皆はインフルエンザの症状には気を付けてくださいね(一敗)
色々駆け足。
わっちはユキメ。
無法都市と呼ばれる無法地帯にて白き塔の支配者をしている妖狐でありんす。
最もその事実を知っているのは無法都市で暮らす者達や裏街道の情報通ぐらいになりんしょうが…今は重要なことでは無いでありんすな。
なぜわっちがミドガル王国内に居るのかと問われれば、それは商売の為…という他に言いようが無い状態。
そもそも今のミドガル王国内は『ブシン祭』で大盛り上がりしているのは無法都市に居ても話が飛んでくるというモノ。
無法都市内では色町を支配しているわっちでありんすが、無法都市外では『雪狐商会』にて商いをしているのでありんす。
そして今回の『ブシン祭』はミドガル王国の王女達が参戦するということで、商人の間では今回はより一層盛り上がるはずという見方がされていたということ…。
わっち等もその話はすでに耳に入れており、そしてその為の準備も行っているのは、お察しの通り結果は上々。
最も今回の催しで一番の勝ち組は『ミツゴシ商会』でありんしょうが、あの商会はミドガル王国内で最も影響力を持った経済商会。
一番利益を得られるように動いている事は当然でありんしょう。
『雪狐商会』の立場ではまだまだこの王国に与えられる影響力は少ないと言わざるを得ないものの、それを上回る利益はすでに確保できている状態。
思っていた以上に販売に関する規制が掛けられていなかったのは、ミツゴシとは異なったアプローチで市場を狙っているわっち達としても非常にありがたかったでありんすな。
まぁわっちもずっと雪狐商会内に缶詰になっている訳には当然行かない訳で、実際に『ブシン祭』の内容を観たりしたんすが…なんでしょうな、今代の王女達の実力は…。
噂程度にしか耳に通していなかったでありんすが、“魔力の具現化”?何それ…。
わっちだって無法都市内では知らぬ者がいない実力者である自負はありんすが…あれは無茶苦茶では?
「ま、まぁ…
改めて状況を思い返してユキメは呟く。
ユキメは現実を知って少し立ち眩みを覚えたものの、そこは裏の一角を支配する実力者。
その場で倒れる愚行などは起こさなかった。
ユキメが色町以外に雪狐商会を運営している理由は資金調達も当然理由に含まれるが、彼女個人で狙う目的があったためだ。
それが『
獣人の中でも武力に優れた
かつてユキメ達も月旦達の部族と共に集落を発展させ、将来を誓い合う仲でもあったのだが、大部族同士の抗争に巻き込まれたことでその関係性は一変。
集落は全滅し、正義感にあふれていた月旦は復讐に身を焦がして力を追い求める性格へ変貌を遂げてしまった。
ユキメの母親は月旦に殺されており、ユキメ自身も彼から背に消えない傷を残された経験から、彼に復讐を成すべく商会を立ち上げたのである。
そうして己も相応の実力を身に着けて活動を行っていれば、ミドガル王国にて二大勢力の一角である『ガーター商会』の内部に存在を確認されたとの情報が入ってきたのだ。
そのため今回ユキメが『ブシン祭』で雪狐商会を動かしたのは、相手の出方を見るだけでなく、彼女が情勢を見極める役割も担っていたためである。
…まぁその結果、自分よりも格上の実力を見てしまったことで、己が持つ強さへの自信がへし折られそうになってしまったのだがそれに関してはどうしようもないことだろう。
(後はどうやってガーター商会から月旦を引きずり出すか…、まだ動きを見せていないでありんすが、奴さんはミツゴシ商会の発展を目の敵にしている状態…まだ動くには早いと見たほうが正しいか…)
復讐に燃える彼女であるが、能無しではない。
自分についてきてくれる部下達をいたずらに危険にさらさせるつもりは毛頭なく、被害を受けるのは自分だけに収める考えがユキメにはある。
王国内で問題を起こすことになったとしてもユキメがトップである以上は最終的に責任を取るつもりでいるために、彼女は上に立つ者としても相応しい名君になるだろう。
「ちょ、ちょっと待ってくださいそこの妖狐族の方――ッ!!」
「(妖狐族――)…ん?わっちの事でありんすか?」
妖狐族は自分しかいない。
必然的に呼びかけられたのは己であるのだが、態々呼び掛けてくる理由が分からなかったユキメは振り返り、聞いてみた。
「はい!是非ともお話をさせてください!!」
初対面であるはずなのに、目を輝かせて話かけに来た男。
