もしもチェーンがかかってたら   作:あルプ

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pixiv同時掲載。


もしもチェーンがかかってたら

今話題の人気アイドルが襲われた!

 

 

犯人は自殺か!?

 

 

ドアのチェーンが命綱に!!!

 

 

 

朝刊でも、夕刊でも、ネットニュースでも。

その事件はあらゆるメディアの記事を賑わせた。

 

しかし、いや、安心すべき事なのだが、あくまでも死亡事件ではないがために、あっさりと一般大衆からはその記憶は消し去られた。アイも少しの休止期間を経てから、再び雛壇に立つことに。だが、アイドルとしてのB小町としての活動はメンバー間の不和により徐々に活動は消え、反比例するように女優としての活躍が目立つようになっていった。

 

そして僕と、妹、そしてアイ母の家族物語のページは破れることなく、少しの汚れを含みつつも順調に続いている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【7歳・春】

 

桜の花びらが舞い散る、理想的な入学日より。年甲斐もなく(7歳だが)ランドセルを背負い、新たな出会いや環境に期待に胸をふくらませて通学路を歩く。妹のルビーはスキップを踏みながら歌を歌っている。

そして、息子と娘の2人と手を繋いで歩く他の親より一際若く、一段と可愛らしい俺たちの母親ーー星野アイ。今、一世を風靡している大人気若手アイドル兼女優だ。しかし、万が一にもバレてはいけないので伊達眼鏡とマスクを付けて髪型も変えている。それでも魅力を抑えきれていないくて他の親から注目されているのは流石と言ったところ。

 

「2人とも元気いっぱいだねー。小学校は楽しみ?」

「うんっ!お友達沢山つくるんだあ!」

「ルビィなら100人も夢じゃないよ。アクアは小学校楽しみ?」

「…理科の勉強して、実験したい」

「そっかー。将来は科学者かお医者さんかな?」

「それがいいな。」

「そっか、お医者さんか……うん、勉強頑張らなきゃね」

 

母さんが微妙そうな顔をしたのは、俺の前世が間違いなく関わっているだろう。簡単に説明すると、星野アイーー母さんを出産直前まで世話をしていた医者であり、出産直前に殺された医者である。秘密裏の出産を最後、いや、最期まで助けてきた医者の死。そりゃ命の危険があるんじゃないかと身構えるだろう。それが自分の息子なら尚更だ。

これからわかる通り、俺には前世の記憶がある。

だが、あとは何ら変わりない。小学校で母さんと一緒に居ることが出来る時間が少し減るのを寂しく思う、至って普通の小学生だ。小学生らしく振る舞わなきゃいけないのは、結構きついけど。

 

「あっ、小学校見えてきたよー!」

「えー、どこどこ?見えない、見えない!」

 

俺たちの身長では捉えきれない小学校を見ようと、ぴょんぴょん跳ねるルビーを母さんが抱き上げる。

 

「ほら、あそこ。うわぁー結構大きいな…私が行ってたとことは全然違う」

 

自分が通う学校がどんなものなのか、俺も気になって少し背伸びする。うん、見れない。

そんな俺を母さんは見てたらしく、ルビーを下ろして俺を抱き上げる。

 

「ほら、アクア。向こうにある白?肌色?の建物だよー」

「えっ、か、母さん?!」

 

少し恥ずかしい。でも、母さんにとって俺はただの息子。俺の羞恥は知ったことではないらしい。

諦めて小学校っぽいとこを見ると、なるほど、確かにでかい。流石は都心と言ったところであり、地方の小学校とはひと味違う凝った造りをしている。まず、全面ガラス張りの渡り廊下がある時点でもう驚きだ。高校なら分かるが、小学校でこれは凄すぎやしないか?わんぱく坊主が割ったりしそうなものだけど、どうなんだろうか。

それでも、期待しかないこの小学校に早く入ってみたい。

 

「ママ!早く行きたい!」

「俺も!」

「じゃあ少しだけ早歩きしよっか。でも、走っちゃだめだよ?制服が破けちゃうからね」

「「うん!(はーい!)」」

 

 

 

入学式が終わって帰る道中、母さんが感動のあまり人目もはばからず俺たちを抱きしめ、泣いた。

 

 

