それゆけ31Z(ザビ子)部隊   作:ふみ太郎さん

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「」は一人
『』は二人以上
【】は発言はしているが聞こえていない声
となります。


5月消えます
旧プロローグ1


走る、走る、走る。謎の異形の大群に追い付かれまいと自身の持つ体力、その限界まで身体を酷使する六人の集団がいた。

 

「アーチャーさん!他部隊との合流地点まであとどれくらいですか!?」

「あと2kmもない筈だッ!このまま進むぞ!」

「ま、まって……くださ……い、みな……さん……ひとの、から…だは、そんなはやうぷっ!!」

「ヴリティカァッ!?アタシ言ったよな!?今からの作戦前にそんな食って大丈夫かって散々確認したよなッ!?」

「う、ぷっ(プルプル」

「だぁぁぁああ!!もう良い!手貸(てぇか)せッ!!アタシが負ぶってく!!」

「あのーいちごっち?もう一人追加っていける?(プルプル」

「聞く前にアタシの背中に乗んなお前はぁあ!!いける訳あるかァァッ!!なんでお前らは二人して作戦中にこうも問題を起こすんだァァッ!!」

「いちごさん!はくのんを私の方へ!一人くらいなら背負えます!」

「できれば……私もマリーさんが……」

「お断りします」

「なんでアナタはこんな時に選り好みしてるのですか!我慢して下さい!!」

「「けぷっ」うおっ!?えっ、嘘だよなヴリティカ?おい!なんとか言えよヴリティカ!!決壊寸前とかあり得ねぇよなヴリティカ!?」

「君達、遊んでないで足を動かせ!死にたいのか!?」

「アタシ以外に言えェェッ!!」

 

叫び声を上げながら走り続ける六人の男女。なぜ彼女らがこんな状況に陥っているのか、それは今から数十日前、つまりは物語の始まりから語った方が分かりやすいだろう。

 

 

 

 

 

DAY12→プロローグ

 

 

それゆけ31Z(ザビ子)部隊

 

プロローグ 31Z(ザビ子)部隊結成

 

キャンサーの襲来、それにより人類は住む場所を追われ全人口の約9割が失われた。

宇宙より飛来したと呼ばれるキャンサー。この個体には元来の武器と呼ばれる物が何一つ効く事が無く、人類は絶滅の危機に陥っていた。

そんな危機の中、人類はキャンサーに対抗出来る手段を手に入れた。セラフと呼ばれる武器を扱う少女達。傷付き、それでも人類を解放せんと立ち上がる少女達を人々は———セラフ部隊と呼んだ。

 

 

 

 

 

「———このように本基地は学校としての体制が整っています。詳細は後ほど貴女達の担当教官から説明があるので確認しておくように」

 

壇上の上、軍帽を被った赤髪の女官がこれから必須と言える必要事項を眼前に並ぶ幾多の生徒に告げる。

そんな生徒たちの中一組の男女が居た。

片や服の上からでも分かる鍛え上げられた肉体を持つこの基地では数少ない赤髪の男子生徒。

片や茶色の髪をストレートに伸ばしクラスで3番目に綺麗と呼ばれるであろう容姿を携えた女子生徒。

そんな二人がパイプ椅子に腰掛け大勢の者達の中に紛れ込んでいた。

 

「……マスター、BBの話をどう思う?酷な事を言うが、私としては彼女の話を信じきれないという側面の方が強い」

「………(コクコク」

「ただ、あの話を信じなければ私がこうして君からの魔力無しで現界出来ている状態に説明がつかない」

「………(コク…コク」

「君は……ふっ、そうだな愚問だったな。君が彼女を信じないなんて事はないな。その力強い頷き……BBはもう私達の味方だと信じているんだな」

「………(コク………コク」

 

男性の言葉に頷きを返す女性。心が通っているかのような二人のやり取りに周りにいる女性陣は誰も声を掛ける事が出来ずにいた。

 

「……あのぉ、すみません。ちょっとよろしいでしょうか?」

 

いや、一人勇者がいたようだ。

 

