王女を実力者に変えたくて!   作:〇坊主

43 / 58
 
 
 
 
 



四十三 頂③

 

 

 雲が無く、月が闇を照らし出していたあの日。

 世界の異物とも言える二人の少年が出会った。

 

 一人は陰ながらに介入し、圧倒的実力を見せつけていく存在を目指した。

 一人は空想の話とされていた絵空事の再現を求めた。

 

 同じ星の下で生まれ育った経験がある二人。

 求める到着地点は違えども、価値観が近い二人が馬が合うのは必然に近かった。

 

 

『なら…互いに夢に近づいた時に一度さ、勝負しようぜ』

 

 

 深い考えがあったわけではない当時の提案。

 互いが求める理想へ至るまで、どれだけの時間が必要なのか分からなかった当時、明確な期限も定めずに了承しあった話し合い。

 

 その後に互いが顔を直接合わせたことは無い。

 貴重な相手と言えども、年単位で連絡を取らなければその記憶が風化していくことは必然。

 いつの間にかそんな約束をしたことすらも、忘却の彼方へ置き去りにされていく。

 それが初めてその男と出会った時に交わした約束―――。

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

 大地を駆けると共に土塊(つちくれ)が眼前を覆い隠す。

 それをスライムソードで叩き切れば側面からスライムを弾丸にすることで射撃を行う異形の兵士と、シャドウの逃げ場を奪う様にして得物を手に襲い掛かってくる兵士達。

 

 シャドウは高められた動体視力と魔力操作を駆使して攻撃範囲を即座に見定めることで間合いを完璧に掌握する。

 時には切り裂き、時には踏みつぶし、時には投げとばす。

 スライムと膨大な魔力量。そして肉体改造してまで作り上げた理想の身体を活用して獅子奮迅の活躍を見せていた。

 

 しかしそれでも追いつかない。

 なにせシャドウが相対しているのは人ではない。魔獣でもない。

 ガイアス・クエストが顕現させているのはスライムを核とするゴーレムの集団である。

 

 漆黒の刃が辺り一帯を駆け巡り、出現した軍隊を一気に切り裂く。

 切り裂かれたソレはボトボトと音を立てて地面に落ちるかと思いきや、即座に断面が繋がって元に戻っていく。

 ただ戻るだけではない。

 修復時にシャドウの身体を挟んで拘束する事が可能なのか、自身の被害を顧みずに果敢にシャドウに飛び掛かっていた。

  

 いくらシャドウの攻撃で部位が欠損しようが、相手はゴーレム。核が無事なら少しの時間で動き出す。

 そしてスライムで作られた存在であるということは同士討ちのリスクをほとんど考えなくても良いということ。

 手に持つ得物を弾き飛ばそうとも、一度シャドウを捕まえて動きを封じてしまえば他のゴーレム達の攻撃で圧殺できる。

 

 そのために人型がこの会場内で最も多く存在しており、シャドウの動きを抑えようとあらゆる方向から掴みかかってくるのだ。

 

「クククッ…いいぞ、最高じゃないか!」

 

 それでもシャドウは高らかに哂う。

 大地を蹴り、壁を走り、異形達を足場に飛び回る。

 目まぐるしく状況が変化していく中でも苦しい表情は一つも見せることは無い。

 近づいてきた人型の胴目掛けて腕を突き出して貫通させる。

 引きずり出した魔力核を握り潰せばその人型はドロリと溶けて地面に崩れ落ちた。

 

「!」

 

「核すらも利用するとは随分と手が込んでいるな」

 

 スライムとゴーレムによる人海戦術。

 戦争において質も大切であるが、圧倒的物量には敵わない。

 まさに『大軍に戦術なし』である。

 一人相手に魔力に秀でた百を超える軍勢が襲い掛かれば、対象はすぐに押しつぶされる事になるだろう。

 

