芸術点がとても高い。感涙。

 ───そんなふうに感じてしまうほどの、土下座であった。我らの前で土下座する黒井さんと、その横で正座をし不貞腐れている理子ちゃん。パッと見カオスな状況だ。だってヤンキーみたいな男子高校生の前で明らかに成人済み(けど明らかに31には見えませんぜ奥さん)の女性が土下座してるとか、傍から見たら完全にカツアゲじゃん。室内だから良かったけれど。

「えぇと、こっちもいきなりはなしかけちゃって、おどろくのもむりはないかと」

「驚いたとしても、子供を突き飛ばすなんて……! ほら、理子様も謝ってください」

「厭じゃ」

 フンッ、とわざとらしく唇を尖らせてそっぽを向く。

 突き飛ばされたことに、ショックは受けたけれども怒ってはいなかった。驚いたからだろうと自分に言い聞かせていた。しかし、いざシラフで顔を合わせると、どうだ。何故かまだこちらを警戒している。後ろ二人のヤンキーにビビるのは分かる。だって捻られたんだもん。だけどぼくちんを拒絶する理由はなんだ? もしやコイツらと同類という風に見られているのか!? いや確かに、ゴジョジョが「三人で最強」と豪語するくらいにはサンコイチなんだろうけど、けど完全に同じ部類には見えなくな〜〜〜い!? 高校生と3歳だよ? いくら距離感近くてもそんな警戒するか!? いやでも「類は友を呼ぶ」って言うしな……。

「そいつ、子供のくせにべらべら丁寧に喋って気持ち悪いんじゃ」

「!?!!?」

 突然の爆弾投下に失神するかと思った。え、そこ? もうどうしようもないよそれは。そりゃ頑張れば子供っぽい喋り方もできないことは無いけど、面倒なんだよ!! 赤ん坊時代に色々制限されてたからその反動でペチャクチャ喋っちゃうんだよ勘弁してくれよぉ〜〜……まどと頭を垂れても、「じゃあいっか」とはならないよなァァァ! むしろ気持ち悪さが増してもっと距離置かれるかもだしなぁ!! となれば、やるべきことはただ一つ。

「えっと、ごめんなしゃい……」

 秘技! (クソ恥ずかしいが)拙い言葉で謝罪! &ウルウル瞳で上目遣い! 齢3才の幼子にこれをされて落ちぬ者はいない! 多分!

「う、急におとなしくなって、やりにくいなぁ……」

 あり〜〜〜? もしかして駄目な感じ〜〜〜??

「もう理子様! これからお世話になる方なんですから、ちゃんと謝らなくてはこの先やっていけませんよ?」

 そう! 黒井さんの言う通り! あーたは同化しなくても良くなって、死ぬこともないの! だからこれからも仲良くするの! 多分! だからこのままギクシャクしちゃうと仲良しるんるん未来が断たれちゃうの! お願い期機嫌直して!!

「……わかった、ごめん」

「!!! ううん、なかよくしようね、りこちゃん」

 思わず満面の笑みを浮かべてしまう。ああ良かった、これでこれからも仲良く出来るハズ!

「で、これからどうするんじゃ?」

 理子ちゃんの目線はゴジョゲトではなくオレっちに向けられていた。今までのあれこれでもうワタクシが普通の三才でないことを勘付いたのだろうか。……だとしたらさっきの秘技クソ恥ずかしいんだが。めちゃ黒歴史確定だよ。ゴジョゲトも超笑い堪えてたもん俺は聞いてたからな二人とも(怒)。

「んん、そうだねぇ。たぶん、このままこーせん行くのが、いちばんじゃないかなぁ」

 もう本当に、これから何も起きないのだ。パパ黒が沈静化されたことにより、懸賞金諸々の下りは無くなる。となると黒井さん誘拐事件も無い、つまり沖縄行きも無い。あれ? くそつまんない同化への道のりだね? 大丈夫? 特に何も思い出作られないから「もっと色んなもの見たい!(泣)」ってなるか分からんのだけども。うぇ、どないしょ、理子ちゃんが

「え? 同化するよ? 大丈夫だよ? 前から決まってたことだし。なに変な顔しとるんじゃ?」

とか言い出したら止めらんないよ? ぼくちんが変えたい未来は「笑顔で脳天パァン事件」だから、それが回避されるのならば理子ちゃんの要望に従うべきだと思う。一応同化と死は別物らしいし、理子ちゃんがそれで良いと仰るなら、誰にも引き止められない。けど個人的な願いを言うなら生きててほしい、天内理子として。

 つまり、だ。理子ちゃんに同化を拒否してもらうには、何かキラキラした思い出が必要となる。だがどうする? このままだと高専まっしぐら。こちらでこっそりプチ事件を起こすことも可能だが、もし自作自演だとバレた場合、上からどんな罰が下るか知れない。

 よし、こうなったら!

