呪術廻戦の世界に転生したので(個人的に思う)悲劇を徹底回避しちゃおうと思います!死なないように。 作:ヨシザエモン
おまたせしました……
アッ、待ってる人いないか……()
急
時は2007年4月。
理子ちゃんも学校に復帰し、黒井さんと仲良く暮らしている。二、三ヶ月に一度高専にやって来て一緒に遊んだりもする。逆にこちらから天内家に伺うことも時たまある。
あれから月日が過ぎ、2007年がやってきた。
灰原クゥン☆()をどう救出するか頭を悩ませていた私だが、この春、あることに気づいた。
ゲットーも救わなアカンやんけーーーー!!
あああああすっかり忘れてたァァァ!! いやまあ、大丈夫大丈夫! 理子ちゃそはちゃんと救ったし、灰原きゅんが生きていればなんとかなるだろうし……。
問題は、ミミナナちゃんだよねぇ。あれは、なんというか、闇堕ちするかしないか迷ってるところに後押しするようにミミナナちゃんが現れて、真っ逆さま……って感じだから、これまで何の曇り要素もなく過ごせている今、心配する必要はないのかもしれない。
しかし、念には念を入れよ、石橋は叩いて渡れ。呪術では「え!? いきなり過ぎない!?」なアクシデントもあるのだ(例:野薔薇ちゃんパァン!事件)。油断は禁物である。
とはいえどうすればいいのだろう。まあ、灰原きゅんを救えば、どうとでもなる、と、言ってしまえばそれまでなのだが……。
「すぐる。ちょっと散歩しない?」
「え? 急だね」
「良いから良いから」
グイグイと半ば強引に外に引っ張り出して、ボクチンは「さてどうしよう」と内心悩みながら歩を進めた。
「ねえすぐる」
「なんだい?」
完璧に美しい微笑でこちらを見てくるゲットー。お前それ幼児に向ける顔じゃねぇぞ。綺麗すぎだろ。絶対初恋泥棒になるタイプの人間だな? 私には分かんだよ!!
とまあそんなことはおいといて。
「もし、どこかでぎゃくたいされてる子がいたら、たすける?」
「何だ急に、当たり前だろう」
「だよね」
さも当然のように言うもんだから、少し肩の力が抜けた。そうだ。確かに原作でゲットーは闇堕ちした。けれど、ちゃんとあの二人を救ったのだ。だから、別に、性格が悪くなったわけじゃない。信念の揺らぎのせいで、ゲットーは変わってしまったのだ。
だから、揺らぐような出来事を排除しここまで来たゲットーは、あの双子を見ても、高専での生活を捨てたりはしないだろう。ちゃんと話し合いをして、もし話が通じないようであれば、ひとまず二人を救い出して、帰ってきてくれるだろう。もちろん、穏便な方法で。
「急にどうしたんだい、そんな事訊いて」
「いや、ちょっとね」
そこまで心配することでも無かったかもしれない。あたいはゲットーにニッと笑いかけて、ずんずん前へ進んでいった。
「ちょ、なんか元気だね今日」
「え、なに、あたくしゲンキじゃないイメージだったの?」
ボケとかツッコミとかコロコロテンション変えて、結構うるさいタイプだったと思ってたんだけどな〜。キャラ作り上手くいってなかったってコト……!?
「いや、なんか最近、何かに悩んでるみたいだったからさ。いつもより静かで心配してたんだよ」
あーね。でもそのお悩みの種の半分はお前なんだよなぁ。
……あ、そうだ。
「すぐる! ちょっとおねがいがあるんだけど!」
「えっ、何?」
困惑したような素振りを見せられるが、構うもんか。
もう半分の悩みのタネ───灰原きゅんを救うため、ここはぜひともゲットーにご助力願いたいのだ。
「すぐるってさ、じぶんのじゅれーを、だれかのお付きみたいにさせることはできないの?」
訊ねると、ゲットーは一瞬目を見開いて、「うーん」と顎に手を当てて考えだした。うーんうーんと漏れる声までイケボ。流石cv.櫻○さん。
十後秒ほど唸った後、ゲットーはそのままの体勢で、ちらっと私を目だけで見、
「その人が使役できるようにするのは難しいだろうけど、その呪霊に『この人を守るんだよ』とか『この人に頼まれたことはなんでもするんだよ』みたいに命令しておけば、まあ、似たようなことはできると思う」
「おお!」
半ば諦めていたが、イケるとは! それくらいできれば充分だろう。
「でもなんでだい? 急にそんなこと訊いて」
キョトンとした顔をされた。う、どうしよう。なんて説明して灰原きゅんに呪霊をつけさせようか……。
「未来を見ました!」とか言っても信じてもらえんだろうし、「なんか危ない気がするから」じゃあやふやすぎて信憑性ないし……。さて、そうしたものか。
「い、いやさ〜? はいばらにじゅれーつけてあげたいなーっておもってさー?」
やべぇ、結局意味わからん発言しちまったよ、どないしょーー! 考えろ、考えるんだ私、ここからうまい具合にいけぇ!
「ほら、あの子あかるいし、じゅれーともコミュ力たかめなんじゃないかなぁって。ちょっとみてみたいな〜って。もちろん一生そうだと、すぐるも、はいばらも、たいへんだろうし、このイチネンだけ! だめかな?」
ああああもう顔に汗ダラダラだよ〜! 絶対今「推しの子」のMEMちょの猫みたいな口になっちゃってるよぉ〜〜。
お願いゲットー! めっちゃ(灰原きゅんを)助けた〜い!()
「急だなぁ。でも確かに、灰原なら呪霊とも上手く渡り合えるかもね」
おっ?
「けど、一年も一緒にいるのは大変なんじゃないか?」
デスヨネー。
「じゃあさ、3かげつは?」
「まあ、それくらいなら……」
よっしゃ!
「あっ、じゃあさっ、6がつから9がつ! どう?」
詳しい月日は分からんが、絶対この間には入っているだろう、「例の任務」。
「わかった、良いよ」
「ありがとんぐ!」
にしても、とゲットーが首を傾げる。
「なんでそんなしょうもないことに必死になるんだ?」
しょうもなくねぇよ! 灰原きゅんの命がかかってんだよ! とは、言わないでおく。
「うわーしつれい。おわびとして、はいばらにあたえるじゅれー、トッキューにしてもらおーっと」
「ええ、やだよそんなの」
露骨に顔を歪めるゲットーに、私は背中から杖を取り出してみせた。その状態でちらりとゲットーを見つめる。
「べつにいま、ことわられたって、けっかはかわらないよ?」
「うわー……卑怯だよ、それは」
「いーよ、ヒキョーでも」
そう、卑怯でもなんでも、この血みどろな世界から「血」を消し去ることができればいい。
パパ黒と理子ちゃんを救ったという実績を持っているわたくしは、赤ん坊の頃とは違うやる気に満ち溢れている。言い換えるなら、「自信」がある、といったところか。
「いつかすぐるも、アタイにかんしゃする日がくるだろーよ」
「何急に」
ゲットーは、ちょっと馬鹿にするように、くすっと笑った。