しかしユキメはその男を見たことがあった。
「(この男は――ブシン祭に出場していた選手でありんすな…)
主は…ガイアスはんでよろしかったでありんすか?」
先のブシン祭でユキメは彼が戦っている試合も観戦していた。
剣を使わず、己の格闘術のみで試合を勝ち進んでいくそのスタイルはなかなか目が向くモノ。
現に彼は第二試合でもオリアナ王国の王女であるローズ・オリアナを撃破しており、次の試合では圧倒的実力を持ったジミナ・セーネンと戦う予定になっている。
「あら…ご存じでしたか。これは恥ずかしい…」
「あの試合を見ていれば結構なインパクトを受ける者も出てくることでありんしょう。見事な戦いっぷりでありんした」
「ありがとうございます。そういっていただけるとより一層奮起したくなりますね」
試合中の彼はかなりストイックに試合を運ぶ印象をうけるのだが、こうして直で話してみるとそんな感じには思えない。
ユキメの感想も本心だが、言われた本人も素直に喜んでいる。
「して…わざわざわっちを呼び止めたのには何か理由が?」
だが年に一度しか行われない『ブシン祭』。
彼は観客ではなく選手として出場している以上、身体を休めたり相手を研究したり色々やるべきことがあるはずだ。
わざわざ自分を呼び止める理由が分からなかった。
まぁ無法都市では色町を支配している都合上、自分は
見た目だって他の者達と比べれば扇情的だ。
もしや試合で火照った気持ちをわっちで解消したいという思惑でもあるのか…。
故に直球で聞くことにしたのだ。
「実は俺…めっっっっちゃ着物が好きなんです!」
(……ん?)
しかし返ってきた答えはユキメが予想していたものとは異なるモノ。
まさか彼は自分の身体ではなく、自分が着ている着物に興味が湧いて話しかけてきたということなのだろうか?
「着物とは…わっちが着ているこの“着物”で?」
「はいっ!!!」
「清々しいくらいに気持ちの良い返事でありんすな…」
一体何が彼をここまでさせるのだろう。
確かにこの着物は妖狐族や大狼族が好んで使用していた一品であるが、態々人間たちから興味を持たれた経験はユキメには無い。
今王国内では『ミツゴシ商会』が広めているスーツが流行と聞くが、このガイアスという男は全く異なる物に興味があるらしい。
着ている手前、嫌な気持ちになることはないが、ここまで熱意を感じる人間は珍しい。
「ま、まぁ好みは人それぞれと言われることもありんしょう。それで着物に関して何を聞きたいんでありんす?」
「ご存じであれば、着物を扱っている商会を知りたく!」
「しょ、商会を?」
「えぇ。なぜならこんなに素晴らしい着物を作り、扱ってくださっている商会を一目見たいものでして」
ユキメが身に着けているこの着物は雪狐商会の特注品。
色町で活用されている衣類であるために商売の一品に添えることは考えていなかったが、ここまで目を輝かせる男がいるのならばそういう方面から需要を発掘させても良いのではないかと考えもした。
ガイアスの質問には素直に教えても問題ないが、ユキメはもうちょっと聞きたくなったので会話を続ける。
「そんなに着物が好きなんでありんすな。商会を教えるのもやぶさかではないでありんすが…」
「本当に美しいです!!是非とも(商会を)教えて頂ければ!!!」
「んん~…お世辞が巧いでありんすな」
自分が普段から身に着けている物を面と向かって褒められれば、使用者本人も嬉しいものだ。
ユキメもその例に漏れず、ガイアスから語られる本心から彼になら雪狐商会へ自ら案内してあげてもいいかもしれないと思わせるほどに、好感度は伸び始めていた。
個人としてもだが、商人としても、ブシン祭で活躍する選手に粉をかけてスポンサーとして活動する事が出来れば、ミドガル王国内で自身の商会が持つ影響力を高めることが出来るかもしれない。
そう言う意味でも雪狐商会をガイアスと引き合わせるのも良いだろう。
「そういうことであれば、わっちから主を…――っ!?」
脳内にて算盤をはじき出した結果は彼を雪狐商会を使っての支援。
そうすることで自社のコストを抑えながらも王国内にアピールが可能な事を加味すれば悪くない選択だった。
そして胸元から雪狐商会の名刺を取り出そうとして…、全身が寒気に襲われた。
(な、なんでありんすか?!この寒気…殺気に近い…!!まさか、月旦が…っ!?)
