呪術廻戦の世界に転生したので(個人的に思う)悲劇を徹底回避しちゃおうと思います!死なないように。   作:ヨシザエモン

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私がトッキュア!?ありえない!

 2006年4月。

 去年の思い出は女装ダンスしかない梨(自称)に思わぬ試練がやって来た。

 それは……

「灰原雄です! よろしくお願いします!」

 そう! 呪術界の太陽・灰原雄くんである!

 ぬおおおおおー!! すっかり忘れていた! 盲点だった! そうだよ灰原くんも命を落とす儚き少年の一人なんだよ! なんで忘れてたんだよバカ()

 と己をボコスカ罵るも、すぐにやめた。いや、入学してきた時点で気づけて良かったじゃないか。そうだよそうだよラッキーだよ。

「あ! 君が史上最年少特級術師『梨』? わー凄い有名人だぁ!」

「痛い痛い痛い!」

 こちらは幼児だというのにブンブン手を掴んで振ってくる。もげる、もげるて。……ん?

「いま、とっきゅーっていった?」

「? うん、入学前から噂で耳にしてたから……。え、違うの?」

 違…………う? いや分からん唐突過ぎて意味分からん。えっぼくちん特級だったの? 答えを求めるようにさしすを見つめるも準備していたかのように同じタイミングで顔をそらされた。クソが。

「せんせい、ほんとですか」

「…………」

 夜蛾センまで押し黙る始末。こりゃ一体どういうことだべ。

「……そうだ、お前は、特級だ」

 それで終わろうとする気配を感じたので、させるまいと目をがん開きにして見つめる。こうすれば大抵の術師は折れる。わたしがベリベリキュートだからではなく、「逆らったら何されるか分からない」という絶対的恐怖から従うのだ。転生してチート術式手に入れるってのは全じゅじゅオタクの夢かもしれんがこうした欠点もある。ゴジョジョにもビミョーにビビられてんだよ? (わたくし)的にはゴジョジョは他に強いやつがいても「最強」でいてほしいんだけど解釈違いなんですけど(早口)。とまあそれは置いといて。

「いや、その、お前はまだ3歳だし」

「ことしで4さいだよ」

 お前それ去年も言ってたけど間違いだったよな、乙〜wwと背後からゴジョジョの笑う声が聞こえる。ちょっとムカッと来ましたが耐えました。誰か褒めてください。

「ま、まあその、幼いだろうお前は。言っても分からんだろうと思ったし、それに」

「それに?」

「……禪院家に『梨には言うな』と口止めされていたんだ。殆どの術師がな」

 絶句した。禪院家が口止め?

「縛り?」

「だとしたら今此処で口にするわけがないだろう。その場での口約束だ」

 それもそうか。そういや「他者との縛りを破るとやばい」的なことをメロンパン(羂索)も言ってたっけ。アイツまじ許すまじ(怒)。

 おっと話が飛んでしまった。うーん、にしても何故禪院家が口止めなんかするんだ? 特級であるとオレっちが認識することで何か不都合でもあるのか?

「なんで、くちどめなんか」

「憶測、でしかないが。本当に憶測だ。本当のことは知らんぞ」

 妙に釘を差してくる。なんだか不安が募るのでササッと言って欲しい。

「なに、はやくいってよ」

「……梨が自分を特級であると認識することで更に力が強くなるのを恐れている、……のではないかと」

「は???」

 素っ頓狂な声が出た。んなわけあるかいなとツッコみたくなる。あの禪院家がそんな何の根拠もないお馬鹿なことを考えるとでも……考えそうだわ()。

「僕その口止め受けてなかったんですけど、なんででしょうか」

 灰原くんが場違いな疑問を口にする。今そんな話じゃないよ。

「さあ? まあ全国にいる術師をかき集めて口止めしたわけじゃないし多少伝えられなかった人もいるんじゃねーの」

 ゴジョジョがこれまた能天気な声で答える。場の空気読めぇ!!!

