ミドガル王国。
現代っ子として生まれてきた者達から見れば中世的な階級社会を形成している国家である。
文明レベルは当然ながらインターネットなどは存在せず、馬車などの家畜を用いた移動手段が主に普及している程度である。
これはそこまで文明開化が行われていない証拠でもあるのだが、最近蒸気機関車を生み出そうと技術面を極めた者達が研究室で試行錯誤をしていることから、技術進歩は思っている以上に近いのかもしれない。
それに関して魔力というものを持っていないかつての身であったのならばとても喜ばしいことだろう。最も今となっては魔力で肉体強化を施して全力ダッシュする方が確実に早く目的地に辿り着くことができるし、何よりもこの世界で培ってきた技術が自分にはあった。
それは“ゴーレム”である。
ゴーレムとはユダヤ教の伝承に登場する泥人形であり、いわゆるロボットのような存在だ。
ヘブライ語で「
某ゲームであるドラ○エに出てくるゴーレムは岩の巨人のようなイメージであり、それをプレイした者達からすればそちらのイメージが容易いと思う。そしてそれは自分にも同じことが言えた。
「やっぱりゴーレムは無骨でデカいイメージにするとまんまド○クエのモンスターだなこれ…」
自分の眼前には知っている人が見れば全員がゴーレムだ!と言いそうなフォルムのゴーレムが立っている。
思いつきで生成しただけであるので動くのは自分が何か命令をしなければならないが、このまま動かしていれば何も知らない人が通報して騎士団がやってくることだろう。
まぁそうならないためにわざわざ王国から離れて生成したのであるが、しばらく眺めて満足したためそのまま元の素材に戻るように命を出した。
ボロボロと崩れて大地と同化するゴーレムを眺めつつ、今後の作成予定を脳内で組み立てながら王国へと足を運んでいくのだ。
時間としては寮の門限にも余裕をもって間に合うぐらい。
過ぎていても上空から帰宅するためバレる心配はそこまでないだろう。
「うーむ…もうちょっと伸縮性があればドローンのようなものも作れると思うんだが…別角度からアプローチしてみるか…」
自分がこの世界に転生してからというもの、魔力の存在を知ってからは基礎的な学習以外は全て己の趣味に注いできた。
そのうちの一つがこのゴーレムであり、この魔力制御技術のおかげで物資の運搬などが個人でできるようになったのである。
生れ落ちてから学んだ知識として、この世界では魔法という概念が存在せず、魔力自体は身体や武具の強化に充てられるものでしかなかった。
だが実際は魔力操作を極めれば傷口を修復することはおろか、千切れた腕を治すことだってできる事実は全く知られてはいない。
居たとしてもその領域に至るには莫大な魔力でごり押しするか、緻密な魔力制御によって成すかの二択になるため、誰それと真似できる技ではないのだろうと考えている。
魔力の有無は才能と決めつけている節があり、貴族たちが優位に立っているのも生まれ持った魔力量が一般人よりも多く、力押しで勝ててしまう現実があるからだろう。
魔力が体外へ出ていくと制御が困難になるという性質があることも魔力制御の技術進歩を遅らせる要因になっていると見た。
というか実際になってた。
なにせ体外に出すとすぐに制御が効きづらくなるのだ。
漫画でよくある斬撃を飛ばすというのがあるだろう。男の子ならだれもが夢を見てラップの芯なんかを武器に見立ててチャンバラやったりしたものだ。そこで魔力が存在するこの世界で実際にやってみた。その結果はすぐに霧散である。
制御は確かに難しいものであったのだが、前世から細かい作業は出来たし一度嵌まるとのめり込むタイプなのが良かったのか、結果的に制御もある程度できるようになっただけでなく集中力を長時間維持できるようにもなった。
このおかげで魔力操作を色々悪用もとい活用することが可能になったのである!