 しかし相対するのは大軍すらも凌駕しうる圧倒的な個。

 莫大(ばくだい)な魔力とその制御能力に関しては世界最高峰。

 襲い来る軍団達の魔力核を即座に見極めてどんどん破壊し始めていた。

 

(魔力核は常に高速で体内を移動させている筈なんだが、あそこまで正確に破壊するか…。あの時(・・・)よりも当然ながら遥かに強いな)

 

 シャドウの的確な破壊を賞賛しながらも昔の記憶が脳裏をよぎる。

 当時よりも遥かに強い事実を改めて認知して、ガイアスは冷静に考える。  

 ドロドロと溶けていくスライム達は核が無くなったことで自動修復が出来なくなってしまうが操作できない訳ではない。

 自らの魔力とつなげれば即座に完成する地形ギミックの完成だ。

 

「ならこうするだけだ」

 

「核を失ったスライムを今度は手動操作か。よくそこまで制御が出来るものだ」

 

 スライムに魔力を通わせれば地面から伸びる針山となる。

 すでに十体程の魔力核が破壊されており、それらすべてが地面に広がっている。

 ガイアスはそれすらも利用して地面から棘を生やし、上空へ打ち上げることで迫撃砲に近い働きに変えていた。

 

 大地を駆けまわろうとすればスライム達の軍勢とガイアスのスライム操作が邪魔をする。

 壁を駆ければゴーレム達の質量を利用して逃げ場を限定してくる。

 空に向かえば迫撃砲と空からシャドウを狙う数多の砲撃が襲い掛かってきている。

 

 数度被弾しているものの、それでもシャドウは健在。

 傷口は即座に回復させても尚、息切れも起こさず凌ぎ切っていた。

 

「な、なんなんですかアレは!!??」

「あんなのどうしろっていうんですか!?」

 

「落ち着きなさい664番、665番。主様が戦っている最中です」

 

 自分よりも冷静さを欠いた者を見れば、逆に自分は冷静に成れるもの。

 シャドウとガイアスの戦いで冷静さを欠いていた面々であったが、その中でもガンマとアルファはナンバーズの騒ぎっぷりを見ることで逆に冷静さを取り戻していた。

 

 シャドウとして公の場に姿を見せたことは彼女達としても喜ばしい事だ。

 しかしそれを上回る衝撃が彼女達を駆け巡ったのは紛れもない事実であった。

 

「…あれが王国が有する最終兵器ということね」

「あれはゴーレムの技術を応用した魔道具と呼んだ方がらしく思えます。あれほどの軍勢を維持できるなんて一体どんな魔力量をしているのでしょうか…」

「…いえ、あれはおそらく魔力電池を活用しているわね」

「それは…イータが量産に成功したあれですか?」

 

 ガンマの状況分析にアルファは思い当たる点を告げた。

 あれはアルファがガイアスと共にクラウス国王陛下へ話をしに行った時の事、ガイアスがクラウス達へ渡していた防御用アーティファクトを見て、無理を言って一つ頂いていたのだ。

 それがイータにバレて解析に回すことになったのだが、その性質が現在の蒸気機関や街灯技術にも用いられている魔力電池だったのである。

 

「イータが量産した魔力電池は元々ガイアスから頂戴したアーティファクトを解析して完成させた物…。その彼が魔力電池そのものを独自に作り出せていても可笑しくないわ」

「しかしあの軍勢全員に魔力電池を用いているのであれば、事前に相当な準備をしていなければ無理なはずです。それも一個一個に込められた魔力量を考えれば、一日に一個作れれば良い方かと…」

「流石にそこまではわからないわ。でも現実に彼は軍勢を生み出してシャドウと戦っている。これはいくら『シャドウガーデン(私たち)』であっても脅威だわ」

 

 現在『シャドウガーデン』の構成員は700名に近い人数を有している。

 その一人一人が“悪魔憑き”の経験を持っており、ディアボロス細胞を制御する術を得たことで全員が保有する魔力量も極めて高い。

 そのため世界に巣食うディアボロス教団と比べて数が圧倒的に劣っていても、質の高さで互角以上に勢力争いが出来ているのだ。

 

