さりな「どうしたのせんせ?」   作:FOOO嘉

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有馬、事務所辞めるってよ

 

有馬かな

 

9歳

 

苺プロダクション俳優部門所属

 

なのだけど、女優のお仕事はあまり無い。

 

じゃあ暇をしてるのかと言われたらそういうわけでもない。

 

 

「この前旦那にパンケーキ食べさせてあげたらめちゃくちゃ喜んでくれて。それ以来お菓子作りにハマってるんですよ〜」

「嘘言ってんじゃないわよ。お菓子作りにハマってるのは先生でしょ。アンタの作ったのは粉で出来た何かだったじゃない。エメルビの虚無顔忘れたの?」

「ゴローは美味しいって食べてくれたもん!」

「何がもんよ。20過ぎの女が言っても可愛くないわよ」

「可愛いし。ゴロー可愛いって言ってくれるし?かなちゃんより可愛いって言ってくれるしぃ?」

「9歳となに張り合ってんのよ」

「ピーマン体操だって踊れるからね」

「人の黒歴史ほじくり返してんじゃないわよ!」

「ピーマン嫌いなじゅ…かなちゃんより、何ならピーマンの肉詰め好きな私の方が本物のピーマン体操だし」

「越えたわね?ライン越えたわね?てか、今重曹って言いかけたでしょ!」

「気のせいだよかな…重曹ちゃん」

「何で言い直したぁぁ!!」

 

スタジオからは笑いが起こる。

 

ゲストとして呼ばれた私とアイのやり取りがこうして笑いを取ってしまうのは今に始まったことじゃない。

 

元アイドルの子持ちの女優と生意気な子役の漫才のようなやり取りが若年層を中心に受けているらしい。

 

売れ方がバラドルみたいなのは正直不満だけど、一時の完全に干されていた頃とは雲泥の差なので文句はあまり言えない。

 

 

それに、今の仕事が嫌いかと聞かれたら、癪なことに嫌いじゃない。

 

 

「お疲れ、かな」

「先生…」

 

仕事を終えてリビングのソファーでぐてーっとしていると、目の前にホットミルクのカップを差し出される。

 

少し地味めだけど眼鏡の似合うインテリなイケメンおじさんからホットミルクを受け取ると、おじさんこと雨宮吾郎先生は私の向かいに腰掛ける。

 

今日の私の共演者であり、今の私の疲労の原因でもある女優雨宮アイの旦那さんだ。

 

「随分疲れた顔してるけど、ちゃんと休めてるか?睡眠時間も取れてないようなら仕事の量を…」

「あー、それは全然大丈夫だから。おかげさまで」

 

心配そうな先生に小さくかぶりを振る。

この人は私に優しいのだけど、過保護なのが玉に瑕だ。

私がちょっとでも悩んだ顔をしたり、凹んでると側にきてあれこれと世話を焼きたがる。

それが売れっ子だった頃に媚びに媚びまくりなコビコビの実能力者かってくらい媚びまくる大人共と違って、干されてた頃から変わらず善意での態度だから困る。

 

 

いや、困ってないんだけど本当は。

 

むしろ嬉しい。

気にかけてくれて凄く嬉しい。

 

嬉しいのだけど、構われすぎるとやはり困るのだ。

 

具体的には…

 

 

「「じぃ〜〜」」

 

ドアの影から私を恨めしげに見つめる二対のよく似た瞳。

そこからそっと目を逸らすと、先生は二対のじっとりとした視線にも気付かないのか、少し眉を寄せて見つめてくる。

 

「言っとくが隠してたら怒るからな?変に気を遣って頑張ろうとするなら掻っ攫ってでも仕事させないからな」

「それ誘拐で先生が警察呼ばれるよ?」

「ウチの子を引き取るだけだから無問題だ」

「もう…心配症ね。昔と違って体調管理はやってるつもりだし、身体壊すほどお仕事無いから…グッ」

「何で自分でダメージ負うこと言うかなこの子は」

「べ、別にダメージなんて…」

「はいはい」

「頭撫でるな!」

 

頭を撫でられるのは嫌いじゃないけど、子供扱いされてるようでムズムズする。

ムキになって手を振り払おうとすると、先生が楽しげに私の手を避けては撫でてくる。

何なのこの人。

いいオッサンなのに、小学生男子か。

ちょっかいかけてくるクラスの男子を思い出す。

勿論、アイツらと違って本当に嫌がることはしてこないけど。

してこないけども!

この人、私のこと好きすぎじゃない?

妻子持ちを虜にする自分の魅力が怖い。

 

でも、程々にしないと…

 

 

「「「んじぃぃぃ〜〜〜〜」」」

 

 

ほら見ろ!!視線が一対増えてるし!!

 

 

「ゴローがまたかなちゃん構ってる」

「ロリがいいのパパ?だったらもうすぐ二桁になるせんぱいより私の方が良いでしょ?」

「…やっぱりお兄ちゃん?ロリ先輩大好き具合から…いや、元々好みの…クソが」

 

下2人はともかく嫁までガチ目の嫉妬してるー!!

