大雑把返信コーナー
・ガイアス君の実家であるクエスト家の爵位
正直そこまで考えていなかったものの、土地の開拓という国家維持に必要不可欠な役割を担っている事を考えて“侯爵”か“伯爵”辺りではないかと。
ミドガル王国の貴族制度がわからなかったので、ヨーロッパで用いられてきた『
侯爵は日本でいう大名、伯爵は地方領主の位置にいます。
・今作品のミドガル王国内の勢力分布比率
国王派:教団派:第三勢派で考えると
これまでは3:5:2。
今では6:1:3。
ガイアス君がゴーレム包囲網で集めた情報にプラスして『シャドウガーデン』での諜報能力が組み合わさり、ほぼ政治主幹に入り込んだ教団勢力はほぼ崩壊しているため、今王国内の大半は国王側の味方です。
つまりは、そういうことです。
それを踏まえて、本編どうぞ。
『ブシン祭』は本来一回戦から決勝戦までで日を跨いで行われるものだ。
これは頂を目指すものでもあるが“祭”の名が入っている通り王都を活気づける催しでもあるためだ。
市場の活性化という一面では非常に重要な内容であるが、選手のコンディションを維持させることで観客達に最高の試合を提供する目的もある。
しかし今回はそれとは異なる理由で日を空けていた。
それは会場の修繕であった。
「意図せずして時間が出来てしまった感じがあるわ」
「それは確かに」
アレクシアは未だに取ることが出来ないギプスに不便を感じながらも、右腕とバレない様にスライムを最大限活用して庭園で優雅なティータイムを行っていた。
それに同伴するのはガイアス・クエスト。
どちらも本来今日試合をする予定であった選手である。
「まぁあんだけ会場がボロボロになったら修繕するのも仕方ないさ。流石に運営側も想定外でしょ、あれは」
「まぁ、会場の惨状見たら申し訳なさが出てくるけど…」
会場の地面は爆発で抉れ、嵐によって隕石が落下したと思わせる規模のクレーターが生み出されていた。
王女達の試合が終わった後、その惨状を修復するために呼ばれたスタッフの皆様が現実逃避する程に呆然と立ち尽くしていたのは本当に申し訳ない。
アレクシアもそれは申し訳ないと思いつつ、クラウス国王が一日で直すと断言したことで『ブシン祭』の今後に対する混乱を収めていた。
彼も娘の晴れ舞台を万全の状態で挑ませてあげたい気持ちもあるかもしれない。
「それにしてもすぐに外せないのは面倒ね。視界も狭まるし」
「昨日の今日で完治してるの見せたら流石に不味いからやめようね」
(まぁそのおかげで貴方が傍に居てくれるから良いけどね)
アレクシアは当然だが外では包帯とギプスを取っていない。
これは試合中もアイリス程の実力者と当たらない限りは決勝まで外さないように言っている。
魔力で腕をくっ付けるのだってこの世界では最高位の治療技術と言われているのだ。
そんな中で炭化から綺麗な腕に治しましたなんて知ったら『ブシン祭』の途中であってもそこを騒いで突っ込んでくる輩が出てくる可能性が高い。
昨日と今日の治療を経て、動かす分には問題ないと判断されているものの、決勝で完治した様に見せたほうが彼女にかかる余計な負担も少なくなるだろうという判断だった。
尚すでにアレクシアは王国最強を降した王女として持て囃され方が天元突破しているため、意味があまりない配慮であったりするのだがそこは置いておく。
試合を見ていたのか、アレクシアが包帯でぐるぐるに巻かれている事に気づいたのかはわからないが、遠巻きにこちらを眺めている野次馬が多くいるのに若干辟易しつつもガイアスはコーヒーを口に運ぶ。
遠巻きで見ているだけでこちらにやってくるのでないなら問題ない。
すでに城内の教団関係者は大方しょっぴいたので暗殺や工作を気にせず居られるのである。
「ま、お父様がやると言ったのだから明日には会場は修復出来ているでしょう。ところでガイアス。ちょっと相談したいことがあるんだけど…」
「アレクシアがそんな相談するなんて珍しい。どんな事なんだ?」
しかしそれでも周囲にはあまり聞かれたくないことなのか、声量を抑えて確認してくるアレクシア。
