自分で見直して読み辛過ぎて頭を抱えるレベルでした。テンションハイ時に投稿は駄目だとつくづく思った今日この頃。
「ひさめー」
ぁぁ、またこの夢か
所々にガタが来始めた年季の入った道場の境内。素振りをしてる過去の私とそれに近付く翡翠の姿が映る。
「なんですか翡翠、私は素振りで忙しいのですが……」
「いやぁ、緋雨が見えたからつい…えへへ」
人懐っこい笑みを浮かべる翡翠に私は呆れながら彼女に問う。
「そんな仲良しこよし染みた事をしても継承戦で手加減はしませんよ」
「うっ、だめぇ…?」
「だめです。と言うよりも八百長して手に入れた力で誇れますか?」
「えっ?誇れるけど」
「誇れるけど!?」
思い掛けない翡翠の言葉に素振りを止めてしまう過去の私。いや、今冷静に考えてもこれは翡翠がおかしいだけですよね、素振りを止めた私って何もおかしくないですよね!?
「あっ、止まった」
「止まったではありませんが!?貴女の剣士としての感性どうなっているのですか!!」
「だってーねぇ、私達ってまだまだ成長途中だから、この歳での実力が全てって訳でもないと思うから八百長で勝っても別に良いかなって」
「良いわけないでしょうが!」
「あっ、そうだおしるこ出来たんだった食べる?」
「今言う事ですか!?いただきます!!」
道場の中へと戻る翡翠のあとに続いて過去の私も駆ける。
これは私の大切な思い出、そして忘れてはならない戒めの記憶。
キャンサーがこの地に舞い降りたのはこれから約1年後の事だった。
「ぅぅん……」
少し寝心地の悪さを感じながら外から漏れる光に薄らと意識が浮き上がるのを感じる。
もう朝なのかと怠惰な思考を回しながら薄らと眼を開ける。しかし、普段の私の位置なら朝日なんて当たらない筈なのですが……
「(あぁ、そうか……私30Gから変わったのでした)」
昨夜、BBさんより告げられたチーム編成の件を私は他人事のように振り返った。
あの陽だまりの中を泳いでいたかの様な30G部隊での日々は確かに私の心に安らぎを与えてくれました。しかし、それだけ。安らぎを与えていただけで私の罪が軽くなる事はなかった。
「(まぁ、自身の罪を他人にどうこうされる方がちゃんちゃらおかしな話なのですが)」
自分の思考に結論を付け、起き上がる為に腕に力を込める。しかし、腕は私の意思通りに動く事はなく、現在の体勢を維持したまま硬直する。
この感覚は……何かを抱き締めてる?抱き枕なんて買ってない筈なのに……30Gじゃないしもう買っても……いえ、そんな事は許されません!部隊が変わったとは言え私はこの31Z部隊の先輩。そんな私に子供っぽいところなど……!
そこまで考えて私は左腕に重みを掛けている何かに眼を向ける。
「に、に"るゔぁ…な……」
例えるならば……そう、それは
いつからそこにいたのか、なぜ私の布団の中に入っていたのか、様々な疑問が思い浮かびますが、この場において当事者である私が行えた事は一つだけであった。
「キャァァァァッッ!?!?」
悲鳴と思考の手放し。パニックに陥った者が当然するであろう行動。天才たる私がそこらを歩く凡人の如き行動。私の31Z部隊最初の朝はそんな騒動から幕を開けた。
「それでは先輩、点呼を開始して下さい」
朝のブリティカさんとの一悶着の後、私は大変不本意で認めたくない私の悲鳴で叩き起こされた他の方達と共にエントランスにて眼前に立つBBさんより今後の身の振り方のレクチャーを受けていた。
「ワン」
「ツー」
「スリー」
「フォー」
「ふぁ、ファイブ!」
「シックス」
「31Z部隊総員揃っているようですね。正直ヴリティカさん以外では今更ながらの話しになりますけど、一人でも欠けてしまいますと作戦や行動に支障をきたします。今後はこの6人での行動が基本となりますので人数の確認は怠らないで下さいね」
いや、怠る怠らない以前の最大級の疑問が頭に浮かんだのですが!?えっ、ちょっ待って下さい!?ヴリティカさん以外今更ってなんですか!?軍隊行動経験者なんですこの人達!?右も左も分からない雛鳥を育てる気持ちで赴いた私の気合いを返してくれません!?話が違くないですかBBさん!?
「ちょっと待てよ」
あっ、いちごさんが待ったを掛けてくれました!そうですよね!いきなり6人行動うんたらなんて聞けませんーー
「おい、白野。なんで点呼を日本語じゃなくて英語で言ったんだ?急すぎて一人乗り遅れてたぞ」
違います!それは確かに思いましたがそこじゃないです!あと、気を遣って名前を出さないでくれたと思うのですが皆さん気付いてますよね!?横からの視線で凄く居心地悪いのですけど!!
