王女を実力者に変えたくて!   作:〇坊主

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( ゚Д゚)<トーキーヲーモードシテー 
 
 



五十六 The Ban

 

 

 雨音が止み、静寂が周囲を包む。

 どんよりとした雨雲は時間が経つにつれてゆっくりと四方へと移動し始めていた。

 それにより雨雲によって隠されていた月明かりが少しづつ大地を照らすようになってきており、雨露(うろ)による水滴も相まって美しい夜景へと姿を変える場所も散見され始めていた。

 それはミドガル王国の領地、その一角であるカゲノー領でも同じ事が言える。

 

 貴族であるカゲノー家は使用人も当然雇っている為、一般と比べれば大きめの屋敷に暮らしていた。

 そこに公式な手続きを経てアルファ達がカゲノー家に嫁いだこともあって、ミツゴシ商会の投資という体で大きく建て直しが行われた。

 その結果元々大きかった屋敷は更に巨大化し、球場ドームと近辺施設を建てられそうなレベルの敷地を用いた豪邸へと変貌を遂げていた。

 場合によってはミドガル王国の王城に匹敵するレベルだろうが、100を超えるシド・カゲノーの嫁たちと使用人が同じ空間に暮らすことを考えれば必然的にそうなってしまうのかもしれない。

 

「アルファ様」

 

 そんな豪邸からロッキングチェアに座りながら自領を眺めるエルフに対して声がかけられる。

 黒のコートに身を包み、極力情報を隠すその姿はこの豪邸には相応しくない装いであり、この場に居るのが一般貴族であったのならば即座に衛兵を呼んで騒ぎになっているのは確実だろう。

 しかしアルファと呼ばれた彼女は『シャドウガーデン』の創設に携わった存在。

 話しかけてきた相手が味方陣営であることは当然把握しており、立場に相応しい実力を有する彼女は警戒とは程遠いリラックスした状態で反応を返した。

 

「首尾はどうなっているのかしら?」

「イプシロン様が予定通り迎撃に転じております。他に配属された教団員達も問題なく殲滅出来ているのを確認。まもなく鎮圧が完了するかと思われます」

「情報通りという訳ね」

 

 彼女は左腕に乗るハエトリグモぐらいの小さなゴーレムを見える様にした。

 それを見た黒コートの女性は仕事が奪われたと言いたげな微妙な表情を浮かべる

 事実アルファが身につけている小さいゴーレムからリアルタイムで情報が伝達されており、各地で行われているディアボロス教団との交戦状況を把握するに至っている。

 これまで身の危険を覚悟で戦地や敵地へ身を投じている彼女からすれば便利だと思う反面、素直に喜ぶのも難しいと言ったところだろう。

 

「ふふっ。そんな表情(かお)しないで。貴女達の活動は私が一番理解しているわ」

「――ッ!い、いえっ、決して不満など!」

「この“ゴーレム”は確かに便利で、情報戦において非常に強力な物…それは否定することは出来ないわ。でも貴女達が現場で活動を行ってくれているからこそ、『シャドウガーデン(私達)』はここまでやってこれた。シャドウも言っていたわ。物は使い様によって善にも悪にもなると…ね」

 

 軽度ではあるが不満が表情として表れていることを指摘された構成員は慌てた反応を見せるが、アルファはそれを咎めるつもりはない。

 『シャドウガーデン』の構成員である眼前の彼女も含めて、ただの一兵卒などとアルファは考えたことは一度もないからだ。

 それは彼女が『シャドウガーデン』に所属する皆を家族に近しい感情を以て接しているが為。

 同じ境遇で苦しんだ者達を集めて組織を立ち上げたこの組織は今後も生まれてくるであろう“悪魔憑き”を保護し、治療して本来過ごすべき人生を安心して進ませてあげることがアルファが今後の方針として考えている一つであった。

 

「ミドガル国王ガイアス・ミドガルが私達にこの連絡用ゴーレムを配り、それを更にイータの開発に活用させることを許可したのも、私達の負担を減らす為でもある。ゴーレム(コレ)は貴女達の役割を奪う為ではなく、負担を減らす為にこうして運用している事を忘れてはいけないわ」

「…はい」

 