「『シャドウガーデン』の人達に関してね」
「――わかった。ちょっと移動しようか」
『シャドウガーデン』は対教団への
公にしていない為に彼女達の組織を知らない者が大多数。ここで話しても何のことやらと思われるだろうが、念には念を入れるのだろう。
ガイアスはすぐに了承し、アレクシアの手を取って彼女の自室へと向かった。
「あの人がガイアス・クエストか…」
「アレクシア王女と婚約するためにブシン祭に出場したって聞いたぞ」
「国王陛下に優勝することを約束したとか…」
「身分差を覆すために優勝を目指すなんて…なんて
その背を見ながら、そんな会話をされているとはガイアスは知る由もない。
◇
「で、『
そしてやってきたはアレクシアの自室。
ここでなら盗聴の心配もないため、教団関係や今後の方針に向けて話すのによく利用していた。
手慣れた手つきでアレクシアのコップへ飲み物を注いでから本題に入る。
彼女が『シャドウガーデン』の話題を出すということは王国としての方針にも関わってくる問題なのだろうとアタリをつけた。
「ガイアスも察しているかもしれないけど、ミドガル王国が今後『シャドウガーデン』とどう関係を保っていくか。それに関しての相談なの」
その予想は的中した。
アレクシアは聡明だ。
おそらくは今はディアボロス教団という共通の敵がいるため、同盟・仲間の関係を築けている。しかし彼女達が活動している表の顔が王国に与える影響が多大なために、今の内から王国と共存関係になれないかを考えているのではないか。
「私もよく利用させてもらっているけどガンマさんが動かしているミツゴシ商会はすでにミドガル王国内で最も影響力を持っている商会と言っても過言ではないわ。
あらゆる分野に手を伸ばしていながら、そのどれもが成功を収めている。ガイアスのお陰でミドガル王国も資金提供者という形で一部携わっていることが出来ているけど、このまま策もなしに過ごすのは王国としても不利益だと思うの」
「それは事実だろうな。経済という一点ではすでにミツゴシ商会が独占しているようなものだし、金融資産的にも小国なら動かせるぐらいの資産は保有しているだろう」
「そう。だから教団が消滅していないうちに布石を打っておきたいの。彼女達に王国と共に歩むことで利があるんだってことを理解させれれば、教団が無くなっても王都内で活動を続けてくれる可能性が上がると考えたから」
実際『シャドウガーデン』の構成している者達はほぼ全てが“悪魔憑き”を経て、苦い想いをした者達が大多数。
“悪魔憑き”への対応には厳しかったのはミドガル王国も同じことだ。
それはつまり、彼女達にとってミドガル王国そのものにはそこまで友好的な感情を持っていない可能性を示唆している。場合によっては恨んでいる可能性もある。
『シャドウガーデン』がミツゴシ商会をミドガル王国で作ることになったのは、都合の良い地盤があったことと、シャドウことシド・カゲノーが暮らしている国であることに他ならない。
もし彼がオリアナ王国などに移住すると言い出したならば、王国内の『シャドウガーデン』関係者と関係企業は一斉に国から離れる可能性もあるのだ。
それをアレクシアはすでに危惧している。
離れることで不利益を被るのならば、先手を打って彼女達をこの王国内へ取り込もう。言い方は悪くなるが、そういうことである。
「だがそれは結構難しいだろう。彼女達は国の力を借りずに商会をあそこまで大きく成長させてきた以上、資金を巡らせたり国として補助をするってのはあまり魅力的に映るとは思えない」
「その通り。だから国家としてではなく、友人として彼女達にメリットを提示したいのよ」
「友人として?」
ガイアスは頭を捻った。
彼も『シャドウガーデン』と接触する前から彼女達の情報を独自に集めていた。
しかし彼女達はディアボロス教団を滅ぼすことを第一目的として活動し、それ以外の活動は社会的に多大な評価を得ているとしても、それはあくまでディアボロス教団への諜報活動などに用いるためのモノだったはず。
彼女達を友人として納得させれる条件を提示なんて出来るのだろうか?