まさかこんな街中で堂々と殺気を感じるとは思いもしなかったユキメ。
先程までの落差から、一種のパニック症状に陥ってしまったことで冷静に状況を把握する事が遅れてしまった。
そのため自身を狙いに来た月旦の仕業なのではないか。そう考えてしまったのだ。
「一体…ヒッ!?」
その考えは間違っていた。
ユキメは見てしまったのだ。
自身が話している相手――ガイアス―ーのその背後に、般若が鎌首をもたげているその光景を。
幸いなのか、ガイアスはまだ気づいていない。
であればユキメが取る選択肢は二つある。
一つは彼をおいてそのまま去ること。
これは保身を第一優先に置いた安全策。
これをすればユキメの安全は保障されることだろう。
しかしその結果、自身の商会が活躍できる機会を失ってしまう可能性も孕んでいる。
二つ目はガイアスにも迫りくる脅威を伝えて共にこの場を迅速に立ち去ること。
共に実力があるため、立ち去る事だけを選べば何とかなるだろう。
無事に状況から抜け出せればそのまま彼とは良い関係を築くことが出来る。
デメリットを挙げるなら、自身にも危険が当然襲い掛かってくることだ。
そうなればユキメはどう判断するのか。
限られた時間の中で、ユキメは迅速に判断した。
ガイアスに危険を知らせることを。
あそこまで殺気を放つなんて尋常ではない。
このまま彼をおいていけば、ユキメ自身、これからの生き方に後悔を刻んでしまうのだ。
そうなってはならない。
自分の誇る生き方の為にも、彼女はガイアスへ声を掛けようとし…
「ねぇガイアス。ちょっといいかしら?」
「ひょ?」
一手遅かったことを理解した。
彼の肩に手を置かれたことで漸くガイアスも背後の存在に気づいた。
そしてその殺気を感じ取って冷や汗をかき始めている。
「ねぇ?どうして黙っているのかしら?」
「や、やぁアレクシア。重要な話をしにいったんじゃないのかい?」
「えぇ。おかげ様で素晴らしいお仕事が出来たわ。貴方のお陰ねガイアス」
言葉は普通のはずだ。
しかし彼女から放たれる
(あの般若…アレクシアと呼ばれたでありんすか…?えっ?ミドガル王国王女のアレクシア・ミドガル?)
そこで漸くユキメは般若の正体に気づいた。
アレクシア・ミドガルの試合を見ていたが、ここまで雰囲気が違う人物だったであろうか?