「むっ?ああ、すまない。煩かったな言葉を慎もう」

「いえ、別に謝られる事ではありませんので、それでですね。貴方様の隣に座られている方ですけど———」

声を掛けた女性———綺麗な紫色の髪を伸ばし頭の左右にシニョンを作っている女性は言い辛そうに一度切った言葉を続けた。

「寝てませんか?」

「………(チラッ」

 

紫髪の女性の言葉に思わず横目で茶髪の女性を見る男性。その視線の先には確かに頷きを返してはいるが、男性の言葉に関係なく頷きを返す眼を閉じた女性の姿があった。あと、よく見れば鼻提灯まで出ている。

 

「……私と彼女ほどの仲になれば寝ている間でも意思疎通が出来るんだ」

『いや、無茶があるだろその言い訳!?』

 

それがこの会話を聞いている者達の総意である事には間違いはないだろう。

 

「まあ!そのような事は初めてお伺いしましたが、仲が深まるとそんな事が出来るようになるんですね!私スゲー事を知りました!」

『いや、そんな訳ないから!騙されてるからッ!!』

 

どうやらシニョンの女性は純粋に位置する女性なのかもしれない。それも清廉潔白に位置する程の。

「ふむ…罪悪感で胸が一杯だが、気にしないでおこう。ところで、君の名前は何と言うのだい?」

「私ですか?私は佐月マリと言います。ここで商人紛いの事をしていますので、良ければ御贔屓にしていきやがれ」

「丁寧語と荒っぽい言葉が絶妙なコントラストを生んでいるな。まるで新言語を聴いているような心地になったよ」

「マジですか、私新しい言語の生みの親になっちゃいましたか?」

「ああ、新しい言語を作ったようだよ君は。ついでに言っておくと私は衛宮士郎と言う。ここでは珍しい男性セラフ部隊員らしい。よろしく頼む」

『いや、ついでで告げる情報じゃないんだけどォォッ!?』

「それはそれはよろしくお願いしますね衛宮様」

「ああ、よろしく頼むよ佐月君」

 

うふふ、はははっと、非生産的なのか生産的なのかよく分からない会話を繰り広げていた彼らに突然のアラートが鳴り響いた。

 

 

「全員、防衛態勢へ移行して下さい」

 

 

壇上の端にいた金髪の女性が言葉を紡ぐ。

 

「防衛態勢……話に聞くキャンサーというヤツか?」

「話に聞くですか……まるで今まで知らなかったかのような言い方ですね?」

「まるでではなく実際その通りでね———っと一旦この話はここまでにしよう。そろそろ私達も移動しないと教官殿に怒られてしまう。マスター、緊急事態だ起きたまえ」

 

喧ましい緊急アラートが鳴る中、エミヤの手によって残念美少女が鼻提灯を割りながら起きる。

 

「むがっ……何この音?」

「緊急事態だそうだ。BBとの会話は覚えているか?」

「………セラフどうとかキャンサーどうとかの事?」

「よし、問題はないようだ。待たせたね佐月君、我々も移動しよう」

「はい!」

 

大多数が移動を開始している方向へ向かって三人共が歩みを進めた。

 

 

 

 

「———次防衛ラインを突破。30分後にはこの基地へ到着すると予想。数の総数はさほど多くありません。哨戒部隊だけで十分対処は出来ると考えられます」

「そう……良い機会だから貴女達に後方支援をしてもらおうかしら。急いで出撃準備を整えて」

 

金髪の女性と軍帽を被った赤髪の女性のやり取りを聴き入っていた者達が突如自分達の方へその言葉を言われ驚愕の声を上げる。

 

「アタシら!?嘘だろッ!?」

「後方支援どころか戦い方もろくに知らないのに……」

「横暴よそんなの!!」

「ん、あの人だれ?」

「どうすれば……」

 

若干一名おかしな者がいるが、それぞれが思い思いに声を上げる。

そんな統率も何も取れていない中、やっとのこさ追い付いたエミヤ達は声だけを頼りに前方の状況を把握する。

 

