王女を実力者に変えたくて!   作:〇坊主

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|ω')つ【五十四話】 スッ… 


|彡サッ 【五十四話】


|  【五十四話】
 
 
 


追章
五十四 あれから…


  

 王国歴史史上最大の決戦と呼ばれることになった『ブシン祭』が無事に完遂され、その後に息つく間もなく結婚式が行われたあの日から3年が経過した。

 歳を重ねれば時が経つのは早いとはよく言われるがこれに関しては様々な事が起こりすぎた結果、いつの間にか3年経過していたと言ったほうが正しいのかもしれない。

 

 かつて暮らしていた地球と同じような気候を経験しながら、今もガイアス達が暮らす『ミドガル王国』は平和と成長を維持し続けていた。

 勿論何事もなく終わった訳でもなく、この世界で最大の信仰者を持つと言われる聖教と“悪魔憑き”に対する対応でバチバチに敵対する事に成ったり、オリアナ王国で水面下で手を伸ばし続けていたディアボロス教団が最後っぺとして黒キ薔薇を使用すべく大規模な戦闘が発生したり、友好関係を築く事に成功した『シャドウガーデン』の面々が暮らすカゲノー領で誰が一番にシャドウの子を孕むのかを競ったことで貞操の危機を感じ取ったシド・カゲノーが他国へ慌てて逃げ出したものの即座に居場所を把握されて連れ戻されたりと愉快な事が起こっていた。

 

 どれも本来であれば国家を傾ける可能性がある出来事だろう。

 しかしそれらも王国民の力があって乗り切ってきた。

 まぁ最後のシドが逃げ出した件は各地へ配置したゴーレムから入ってくる国内外の情報をただ『捕食者(七陰)』に横流し(提供)しただけだったのでそこまで苦労はしなかったのであるが。

 

 裏で解決するだけであればガイアスと『シャドウガーデン』の力だけでお釣りが来る程に過剰戦力だろう。

 だがそれでは国家として成長に繋がらない。

 これから王国の未来を担っていく者達にある程度の経験を積ませていかなければ、重要な局面を乗り切っていくことは困難だろう。

 そのために敢えて聖教との対立は国民の指示を得るべく大々的に“悪魔憑き”を治す場面を見せることで、聖教の影響力を削がせながら“悪魔憑き”の被害者及び関係者の救出に人員を多く裂いたりもした。 

 オリアナ王国も正式な救援申請を通じて騎士団の派遣を決定しながら厄介な相手は裏で処理を行ったりと手を回すことで何とか事を収める形になっている。

 そんな形の為、オリアナ王国も聖教と対立する道を選んでいるのだが、元々友好関係にありつつも防衛及び復興の手伝いまでしてくれた『ミドガル王国』の手を取る事をオリアナ国民も支持する者達が多く居るのである。

 

 どちらも根底にはディアボロス教団が関わっているのは情報共有されていたのだが、あいつらの幹部クラスである『ナイツ・オブ・ラウンズ』の討伐には至っていない。

 危機管理能力が高い者達がいるのか、はたまた末端の暴走なのかはわからないものの、このまま自然消滅するとは到底思えない為にこの情報戦争は常に意識を向けているというのが今の情勢だろう。

 

 とはいえ。

 表裏共にある程度平和である以上は国力増強に努める絶好の機会。

 国王として就任する事になってしまったものの、なってしまったからには責任放棄なんてする訳もなく、ガイアスはアイリスの代わりに兵士達の能力向上に努めていた。

 

「そこ!魔力操作が乱れているッ!!まずは息を整えてから服を身に纏うイメージを持ってからもう一度練り上げてみろ!」

「はいッ!!」

「そこは足が止まってるぞ!敵が息を整えてくれるのを待ってくれると思うなッ!!次止まれば砲撃を追加する!」

「「「サーイエッサー!!」」」

 

 当然ながら新兵まで手を出すのは非効率的なのでそこは各々の教官たちに任せっきりだ。座学を含めて教育を施していきながら、ある程度のラインに達すれば次の段階へ進ませるというシンプルな教育手順を取っている。10段目が最大だ。