「いやー、ヴリちゃんが日本に慣れてなさそうだったから……ね?」
「ね?じゃねぇよ。昨日バリバリ日本語使ってたヤツが慣れてねぇ訳ないだろ」
「そんなことないよ。ねーヴリちゃん」
「ソデスヨ、ワタシニホンゴムズカシクテウマクツカエマセン。ツカエルコトバ、シースー、フジヤーマ、メイド服ダケデス」
「なんで前2つの発音が間違ってるのに最後のだけ完璧なんだよ。どんな覚え方したらメイド服だけ完璧に覚えれるんだ」
「いやぁ、日本に来る前に親友のボブから日本のメイド文化の良さを丸一日説かれましたからね。そのせいでしょうか?」
「ヴリティカさん?なぜ私の方を向いて発言されるのでしょうか?違いますよ、これはメイド服ではございませんからね。あと言っておきますが、次、手を出したら貴女の両手両足を引き千切りますからね」
怖っ!?佐月さんってこんな怖い事言う人だったのです!?昨日までの印象なら優しい温和そうな人だったのですけど!?
「こらこら、仲を深め合うのは良いが時と場所を考えたまえ」
「いや、仲を深めるどころか死傷者出ませんかこれ!?」
「大丈夫だろう。流石の彼女達でも初日から問題行動を起こす筈あるまい。その証拠に見てみなさい小笠原君、彼女達のじゃれ合う姿を」
まあ、確かにそうですよね。初日から問題行動を起こす部隊があってたまりますか。
衛宮さんにそう告げられた私は衛宮さんに向けていた視線を佐月さん達の方へ戻す。
「ワーン!ツー!!」
そこには目線を外した数十秒間の間に何があったのか往来の場でプロレス技を掛ける佐月さん並びにそれを受けるヴリティカさんの隣で大声でカウントを数える岸波さんの姿があった。それを止めれるであろう頼りのいちごさんは完全に私に構うなオーラを放っている。
「いや何やってるのですかあれー!?」
「んっ?いや、ヴリティカ君が性懲りも無く佐月君に手を出したから……ね?」
「ね?じゃありませんけど!?なんとなくそうかなって思いましたけど、流石に止めません!?周り見て下さいよ!集まってる全部隊が私達の事見てますよ!!」
私の言葉に衛宮さんはやれやれと言った感じで首を横に振る。いや、やれやれじゃないのですけど!?周りの視線が完全に痛い子を見るモノなのですが!?
「はぁ、よく考えてみたまえ小笠原君。私達が相手にしているのは常識では考えられない変態だ。少しキツめのお灸を据えた方が良いとは思わないかね?」
「思いませんけど!?そもそも今ここで行われているヴリティカさんに対しての悪評は私達にも満遍なく降り掛かりますからね!?」
「それも承知の内だ。それを見越しての今回の対応だ。見たまえヴリティカ君のあの反省した姿を、あれだけの事をしたのだ再犯が起こったとしてもそれは先の話ーー」
「痛い痛い痛い痛い痛いタイタイタイタイ!!ですが角度的にはくのんのパンツと佐月さんのおっぱい触れてるので私的にはプラスでありご褒美です!ありがとうございます!!」
再度衛宮さんから視線を戻した先、私達の前にはそんな事を大声で叫びながら喜ぶブリティカさんの姿があった。
「何も反省していないのですけどあの人ぉぉッ!?」
「………まさか想定よりも数段上の存在だったとは、私の心眼もまだまだだな」
「いや、何の事言ってるのか全く分かりませんけど、多分上じゃなくて下だと思いますよアレ!完全に人としての道を踏み外してますよあの姿!」
「いや、あれは道を踏み外してるのではなく本能そのものなのだが……まあ、ゆっくりと理解していきなさい」
「したくありませんけど!?ちょっとォッ!?本能ってどう言う事ですか衛宮さん!あっ!こら待て!逃げるな!!」
「今日の朝飯かーにかなっ!」
「なーにかなっのテンポでなに勝手に朝飯決定してんだよお前は。朝から蟹が食卓に並ぶ訳ないだろ。上級国民ですら朝から食うヤツいねーよ」
「いや、でも昨日激辛麻婆豆腐だったし……」
「理由になってねーよ。なんで昨日の夜麻婆豆腐食ったら朝から蟹が食卓に並ぶんだよ」
「勘弁してやってくれいちご君。マスターからすれば地上に出て2日目の朝、並びに初の朝食でもあるんだ。希望ぐらい持たせてやってくれ」
「衛宮さん。この場合希望を持った少女というよりただの世間知らずが生まれているだけですよ?」
私の前方1メートル先にて生産性が皆無と言っても許されるような話をする白野さん達を見て私は一人思考に耽る。
BBさんの話では白野さんと衛宮さんはとある戦争の勝者と言っていましたが……まあ、確かに衛宮さんは身体付きや歩き方から武人特有の最適化をしていますが、白野さんはこれといって特出したところが………いちごさんやマリさんと比べても全く違う………と言うかあの二人の歩き方もおかしくありません?えっ、待って下さい。この部隊私を含めて半数以上がその道の人間です!?嘘ですよね!?もしかしてこの部隊って………
「やれやれ、そこまで深く考え込まなくても良いと思いますよ。小笠原さんが思ってるよりも単純明快な事柄が前に広がっているだけですから」
擬音に表せばひょことでも言うのだろうか、彼女達の後ろ姿を追っていた私の目の前に褐色肌が姿を表し視界の大半を攫っていった。
「うわっ!?って、ブリティカさんですか。驚かせないで下さい。なん何ですか一体……」
「いえ、小笠原さんがしょうもない事で悩んでいそうでしたので少しでも和らげようかなと」
和らげるって……ちょっと待って下さい。この人今ナチュラルに人の思考読んでませんでした?私の考えてる事的確に当ててません?