 情報共有に対する誤差が減ることはより臨機応変に行動できることを意味する。

 そして彼女達『シャドウガーデン』の強みは少数精鋭で活動を行えることも一つであるが、それ以上に明確に命令を遂行できる統率力があるからだ。そこに的確な情報共有が組み合わさればまさに“鬼に金棒”と言っても良い。

 前衛だけでなく後方支援する者達もひっきりなしに動き回っている今現在、後始末の準備を素早く行えるようにゼータとイータが率いる一団が比較的リラックスして待機中なのもこれまで見られなかった光景だ。

 

「まぁ、今動くことは出来ない私が言ったところで説得力がないかもしれないけれどね」

「いえいえっ!アルファ様は身体を労わってください!御子様(・・・)をご安心させるにはそれが一番なのですから!」

「ふふっ。ありがとう」

 

 アルファはロッキングチェアでゆっくりと揺れながら会話をしていた。

 それはアルファの腕の中ですやすやと眠る赤子の為。

 目に入れても痛くない程に愛おしい我が子(・・・)に愛情を注ぐために各地の情報は集めつつも、他の七陰(しちかげ)達に指示系統を渡している。

 こういった情報面でも第三席ガンマが後方で指示を飛ばしている以上、アルファにまで仕事が回ってくる事はほぼ無いだろう。

 もし異常事態(イレギュラー)が発生したとしても後続に控えるはミドガルの国王ガイアス(最強兵器)総帥シャドウ(最愛の夫)

 彼等が居るというアルファの安心を確約させる存在が健在である以上、一切の揺らぎなどない。

 

「少しの間、『シャドウガーデン(私達)』をよろしくね。147番」

「!…~っ!はいっ!」

 

「~~~~!!」

「!?~~ッッ!!」

 

「…あら?」

「なにか行われたのでしょうか…?」

 

 末端である己に振られた番号を把握してくれていたことに感動を覚えていた147番と、気持ちの良い返事を受けて微笑みを浮かべていたアルファであったが、訓練された聴覚で捉えた慌てる声が脳裏に疑問を抱かせる。

 ゴーレムからは特に連絡も無く、カゲノー領で何かあった訳でもない。

 だが今屋敷内の使用人達が慌てた声音を挙げている事を考えれば何かがあったことは確かだろう。

 147番が状況を把握すべく退室していくが、少しして慌てた様子で在りつつもすやすやと眠る御子(みこ)を起こさぬ声音でアルファに状況を伝えた。

 

「アルファ様!デルタ様が突然出撃を!どうやらイプシロン様の元へ向かったらしく…!」

「……え?」

 

 今回の騒動、このまま素直に終わってくれるようではなさそうである。

 

 

 

 

 

   ――――――

 

 

 

 

 

   カチ・・・カチ・・・

 

 握られる時計から静かに音が鳴る。

 だがその音が持ち主の耳に入る事はない。

 それは現在進行形で剣戟の騒音が周囲を満たしている為だ。

 

「オォ・・・オォオオオオオオ!!!」

 

 一見手に握る刀を我武者羅に振っている様にしか見えない。

 敵対しているイプシロンとは距離も離れており、いくら刀を振ったところでその刀身が彼女を傷つけることはないだろう。

 しかし魔力は違う。

 服用した丸薬に適合したことで齎される魔人の魔力が月旦の膂力を増大させた結果、剣圧が大気を切り裂く刃となって降りかかる。

 そこに加えてアーティファクトから齎される魔力が重なることで、過去に月旦の視力を奪う結果になった大きな古傷ですら完治させる結果になった。

 

 要は今の月旦は身体的に何ら傷害を持っていない状態であり、更に教団が用意した丸薬である“ディアボロスの雫”によって身体にブーストが掛かっている状態だ。

 そこに加えて月旦は元々力でゴリ押すタイプではなく、膂力と技量を上手く取りこんだタイプの戦士であった。

 

「この・・・馬鹿げた魔力ね・・・!!」

 

「消エ失せロ!!」

 

 対するイプシロンとて負けていない。

 魔力のゴリ押しだけでは苦戦するであろう攻撃であっても、魔力を精密に操作することで相手の力を流す様にして対応していた。

 これは『シャドウガーデン』の中でも力でゴリ押すタイプである第四席デルタとの戦闘経験が役に立った。彼女と一対一で戦う経験はミドガル王国に腰を据えてからは無いものの、ある程度対策が取れているので問題ない。

 