 当然ながらその中に魔力制御が最後に割り当てられており、ガイアスに割り当てられた者達は最後の10段階目に位置する者達。

 

 某日ノ本国家とは違ってミドガル王国全体の識字率は思ってたより高くない。勿論言う程低くもないのだが、低所得者層は学びの場が少ないこともあってフィーリングで乗り切っている者もいる為に全体総数で見ればやはり悩ましい問題を抱えている。

 そう言った者達も希望者として扱っていることもあって、最初の1段階目で読み書きやマナー関連を学ぶようにしている。そこから問題ないと判断された者達は段階を上げて学力から体力、技術、戦闘経験、魔力操作といった流れで教育する方針に切り替えていた*1

 要するに魔剣士学園のようなシステムを別個で採用しているのだが、教育者としてアレクシアは2段階目の国政や歴史の座学教育を。ローズは3段階目の他国の歴史や文化教育。アイリスは9段階目の国防を担う基礎と戦闘教育を。各々がそれらの一端を担っている。

 

 彼女達(妻達)は当然ながら手を抜かない。

 それはかつてガイアスが彼女達を叩き上げた経験を参考にしている為であるが、兵士達は当然そこまで知る由もない。そのため妃殿下達が自ら教壇に立って教育を行う事そのものが自分達に期待と熱意を持っている為であると前向きに考えている者が多いらしい。

 ガイアス達の教育を乗り切った者達の将来は約束されていると兵士間で言われており、事実彼らの訓練を乗り切った暁には相応の知識経験が身についている為にある程度の地位を得るのは難しくないのだ。そこに加えて貴族ではない平民であってもこの教育に参加できるとなれば覚悟を以てやってくる者も多く居るのである*2

 

 教育だけでなく、寝床の管理や食料、賃金。衛生面や人間関係等々。小難しい問題も多く発生するが、そこで便利なのがゴーレム技術。

 溢れんばかりにやってくる人員を大雑把に割り振りながら国力増強のために関係者と協力しながら、新たに始まったこの国防強化の為の訓練制度をやりくりしていた。

 

「ふふっ。ガイアスさんは今日も気合が入っていますね」

「それでも私達の時と比べれば大分緩く感じてしまうわ…」

「あの時のガイアスはほぼつきっきりのようなものだったのもあるでしょう」

 

 そんな光景を上層階から眺めながら三人は言葉を紡ぐ。

 ゆったりとした衣装を身につけたローズ。騎士たる正装を身につけるアイリス。そして我が子を抱く(・・・・・・)アレクシア。

 窓から入ってくる風は部屋に溜まりがちな熱気を程よく回し、隅々まで手入れが行き届いた彼女達の流麗な髪を撫でていた。

 まだ早めの時刻であるためかポカポカとした温かさとアレクシアがリズムよく揺らす心地よさによって、アレクシアの腕に抱かれる幼子はぐっすりと夢の世界を堪能している。

 その光景が心底嬉しく感じるアレクシアは母性を感じる微笑みを浮かべながらガイアスを見つめていた。

 

「ぐっすりと眠っていますね」

「えぇ。赤ちゃんは寝るのが仕事だってガイアスが言ってたわ。寝ることで脳を休ませて発達を助けてくれているんですって」

「本当にガイアスさんは何処からその知識を得たのでしょうか…?」

「その辺りを聞こうにもはぐらかされるのよね…」

 

 アレクシアは答えるものの、この場にいる三人はガイアスが持つ知識の源泉を教えてくれることはないのだとすでに理解している。

 誰しも言いたくない事はあるし、言えない事だってあるだろう。

 ガイアスにとってそれが知識の源泉であるというだけなのだ。

 

 ちなみにアイリスの言えない事はガイアスと結婚するまでかわいいくまのプリントがされた下着を履いていたことなのだが、本人の尊厳の為にそこは語るまい。

 スピードワゴンはクールに去るぜ…。

 