「エミヤさん達が人殺しかどうか考えていたのでは?ああ、でもそれだと白野さんを見た時に首を傾げていたのがおかしいですね……動き方を見てたのです?そちらには疎いですが、小笠原さんから見ての武人特有の足運びとかを見てた感じですかね?」
怖っ!?9割方当たってるのですが!?エスパーか何かですかこの人!?
人の心を読む妖怪とか日本にいた気がしますけどそれらの子孫なんじゃないですか!?インド人ですけどッ!!
私の動揺した姿が心底不思議なのかブリティカさんは首を傾げながら言葉を続けた。
「そこまで驚くことありました?………ああ、思考を読まれた事についてです?それならただ単に小笠原さんの現状と目線や動き等の身体的情報から一番可能性がある物を選んだだけですよ。別段読んだ訳ではありません」
「いやいやいやいや!充分読んでますよ!?なにこれくらい皆出来るでしょ?みたいな顔してるのですか!?出来ませんからね普通!!」
「皆ではありません、小笠原さんなら出来ると思っているのですよ?」
「人を超人か何かと勘違いしてませんか!?私が出来るのは相手の呼吸での次の動きとかだけですよ!」
「十分出来てるではないですか」
よっと、と鼻先三寸の位置にあった顔が声と共に離れる。どうやらヴリティカさんが後ろへと軽くジャンプをしたようだ。あっ、たたら踏んだ。
「BBさんが何かしら意図して情報を開示してないのは確定的だと思いますよ。ですが、それが何か問題でも?」
なんでもないことを言うようにヴリティカさんは言葉を続けた。
「歩み足でしたっけ?その歩行。武の道と言いますか剣の道には精通してませんが、31Fの夏目さんとは比べ物にならない程精錬されていますね」
先程まで暴れていた心が落ち着きを取り戻した。
「それに呼吸法も独特ですね。未熟な身体で十二分に実力を発揮する為の最適化がよくなされてる」
彼女の声を聞くたびに自分の心が冷え切っていくのが分かる。
「あと、部屋にあった刀、あれも相当な業物ですね。良く手入れも行き届いています……そうですね、もっと詳しく言い表すなら血で錆び付かないよう良く整備が行き届いているーー」
「着ーいたー!」
「ッ!?(ビクッ」
そんな白野さんの声にヴリティカさんの声が途切れ私の心に熱が宿る。先程まで色を無くしていた目の前の視界に色彩が戻った。
「かーにかーにかーにー!」
「はぁ、軽い
「こらこら、しっかり食べないと支障をきたすぞ」
「そうですよいちごさん食べれる時に食べないと後から後悔しますよ」
「食欲無くしてる原因その1とその2は黙ってくれねぇか?」
わいわいと食堂の中へと入って行く白野さん達のあとに続くように駆け足で後を追う。
「ヴ、ヴリティカさん。その話はまた後で!今は朝ご飯を食べましょう!」
後ろを振り向く事なくそう彼女に告げ自動ドアを開ける。
入る間際、幾許か恐れの気持ちを抱きながら振り向いた先に見えた彼女の顔はどこか悲しを伴った表情をしていたような気がした。
「ワタシはまたコミュニケーションを間違えてしまったようですね。
……人間って難しいですねボブ………」
今話捕捉
翡翠=原作、小笠原緋雨の友人。過去に色々とあったようだ。
シースー、フジヤーマ、メイド服=海外から見た日本の評価はこの三点で決まると言っても過言ではないらしい(諸説あり)
DAY1は今のところ3話の予定です。