三民族の共和国+α召喚   作:騎兵主義者

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 騎兵には騎兵ぶつけんだよ

 

 それはそれとして、明けましておめでとうございます。皆様、良いお年をお過ごしください!

 そして今年は新年早々、日本では能登半島での地震や日航機と海保機の衝突事件。韓国では最大野党の代表襲撃事件、かと思えばイランでは爆弾テロ事件などさまざまな事件が起こっていましたが、これ以上今年は大事件が起こらないことを祈ります。


第16話:激闘!!レヒスカ王冠領軍第1王立フサリア(有翼騎兵)連隊“ヤン一世オルブラフト“VSロウリア王国軍ホーク騎士団第15騎馬隊!!  〜勝手に戦え!!〜by エルフ避難民一行

 

 

 

 中央暦1639年/救世主暦1955年5月21日

 クワ・トイネ公国 ギム=エジェイ間街道 とあるエルフの避難民

 

 ギムが包囲され、ロウリア王国の兵士がそこらを彷徨く、ロウリア支配地域の真っ只中。

 ギムとエジェイを繋ぐ街道をエジェイ目指してひたすらに進み続けていたエルフの集団があった。それは、とあるギム近郊に位置する名も無きエルフの村から逃げる、エルフの村人達であった。

 彼らの村は外界との交流が少なく、ロウリア王国がクワ・トイネ公国に侵攻した事を、奇妙な鉄の馬車(自動車)に乗って武器を配布しに来た兵士達が伝えてくるまで知らなかったのだ。

 その情報を聞き、村人達はクワ・トイネ公国の領域目指して生死を賭けた疎開を決意したのである。

 そんな彼らは気休め程度に軍務に就かなかった数人の若者が、侵攻後にその兵士達から配布されたwz. 98“カラビン・マウゼラ“なんて長いの(小銃)だの、wz. 16“ピストレット・ルビー“なる小さいの(拳銃)だったりの妙ちきりんな武器と、その長いの先端に取り付ける片手剣らしきもの(銃剣)を取り付けたものを抱え、護衛に引き連れてはいた。彼らが携える銃器の扱い方は配布された時に簡単な分解と整備の仕方を含めて幾らか教えられたくらいなものではあった。

 それでも、彼らにとってはそれら配布された銃器が弓や剣よりも取り回しやすく、何より弓矢と違って嵩張らないし、小さいの(拳銃)は女性や老人に子供が持ったとしてもそこまで疲れないのもあって、身を守るのに役立てていた。

 

 

 

 エルフの少年“パルン“は、肩掛け鞄に母の形見や妹が気に入っている人形などの大事なものと一緒に勇気(ルビー拳銃)を仕舞い、妹“アーシャ“の手を引いて東へ、ただひたすらに東へ向かっていた。

 早くに他界した母と、予備役動員で軍に招集された父親と、両親の代わりに彼が守る妹と、家族との思い出が詰まった家を離れ、ただひたすらにロウリア軍から逃げていた。

 

「パルンよ、アーシャのことは任せる。お父さんは少し英雄になってくるよ、だからパルンもアーシャの事をしっかりと守ってくれよ」

 

 出征間際に、そう笑って父はパルンの頭を撫で、未来を託して戦場へ赴いた。

 彼も、父の言いつけに従い、この“ルビー“でしっかり妹を守ろうと固い決意を結ぶ。

 

 

 

 丈の短い緑の草原が広がるクワ・トイネの大地。小鳥は歌い、野生の牛は草原で草を喰む、のどかな風景が広がる中。

 進みやすくとも、遮蔽物になるものは存在せず、見つかりやすいその草原の中の街道。

 そこを、エジェイ目指して200人の避難民はひたすらに逃げていた。

 道中ではカモメのような翼(ガル翼)を持つ奇妙な音を立てる3人乗りの鉄竜(王冠領軍のLWD-37多用途襲撃機)から、小さな布傘(パラシュート)のついた小包で空中投下された食料や飲料水、それから今までに見たことも食べたこともない菓子の補給と上空からの護衛を受け、それなりに安全に、かつ余裕と希望を持って移動できていた。

 しかし、それでもなお移動は順調とも言いにくいものであった。そもそも軍隊においても、行軍する場合は足が遅いものに合わせるのが慣例であり、その軍隊と違って訓練を受けているわけでもなく、体力に不安のある老人や子供を抱えている以上、移動速度は低くせざるを得ないのだ。