「ほんとスレイヤー様様だよほんと」
先ほどはシンプルなゴーレムだったが、もっと複雑なタイプの作成も成功している。
空中を浮遊するドローンタイプは流石に完成には至ってないが、地上を移動するタイプであればかなりの応用ができるようになっていた。
わかりやすく言えばネズミなどの小型哺乳類。そして昆虫型のゴーレム作成が可能になっているのだ。
無骨なゴーレムだけなら当初も作れたのであるが、ここまで小さくて緻密性を求められるゴーレムが作成できたのもスレイヤーのおかげである。
明らかに偽名を用いた彼は自らの名を“スタイリッシュ盗賊スレイヤー”と名乗り、盗賊などをバッサバッサと薙ぎ殺していたところを発見。話を聞いて伸縮性に富んでいるだけでなく、衣類の代わりにすらなっているのがかの有名な“スライム”だというからには驚きだった。
まさに某ドラク○の看板モンスターであり、愛嬌のある顔とぷるぷるとした質感が大変人気なモンスター。どこかのコンビニではその形状を模した肉まんが販売されるなど、その造形を見れば何かがわかるシルエットはとても良い。○ラクエを知らなくてもそのモンスターを知っている方もいるのではなかろうか。
架空の生物であるスライムだと不定形の生物の為、剣や弓などの直接攻撃は一切通じず対象を包み込んで消化する性質を持っているとされる極めて扱いが難しい存在で語られることが多い。
この世界ではスライムは魔力伝導率が99%という破格の数値を叩き出しており、使用者の意思で自在に変形するというまさに魔力を扱えるものにとっては夢の装備になる可能性を秘めていたのだ!
このことを教えてくれたスタイリッシュ盗賊スレイヤーに感謝し、お礼に持っていたお金と前世を思い出しながら再現を目指した漬物を渡したことで彼が反応。そこから転生者であることがわかって軽く情報共有をして別れた経緯がある。
偽名を使っていたためこちらも偽名で名乗り返すのがマナーだと思い、名乗り返したらいいねと握手をすることになったのは良い経験であった。
あの後魔力暴走によって発生する「悪魔憑き」を発症してしまった少女を助けた様であるが、その場に自分
彼――スレイヤーからしてみれば自分がどんな人物なのかも知らないのに、突然話を聞きに来るなんて怪しいにもほどがあるだろう。
彼から教えてもらったスライムを改良し、魔力電池の役割を持たせてゴーレムの作成に取り掛かればあら不思議。
常時魔力を流さなくても形を保ってくれる便利なゴーレムの出来上がりである。
これは本当に革命的だ。
具体的に言ってしまえばスライムで骨組みを作り、そこに肉付けで土や泥を添える形。これにより外皮は固く刃を弾きながらも、中身は流動性に富んでいるため真っ二つにされてもコアさえ無事ならくっついて再生できるようにまで替えられた。
更にカメラを内包した小型ロボットを目指して、スライムにAIの機能をどうやって持たせられるかを日々研究中であるのだ。
水晶をゴーレムに埋め込むことでリアルタイム映像を共有できるような仕組みは出来かけているので、この世界からすれば常識を4回ぐらいひっくり返すぐらいの価値はあるだろうがまだまだ成長していきたい。
この仕組みを活用できれば王女様方の負担も大分減らすことができるだろう。
この性質をいち早く見抜いて改良を加え、スライムボディスーツやスライムソードにすることで利便性を高めたスレイヤーは本当に天才なのではなかろうか。そんな賞賛を彼に内心で送る。
陰の実力者を目指して『シャドウガーデン』なる組織を作っているようなので、機を見て菓子折りでも持って会いに行きたいものだ。
そんなことを考えながら寮へと辿り着き、自室の扉を開けたのだった。
・主人公
変人。
王女スキー、ゴーレムスキー、着物スキー
他にも様々なスキーがある変人。男は皆変態だと考えている。
・スタイリッシュ盗賊スレイヤー
変人。
陰の実力者を目指して日々精進。
性格というか性質さえ良ければ、富・名声・力を手に入れることも容易のはず。
主人公にスライムの知識を与えてしまった。
【興味本位】挿絵があったら見るのか
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見る
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どちらかと言えば見る
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どちらかと言えば見ない
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見ない
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ちくわ大明神