「ローズもしっかり寝てくださいね。貴女が寝不足とあっては大変だ」

「わかっていますわアイリスさん。私もこの子(・・・)に負担を掛けたくありませんから」

 

 そう言いながらローズは自身の腹部を優しく撫でた。

 誰が見ても大きく膨らんだ腹部にいるのはガイアスとの子だ。

 去年アレクシアが無事に命を授かって出産を終えた後の事。ローズが自らガイアスと話し合い、そして向き合った結果、無事にローズも新たに命を授かった。

 それを知って現オリアナ国王が泣いて喜び、オリアナ王国全体で祭り事に発展したのも良い思い出である。

 アレクシアが通った道を見ていた為か、ローズはリラックスした状態で日々を過ごしており、胎児に負担を掛けない様にしながら来月出産を控えている状況であった。

 

「姉さまもガイアスの子を授かればよかったのに…」

「………わかっています。わかっていますとも。子を授かるのも王女の務め。…ですが去年はアレクシアが、今年はローズが出産となれば私は自重すべきでしょう。ガイアス(旦那様)の負担になりたくありませんから…

 

 アレクシアの言葉にアイリスはボソっと呟いた内容に顔を赤くしながらそう返すものの、実はアイリスが日和っただけである。

 コウノトリが子供を運んできてくれると思い込んでいたアイリス(彼女)が生々しい光景を見せられ現実を知った結果、自分は最後にするように自ら伝えた経緯があったりする。

 教育する事で正しい知識を得ることは大切なことなのだ。

 なんだかんだ言っても立場上逃げる訳にもいかないアイリスは人気(ひとけ)がない時間帯を狙って一人でそういった(・・・・・)知識を学びに書庫へ向かっているのは内緒である。

 

「そういえばアレクシアさん。例の件(・・・)はどうなるのでしょう?」

あの件(・・・)ね。それはまだ了承の意は聞いていないのだけれど、あの様子ならおそらく問題ないと思うわ。あちらにとってはメリットしかないと思うから」

「ふふっ、それは良かったです。……正直な所私達だけでは身が持たない可能性がありますから」

「―――否定したいけど、出来ないのよねぇ…」

「うぅ…」

 

 ローズの確認にアレクシアも複雑な表情をしながら同意する。

 大っぴらに言える内容ではない為に(ぼか)しての会話であるが、アイリスもその内容を知っている為に顔を真っ赤に染めながら気まずそうに会話に混ざる。

 彼女達は相も変わらずガイアスが知らない所で話を進めているのであるが、これもミドガル王国の繁栄の為である。所謂コラテラルダメージ。ガイアスにある程度負担がかかるだけの致し方ない犠牲なのだ。

 

「そう言った意味では『シャドウガーデン』の皆様もお元気そうですね。…イプシロンさんとゼータさんは血涙を流していましたが…」

「あの乱戦は…嫌な事件だったわね…」

 

 そうして同胞達の話に変わるものの、あの時の光景を思い出して遠い目をする三人。

 さりげなく会話をしているが、『七陰』の何名かもすでに子を授かっているのである。

 カゲノー家の男児としてその血を継承していくのも貴族としての役割であるこの世界で、逃げ場を無くされて合理的対話と圧倒的統率力により複婚を成したシド・カゲノー。偉大な主から子を授かる名誉と欲望のために鮮烈なキャットファイトが開催され、領土が悲惨な末路を辿りかけたのは報告を聞いた彼女達にとってすぐにでも手を打たねばならぬ程の問題であった。

 当事者兼被害者であるシドがその場から逃げたしたことがきっかけで争いは一時休戦となり、血眼になってボス探索にカゲノー領の『シャドウガーデン』が全て出払うという凄まじい行動力。

 そして最初に確保した者が子を為したというのが流れであった。

 

 面白い―――嫌な事件だったね…。

 