というよりも顔が全く違う様にも見える。
スッ…
「!??」
ユキメが混乱している中で、ガイアスと会話している筈のアレクシアの顔がこちらを向き、目があった。
目に光が無かった。
迫りくる光を悉く飲み込んで、無へと変えてしまうのではないかと思わせるほどに暗く濁ったその瞳と目が合ってしまったユキメはSAN値をガンガン失っていく感覚に迫られる。
ただ目が合っているだけなのに、呼吸が浅くなり、脚は震えが止まらなくなり、酸欠状態に陥っていく。
「ねぇそこの貴女?」
「ひ…ひゃいっ!?」
「
「ど…どう、ぞ…」
「ありがとう」
ニタァッと薄く作られた笑みを向けられてユキメは抵抗する事が出来なかった。
三日月の様に細く開いた目とそこから感じる邪悪さに、抵抗すれば死ぬことが本能で理解してしまったからである。
乾ききってしまった喉から何とか言葉をひねり出したユキメを見て、綺麗な表情に変わったアレクシア。
彼女はそのままガイアスの首根っこを掴んで彼を連れて行ってしまった。
その光景を止める事が出来なかったユキメはその場で腰を抜かして立てなくなってしまうものの、仕方のない事だろう。
あんな状態の王女様はおそらく誰一人としていない。
「申し訳ありんせん…ガイアスはん…。どうか、ご無事で…」
全く彼女は悪くなく、むしろ被害者側の立場なのだが、ガイアスを助け出せなかったその事実にユキメは届くことがない謝罪の言葉を述べる。
もし彼が無事で、次に会えることがあれば…謝ろう。
生真面目なユキメはそう心に誓うのだった。
◇
「ちょっと落ち着けってアレクシア。どうしたんだよ突然」
ガイアスは豹変したアレクシアに首根っこを掴まれて引きずられるままにされながら、アレクシアへと問いかける。
普段の彼女では絶対に見ることが出来ないその状態にただただ困惑するしかない。
「……………」
ガイアスを引きずるアレクシアは無言だ。
表情がわからない様にスライムでご丁寧にガイアスの視界を覆いながら引っ張り続けるために、尋常ではないと判断するガイアスであるが、その原因が彼がユキメへ発した言葉にあるなんて思いもついていない。
一部抜粋して聞いてしまったアレクシアから見れば自分を差し置いて告白染みた事を好きな男がやっているのだからその心境は如何に。
されるがままに身を任せればやってきたのは王宮内。
学生寮とは異なり、完全にアレクシアに与えられた自室の一つ。
そこまで来ればガイアスも見慣れた光景であるために、内心で抱える不安はそこまでなかった。
だから甘いのである。
「うぉっ!?」
扉を荒々しく開けて、アレクシアは無言でガイアスを放り投げる。
首に掛かる負荷はすごい物であったが、すぐさま状況に対応したガイアスは即座に受け身を取って被害を最小限に抑える事に成功した。
まぁ放り投げられた場所はマットレスの上であったためか、受け身が取れなかったとしても被害はなかったであろうが。
「んん?ここってベッドじゃ――」
「ねぇガイアス。一つだけ答えてくれるかしら」
立ち上がろうとするガイアスを覆いかぶさるようにして防ぐアレクシア。
両手もまるで恋人同士がするような握り方で動かない様に押し付けられている。
逃げ出そうとすればそれこそ怒り狂うだろう。
今のガイアスは置かれている状況の不味さを理解しながらも、彼女の状態を知るためにそのままされるがままでいることにした。
「あぁ、どうしたんだアレクシア」
「貴方にとって私は…なに?」
「なにって、そりゃ俺の…」
「“俺の弟子”なんて気が利かない言葉を求めていない事は解ってるでしょ?」
顔を伏せているためにまだアレクシアの表情は見えない。
握られた手からはより一層圧力が増している事に気づく。
「あー…」
先に選択肢を潰された事で言葉に詰まるガイアス。
「……」
ガイアスは気づく。
ポタポタと、彼女の頬から雫が零れ落ちていることに。
「フゥゥー…。わかった。正直に言うからその
「作ってる筈無いじゃないの」
「なめんな。この10年間、お前を一番見てきたのは誰だと思ってる」
指摘をすればビクッと身体を震わせるアレクシア。
抑えられている両腕に力を少し込めただけで、拘束は簡単に解けた。