 そんな避難民達の最後尾には、軍から招集を受けなかった若者10人が小銃を握って後方警戒をしている。

 

「お兄ちゃん、疲れたよ、休もうよう」

「頑張れ、エジェイに入場するまで歩き続けるんだ。ほら!あそこにエジェイが見えてきた、あそこまで行けば休めるし、美味しいお菓子もいっぱいあるって鉄竜が落とした紙にも書いてあったよ!」

「ほんと!?じゃあ頑張る!!」

 

 あと少し、あと少し街道を進めばエジェイの要塞に辿り着ける、と避難民が励まし合って進み、上空にはぐるぐると旋回する鉄竜が避難民を見守る中。

 パルンはぐずる妹にエジェイの要塞を指で指して励ましながら歩いていた。

 そこに、避難民の足音や荷車の音とも、上空を水平に旋回し続けている鉄竜の響かせる音とも違う。馬が、騎兵用の軍馬が大地を駆ける音、そしてその軍馬が立てる土埃を目にした若者達は周囲に、避難民に向けて叫ぶ。

 

「ロウリアの騎馬隊だッ!!」

「走れ!!逃げろ!!」

「荷を捨てて走れ!!街道を逸れて、原野に散れッ!!」

 

 彼らの後方3kmから、100人のロウリア騎兵隊が迫ってきていた。

 その姿に、避難民達は悲鳴をあげて、荷物を捨てて少しでも身軽になりながら街道を逸れ、原野へ散らばる。

 後ろからは、小銃を持った若者達がロウリア騎兵目掛けて乾いた銃声を鳴らし、追い払おうとしているのが見えた。

 パルンはアーシャの手を引き、街道を離れて原野を走っていた。走って、少しでも騎兵隊から逃れようとしていたが、そこでアーシャが石に躓いて転んでしまう。更には恐怖で足がすくんでしまったのだ。

 

「ごめんなさいお兄ちゃん、もう走れないよぉ」

「心配するな、アーシャ。お兄ちゃんが守ってあげるから、心配しないで!だってぼくは勇者になるんだから!!」

 

 転んだ妹を庇うように前に出る。

 後ろで妹が神に祈りを捧げる中、少年は肩掛け鞄から勇気を、配布されたルビー拳銃を引き抜き。どんどんと迫り来るロウリア騎兵、その中で自分達に一番近い男に狙いを付け、配布時に教えられた手順に従って安全装置を解除し、引き金を引く。

 

 

 

 パチン、出たのはそんな虚しくて小さな音だけで、銃弾は出なかった。パルンは急いでスライドを引き、空っぽの薬室に銃弾──.380ACP(9x17mm)弾──を送り込み、かつて母が生きていた頃、母が「魔王のお話」を語った時に、ある事を決意した時と同じ言葉を叫び、残り500m以下にまで近付いていた男を狙って、再び引き金を引く。

 

「ぼくは勇者になるんだ──!!」

 

 パン!、と軽く乾いた、小銃よりも小さな銃声が一つ────パルン達にとって一番近い男が、パルンの放った銃弾で鎧と、左胸の心臓。そのど真ん中に9mmの穴を穿ち、絶命してバランスを崩し、落馬して。

 ダダダダダン!と連続した、重い銃声が一つ────上空で旋回していた鉄竜──LWD-37──は機首と主翼に装備した4挺の重機関銃から曳光弾や徹甲弾、榴弾に焼夷弾が混ざった13.2mm弾を放ち、一気に固まって行動していた十数人を人馬諸共合い挽き肉に変える。

 

 

 

 

 

 中央暦1639年/救世主暦1955年5月21日

 クワ・トイネ公国 ギム=エジェイ間街道 ホーク騎士団 第15騎馬隊

 

 ロウリア王国軍、その中の東部諸侯団において精鋭と呼ばれ、一騎当千を謳われる“ホーク騎士団“の一部隊であり、ロウリア王国拡大期に活躍をして爵位を賜った山賊や海賊といった荒くれ者で編成された“第15騎馬隊“。その隊長である“赤目のジョーヴ“は目の前の獲物──エルフの避難民達──を見つけると舌なめずりをし、部下を率いて馬を駆けさせる。