「大分と揉めているようだ。ふむ、軍に招集されたばかりならこの動揺も致し方ないか」

「軍………?ああ、そう言えばここは軍だったっけ。忘れてた」

「衛宮様の御連れの方は何と言いますか……随分と個性的な方ですね」

「もっとストレートに言ってくれても良いんだぞ佐月君」

「マジですか!ならどストレートに言っちゃいますね!」

「佐月さんって言うんだよろしくね。私は岸波白野って言います」

「はい、よろしくお願いします岸波様。それと、私自分でもマイペースな方とは自覚してましたが、上には上がおりやがる事にわたし驚きを隠せません!」

「本人を前にして包み隠さず話す君は確かにマイペースだな」

「ほう、つまりこれは褒められたと見るべきだろうかアーチャー?」

「9割方貶されていると思うが、彼女の事だ変な意図は無く素直に賛美だと思うぞ。普通ならあり得ないが」

「そっかありがと佐月さん」

「いえ、とんでもありません」

「とんでもはあるんだぞ二人とも」

「そこ!静かにしなさい!時間がないのを聞いてなかったの!」

 

三人の会話と言う名のドッジボールが聞こえていたのか前方の赤髪の女性からの叱咤が飛ぶ。

 

「ああ、すみません!次は無いように気を付けます!君達が真面目に話を聞かないから怒られただろう」

「でもアーチャーも聞いてなかったよね?」

「そうなるとやはり衛宮様も私達と同じ穴の狢では?」

「………ここにいる全員が今から出撃するそうだ。サポートはあそこにいる教官殿達がするそうだから安心して戦場に出ろとの事だ」

 

ジト眼を二人に向けながら説明するエミヤ。その説明に女子二人による拍手が巻き起こるが本人にとっては何も嬉しくはないだろう。

「流石は私のサーヴァント、私はアーチャーがちゃんと聞いてるって信じてたよ。今後もよろしく」

「流石です衛宮様。この後の戦闘もその調子で私達のサポートをしやがれです」

「君達の面の皮はどこまで厚いんだ?」

 

エミヤが二人の発言に呆れている間に前にいた者達が一斉に動き出す。

私達も移動しよう。2回も教官殿に叱られるのは御免だ

エミヤの言葉に二人は首を縦に振り、その場を後にした。

 

 

 

 

 

宿舎を抜けた先、軍帽の女性が生徒を待つように佇んでいた。

 

「貴方達で最後かしら?」

「いや、私達の他に金髪の子と水色の髪の子がまだ中にいたな」

「あの子達ね……いいわ。貴方達はこの先の集合地点へ先に行きなさい。この道を真っ直ぐ進んだ先にある橋に他の者達もいる筈よ」

「分かりました。行くぞ二人とも」

 

三人は軍帽の女性の横を過ぎ真っ直ぐに歩みを始める。

 

「手塚司令官様に溜め息を吐かせるとは……あの二人ヤベェですね!」

「うん。私達じゃ逆立ちしても出来そうにないね。あと手塚司令官って言うんだあの人。手塚が苗字で司令官が名前?」

「この会話を聞かれていたらもれなく君達も溜め息を吐かれる人物のリスト入りだっただろうな」【セラフさんセラフさん。今日は、今日こそはよろしくお願いしますね?】

「それは勿体無い事をしたね」【すもも、銃は持ったか?忘れ物はないか?困ったことがあったらお姉ちゃんに遠慮なく言えよ?】

「無名より悪名って言いますしね」【……神秘が一つ、神秘が二つ……】

「頼むから無名でいてくれ……」

 

三人が通り過ぎる間にすれ違った個性豊かな三人の女性がいたが、この時の三人は気付かない。

何を隠そう彼女達を含めたこの六人こそがこの物語の主人公であり、問題児を集めた部隊なのだ。

ただ、この三人とエミヤ達が31Z部隊として任命されるのはもう少し後のお話である。

 




今話捕捉
金髪の子=原作主人公
水色髪の子=原作ツッコみ魔人
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