 しかしガイアスが展開しているあの軍勢は『シャドウガーデン』の構成員達と互角か、それを上回るかもしれない程に魔力を保有している事がアルファ達にも理解できる。

 それを個人が好きなタイミングで展開できると考えれば、軍事的に考えてもどれだけ脅威かがわかることだろう。

 

 ゴーレムは確かに特定の方法を使えば特別な指示をしなくても自動で動いてくれるが、それはあくまでも攻撃や荷運びなど単純な内容のみに限った話。

 シャドウとの戦いで見せるゴーレムの様に複数のゴーレム達で経路を塞いだり、的確に移動場所を予測して土塊を投げるなどの芸当は不可能だ。

 

 そこから考え出される答え。

 彼女達にとって最も信じたくない答えは、ガイアス・クエストがあの軍勢全てを操作してシャドウと戦っているということ。

 百を超える人型だけでなく、獣や羽根が生えているものなど異形なモノ達の一挙手一投足すらも全て操作するのに、一体どんな脳みそを持っていれば可能になるのか。

 七陰達はガイアスが持つ底知れなさに恐怖を覚える。

 

「もし…の話ですが、『シャドウガーデン』がミドガル王国と敵対していた場合、アレ(・・)と戦う可能性があった…ということですね」

「アレクシア王女との話、受けていて正解だったわ。アレ(・・)と戦うことになれば、一体どれだけの被害が出たことか…」

 

 元々『シャドウガーデン』はガイアスの強さは大まかに予測していた。

 それはミツゴシ商会にて初邂逅したときに警戒したこともあってのものだが、自分達の予測を大きく、遥かに上回っていたという事実。状況を見誤る事なく、正解を選べていたことに対して二人は安堵することになる。

 

「ガイアスさんの強さも然ることながら、主様も素晴らしい御強さ。あれほどの軍勢の猛攻を受けても息切れ一つすることなく捌いておられる。あぁ…素晴らしいです」

「えぇ、流石シャドウね。でもその彼さえ、ガイアスに近づく事が出来ていない。制御することも簡単な事ではないでしょうけど、それ以上にシャドウの被弾が気になるわね」

 

 可能性が無くなった未来を考えたが、現実に帰ってきた二人。

 彼女達にとってもこの試合は世紀の大一番。

 自分達が慕う主 シャドウがガイアスの軍勢に対してどう立ち回るのか興味が湧いている。

 一人で戦い抜いているシャドウの姿を褒めたたえるガンマであるが、アルファは反対にシャドウですら距離が詰め切れていないと冷静に分析していた。

 

 

 

(魔力強化を加味したとしても回避力が尋常じゃないな…。要因は…やはり眼か)

 

 軍勢を指揮するガイアスはシャドウがここまで食い下がっている要因を分析する。

 高速で体内を動き回る魔力核を即座に見抜いて破壊する的確さと、タイミングを合わせる事が出来る魔力制度を考えてガイアスはシャドウの目が魔力を見抜く力が非常に高いと見ていた。

 何故か片目を閉じているが(・・・・・・・・・・・・・)相手も何か仕込んでいるのだろう。

 

 アルファとガンマが最悪の想定として考えていた通り、現在中隊を指揮しているその全ての視界をガイアスは把握したうえで操作を行っていた。

 王都中に配備させた偵察用のゴーレム達を操作し続けて数年経過している現在は任意で切り替えることも可能であり、複数の戦場に配備させたとしても精度を落とさずに操作が可能なレベルにまで達している。

 それを一つの戦場で、更に対象は一人だけに絞っているのだ。

 虫の複眼の様に、シャドウという存在を文字通り全方位から観察し、相手の行動に対して最も適切な行動を選択し続けている状況であった。

 