 上からは好きにして良い、嬲って構わないなんて命令を出されていたが、これまであったのはどれも最悪な事であった。

 本来戦争につきものの蹂躙などなく、強姦も略奪もできなかったのだ。むしろ蹂躙されるのは自分達の側であり、これまで何度も何度も、味方が栄光も無く、なんなら跡形を残しもせずに死んでいくのを目にしていたからだ。

 だからこそ、彼らは歓喜していた。ようやく、戦争の醍醐味を味わえる時が来たことに。上空には奇妙なもの(LWD-37)が浮かんでいるが、まあなんとかなるだろうと楽観的な考えを頭に浮かべ、蹂躙する事を楽しみにして大地を駆け、野蛮で凶暴な彼らは、蛮声を上げる。

 

 避難民との距離が500mを切って、あと少しで殺戮と蹂躙の宴を楽しもうとした頃に、乱入者が空から現れる。

 ここまでで、小銃を持った若者やパルンのような拳銃を持った者による射撃で何騎か脱落してはいたものの、それでも赤目のジョーヴや部下にとっては大した問題ではなかった。

 空と陸から現れた乱入者と出会してしまうまでは………………

 

 

 まず最初に、パルンの持つルビー拳銃から放たれた銃弾で1人が絶命して落馬した。

 これはまあ良いとして、そのすぐ後に起こったことが問題である。

 これまで上空をぐるぐると回っていた奇妙なものことLWD-37が機関銃を撃ってきたのだ。

 この一撃で、概ね13人が人馬諸共肉片になった上、攻撃を終えて旋回した時にまた──とはいっても最初のよりは小規模だが──同じような攻撃を受け、旋回後にまた機銃掃射を受けて何人か消えたし、さらには置き土産にと爆弾をばら撒いていった。

 それでも、散開すればなんとか生き残れるだろうと思い、赤目のジョーヴは散開命令を叫ぶ。

 

「散開しろ!!たむろってると一網打尽になるぞ!!」

 

 しかし、ここにきて最後の一撃が彼らに加えられる。この一撃が彼らを絶望に追い込み、全滅へと追い込む。

 

「ちッ、ぬかったわ!あれは飛竜の一種か、ただ飛んでいただけじゃあなかったか………」

「と、頭領!!敵の騎士だ!!敵の騎士が俺らを目指して突撃してきやがった!!」

「ぐぬう………撤退だ、撤退するぞ!!命あっての物種だ、あんな奴らに付き合ってられっかよ!!」

 

 何せ、たとえ数十倍の敵が屯していようとも、恐れる事なく突撃して勝利を掴み取る、精鋭無比の最強を具現化した存在であるフサリア(有翼騎兵)が、そこに到着し、6mはある槍を構えたのだから。

 彼らは逃げようとして、馬を走らせる。

 すでに避難民達を追うので馬はそれなりに消耗していたが、そんなことも知らずに走らせる。

 

 

 

 

 

 中央暦1639年/救世主暦1955年5月21日

 クワ・トイネ公国 ギム=エジェイ間街道上空 LWD-37多用途襲撃機

 

 レヒスカ王冠領陸軍、第1機動打撃軍にてLWD-37多用途襲撃機のパイロットとして偵察から近接地上支援にといろいろな仕事をこなし、今はエルフの避難民達を上空から護衛していた“ミェシュコ・オルリック“は避難民達を襲撃しようとするロウリアの騎兵隊を確認し、すぐ後ろに座る無線手“カミル・ボヤルスキ“に無線で近くの部隊である“第1王立有翼騎兵(フサリア)連隊“、名誉称号“ヤン一世オルブラフト“に報告を、最後尾の銃座に座る機銃手“エルネスト・クビシュ“に信号拳銃でフレアを打ち上げるように命令する。

 

「“ルジク(コマドリ)“よりヤン一世へ、現在ロウリアの騎兵隊と交戦中。避難民がいる為、急行されたし。位置はヤン一世の進軍ルート上」

「フレアは打ち上げた!あとは“フサリア(有翼騎兵)“どもが到着するまで俺らがなんとかするだけだ!」

 