 結果、『シャドウガーデン(彼女達)』にも無事子を授かったって訳である。

 なおその名誉を最初に授かることが出来たのがまさかの第四席デルタだと言うのだから驚きだ。

 その報告を聞いた時にはミドガル王国側(関係者一同)の理解が追いつかなかったのは致し方ない。

 

 先陣を切ることになったのがデルタであるというのは他の者達にも思う所はあったのだろうが、それでも生まれてくるのは神として崇め奉るレベルで忠誠を誓う主の子。雑に扱うなどあり得ない。

 最新鋭の設備を即座に準備させ、あらゆる状況にも対応できるように各員が気を張り巡らせながら無事に出産を迎え、デルタは名実共に母親となった。

 それを即座に追う様にアルファが身籠ったのは手が早いと言うべきか否か…。

 

 そんな感じで『シャドウガーデン(彼女達)』の中でも順番がすでに決定している様子なので、あの時以上に荒れることはないだろう。

 最も求められる側の男はどうしてこうなってしまったのかと時折死んだ目をしている様子が確認されているが、親の立場を利用して『陰の実力者』を目指して更に精進する道を進んでいるので大丈夫だろう。

 むしろ母親となったデルタがこの数年で凄まじい事になっているのだが、それはここで語る内容ではない。

 

「あら…?ガイアス、どうしたのかしら?」

 

 ここ最近ではよくあるほのぼのとした空気感。

 そんな平和を享受している中でアレクシアは目敏く気づいた。

 

 ガイアスが右耳に手を当てて真剣な表情をしている。

 あんな表情を見たのは『ブシン祭』にてシャドウとの対戦が決定したあの日の様。

 つまるところ、厄介な事柄が発生している可能性があるということである。

 

「アレクシア、ローズ、アイリス。ここは任せた」

「えぇ、いってらっしゃい」

 

 彼女達は即座に理解する。故に彼の発言を瞬時に受け入れた。

 詳しい事は後で聞けば問題ない。というより彼が持つゴーレム遠隔操作技術があればリアルタイムでの状況共有なんて簡単に可能なのだ。

 ガイアスの事を考えれば、自分達に声を掛けるよりも早くに遠隔で行動を起こしているだろう。

 それでも尚自らが向かうということ自体が、これから相応の出来事が起こる証左であった。

 

 ガイアスはその場で跳躍したと同時に駆ける。

 魔力で視力を強化していなければすぐに見失ってしまう程に素早く移動する夫の背を見送りながら、彼女達も各々のやるべき事に向けてゆっくりと身体を動かし始める。

 だが彼女達の表情は暗いモノではなく、明るいモノであると確信した表情(かお)であった。

 

 

 

 

 

 

 

 ―――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

「―――首尾は?」

 

 天より降り注がれる。

 地面へと落ちる雨粒はその全て例外なく地面へと浸透していき、大地を濡らしていく。

 もし素足であればすぐに足の裏が泥に塗れて不快な気持ちを抱かせた事だろう。

 だがこの場にいる者達はそんな感情すらも一切出さずに淡々と準備を進めていた。

 

2nd(セカンド)だけでなく、手配された3rd(サード)チルドレンも配置についたぜボス」

「俺達も問題ねぇ。何時でもいけるぜ」

 

 辺りには人気(ひとけ)は一切ない。

 当然だ。

 ここはミドガル王国の国境付近近くに存在する密林の中。それも大雨が降りだしたとあっては辺り一面に濃霧が発生しやすくなり、野生生物相手でも対処が非常に難しくなってしまう。

 辺境を警備している兵士達であっても、態々密林の中まで確認するよりも少し離れた場所で警戒を敷いていた方が効率的だろう。

 そんな辺境で安全性が確立されていないこの場所に、一般市民が紛れ込む事などありえない。

 

「ならば即座に動くように伝えろ。ここまで時間をかけて計画を練ってきたんだ。絶対に失敗は許されんぞ」

 

 だがそれも彼らの計画の内。

 年単位で計画を練りながら身を暗闇に隠しながらこうして準備を重ねてきた。

 『ディアボロス教団』から少なくない戦力を引っ張ってきており、それに加えて教団が研究してきた物品も何点か拝借して今日に備えてきたのだ。

 