「ここまで無事に育ってくれてありがとう。アクアも、ルビーも。2人とも、だーいすきだよ!」

 

 

 

後日社長から聞いたのだが、入学式の為に無理を通して入っていた仕事を全てキャンセルしたらしい。何より子供が大切、成長していくのが嬉しいんだとか。

 

本当に、素晴らしい母親に恵まれたと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【8歳 夏】

 

今日から夏休み。夏休みと言えば海、山、祭り!思い描く夏休みの代名詞は十人十色だが、中にはこんな人もいるだろう。

 

“夏休みの宿題”

 

そう、俺は今、苦境に立たされていた。隣のルビーは意気消沈。俺もようやくドリル類を全て終わらせ、ぐったりしている。

 

「2人とも、まだまだ宿題は終わってないでしょ?どんどんやらなきゃ、後ですっごく大変だよ?」

 

どうしてこのような事になってるのかは、数日前に遡る

 

 

 

 

「「ただいまー!」」

「おかえりー、2人とも。学校どうだった?」

「ふつーだよ」

「あれ、お母さん今日は休み?」

「うん。今日はルビーとアクアは夏休みでしょ?一緒にちゃんと計画立てないと!」

「ほんと!?どこかに連れてってくれる?」

「いいよー。ママもまとまったお休みが貰えたらね?」

「わあーい!アクア、ママがどこか連れてってくれるって!」

「聞いてたよ。ちょっと、袖を引っ張るなって」

「楽しみだねー!」

「それは同感」

「うーん。だけどね、2人とも。宿題終わらせないと連れて行けないよー?」

「「あっ」」

 

 

 

 

……とまあ、このような事態に陥ったわけだ。小学生のうちからテスト期間設けたりと、薄々は感づいていたが

 

"うちの国民的アイドル母さん、スパルタ教育ママ"

 

しかも俺の場合、前世がゆとり世代に片足突っ込んでたのも手伝って今の宿題の量が膨大に思えてくる。知識はあって簡単にすぐ解けるものの、体力は小学生。流石にへばる。

 

「2人とも、今日はもう終わりにしよっか。6時も過ぎたし、ご飯作るね」

 

そう言って読んでいた本を傍らに置き、可愛らしいフリルの着いたエプロンを着て、髪をポニーテールにまとめて台所に向かう。

 

疲労困憊の俺はその場で寝転がってしまう。ルビーはと言うと…

 

「ママ、ママ!私も手伝う!」

 

なんでそんなに元気があるんだ……?

 

 

 

 

今日の食卓に並んだのはじっくり煮込んだビーフシチューに、ホームベーカリーで焼いたパンと、サラダ。かなり豪華だった。ちなみに母さんの料理の腕前は、芸能界辞めたら料理人にって言ってるくらい凄い。なんでも、子供が産まれるからって理由でミヤコさんに習ったのだとか。親の鏡かよ。

俺たちは絶品の料理に舌鼓を打つ。気づいた頃には寝ていたらしく、いつものように川の字で3人で寝静まっていたらしい。母さんが頬をずっとぷにぷにするから起きてしまった。

 

起きてすぐに母さんはキッチンに歩いていった。俺もルビーを起こさないように布団から抜け出して手伝いに行く。今日の朝ごはんは昨日の残りのシチュー。星野家の朝は基本軽く済ませることが多い。というのも、俺を含め3人とも朝に弱いからだ。

 

「ルビー起こしてくるから、アクアはお皿並べておいてね」

「分かった」

 

皿を並べ終わると同時に、ルビーが眠そうな顔でヨタヨタ歩いてくる。

星野家の掟として、ご飯は必ず家族揃ってでというのがある。母さんが居ない時はミヤコさんと社長。基本はミヤコさんしか来ないけど。

 

「ほら、アクア手を合わせて。ルビー!寝ちゃダメだよ!ほら、せーの、」

「「「いただきます」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ご飯も食べ終わり、さあ行先は勉強机。

後の残りはポスターに習字に自由研究……

あっ、日誌もある。今後の見通しが真っ暗過ぎて涙が出てきた。宿題の蟻地獄にゴールは無いのか。

 

まだまだ母さんのスパルタモードは続きそうだ。

 

 

 

 

 

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