王女を実力者に変えたくて!   作:〇坊主

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一章
一 序話


 

 突然だが、諸君らは王女たる存在は好きだろうか? 

 

 王国の未来を担う大切な存在にして、国王の娘という立場。

 政治というものに関わる機会も少なくなく、幼い身には想像もできない程の責任感を有する。

 当然ながら周囲の者達からは一定の距離感を保たれた関係を築きつつ、学術や護身術を叩き込まれる日々。王族たるモノ、弱みを見せるような行動や言動は控えるべきものであり、常日頃周囲に気を巡らせなければならぬのだ。

 それは当人からすれば大変な日常であるが、それを知らぬ者達からすれば羨望の的。

 要は好きなのである。ラブなのである。

 

 飛躍しすぎ?

 否。かつてノーベル平和賞を受賞された偉人はこう言い残している。

 

『愛の反対は憎しみではなく、無関心である』と。

 

 つまり皇女を一目見て、無関心にならずに皇女様は美しいやかわいい、かっこいい等々の感情を抱いた時点でそれは愛だと言えるだろう(誇張)。

 

 おっと話が逸れてしまった。

 つまり何が言いたいのかというと、それは…

 

 

強い王女様って、良いよね!

 

 

 そういうことである。

 私は王女が好きだ。

 

 凛々しい姿が好きだ。 

 麗しい姿が好きだ。

 微笑む姿が好きだ。

 苦悩に歪む姿も好きだ。

 絶望に堕とされる姿も好きだ。

 だが痛々しい姿にされるのは嫌いだ。

 字違いだが皇女も好きだ!

 

 そんな私だが、最も好きな王女像が存在する。

 そう!

 それこそが、

 

 絶望すらも突き破り、道を切り開いていく王女の姿である!

 

 敢えて言おう。私はそんな王女が大好きだ!

 

 そんなわけで私の眼前には必死に鍛錬を続けてはいるものの、上手く成長に繋がらずに燻ってしまっている発展途上な王女様が一人。

 ショッキングな出来事が起こってしまったのか、非常に落ち込んでしまっている。

 おそらくは放っておいたとしてもいずれ立ち上がり、さらに磨きをかけるだろう。

 

 だがそれでは駄目だ。

 なぜならそれをしてしまえば、成長の機会が何時になるかがわからないからだ。

 彼女が目指した高み。積み上げてきた剣才を、一時的にとは言えど遊ばせるのは非常に勿体ない。

 何よりも、折角なら王女と仲良くなりたい(下心満載)!!

 

 今我々が置かれている状況はなんだ?

 傷心中の王女。

 そこに現れる同世代(だと思われる)怪しい人物。

 警戒されつつも、王女が向かうべき()を示す。

 己が進むべきモノを知った皇女がひたすら研鑽を積み、未来にて襲い掛かる敵をバッタバッタと薙ぎ払う。

 王女でありながら、王国最強の魔剣士としてその姿を歴史に刻む…。

 その背を見つつ、私が育てました感を出しながら自宅で静かにカフェ気分を満喫する世界の異物(転生者)

 

 最高じゃあないか!

 乗るしかあるまい!このビックウェーブに!!

 

 まぁ自分自身、剣の才能はないけどなんとかなるだろ!(無責任)

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 彼と出会ったのは、雨が降り続ける一日だった。

 

 物心ついたときから教わってきた私の剣。

 努力は当然していた。指南役の教えに習って剣を振る。自分の魔力を練りあげて身体能力を強化させて動きを洗練していく。

 剣の勉強を怠ったことはない。

 それは姉様の剣に追いつきたかったから。

 努力を重ねればいつか姉さまと共に並んで歩いていける。そう信じていたから。

 

 勿論今でもそう思っている。

 いや、ちょっと違うわね。…否が応でもわからされたと言ったほうが正しい。

 

『勿体ないな』

 

 それが彼と出会った時、最初の一言。

 

 顔を上げると見たことない人がいた。

 当然ながら初対面だった。

 王族の敷地内に誰にも気づかれずに侵入できる少年という異常事態に気づいたのは彼がこの場を離れ、周囲が慌ただしくなった時だった。

 

 判断力がそこまで鈍ってしまうぐらい当時の私は落ち込んでしまっていたのだ。

 幼いながらも必死に積み上げてきた人生()。それが周囲から“凡人の剣”なんて蔑称で呼ばれていることを知ってしまったからだ。

 