 彼らは『ディアボロス教団』に属する者。

 それ則ちミドガル王国の敵に位置する存在であり、『シャドウガーデン』が撲滅を掲げる相手である。

 

 天を覆う程に群生している木々から生える枝葉が傘となって彼らを濡らす事を防いでいる中で、これからの計画遂行に向けて並々ならぬ熱を抱いている男は優れた聴覚を持った獣耳を働かせながら目標がある方向へ鋭い視線を向けていた。

 

「三葉の奴に伝令をすでに頼んでいるぜ。しかし良かったのかボス…ガーターの奴を放置していてよ」

 

 リーダー格と思わしき男へ軽くも畏敬を含んだ言動をする獣人の男は王国に放置している商会の男を頭に思い浮かべた。

 それは奴からこちらの情報が漏れ出てしまうことを危惧しての事だったのだが、問題ない事らしい。

 

「問題ない。ガーターには俺と『四つ葉』のお前達が大商会連合についていた程度の情報しか与えていない。仮にあの男が情報を漏らしたとて対した痛手にはならん。それにあの小心者が命の危険を顧みずに王国(奴ら)に情報を流すとも思えん」

 

 ガーターと呼ばれた男はミドガル王国でも大きな勢力を有していたガーター商会の旗頭だ。

 表向きはガーターは会長職を就いているのだが、その実眼前の男が裏で仕切って荒事を担っていたことも相まってガーターは命惜しさに強く出ることが出来ておらず、実質的傀儡となって存在していただけに過ぎない。

 

ガーター(あの男)が使えん奴だったのもあるが…何よりもあの商会(・・・・)が目障りだ」

「『雪狐商会』…アイツらが居なけりゃもっと簡単に済んだってことっすよね」

 

 本来は教団として裏で市場を操って『ミツゴシ商会』諸共王国内の経済を破壊することでディアボロス教団が市場を再構築させることで経済面を含めてミドガル王国を支配する計画だった。

 しかしそんな状況も『雪狐商会』が突如として市場に参入してきたあの日から状況が一変してしまったのだ。

 

 今までも見かける事はあった。

 だがそれはあくまでも極一部の分野であり、定着する程でもなかった。向こうもミツゴシ商会があることで市場の奪い合いになったとしても不利だと判断して参入しない判断を取っていたのかもしれないが、『ブシン祭』に参入してきたあの忌々しい日を境に一気に勢力圏を伸ばしてきた。

 更にはミドガル王国の式典に自社の製品を使用させることでその宣伝効果が爆発的に発揮されたことで、ミツゴシ商会が広めたスーツとは別に和装が一般普及し始めている。

 これも現国王一派が好んで使用していることも多いだろうが、改良を重ねて通気性や利便性が向上しているのも理由だろう。

 

 だがそんな事は教団(彼等)にとってどうでもよかった。

 敵がミツゴシ商会だけであれば最近奴らが始めている銀行業を悪用して偽札をばら撒くことで市場崩壊を狙う事も可能であった。だがその手の問題に鋭い視野を持っているのかまでは把握できなかったものの、競合相手であるはずの『雪狐商会』が厳しく金銭に関する検閲を行う部署を立ち上げたことで偽札が検挙される頻度が高くなってしまったのである。

 ガーター商会も質が悪いがミツゴシ商会の真似事として紙幣発行を行っているのを利用して偽札をばら撒いて市場に打撃を与える予定が、只々ガーター商会紙幣の信頼と価値を損ねる結果になってしまった。

 少なくない資金を投入した計画だったにも関わらず、結果は完全敗北と断言できる損害を受けただけにガーター商会の影響力が激減してしまっただけでなく、ディアボロス教団にも少なくない打撃を受ける羽目になってしまったのだった。

 