 はぁ……吾輩って入学式の日に気苦労しなきゃいけない運命なのか? とよくわからない思考をしていると、ポケットでケータイが震えた。未だスマホは日本に浸透しておらず(発売されてるのかもアヤシイところではあるが)、この丸っこいフォルムのガラケーを使用しなければいけないことに、前世で令和まで生きた身としては大変遺憾である。

「はい天才チルドレン梨(自称)です」

「おい梨」

 電話に出ただけ*1なのに軽くムカついているような、この声は!

「わぁ直ピッピどうしたの!」

「その呼び方そろそろやめぇや」

「いやや」

「ホンマ減らず口やな」

 ったく、と電話の向こうで悪態をつく直ピを想像してついくすっと笑ってしまう。直ピに怒鳴られると面倒なので、小さく。

「で、どうしたの。マニコちゃん(真希真依二人を表すあだ名)の子守り以外で電話してくることなんて今まで無かったのに」

「今回の用事も、半分はそいつらの世話や」

 ……「半分は」?

「あとの半分は」

「禪院家合同会議や。その間にマニコが暴れんよう見よって欲しい」

 あの二人が暴れるなんて想像つかないけど、という言葉をグッと飲み込む。

 わては命を救うだけではなく、作中で不憫な目に遭っている者たちも出来る限り救おうと考えている。その代表的な人物が真希真依ちゃんだ。二人は女であるというだけで疎まれ嫌われ、作中では明確に何かをされた描写はなかったが、明らかにのけ者にされていた。オレっちはそんな彼女らの立場を守ってあげるため、少し前に述べた「『逆らったら何されるか分からない』という絶対的恐怖」を利用して真希真依ちゃんを虐めるなと幾度となく訴えた。案の定言い返すものはなく、二人は食事を家族皆で食べられるようになり、お風呂にも入れてもらえ、殴られたり蹴られたりすることも無くなった。

 しかしながら真希真依の心の傷は癒えないようで、常に禪院家の人々を疑いの眼差しで見ていた。真希ちゃんは自らを蔑むものへの仕返しのような鋭い視線を、真依ちゃんは周りの機嫌を損ねないために顔色を伺うような目を、いつもしていた。二人が信じられていないだけならまだ良い。だがそうではないのだ。禪院家の男どもはやはり二人が気に入らないらしく、二人のいないところでヒソヒソと陰口を言っているのだそうだ。

 意外なことに直ピッピは真希真依を疎むこと無く、ちょっとつっけんどん気味ないとことして仲良く遊んでいる。男どもの陰口についてのことも、教えてくれたのは直ピだ。人はどう変わるかわからないなぁと感心する日々である。

 そんなわけで、まだ緊張の解けていない二人が、禪院家の合同の会議中に騒げるわけがないのだ。こちらとしては、キャッキャキャッキャと騒げるくらいまで禪院家に溶け込んでほしいものを……。

 と言っても、前に会ったのは半年前。もしかすると、それなりに明るくなったのかも知れない。まあ、多分そんなことは無いが。

「分かった。行くよ。何時?」

「10時からや。高専に迎えの車よこすからそれに乗り。ええな」

「ほいほーい」

 電話が切れ、教室のざわめきでハッと我に返る。そうだ、あたい今高専にいるんだった。

「なんだった? 直ピなんて言ってた?」

 ゴジョジョは何が面白いのかニヤニヤしている。この梨(自称)が直ピ、直ピとずっと呼ぶので、ゴジョジョも時たまそう呼ぶようになった(その度直ピッピはブチギレている)。

「あした、ぜんいんけで、かいぎがあるんだって」

「もしかすると梨が特級であることと関係あるかもしれないね」

 ニコッと爽やかスマイルをかますゲットー。お前ら本人が知ったからって口止め無かったみたいに振る舞うなよ。なんか人間が怖くなるわ。我が闇堕ちしちゃうわ。

「てことで、ごめんねはいばらくん、いまあいさつしたばっかりだけど、あしたにそなえてもうねるね」

「え、今10時だけど? 梨、お前明日何時から?」

「10時」

「丸一日寝るつもりかよ!」

 ナマケモノかよ! という叫びを背に自らの部屋に向かう。だって今のうちに寝とかないとね!

 この言葉が、後に現実味を増すことになることなど、知る由もなかったーーーーーーーーー。

*1
梨(自称)は、毎回しているこの挨拶が地味に相手をイラつかせていることに気づいていない

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