「自分で言うのもあれだけど、私ってミツゴシ商会のお得意様じゃない?その関係でガンマさんや研究もしているイータさんと会う機会が結構あるの。それで色々彼女達の話を聞いているとね…ピンと来たってわけ」
「……何を?」
「『シャドウガーデン』全員そうなんだけど、彼女達以上に七陰の皆はシャドウにかける想いが他よりも強いってこと」
人差し指を立てながら考察を論じるアレクシア。
事実、彼女達がシャドウの事を話せば喜々として、そして如何に素晴らしい御方なのかをよく論じられる。
しかしアレクシアも彼女達と同じく色々と
その会話の裏に隠された
しかしそんな事までは知らないガイアスは「えぇ…」と言った表情。
「いくら王族の娘だからって
「違うわよ!」
違ったらしい。
どうやら彼女の話を聞けばアレクシアは友人関係を築いている者として、彼女達を応援したいとのことの様だ。
だがアレクシアはいい考えがあまり浮かばない。なのでシャドウと同性であるガイアスに話を聞きに来た、という訳である。
「いやぁ…それを聞いて俺にどうしろと?」
だがしかしガイアスは他人の恋バナを応援できる程、経験があるとは言えない。
今世だって学園生活はアレクシア達が居なければボッチ生活なのだ。悲しいなぁ。
「王国と仲良くっていうか、王国にいることで彼女達にメリットを享受できる友人としての提案ってどんなものなんだ…?」
「それに悩んでいるからこうして相談しているんじゃないの」
「どう見ても相談する人選ミスな気がするんだが…」
クラウス国王陛下とかはどうなんだと問えば、
「う~~ん…一応確認だけど“七陰全員”がシャドウに対して
「間違いないと思うわ。オリヴィエさん経由でアルファさんに聞いてみたらシャドウ以外眼中にないみたいな反応だったらしいし」
「いやオリヴィエさんに何させてるのさ」
かつて三英雄の一人に聞き取り調査をさせていることに対してガイアスは困惑を隠しきれない。
だがオリヴィエも子孫の色恋沙汰に興味があったようで、嬉々としてアルファに聞きに行ったらしい。一体何やってるんだあの人…。
「そのついでに聞いたのだけど、ブシン祭の出場者であるジミナってシャドウが変装しているらしいわね」
「いや、どんなついでだよ」
「オリヴィエさんが弱い男ダメって言ったら、逆にお祖母様もブシン祭で彼の強さを知ることになるわって胸を張りながら返したらしいのよ」
「いや情報操作しっかりしてくれよ」
そんなのオリヴィエからすればすでに警戒しているジミナしか考えつかないだろう。
なんだろう。フンスッと胸を張って意気揚々と答えるアルファがイメージ出来てしまう。
実質的な『シャドウガーデン』の統括者がそんな簡単に機密(?)情報を流すんじゃない。
実際はそれを聞いたオリヴィエも誰なのかをすぐに察したようで、すぐに謝ったことで事なきを得た様なのだが、違う意味で心配になってきた。
「話を戻すけど、そんな事もあって七陰はシャドウに好意を持ってるって事なの。ならば王国として彼女達が生きやすい環境を提供出来れば居着いてくれるんじゃないかなって思ったのよ」
「生きやすいねぇ…。そして一人の男に対して7人の女性…まるでハーレムだな」
「はーれむ?何よそれ」
聞いたことがない単語だったのか、アレクシアは問いかけた。
詳しく知っているわけではないが、ミドガル王国は基本的に一夫一婦が基本の為だろう。
“ハーレム”
それはとある島国で定着した語源。
一人のキャラクターに対して複数の異性キャラクターが恋愛対象として対置されている状態を指すものだ。
これを活用したフィクション作品なども数多く存在し、基本的に一人のキャラが全員から好かれている状況をハーレム状態と呼ぶ場合もある。
実際はイスラム社会における女性の居室である「ハレム」が名称であり、アラビア語では「ハリーム」と呼ばれていたりする。
これも文化的背景を調べると色々勉強になることもあるかもしれないので、そこは各自で調べて頂きたい。
「まぁそんな感じで一人に複数の異性が好意を持っている状態ってことだな」
「へぇ…それをハーレム状態っていうのね。今度ベータさんに話してみるわ」
大して役に立つことがない豆知識を知ったアレクシアはかしこさが1上がった。
それを稀代の小説家であるベータ――ナツメ・カフカに話すとなれば、彼女としても何らかのインスピレーションが生み出されることだろう。
