設定がある程度固まったためオリ主もののストーリーを展開しようと思いますので、どうかお願いします。
人とは自分にとって受け入れ難い現実を目の当たりにした時、それらを否定することから入る事が多い。
それが自分にしか見えないモノだった場合、どう受け入れればいいのか。
物心ついた時から、そういったお化け的なモノが見えていた。
人型のモノもいれば、明らかな異形な姿をしたモノ等嬉しくない程種類が豊富だった。
お化けは壁や地面をすり抜けていたり、人の肩に抱きついていたり、はたまた体全体に巻き付くような事をしている。
行動原理は不明であり、何をしたいのかが分からない。これといって誰かが危険な状態になったと言うこともなく、興味もなかった俺は無視を決め込んだ。
周りにあのお化け達を見える人は居なかったし、お化けがいると言って変人扱いされるのも嫌だったし、それなら初めから見えないふりをすればいい。
そう、あの時まではそう思っていた。
桜吹雪が舞い散る季節。
天気は快晴、春の訪れを表す穏やかな気候。
そんな空の下、着たばかりであろうシワのない制服を纏ってる学生達が門を潜る。
入学式とでかでかと書かれた看板の誘導に従い、体育館には父兄や来賓の方々、そして主役である新入生達が密集していた。
校長による新入生への挨拶をそこそこに、来賓や在校生代表による祝辞を終えて、振り分けられたクラスへと戻る。
担任の軽い挨拶と学校生活の基本説明をし終えて、今日の登校時間は終わった。
時間にして午前11時を少し過ぎたくらいか、お昼にするのも早い時間だが軽く飯を済ませる為にハンバーガーショップに寄る。
広告で宣伝されていた期間限定の物を注文し、袋を片手に家路に着く。
歩くこと数分、我が家へと到着。
鍵を開けて中に入れば、気持ちが幾分か楽になる。
学生服を脱ぎ、部屋着に着替えて先程買ったハンバーガーに手を付けた。
「普通だな」
これといって不味いわけでも美味しい訳でも無い。
気にはなって買ってみたものの思うような味ではなかった。
次に店を訪れた時に、もう買うことはないだろう。
「…………」
包装紙のゴミを片し終え、リビングに据えてあるソファーに仰向けに体を倒す。
入学式も終わって緊張の糸が解ける。
ぶっちゃけて言えば、面倒だと思う者が大勢いるだろう。
生徒も教員も余程のイベントでもない限りは、喜ばないし来ること自体が億劫でしかない。
「………………」
シミのない真っ白な天井を眺めていても、眠気が全くと言っていい程やってこない。
昼寝をしようと横になったが、目が冴えてしまっている。
朝に飲んだ珈琲の影響がまだ続いているのか。
「少し歩くか」
目が冴えてしまっては仕方ない。
適度に体を動かしてから眠ればいいと思い、外に出る準備を始める。
財布に家の鍵、後は少し早いが夕飯に使う食材を買うためエコバッグを持って外に出る。
軽い散歩のつもりがいつの間にか数時間も経っていた。
立ち読み目的で寄った本屋で日が暮れるまで過ごすとは思わなかったが、たまにはこういうのもいいだろう。
夕食の買い物も済まして、家の鍵を開けて玄関に入る。
「只今……」
誰もいない家の中で小さくこだまする俺の声。
今住んでいるのは自分一人。
両親はと問われれば、海外で仕事をしていると答えるしかない。
ネグレクトとかそういうものではなく、単純に親子で関心がないだけだと思う。
小さい時から両親ともに忙しい事は知っていたし、それが当たり前だと思っていた。
俺自身も邪魔をしては悪いと必要な事以外で会話をすることがなかった。
進路希望の相談もして貰っているし、生活費も多めに貰っているため仲も険悪という訳でもない。
料理とか身の回りの事はある程度教えて貰って、後は勝手に覚えた。
「…………」
リビングの灯りをつける。
物静かないつもの空間。
何度目か分からないこの空虚感。
慣れというのは感情も凍らせることが出来るらしい。
「はぁ……」
いったん深呼吸をし、気持ちを落ち着かせる。
いつも通りの事を気にする必要は無い。
さっさと食事を済ませようとキッチンに向かう。
□□□□□
作った料理は肉じゃがと切り干し大根のじゃこ和え。
最近は凝った料理を作るのにハマったのと、特売セールでじゃがいもが安く買えたのもあり、肉じゃがにした。
「いただきます」
両手を合わせて食事の挨拶をし、箸を持って肉じゃがに伸ばす。
軽く一口サイズに切り、口内へと運ぶ。
軽く咀嚼をし、飲み込む。