ガイアスがした指摘はその通りであり、アレクシアはスライムを涙に近い純度にすることで一定数垂らして涙に見せていた。
事情を知らない者が見れば本当に泣いている様に見えるのは、流石の魔力制御能力ということだ。
しかしガイアスの予想は半分外れていた。それはスライムの作り涙を抜きにしても、アレクシアが本当に泣きそうな表情を浮かべていたことである。
「―――…」
正面から向き合ったことでアレクシアの表情を視認したガイアスは、そこで漸くアレクシアが抱く感情を知った。
彼女は王族。
王女達を指導する立場にいるとは言えども、将来の事を考えれば易々と決めていい問題ではない。
故にガイアスはそう言った話題を彼女達と話し合った事もないし、話そうともしてこなかった。
やろうと思えば今の状況も適当な事で誤魔化す事は可能だろう。
だがガイアスはそれをすることはない。
彼女が立場を踏まえてもここまで行動に移したのだ。
であるならばこちらも誠意を見せねば失礼に当たる。そう考えたからである。
「正直言うと…伝えるつもりはなかったんだがな…」
ガイアスはそのまま上半身だけベッドから起こす。
ガイアスに覆いかぶさるようにしているアレクシアがいる為に彼が身体を起こせば映画のワンシーンを彷彿とさせる場面が出来上がるのだが、ガイアスはアレクシアを退けるような事はせずにむしろ離さないように丁寧に背中へ腕を回して正面から向き合った。
彼から背中と腰に腕を回された事でアレクシアは頬が若干赤く染まってくるものの、自ら行動を起こした側。
ガイアスの考えを聞くためにも、ガイアスを見つめる。
「
「本当に…?」
告げられたのは好意の言葉。
彼とも長い付き合いだ。
ガイアスが本心で告げた事はアレクシアもすぐに理解した。
しかしアレクシアは問わざるを得なかった。
それは先ほど見て、そして聞いてしまったから。
「本当だよ。自分の命とアレクシアの命、このどちらかを選ぶなら…躊躇いもなくアレクシアを選べる程度には大切に想っている」
初めて聞いた心境。
それはアレクシアにとっても喜ばしい。
「どうしてこれまで…、いえ…違うわね。優しい貴方の事だから、私達の事を想ってくれていたのでしょう」
「だから言うつもりはなかったさ」
「なぜ…を聞いてもいいかしら?」
「……」
アレクシアの質問に、若干答えにくそうに目を背けるガイアス。
「だってさ…」
普段見慣れていた大人びた彼ではない。
「一度口に出してしまったら、自分の想いを抑えれる気がしないからさ…」
顔を赤くしながら答えたガイアスは、アレクシアが初めて見た表情。
日常では適当な事を言いながらアレクシアの折檻を受け、訓練時では非常に厳しく接している。
免許皆伝を受けてからの交流では柔らかい雰囲気で接していたが、
「そう…。ねぇガイアス」
「なn――?!」
こうして彼が本心を吐露して恥ずかしそうにするのを初めて見たアレクシアが取った行動は、ガイアスが反応できない程に想定外だったのだろう。
アレクシアはガイアスの口を塞ぎ、彼の頭に両手を回すことで、彼に逃げる選択肢を与えない。
時間にしてはそう長くはないはずなのだが、あまりの衝撃に目を見開くガイアスは時の流れが10倍に引き延ばされた感覚を味わった。
「ふふっ。初めて貴方から先手を取れた気がするわ」
「―――…。まじかー…」
彼女の口づけが終わり、一本取れたとアレクシアは大変嬉しそう。
対するガイアスはそこまでするのかと現実を受け止めても尚、本当なのかと言葉を吐き出す。
「良いのか?ミドガル王国の第二王女の立場があるだろう」
「貴方の不安は心配無用よ。お父様の了承も得ているわ」
「俺の知らないところでそこまで手を回せるようになってたのか…」
「恋する女性は強いの。いい勉強になったわね?」
アレクシアが自重をかけ、ガイアスはそれに倣ってベッドに背を預ける形だ。
頭をまだホールドされているガイアスはどう動こうとアレクシアを正面から見る恰好になる。
その為視界では彼女が何をしているのかを確認する事が出来ないが、スライムで何かをしている事は理解した。
「貴方は余計な事を考えるでしょうから先に言わせてもらうわ。好きよガイアス。世界中の誰よりも、私は貴方が大好きです」