 普通であれば雫を取り込み、ディアボロス細胞との適合が出来た者達はその優越感から繊細な動きを欠きやすい。そこを突けばあっさりと勝つことも可能なのだが、月旦は自分達が一方的に蹂躙された経験(トラウマ)から、冷静さを欠いた状態が如何に危険なのかを身に染みて理解している。

 故にイプシロンが時折混ぜてくるフェイントにも即座に対応して攻撃を繰り出してくるのだ。

 

 すでに彼等の戦いは国境付近から離れ、より深い密林の奥へと戦場を進めていた。

 その戦闘の激しさにより、数の多さと天を隠す程に大きく成長を遂げた木々が広がっていたはずなのだが、今ではこの戦いが行われた場所が分かるほどに木々が切り倒されて大地が顔を覗かせている。

 

 休む暇なんてものは当然無い。

 

 イプシロンは殲滅を。月旦は撤退及び撃退を目的として戦闘を行っているのだから当然だ。

 時間が経てば増援がやってくる事が確定しているイプシロンの方が有利と見ることが出来るだろうが、現状では無尽蔵と言えるほどにアーティファクトを通じて魔力供給され続けている月旦の方が有利であった。

 イプシロンもそれが分かっている為に必要最低限の攻撃を意識して牽制を優先しているものの、 彼女が攻めてこないなら月旦は撤退を選択するだけ。内心を比べることが出来たのならば、イプシロンの方が焦燥に駆られているだろう。

 

「あと何分かかるかしら?!」

『時間にして後4分だ』

 

 問いかけに対する回答にイプシロンは安堵するような愚行は侵さない。

 数多くの戦略を叩き込んだ脳内で、如何にして相手をこの場に縛り付けるべく脳をフル回転させて対応する。

 忘れてもいない。彼女は月旦が扱う魔力以上に、彼が手に持つアーティファクトを何よりも警戒している。

 

 そのためにソレを破壊するべく再度行動を開始する。

 振るうのは手に握る大鎌だけではない。

 あれから研鑽を重ねていくことによって、シャドウが持つ陰の叡智の一部をイプシロンは扱うことが出来るようになった。

 

「出し惜しみはしないわよッ」

 

「邪魔するナァ!!!」

 

 4分という明確な答えを得たことで必要以上に魔力消費を抑える必要が無くなったイプシロン、ここで初めて月旦へ果敢に自ら斬りかかる。

 止むことのない月旦による剣圧の嵐を身を滑り込ませて駆け抜ける姿は、物語における戦乙女(ヴァルキリー)を彷彿とさせるが、生憎彼女の衣装は黒基調のスライムスーツ。

 正々堂々真正面から戦いを挑むなんて騎士道精神は持っていない。

 

   カチ・・・   カチ・・・

 

 イプシロンは月旦の周囲を素早く動きつつ、大鎌で変速的に斬りかかった。

 月旦はその特徴的な攻撃軌道を刀で上手く防いでいくが、4撃目を防いだところで脚部に違和感を感じ取った。

 

「こレハ・・・ッ!!」

 

 密林という木々が光を遮りやすいこの場所では黒色は影と同化して見つけづらくなる。

 そこをイプシロンは利用して自身に纏わせているスライムスーツを鋼糸とまではいかないが、相応に細い糸へと変化させて月旦の動きを物理的に封じる戦法へ切り替えた。

 

 月旦の足には黒みがかったワイヤーと呼べるぐらいの太さのスライムが逃がさないと言わんばかりにきつく巻き付いていた。

 目でスライムの先を見れば太い木々に巻き付いているだけでなく、地面の底に突き刺さる様に生えているのもあった。それも複数あるためにそう簡単に抜け出せるものでもない事が分かる。

 

「クソッ・・・!こンナもの!!」

 

 月旦も何とか抜け出そうと足に力を籠めるが千切れない。

 刀を振るうも同じ結果に収まった。

 

   カチッ・・・        カチッ・・・

 

「斬れナイ・・・だトォッ!?」

 

(あるじ)様の“陰の叡智”の結晶よ!!」

 

 その動作はイプシロンから意識が外れる明確な隙となる。

 

「はぁあああぁっ!!」

 

 遠距離から放つ魔力攻撃ではない。

 即座に練れる魔力を大鎌へと込めたイプシロンにとっての全力の一撃。

 予想外の拘束に意識を向けてしまった月旦はこの攻撃に反応することは不可能!