「苦汁を舐めるのも今日までだ。情報によれば国外の情報までは流出する危険は少ないと分析されているが、これ以上時間をかければ察される可能性がある。まずは国境警備を迅速に墜として工作員を各地に配置、即座に破壊活動を行わせる。そこを突いて連絡網である線路の破壊活動と首都にある奴らの本部を急襲。とにかく混乱を生み出せばあとは後方に控える教団が穴を広げる手筈だ」

 

 すでにミドガル王国で活動を行うディアボロス教団の工作員はほぼいない。全滅しているとまではいかないものの、文を流したり近しい者との接近を感知されるや否や即座に警備が飛んでくるようにまでなっているあの国で行動を起こすことは非常に困難。

 そのため奴らの情報源とその共有方法の探りを入れるべく、幾度となく潜入させているのだがその成果は芳しくない。

 だがそれでも手に入っているモノもある。

 

 その一つはミドガル王国が即座に把握できる情報網は王国の国土内であるということ。

 これは警備が飛んでくる頻度や時間などから計算して出した答えだった。

 

 そしてもう一つは国境を抜けた時点で王国側の干渉はほとんどなくなるというもの。

 勿論これは実害がない場合に限るのだが。

 

 この世界事情の大前提として各国に侵入するだけであれば正直容易なのだ。

 不正入国を防ぐためや安全面を加味して検問などが造られているがあくまでも一部のみ。国土全てを壁で覆っている訳でもない為、身を隠しながら移動すればある程度都心部に向かうことは容易であったのである。

 そしてそれは『ミドガル王国』も例外ではない。

 

「ミドガルの検問を破壊と共に狼煙を挙げる。それが各地に配属した奴らへの合図だ」

 

 鞘に納められた刃を抜く。

 光の反射によって研ぎ澄まされた刃は芸術品に近い刃文(はもん)と共に、数えきれない程に人を斬り伏せてきたことが分かるほどの圧を放つ。

 それを間近で感じ取った男――四葉――は頬から冷や汗が垂れることを自覚しつつ、己のボスが敵で無くて良かったと心底思った。

 

「往くぞ『四つ葉』。仕事の始まりだ」

 

 研ぎ澄まされた殺意を更に鋭く練り上げる獣人―――『大狼』月旦(ゲッタン)

 

 ミドガル王国からその全てを奪うべく、男は殺意を滾らせながら(いくさ)の火蓋を斬ったのだった。

 

 

 

*1
勿論ある程度のラインを定めて選定している

*2
当然ながら黒い事を考えている者達は事前に把握されて落とされてる




 


・ミドガル王国の妃殿下達
 アレクシアは無事に第一子を出産。元気な男の子である。
 ローズは現在妊娠中。時折行われる魔力補給や負担軽減により、非常に安定した状態。
 アイリスは現実と向き合うことを強いられながら、来年の試練に向けて勉強中。
 前国王であるクラウスやオリアナ王国のラファエロ国王はその報告を受けてすぐに集まって宴を開いたそうな。
 
 尚その妻達は夫であるガイアスに内緒で何かを画策している様子。
 一体どんな謀り事をしているんやろなぁ…(すっとぼけ)。

・シャドウガーデンの面々
 壱、相手は親愛し、尊敬し、心酔する我が主。
 弐、主の妻として正式な手続きを完了できた。
 参、世継ぎを産むのは妻の役目(迫真)。

 色んな事が噛み合った結果、デルタが第一子を出産する。次はアルファ。
 まぁ陰の実力者目指すなら全員と子を為す事なんて朝飯前でしょう(適当)。
 子を為した結果、デルタに何か変化があったらしい。
 
『・・・・・・ おや!? デルタの ようすが・・・!』

・ディアボロス教団の面々
 ミドガル国内勢力がほぼ全滅の為、色々教団内でも問題になっている。
 国内の地下深くに眠る何かを取り戻そうと躍起になってるんじゃないかな。
 数年耐え忍びつつ準備を行っていた様だが、実行前からすでに捕捉されている模様(無慈悲)。

??『戦いは数と情報だよ兄貴!!』

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