 あまりのショックで一日の学業が身に入らず、胸中に溜まったモヤモヤを少しでも減らそうとがむしゃらに剣を振り続ける。

 そんなことを身体が出来ていない時期にやっていたら立ち上がるのが困難になるほど疲弊するのは考えなくてもわかることだった。

 

 教えられたモノとは異なり、ただ剣を振るだけのめちゃくちゃな動き。

 それを彼はずっと見ていたのでしょう。

 勿体ないという言葉の意味を、当時の私は知る由もなかった。

 当然よね。だって現実に打ちのめされて何も考えず、闇雲に剣を振り回していただけだったんだもの。

 

 でもある程度実力がついてきた今ならわかる。

 彼は私の魔力制御能力を指していたんだってことに。

 

 今では私も色々と持て囃される立場にいるけれど、それは彼が私を気にかけてくれたのが一番大きかった。

 周囲にいた使用人達が私の剣をどう言っているのか知ってしまった以上、信頼度なんて最底辺に近かったわけだし、何よりも身近に、親密に接してくれた……いっ…い…異性だし…。

 っ!笑ったわね!?不敬よ!私じゃなければその首なんて飛んでいてもおかしくないんだからね!?

 全く…それなら最初から揶揄わないで欲しいのだけれど…。

 

 まぁいいわ。

 そんな流れもあって周囲の目を盗んでは色々教えてもらう日々を過ごしていた。

 彼は剣術に関してはドがつくほどの素人だったから主に習ったのは魔力に関わるものなのだけれどね。

 彼って凄いのよ?だって―――――

 

 

 

~~~《中略》~~~

 

 

 

―――ほんとにさっぱりだったのかって?

 それは本当よ。だって10歳の私が一方的に倒せるぐらいだったのよ?

 なんでも有りだったら触れるどころか、間合いに入ることすら出来なかったのだけれどね。

 

 …なに?そんなに驚く内容じゃないでしょうに。

 私の師よ?正面から戦おうなんて考えで勝てるはずないじゃないの。あの(・・)“シャドウ”にすら互角にやりあえるのよ?それは貴女も知ってるじゃない。

 いや本当にあの二人ってどんな鍛錬をして生きてきたらあそこまで至れるんでしょうね?

 追付く気満々なのだけれど、やっぱり気になるものは気になるわ…。

 

 あぁ、話が脱線したわね。

 えーっと彼と出会って鍛錬を積んでいたのだけれど、魔力制御の指南役から色々と難癖付けられるようになってきたから物理的にわからせたのよね。申し訳ない気持ちに一瞬なったのだけれど、そいつも確か裏で私の事を笑ってたからざまーないわね。

 そこで魔力制御が他よりも鍛えられていることを知られたってところよ。

 

 あとは貴女も知っての通り、ミドガル魔剣士学園に通うことになって、ディアボロス教団が引き起こした数々の事件に巻き込まれて、シャドウガーデンとの因縁も生まれたわ。

 今考えればあの学生生活に起こった出来事おかしいでしょ。短期間にどれだけ事件起きてるのよ…。

 

 武神祭?

 とても有意義な時間だったわ。

 あんな事件が起きちゃったけど、《武神》ベアトリクス様と手合わせすることもできたから武神祭だけで見ればよかったわ。ただ一つ不満点があるとすれば彼が観戦していなかったことよ。ほんと私が色々と覚悟を決めて誘ったっていうのに当日になったら席に居ないってどういう了見よ!

 問い詰めてもどうしても外せない用事が出来てしまったとかで謝られたわ。

 まぁ、あの顛末で察したから許すけど…。

 ん゛っ。なんでもないわよ!

 

 あとは…え゛!?

 い、いや…それは…言えないわ!

 た…確かに大体の事には答えるとは言ったわ!言ったけれどっ!

 それは言えない!!言わないわよ!絶対言わないからね!!

 はい!インタビューはここで終わり!閉廷!!

 

 

 

 

 

―――ここで打ち切られてしまったが大変貴重な話を聞けたと思う。

 

―――今後は《嵐纏(らんてん)》様だけでなく、《炎皇(えんおう)》様からもお話を聞かせて頂こうと思う。

 

―――紀伝体 王国を知る『王女』より一部抜粋。

【興味本位】挿絵があったら見るのか

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