 

(獲ったッッ!!)

 

「グッ・・・オォアアアアッ!!」

 

 無理矢理魔力を周囲へ放出することでイプシロンを吹き飛ばそうとする月旦だが、この世界において魔力は体外に出れば霧散する性質を持つ。

 “魔力の具現化”どころか“魔力の可視化”にも至っていない月旦では彼が望んだ火力を生み出すことは出来なかった。

 

 今度こそ当たる。

 

 そう確信を持ったイプシロンの想いと刃が時計へぶつかると同時。

 

   カチンッ

 

 月旦が握るアーティファクトから、戦闘中でもわかる程の音量が鳴った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――…は?」

 

 意識を取り戻したイプシロンは呆然と呟いた。

 

 何が起きたのか思い出せない。

 アーティファクトに攻撃が当たったはずだ。月旦と戦闘を行っていたはずだ。

 だが今自分の視界内に、月旦はいない。

 あるのは自分の真正面にある破砕痕だけだ。

 腹部から尋常じゃない痛みが警鐘を鳴らす。

 自分の背には衝撃を受け止めたであろう大木があることから、状況判断で自分が吹き飛ばされたことが何とか理解出来ていた。

 

「っっ…ぐぅっ…!!(骨が何本か折れてるわね…。治癒は、問題ない)」

 

 魔力操作に長けたイプシロンも“悪魔憑き”を治療できるレベルで魔力の精密さに優れている。

 そのため少なくない魔力消費に目を(つむ)れば、自己治療も可能なのだ。

 数秒程度であるが息を整え、何とか背後の木を支えにしながら立ち上がるイプシロン。

 状況把握のために腕につけていたゴーレムと交信しようとして気づく。

 

(連絡用のゴーレムが破壊されている…!)

 

 イプシロンについていた物はガイアスから連絡用という形で身につけている物。

 だがガイアスがただの連絡用を渡す訳も無く、そこまで周知されていないものの緊急時は装備者を守る仕組みが組み込まれていた。

 かつてクラウス国王へ渡していた防御用アーティファクトに通信機能を備えたようなもの。

 それが失われているということは、イプシロンへそれだけの攻撃が加えられたということであった。

 

「とにかく…状況を…」

 

「あらぁ?まだ息があったのね?」

 

「ッッ!?」

 

 頭上から掛けられた声。

 気づけなかった事を不覚に思いながらも無視する状況下ではない。

 自己治療はもう少しかかる以上何とか時間を稼ぐ事を意識しながら、イプシロンは声の主を視界に収めるべく顔を上げた―――

 

「どこを見ているの?イプシロン(・・・・・)

 

―――と同時に正面から顔を掴むように手を当てられた。

 

「~~~ッッ!!??」

 

「油断大敵じゃぁない?アッハハハハハハ!!!」

 

 頭部にかかる圧迫感。

 背中を預けていた樹木に頭を押し付けられた。

 その圧力に堪え切れられないのか、ミシミシと嫌な音を立てているのが耳に入る。

 だがそんな事は重要じゃなかった。

 イプシロンは何とか自分を掴む手から逃れようとしながら藻掻く。

 無抵抗でいれば自分の頭部は蜜柑(みかん)を握り潰す様に無惨な末路を辿るだろう。

 

(~~ッ!舐めるなぁッ!!)

 

 上手く力が入らない今の体勢では圧倒的不利。ならば有利な武器を押し付ける。

 この状態で何が一番効果的かを瞬時に把握したイプシロンはスライムスーツの脚部を刃へと変換し、未だに掴んでいる腕目掛けて振り上げた。

 

「あら、あらあらあらあら?」

 

 ブシュッ

 魔力が練られたことで研磨された刃となったスライムに切り刻まれた腕から大きく出血が発生。

 それに驚いたのか、腕に込められた力が緩んだことで何とかイプシロンは脱出した。

 だがイプシロンの動揺は隠しきれない。

 それは彼女(・・)がここまで力をつけていた為なんてことではない。

 これまでの事を考えても、絶対にありえない事(・・・・・・・・・)だからこそ、信じることが出来ないのだ。

 

「おかしいわねぇ…。貴女、そんなことが出来たのね?シャドウ様のお陰かしら(・・・・・・・・・・・)?」

 

「どういうこと…?」

 