「………前よりは出来た方か」
今回の出来は点数にするならば65点というところだ。
人前にギリギリ出せるレベルの代物。舌が肥えてる人間に関してはなんとも言えないが、少なくとも不味いとは思わないはず。
最初に肉じゃがを作った時は味がめちゃくちゃで、じゃがいもは一口サイズほどに小さくなって食えたものではなかった。
「ご馳走様でした」
物思いにふけ終わった頃には完食していた。
食べ終わった食器をシンクに下げて、そのまますぐに洗う。
そして綺麗に汚れを落とした後は、残った肉じゃがの鍋にラップをかけて冷蔵庫へとしまう。
思いのほかかなり余ってしまったので、明日はカレールーをぶち込んでカレーにリメイクする。
これが何時もの黄金パターンだ。
「………」
ふと時計に目をやると時刻は20時を回っている。
明日の準備は昼間のうちに終えているので、後は風呂を沸かして寝るだけだ。
夜更かしは集中力を欠く行為なので、遅くても22時には寝る。
加えて明日からは本格的に授業も始まるのだ。尚更そんな事をする必要は無い。
「明日は良い日になるのかな………」
[数週間後]
入学からある程度の月日が経った。
特にこれといって毎日やる事は変わらずじまい。
強いて言うなら友達が増えた程度だ。
付かず離れずといった関係で、向こうも普通の友達と思っている事だろう。
かくいう俺はというと………
「ふぅ……久々に遠出すると疲れるな」
ゴールデンウィークを利用し、旅行に来ていた。
[栃木県那須郡那須町]
日本でも指折りの温泉街の一つとして有名だ。
自分が住んでいるところから近場ということもあり、ここを選んだ。
が温泉目当てで来た訳では無い。
「ここか……」
観光スポットが纏められた雑誌の項目に書かれていたとある場所。
殺生石と呼ばれる大きな石がある山道。
何でもオカルトスポットとして有名らしい。
確か玉藻の前が封印された怨念のせいでここを訪れた人達が倒れる事例があったそうだ。
しかし近年の環境調査で殺生石がある地域から硫黄が充満していて、それを吸った人の体調不良だった事が明らかになったため、玉藻の前の怨念は無いものとされている。
「…………」
ただの石なのだろうが、何故か不思議と引き込まれるものを感じる。
俺は石マニアではないし、こういった感覚になったのは初めてだ。
隣にいた観光客の親子もマジマジと石を眺めている。
それ程までに魅力的なものならばと思い、触れようと手を伸ばそうとした時だった。
『□□▫◻︎◻︎□!!』
咄嗟に両手で耳を塞ぐ。
何かの唸り声が頭の中にギンギンと響いてくる。
動物とかそんなチャチなものでは断じて無い。
これは何かヤバいものが来るという嫌な予感。
「(隣の親子は!?)」
急いで辺りを確認する。
親子は先程の唸り声が聞こえていないのか、楽しく談笑をしていた。
今起きた事を伝えるべきなのか、それともさっさとこの場を離れるべきか。
話したところで意味はあるのか?
『□◻︎□◻︎□□□!』
もうそんな事を考えている時点で遅かった。
その唸り声の主はもう……目の前にいたのだから。
全身から溢れ出る負のオーラと言うべき禍々しいモノを纏った赤い触手に覆われた化け物。
「逃げろ!!」
咄嗟に叫ぶ。
親子が俺の声が聞こえたのか、こちらを振り向く。
だがそれは悪手だった。
ザシュッという何が切れる音。
赤い液体が辺りに散り、俺の顔に数滴飛んできた。
鼻の奥に広がる鉄の匂い……血だ。
「っ……」
鏖殺。
先程まで幸せでいたであろう親子は、鮮やかな血の海と化した。
あぁ……この光景が夢であればと切に願う。
だが現実は甘くない。
化け物と目が合う。
そして親子を屠った一撃は、俺の腹へと刺さり大きく吹き飛ばされた。
殺生石へと衝突し、全身のあちこちから痛み、そして激しい出血がある。
「か……かひゅ………」
息をすることすらままならない。
内蔵が潰れてしまっているのだろう。
あぁ………人の命とはこんなに簡単に消えるのか。
短い人生でしかなかったが、それなりに楽しい人生だったと言える。でもやっぱり死にたくはない。
困惑と恐怖を抱え、俺の意識は暗転した。
倒れた際に、ナニカへと手が触れたことすらも知らずに。
呪術廻戦0にて登場した玉藻の前ってオリジナルじゃないから、オリジナルの設定作って出してみるかっていう軽いきっかけで書き始めました。
某運命の玉藻の前の要素が入っていますが、どうぞ生暖かい目で見守ってください。