「でもさ、さいごだし、りこちゃんの行きたいところ行こーよ」

「え、妾の?」

 キョトンと首を傾げる仕草も可愛らしい。ああ、やっぱりこの子をこの世界から消すなど、考えただけで胸が痛む。

「だめ? さとる、すぐる」

 振り返ると、「しょうがねぇなぁ」という表情で肩をすくめる二人。夫婦(めおと)かお前ら。息ぴったりすぎて怖いわ。なんか縛りでも結んでんの? お前らほんと仲いいよな結婚しろよ()。なんてことは置いといて。

「いいってさ。ほら、言ってごらんよ。どこへでもつれてってあげる」

 すると。

「…………ち」

「ん?」

 小さすぎて聞こえなかった。聞き返す。

「遊園地、行きたい」

「ゆーえんち?」

 あたいは目を見開いた。理子ちゃんは恥ずかしそうにもじもじしている。赤く染まったほっぺ可愛らしいのでハムハムしていいですか()。

 すると弁明するように黒井さんが口を開いた。

「理子様は星漿体としての役目を果たす為、身体に影響を及ぼすような遊びは控えるように言われておりまして……。学校でも『病弱だ』ということにして、水泳や体育は全部見学しております」

「そんな……」

 唖然とするしかなかった。昔から「お役目」を背負っているというだけで、精神的なストレスは計り知れないものだろう。だというのに、「動けない」という制約まで付けられては、自由も何も無いではないか。いくら学校に普通に通い、外出もできると言えど。

 そんな状況下では、心が動く経験はできなかったであろう。

「そっか、そうだったんだね、じゃ、いっぱいあそぼ! あんしんして、めちゃつよなオレっち、さとる、すぐるの3人がいるから!」

 ね、と小指を差し出すと、理子ちゃんもおずおずといった様子で小指を絡めてきた。

 指切りげんまん、嘘ついたら

「針千本」

「のーます!」

 指切った!

 唱え終わるときには、眩しい笑顔を見せてくれた。ちょっとは気楽になっただろうか。

「すぐる、このちかくにゆーえんちある?」

「んーー」

 暫く顎に手をやったあと、あ、と天を見上げ、そのあとアタイと目を合わせる。揺れる前髪を目で追っていたこと、気づかれてなかっただろうか。

「あった、あったよ。確かここから一時間ほど歩いたところに」

「ええ、遠いなあ」

 うえぇ、と眉をひそめると、「こら」と叱るように人差し指を立てるゲットー。まるでお母さんのようである。

「これは理子ちゃんの為なんだから、我慢するんだ。元はと言えば梨が言い出したんだろ」

「う゛」

 完全に図星&正論アタック。何も言い返せねえ。何かうまい具合に歩かなくて済む方法は……。

「おい! 妾も歩かせる気か!? 遊ぶ前にヘトヘトになるじゃろ!」

「大丈夫だよ理子ちゃん。君は私の呪霊で運んであげる」

 ! そうだ!

「ねえすぐる、「いくら梨が強いと言えど女子高生と幼児のコンビは心配だし、私が一緒に乗るよ。悟と、黒井さんの護衛よろしくね」……うい」

 ちっ、予測してやがったか。こちとら筋肉痛治ったばっかなんだぞちくしょー。まあそんなこと任務中にこぼしたところで……って話だし、仕事に私情を持ち込むなってことでしょ? 要は。ちぇ、クソ真面目がいるとやってらんないね。

 そうだ、同じおサボり大好き人間としてゴジョジョがなんとかしてくんないかな。無下限で浮かせて運ぶとか。今のあたい、軽いしそんなに労力いらんでしょ。

 ちらりと期待を込めた眼差しで見る。しかし

「めんどくせーから絶対やんねー。てか梨だけ楽するとかムカつくし」

 拒否られてしまった。

 結局歩く羽目になってしまった梨(自称)だが、一つ疑問がある。

 目線で訴えたのはこっちだが、それだけで要望内容が分かるゴジョゲト怖くない? なんで分かんの? そんなに顔に出てる? ということで、これからの為にポーカーフェイス訓練でもしようかな、などと、歩きながら考えるのであった。

 




 最近ジョジョ見始めたのでその影響でこのタイトルです。推しは露伴先生。
 まじで「岸辺露伴は動かない」のドラマは原作知識皆無で一つのドラマとして見ても全く問題ないと思う。何も知らない人こそ見てほしいってカンジ。
 あと呪術廻戦25巻購入いたしました。これで梨(自称)にも25巻の情報がインプットされました。
 これからもよろしくお願いします。
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