 コテリと首を傾げながら問いかける姿。

 普段の彼女であれば自分に対してしないであろう動作だ。

 だが間違いないと確信を持って言えてしまう。

 で…あるがこそ、在り得ない事だと断じれる。

 

「どういうことなの…っ!」

 

 ショートヘアーで細部まで手入れが行き届いている彼女の拘り。

 恰好は違うと言えども、(あるじ)たるシャドウを心酔するその在り方。

 白銀の髪を魔力で靡かせながら、天然物を見せつけてくる弓を得物にするエルフ。

 

「どういうつもりなの!ベータ(・・・)ッ!!」

 

「うふふ…。あぁ、シャドウ様ァ…」

 

 彼女から感じるのは異質な魔力。

 見慣れた魔力とは異なる赤黒い(・・・)魔力と白目部分まで黒く染まりきった紅い眼。

 明らかに正気とは思えないその言動。

 

 そして何より、3年前と変わらない(・・・・・・・・・)その姿。

 

「あぁ、見ていてくださいませシャドウ様…。この『堅実』のベータ、必ずや貴方様の元へ向かいますわぁ」

 

(月旦と同じような魔力と圧を感じる―――。やはりあのアーティファクトが原因かッ!)

 

 何故ベータが三年前の姿で、それも『シャドウガーデン』の行動を妨害するのかはわからない。

 ただ月旦が魔力を込めていたアーティファクトが原因である事は状況判断に長けているイプシロンは確信していた。

 

 本当ならば今すぐ月旦の下へ再度向かい、元凶を破壊したい。

 だがそんな事を眼前の()が見過ごすとは考えてもいない。

 

 数度ベータへ声を掛けるも返ってくるのは噛み合っていない答えのみ。

 故にイプシロンは説得なんて甘い考えは放棄した。

 

(ある程度の損傷であれば後から治せる。というか手加減できる相手じゃないわ)

 

 先程喰らったであろう損傷はすでに修復した。

 魔力総量が不安材料であるものの戦えない訳ではない。

 それに敗戦と決まった訳でもないこの状況下で逃げては『七陰』失格だ。

 

「あぁ、イプシロン。貴女も邪魔をしないで頂戴」

 

 わかっている事はただ一つ。

 眼前のベータを倒さねば、イプシロンが置かれている状況は好転する事は無いということ。

 例え相手が自分にはない天然物をぶら下げる強敵であったとしても、イプシロンは挑み続けるのだ。

 

「往くわよベータ。そのお花畑な頭に、良いのを一発入れてあげる!」

 

 




 
 
 
 
 
・アルファ
 カゲノー家に嫁いだ陰の統率者。
 デルタの次に子を授かり、そのまま子育てを開始している。
 本当は教団員の情報などもシャットアウトすることが精神的にも良いはずなのだが、今のアルファには、『シャドウガーデン』には心強い味方達が居る為そこまで負担になり得ない。
 子の成長を見るべく、高頻度で『閃光』と『武神』を冠するエルフが訪れているらしい。

・147番
 原作ではいない(筈)のモブ隊員。
 元“悪魔憑き”であるが、幹部クラスの“ナンバーズ”と比べて才は無いと思っている構成員。
 今後アルファ達がより安心して暮らせるよう、一層奮起して実力をつけていくことだろう。
 『シャドウガーデン』内でも信仰対象がシャドウではなく、『七陰』側にある数少ない人物。

・デルタ
 シャドウとの子を最初に授かった“七陰”第四席。
 『暴君』他に「鉄砲玉」及び「特攻兵器」などと呼ばれていた彼女は突然出撃をしたようだが…?
 
・イプシロン
 本作品でというか、作者個人的不憫枠な気がするエルフさん。
 トップが幸せな空間を創っている中で、月旦と戦闘&正気じゃないベータと戦闘を開始する。
 多分可能なら天然物を毟ってやろうと考えている。

・ベータ(?)
 突如敵対した『七陰』第二席。
 一体何が起きたんだろう?(すっとぼけ)

 

【参考に】一話における文字数と投稿頻度

  • 3千字&①(毎日)
  • 3千字&②(2~3日)
  • 3千字&③(週一)
  • 5千字&①
  • 5千字&②
  • 5千字&③
  • 7千字&①
  • 7千字&②
  • 7千字&③
  • 1万字&①
  • 1万字&②
  • 1万字&③
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