今の話だけで逆ハーレムものの恋愛小説なんて書き出す可能性もあるが、今はそれは置いておく。
「ねぇガイアス。そのハーレムもの?で、何かいいアイデアはないの?」
「いやそういう作品があるって知っているだけだぞ?実際にやっても色々問題が起きそうだし、そもそも一夫多妻制度でもなけりゃそんな事は実際無理だろうし」
「一夫多妻制?」
「一人の旦那が複数の妻と暮らすことを認められる制度ってやつで逆もある。複数の女性と同棲出来るのがメリットだけど、続け過ぎると遺伝子的に問題が出る可能性があるかもとか、養うことが前提だから貧困層は結婚の場に立てなくなるとか色々問題もあるらしい」
アレクシアの疑問にうろ覚えの知識でガイアスは答えた。
実際男のロマンだーとか言われるが、それは経済的にも豊かであるから成り立つのであって逆は悲惨な事にしかならないだろう。
ちなみにこの一夫多妻制。文化人類学的に見て観察する場合は「姉妹型一夫多妻制」と「非姉妹型一夫多妻制」に大きく分けられている。
姉妹型は名の通り一人の男が姉妹を妻として娶る婚姻形態だ。
婚約を社会的紐帯の非常に重要な要素とみなして社会的安定性の担保としてみなしていたと考えられているのだが、社会の階層分化や権威の発達に伴って減退している。
非姉妹型は非常に広範なので一概に論じれない。
これは一人を妻、それ以外を
なんか難しそうなことを言ったかもしれないが、結局なところ宗教観やその時代背景によって変わってくるため明確な論はないのだ。
なおこの制度もメリットとデメリットが存在している。
メリットは複数の相手と肉体関係を持ってもよい点が挙げられ、女性側からしても略奪愛になることなく、恋愛関係に発展出来たりするので出生率が上がるメリットがあるらしい。
デメリットは平等に愛する事が必要なのと、それと同じく養っていく負担が大きくなるのがデメリットだ。女性側も何人も妻がいることで自分の存在感が薄まっている様に感じてしまい、寂しさを感じることがあるらしいとのこと。
結局はどんな制度も良い点と悪い点があるということだ。
なおこれを実際に用いているのは獣人たちの里が多いらしい。
「そんな感じで揉め事を未然に防ぐって意味では一夫多妻制もメリットになるかもしれないな。『シャドウガーデン』が色恋沙汰で内部崩壊とか目も当てられないし」
「な、なるほど…!」
ガイアスが出した案に対して、アレクシアは天啓を受けたような表情だ。
『シャドウガーデン』が
そう言ったのはどこかで見た本の著者である“ドウテイ・ボーイ伯爵”あたりに聞いてみた方が有意義な気がする。
というか明日も『ブシン祭』の第二回戦が行われるのだが、こんなことを考えていて良いのだろうか?
ガイアスはふと冷静になって窓から空を見上げた。
空は雲一つない青空であり、ガイアスへこまけぇこったぁ良いんだよと言っている気がした。
「これは使えそう…。すぐにお父様へ…」
そんな事を考えているから、ガイアスはアレクシアが呟いたことを聞き逃すことになるのである。
・ガイアス・クエスト
折角相談されたのだがら何かアイデアをと思って異世界知識を語った。
これで『シャドウガーデン』が仲間になったら流石に唖然とすることだろう。
なおこの世界にそんな制度が無いというのは完全な独自設定である。
・アレクシア・ミドガル
ガイアス君から話を聞いてピンと来た王女様。
これからお父様と話をつけに行く模様。
鴨が葱と鍋つゆを持ってきて、そのまま鍋に入ってきた…
・クラウス・ミドガル
アレクシアから話を聞いて『シャドウガーデン』がそんな内容で王国と共に歩んでくれるのか流石に疑った。
しかし娘は聡明なので信じてみることにする。
判断の選択肢を間違えない男。
戦闘における状況描写について
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理解しやすい
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まぁ解る
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普通
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ちょっと難しい
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難解