 だが人型を取っている以上は可動域に限度が出てくるために、遠隔操作するスライムを用いてその穴を塞いでいるのであるが、シャドウはそれでも僅かな隙間を見つけて強引に斬り伏せてくる非常に厄介な相手であった。

 

(ごく)

 

 言霊を告げ、拍手(かしわで)を打つ。

 シャドウが宙を駆け巡り、ガイアスの手が回っていない地上に着地したその瞬間に動いた。

 シャドウの周囲の者達以外のゴーレムやスライム達が一斉に宙へ跳び、それぞれを構成するスライムが繋がり合って一つの大網を化してシャドウの元へ降りかかる。

 

「!(魔力を全て重ねることで耐久性と範囲をかなり広げたか!)」

 

 シャドウは即座にその狙いを把握。

 百を超える魔力電池が一つになって伸縮性と軟性、そして硬質性を備えた大網を自身が持つスライムソードのみで瞬時に斬り伏せる事が困難であることを見極めた。

 

「であれば地上から抜ければ済む話だ」

 

「させる訳ねぇだろ」

 

 だがその大網は宙を覆いつくすように広がっているため、地上と接続されていない状態。 

 そこから抜ければ何ら問題ないとシャドウは行動しようとするが、ガイアスがそれを想定していないはずもない。

 宙に意識が向いたその僅かな隙間を縫って地面で液状化しているスライムを用いてシャドウの足を拘束する事に成功。

 シャドウの動きをここで初めて捕え切り、拘束する事に成功したのである。

 

「…!だが制御が甘いぞ」

 

「ただの時間稼ぎだよ」

 

 それでも体内魔力を解放する事でスライムの拘束を即座に跳ね除けるシャドウであったが、大網から伸びるスライム達と地上の人型から伸びるスライムがついに繋がりあって網目上のドームが展開されることになる。

 

「我を相手に手数を切らさず、ここまで事を成すか」

 

 展開されきったドームを見据えて呟きながら即座に脱出への行動を移すシャドウ。

 すでに彼の眼には魔力核がどこを流れているのかを把握している。

 百を超える魔力核が動き回っているため非常に煩わしく見えるが、破壊すればこのドームも自壊するのは明白だ。

 シャドウは大地を蹴り、剣を魔力核の位置目掛けて突き刺しにかかった。

 しかし己の魔力で硬質化しているスライムソードは網目にぶつかると同時に、網目がぐにゅううと擬音がつけれるぐらいに伸びて耐えてきたのだ。

 

(斬れない…!)

 

「拘束に特化した形状だ。そう簡単に破られてたまるかよ」

 

 剣の刺突すらも耐える弾性によって逆に弾き返され、元の位置へと着地したシャドウ。

 観客達から見れば完全にシャドウの動きが制限され、圧倒的に不利な状況へ追い込まれている事は明白だった。

 

「ふむ…」

 

「潰れな」

 

 ガイアスがそのまま時間稼ぎを行うはずもなく、ドーム外に残った人型やスライム達を剣山に変え、全ての網目から投入を開始。

 隙間なんてものは作らせない。

 そのままドームそのものも圧縮をかけることで一人の成人男性程度の大きさに変わるまで、スライムを圧縮していく。

 

 顎に手を当てて考える余裕を見せるシャドウであっても、点ではなく、面で全身を押しつぶされれば命を繋ぐ事は難しいだろうという考えの元、ガイアスは躊躇いもなくドーム内をスライムで覆いつくして押しつぶす選択を選んだ。

 

 その判断は間違っていない。

 いくらシャドウとは言え、完全に挽肉になってしまえば修復は困難であり、脳がやられれば彼ほどの実力者であったとしても無事では済まない。

 観客達――その中でも『シャドウガーデン』関係者たちから悲鳴が上がってもなお、ガイアスは冷酷に事を成す。

 

 

 

 

 