 2挺の7.92mm弾を放つ“子犬ちゃん“なんてあだ名のつけられているwz. 37観測員機関銃をリング状銃架に据え付け、防弾鋼板製の盾を取り付けた銃座を左翼側に回し、地上に銃口を向けた機銃手が素早く機内から信号拳銃を取り出し、小さなパラシュートの付いた、黄緑色のフレアを打ち上げる。

 

「よーし、それじゃあ襲撃機のお仕事を果たしますかね!」

 

 無線での報告も、フレアの射出も終わり、ミェシュコは機体を左旋回させ、地上を駆けるロウリアの騎兵隊を照準器に収め、操縦桿の機銃発射ボタンを押し込む。

 

 機首と主翼に積み込んだ機銃弾の残弾数をカウンターが数字をクルクル回して知らせ、地上にいたロウリアの騎兵は人馬諸共引き裂かれ、赤い塵に、肉片に姿を変える。

 地面と猛烈なハグをしないよう射撃後に機首を上げて左旋回をし、エルネストが2挺のwz. 37機関銃でバリバリと猛烈な勢いの銃声を響かせながら7.92mm弾を地上にばら撒き、ロウリア騎兵の合い挽き肉を量産する。

 と、ここで随分と早いフサリアの到着を確認し、最後に一度だけ機銃を掃射してから胴体に内蔵した散布機で15kgの破片爆弾をばら撒き、襲撃機の仕事はすぐに終わる。

 

 

 

 

 

 中央暦1639年/救世主暦1955年5月21日

 クワ・トイネ公国 ギム=エジェイ間街道 第1王立有翼騎兵連隊“ヤン一世オルブラフト“

 

 レヒスカの有翼騎兵は進む。向かう所敵なしの、共和国最精鋭。

 “有翼騎兵“と呼ばれ、讃えられる由来となった巨大な鳥の羽根飾りを鞍に固定していないものの。その精神まで無くなってはいない。

 数層に積み重ねて織られたナイロンの生地で羊毛綿を挟んだ薄手のギャンべゾン*1のような鶯茶色の特殊な軍服を身に纏い、その上に合金板の特殊な軽量甲冑を装備し、兵科と所属連隊を示す精巧な装飾のされたゴルゲット(喉当て)を細い鎖で首から下げ。

 表面が不規則な黒い斑点の入った“パンテラ迷彩“の迷彩マントをはためかせ、先端に小旗を付けた6mはあるコピア(使い捨ての槍)を片手で保持しつつ馬を、或いは人馬族の場合、専用軍服と同じ馬着を纏った自らの下半身を走らせる。

 

 レヒスカ王国の、共和国のシュラフタ(貴族)としての誇りを胸に、槍を前に構えてロウリア騎兵目掛け、ある程度散開した状態で突撃を始める。

 すでにこちらに気づいていたのはわかっているが、それでもこちらの方が有利だ。何せ我々の軍馬は品種改良に品種改良を重ねて作り上げられた、最高の軍馬なのだから!

 たとえどれだけ優れた戦車がいようと、あくまでもレヒスカ王冠領軍の、そして共和国軍の誇りと象徴は騎兵であり、我らの栄光は馬の存在ありきで語られるものなのだから!

 

 

 

 ロウリア騎兵目掛けて槍を前に構えて突撃する有翼騎兵達の最先鋒で、“ヴワディスワフ・ハウケ=ボサック“はこの突撃に歓喜していた。

 久しぶりの戦争、久しぶりの突撃!心が踊らぬフサリアはいないし、さらには最先鋒ときた!シュラフタ(貴族)もそうじゃないのも、誰もが羨むリスクと栄光の大きな最先鋒。

 命を全て賭けて、栄光を掴み取る。嗚呼、何と素晴らしき戦争かな!

 

 逃げようと馬を走らせる第15騎馬隊。可哀想に、一番後ろの奴からフサリアのコピアに喰われていってしまう!

 使い捨てで、一回きりのとても長い槍。その穂先が、敵兵の体を鎧ごと貫き、その多大なエネルギーを受け止めきれずにポキリとコピアが途中から折れたので投げ捨てて。鞍の左側に据え付けた鞘からとても長い、150cmはある鎧貫きのコンツェシュ(エストック)を引き抜いて、次の獲物に突き刺す。

 

 コンツェシュを刺され、ウギャアと断末魔を上げ、馬上から転げ落ちたロウリア兵は後続──人馬族──の戦友に思い切り踏み抜かれてぐちゃりと潰れる。まるでトマトみたいに!