「アレクシア…」
少し涙を瞳に溜めながらも嬉しそうに話すアレクシアにガイアスは目を離せない。
自分の中で可能性を無くしていたからこそ、今の状況を受け止めるのに時間を要しているが、すぐにガイアスも状況を把握して対応することだろう。
であればそれよりも先に行動することで彼に対応をさせないのが勝ち筋だ。
「――ちょっと待てアレクシア。今から何をしようとしているんだ」
ガイアスの制止を無視したアレクシアは脳内で算段をつけて即座に行動。
本当であればゆっくりと見て欲しいところであるが、時間が惜しい。スライムを活用して自分の下着を脱いで即座に取り掛かる。
「個室のベッドで相思相愛の二人…。やることは一つしかないでしょう?」
「確かに一つだけだが…ッ!」
いつの間にか脱がされていたことに驚愕するガイアスを横目にアレクシアはどんどん準備を整えていた。
部屋の施錠やカーテンを閉めるのはスライムの遠隔操作で片手間に行っているし、自分やガイアスの脱がした服もスライムで丁寧に畳んでいる。
それもガイアスの妨害を上手く躱しながら並行して行っているのだから凄まじい技術だ。
そこまで鍛えあげたガイアスの功績ともいえるだろう。
尚それがガイアス本人に降りかかっているのは、年貢の納め時ということである。
「貴方なら、どんな事でも受け止めるわ…だからお願い。貴方の全てを、私にください」
「~~ッ」
言われっぱなしは男が廃る。
アレクシアが言い放ったその一言で、ガイアスは自身に掛けていたリミッターを解除した。
男なら、戦わねば為らぬときがある。
それが今なのだ。
「優しくできるかは保証しないぞ」
それは最終通達。
これから行われる行動にガイアスは事前に告知を行う。
それだけの事が行われるのだから、彼も全力で挑むのだ。
それに対し、反応を返すはミドガル王国第二王女。
彼女だって生半可な覚悟でこれまで準備を進めてきたわけではない。
どんな事だってやり切る覚悟があり、王国の未来の為ならあらゆる覚悟を抱く勇ましい王女様。
ここまで来たからには逃げ出す訳がなく、ただ目の前に挑むのみ。
アレクシアはどちらでも大歓迎。と幸福に満ち溢れた表情でガイアスに応えるのであった。
・
ユキメの旦那になる未来も存在した大狼族最強の戦士。
本来であれば陰の実力者にやられるのだが…
ゲッタンって書くと昔流行った『☆ゲッダン☆』が脳内で流れ出すから困る。
そんなもの知らない?ソンナー。
・ユキメ
妖狐族のめっさ美人さん。
カゲマスの一枚絵とか美しすぎて困る困らない。
アニメは美人より、漫画は可愛さが全面的に出ている気がする。
着物良いよね。
こう芯があって、凛としていて、強くて美人さんは依存するまで甘やかしたいよね。
自分だけ?ソンナー。
・アレクシア・ミドガル
自分を先に口説いて欲しかった怒りもあったけど、これ以上放置しているとやばそうと思ったので行動に移した。とは後日談。
ユキメへの告白に対する疑問は後日解消され、菓子折りを持って謝罪しに向かった模様。そのついでに何か話を付けに行った様子である。
本当はブシン祭後に姉さまと共に襲う予定を組んでいたが、確実性を考えれば正解を全速力で走り込んで掴み取ったと言える。
こいつら陰で叡智したんだ!!
…いやホントなんでこうなったのだろうか?
・ガイアス・クエスト
近い将来、ガイアス・ミドガルを名乗ることになる男。
クエスト家の両親が聞いたら宇宙猫化するか気絶する。
戦闘における状況描写について
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理解しやすい
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まぁ解る
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普通
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ちょっと難しい
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難解