 すべての網目がスライムで覆いつくされ、シャドウが周囲の状況を確認する事は不可能になった。

 光も入らない無明の空間。

 それでもシャドウの魔力感知能力によって、自分がどれだけ危機的状況になっているかは把握していた。

 このまま何もしなければ押し寄せる膨大なスライムによって自身の身体が押しつぶされ、そのまま地面のシミに生まれ変わる事だろう。

 

(ここまで追い詰められた事は…生まれて初めてだな)

 

 見えはしないが迫る危機に対して、時間が遅くなった感覚がある。

 極限まで圧縮された時間の中で、シャドウはふと思った。

 地球にてクラスメイトを襲った元軍人を相手にした時でさえ、ここまで追い詰められることは無かった。

 

 ガイアス・クエスト。

 彼曰く王国最強と謡われる王女二人を鍛えあげた男。

 シド・カゲノーとして見ていたその時でも、ガイアスが王女達の師ということは考えもしなかった。

 ただの実力がある武芸者。

 そんな考えだったのが、この試合で認識が全てひっくり返された。

 

(この域に辿りつくまで、一体どれほどの鍛錬を続けたんだ…)

 

 自分と同郷、自分と同じぐらい魔力制御に秀で、スライムに関しては自分に勝る程の操作技能。そしてそれらを駆使して自分が死ぬ直前まで追い詰められている。

 ガイアスがそこまで実力を持っている事がわかる場面はこれまで無かった。

 アルファ達ですらガイアスの実力を把握しきれていないことは会場内から見えた彼女達の表情から察している。

 

「そうか…()は僕と同じだ…」

 

 それはつまりだ。

 彼は自分すらも欺いた存在。

 自分が考えていた物語の主人公でもない、ラスボスでもない。

 圧倒的な実力を持ちながら表だって活動をすることが無かった存在。

 

 それすなわち『陰の実力者』。

 

 この『ブシン祭』に出場するまでではなく、自分と相対するまで己が持つ刃を隠し通していたガイアスという男はまさに自分が目指した『陰の実力者』に近しい存在なのではないか。

 

「『陰の実力者』を目指す。そうと来れば、好き勝手されるのはもう御免だね」

 

 見えていない。

 しかし全方位から押し寄せるスライムはシャドウの皮膚に触れるまで迫っていた。

 それでも慌てない。

 それは『陰の実力者』として相応しくない。

 

 これまで閉じていた片目を開く。

 彼が行っていたのは魔力を蓄える動作。

 視界が覆われようとも、魔力感知で対応できるシャドウだからこそ出来る。

 完全に目が見開かれるのと、スライムが彼を押しつぶすのは完全に同時だった。

 

 

 

 

 

 

 

『ど、どうなったのでしょうか…?』

 

 

 これまで解説をする暇もなく、現状把握に努めていた解説が漸く言葉を絞り出した。

 観客達を含め、会場に映るのは両足で立っているガイアスと、一個の球体のみ。

 その球体もガイアスの操作によって段々と圧縮がかけられて大きさが小さくなっていた。

 

 これまでガイアスが投入したスライムの量を考えれば、あの中に閉じ込められた人間がどんな状況になっているかは考えなくても分かってしまう。

 それはシャドウが押しつぶされてしまったのだということだ。

 

「あ…、あぁ…」

「シャドウ…様…」

 

 涙を流し、慟哭するのは664番や665番だけではない。

 観客席で待機及び観戦していた『シャドウガーデン』の構成員達は誰もが涙を流して眼前の光景をなんとか否定しようと感情を露わにしていた。

 

「あ…アルファ様…」

「まだよ」

 

 “七陰”達ですらその光景を見て絶望に染まる中、唯一折れぬ者がいた。

 

「彼は…シャドウは、このまま終わるはずがないわ」

 

 『シャドウガーデン』第一席アルファ。

 彼女だけは目の前の光景を見てもなお、シャドウがまだ戦っている事を理解(わか)っていた。

 

「し、しかし…あれでは…」

 