 コンツェシュもまたエネルギーに耐えきれずに折れたので投げ捨て、サーベルを引き抜く。やはりフサリアはこうでなくては!

 

 突撃の勢いは途切れず、むしろ強まっていく。これぞフサリア、と言いたいところではあるが、どうにも不完全燃焼でもある。

 多分指揮官らしき、兜を被った男(赤目のジョーヴ)は見た目の割にかなり歳を食った平原精霊人の指揮官が装飾の施された私物のナジアック(小ぶりな戦鎚)でまず頭に強い打撃を加え、次に鶴橋のように尖ったもう片面で鎖帷子ごと脇腹を貫き、鞍から男を引き摺り下ろして勢いよく地面に叩きつける。

 

 地面に叩きつけられた男は両手剣を引き抜こうとしたところで、あいつの人生はおしまい。

 我らの指揮官殿が馬の足を緩めながらナジアックを鞘に納め、次にリボルバーをホルスターから引き抜いて胸に二発、脳天に一発。

 淡々と、表情一つ変えずに男──赤目のジョーヴ──を撃ち殺し、あっさりと戦闘が終わった戦場に、再集結命令の笛を吹き鳴らす。

 

 

 

 

 

 中央暦1639年/救世主暦1955年5月21日

 クワ・トイネ公国 ギム=エジェイ間街道 とあるエルフの避難民

 

 パルンは騎兵の1人を撃ち抜き、襲撃機が赤目のジョーヴ達を襲撃し、フサリア達が最後の一押しに突撃をかけた後。

 ルビー拳銃を構えたまま、そこに立ち尽くしていた。

 

 そこへ、1人のフサリアがやってきて、馬から降りる。

 彼がロウリアの騎兵と違うのは、身に纏っている立派な装備からも、振る舞いからもよくわかる。

 パルンは、銃口を下ろした。そんなパルンに、彼の撃ち抜いたロウリア騎兵の検死をするべくやってきたフサリアが訊ねる。

 

「坊や、そこに転がっているのは坊やが倒したのかい?」

「う、うん。これでやっつけたんだ!」

「そうか!よく妹を守ったな、それでこそ勇者だ!」

 

 見事な腕前だと感心しながら検死を済ませ、ロウリア騎兵を撃ち殺したのがパルンであるとわかると、フサリアはパルンの頭を少し乱雑に撫でながら彼の勇気を、戦果を褒める。

 乱雑に撫でられるそのフサリアの手つきに、パルンは父親のことを少し思い出しながらも、勇者だと褒められたことを嬉しく思う。

 

「さて坊や。君が今やっつけ、そして我々が叩き潰したの以外に、この近辺には敵がいない。つまりはここらへんは安全になったわけだ!だから、安心して街道を進むと良い。そうすればエジェイはすぐさ!さあ、他の奴らにも伝えてこい!」

 

 少しの間パルンを乱雑に撫でまわし、ついでにアーシャも同じようにしていたフサリアは再集結命令の笛とその後に続く喇叭の音色を聞いてふと思い出したように撫で回す手を止め、この辺りはもうすでに安全になったことを他の避難民達にも伝えるように言い、フサリアは馬に跨って隊列を組む戦友の元に戻る。

 隊列に混じるフサリアの背中を見送ったパルンは妹に手を貸して立ち上がらせ、他の避難民達にも街道が避難できると伝えに行く。

 それをパルンから伝えられた避難民一行は一度負傷者の手当てを済ませてから再びエジェイへ向かうことにする。手当が終わるまでの間、休憩することにした一行は街道を通って往くクワ・トイネ兵やレヒスカ兵、旧保護国兵を荷台に乗せ、火砲や野戦炊事車等を牽引したトラックや戦車、装甲車の車列へ手を振って見送り、故郷にもすぐに帰れるだろうと喜びながら兵士達に励ましの声をかける。

 

 歓声を浴びて進軍する兵士達は、クワ・トイネ公国立案の攻勢計画に従ってギムの解囲、そして国境線の押し戻しによるロウリア王国との講和を目論んで前線へ赴く。

 

 

 

*1
キルティングで製造された布製の鎧

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