 彼女達が示すは黒い球体。

 先程までサッカーコートの半分を覆うぐらいの大きさであったそれは、すでに4メートル程度の大きさまで圧縮されている。

 

「貴女達、目を逸らしてはいけないわ」

 

 それでもアルファは折れない。

 おもむろに席から立ち上がり、絶望に暮れている彼女達を見据えて言い放つ。

 

「しっかりと見なさい」

 

 ピシリッ

 

 球体の圧縮が止まり、僅かに光が漏れる。

 それはガイアスが意図したものではない事が遠目からでも判別できた。

 

「我ら『シャドウガーデン』の総帥 シャドウ」

 

 その光は魔力の光。

 シャドウを一度でも見て、その力を視界に収めた者であれば誰の魔力なのかがわかるモノ。

 

「まさに“世界最強”の名が相応しい、私たちの主の姿を」

 

 

 バキッ

 

 

 (まばゆ)い光が溢れだし、衝撃と共に会場内を響き満たす。

 第一回戦にて見せた王女達による魔力の柱に等しい輝き。

 魔力の柱が会場を満たす。

 今にも会場外へ溢れんばかりの魔力量。その残滓が観客席にまで降り注ぐ。

 

『 あぁ…シャドウ様… 』 

 

 彼女達は主の存在を感じ取り、己の不甲斐なさを責めた。

 シャドウの強さを知っていたというのに、自分たちは我が主を信じきることが出来なかったことを。

 

「シャドウ…」

 

 アルファは見惚れる。

 あれこそがシャドウ。あれこそが我らが主。

 どんな強大な敵が相手であっても恐れることなく挑みにかかるその姿が、かつて『霧の龍』と対峙したあの姿と重なり合う。

 

「再び見せて頂戴…貴方の全力を…」

 

 地上から離れ、その空中。

 黒のコートを靡かせるその男から溢れる魔力が、力強く瞬いた。

 

 

 

 




 
 
 
 
 
 
 
 
 
・軍勢召喚
 ガイアスが常に保有している魔力電池を大量に使用する事でスライムやゴーレムの兵士を創り出して戦わせる。
 回想にて龍を模したのを創っていたように翼を有する獣も創れる為、戦場で制空権も掌握しに向かえるが、制御の維持が通常よりも大変らしい。
 召喚に集中すれば大隊の最大数(1000人)まで創り出せるが、中隊(60~250人)とスライム兵装で援護する方が便利な為、そこまで出す機会が無い。
 
 これを見たクラウス国王陛下は彼なら仕方ないなと考えることを放棄した。
 
・アース・クエスト&ガイア・クエスト
 本作品主人公の両親。
 魔剣士の才能が皆無でも愛情を注ぐ良き両親で、土地の開拓・管理を任されている貴族家系。
 描写する機会がなかったが息子が王女と仲が良いのを見て、夫婦間で「将来安泰ね」などと冗談で言っていた。
 実はこっそりとアレクシアとクラウスが手を回して試合観戦のプレミアムチケットを渡していた。尚…。
 
『ブシン祭』に息子が出場する?!見に行くしかないよなぁ!?

    ↓

「「??????????」」
 

【雑感返コーナー】
・ガイアス・クエストの実力を直で見たことがある方々
◎魔力込み
 アレクシア・ミドガル
 アイリス・ミドガル
 ガンマ
 ガンマの部下としてガイアスに接敵した5名の構成員
 教団関係者でも幹部クラスの面々(殉職済み)

◎武術のみ
 クエスト家関係者全般
 ローズ・オリアナ
 オリヴィエ
 教団関係者の雑兵達  

 王女達を10年間鍛えていた間はゴーレムで身代わりを作って誤魔化したりしているため、元々の指南役から見れば独学で実力をつけているようにしか見えてなかったそうです。


・百式観音…なるほど、そういうのもあるのか

クロスオーバー好きかい?

  • うん、大好きSA!
  • まぁ良いだろ
  • 知らんな
  • クロスオーバー、お許しください!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。