 

「君達それはもう凶器だからね。俺の心も殺せるし社会的にも殺せるからね」

「だって、ゴローがかなちゃん預かりたいってロリコレのためなんでしょ?」

「なんだそのアプリゲームみたいなのは」

「めいめいが言ってた。『ゴロー先生はロリコンだから、12歳のピークを超えた私はババアだし、なんならもっと若い有馬ちゃんに乗り換えるに違いない。子供達のためにも離婚して子供と一緒に離れた方がいい』って」

「めいめいぃぃぃ!!」

 

いや、それ絶対私をダシにして先生フリーにさせるのが目的でしょ。

何簡単に騙されそうになってるのよこのアホ女優。

 

「ねぇ、先生。私が疲れてるように見えるって言ってたわよね。私がもし疲れてるとしたら先生の奥さんのせいかしら」

 

嫌味の一つくらいは言ってもバチは当たらないはずだ。

 

「ウチの家内が重ね重ね申し訳ない」

「やだ、家内だなんて。家内、キャー!聞いた?ルビー、エメラルド。家内だなんて、照れちゃうよね」

 

クソう、頭お花畑は皮肉も通じない。

 

「ママって幸せな頭してるねエメ」

「そもそも実際家内でしょ」

 

もうすぐ5歳になる双子の姉妹の方がはるかにしっかりしているのがこの家だ。

ほんと、変な姉妹。

 

ロリコン疑惑のあるやたらと私を構ってくる優しいお医者さん。

そのお医者さんの妻でアホでお花畑な元国民的アイドル。

そして二人の間に生まれた奇妙に大人びた双子の姉妹。

 

この4人が現在の有馬かなの家族だったりする。

 

 

 

 

 

「お前さん、程々にしとかないと痛い目見るぞ?」

 

そんな言葉を言われたのは5歳の頃だった。

いつものように天才子役としての私の演技力を必要とする現場、大人たちは誰がこの作品の行方を握ってるのかわかってるから、誰もが私の顔色を伺っていた。

 

私はお姫様で女王様だった。

 

今思えば裸の王様ならぬ裸の女王様なんだけど。

 

5歳児の辞書に謙虚なんて言葉があるわけがない。

自分の実力が認められて、周りがペコペコすれば偉そうになるのは当然だろう。

あの、いい子ちゃんぶった気に食わない黒川あかねとかなら違うかもしれないけど、当時の私には疑問にも思わなかったし、周りにも注意なんてされなかった。

 

だから、最初に感じたのは不快感。

 

「はぁ?誰おじさん?見ない顔だけど、売れないエキストラの人?」

 

背は高くて顔はそこそこ良い。

けど現場で会ったことは一度もないから、鳴かず飛ばずの冴えない役者だと当たりをつけた。

そして、そう枠にはめてしまえば、格付けは終わる。

いい年して芽の出ない役者のおじさんと、国民的天才子役の有馬かな、どちらが格上なのかを。

 

「この私に意見しようなんていい度胸ね。そういうの立場を弁えてないって言うんでしょ」

「ざんねん。おじさんは付き添い。ウチの役者なら、ほれ」

 

そう言って指差したのは、アホ面で幸せそうにおにぎりを頬張ってる見知った顔。

私よりも遥かに有名なその人に私は舞い上がる…こともなく、鼻で笑った。

 

「ふん、元アイドルなんでしょ?知ってるわ。実力もないのにコネで呼ばれる人がいるのよね。客寄せパンダってママが言ってたわ」

 

ここまで言ってから、私はふと我に返った。

役者でもスタッフでも無い「付き添い」って言い方をするこの人が実はめちゃくちゃ偉い人だったらどうしようと。

ドラマで見たことがあった。冴えない掃除のお爺さんと馬鹿にしてたら実は会社の社長が変装してたっていうやつだ。

怒っているかと不安になってそろっとおじさんを見ると、おじさんは怒るどころか微笑ましそうな、懐かしそうな顔で見下ろしていた。

 

「そうだな、客寄せパンダと言われたら否定は出来ないかもしれないけど、ウチのアイはそんじょそこらのパンダとは訳が違うからな」

 

 

得意げなその笑顔に、私は少し羨ましくなった。

ママも事務所の社長も私を褒めてくれるけど、お金になるからだっていうのは薄々感じていた。

ママは褒めてくれるけど、誇らしくは思ってくれているんだろうか。

 

それが悔しくて、バカみたいな顔でおにぎりを頬張ってる元アイドルに嫌味を言ったとしても、仕方がないことだろう。

 

 

おじさんの言葉を思い知ってギャン泣きしたのはそれから30分後のことだった。

 

演技力とか経験とか、そんなもの纏めて私はその輝きに吹っ飛ばされた。

 

どんなにすぐに泣けても、演技力を発揮しても、見てもらえなきゃ意味がない。

視線を一瞬で独り占めされてはなす術もない。

 

私は上には上がいることを初めて思い知った。

 

 

 

 

 

アイの輝きにぶん殴られて、それがきっかけというわけじゃないけど、私の仕事は右肩下がりに減っていった。

 

私と同じかそれよりも上手い演技が出来て、私よりもギャラが安く、そして、私よりも性格の良い子役に仕事を奪われる様になったのだ。

 

それからはもう転げ落ちるかのように私は迷走していく。

仕事を取ってこないと事務所を詰るママと、口出しをしてくるママを鬱陶しく感じる事務所の関係が悪くなり、お金を稼がない私とそれを疎ましく思うようになったママとの関係も悪くなる。

常にイライラするママとそれを煩わしく思うパパの関係が悪くなり、そのことでピリピリしたママが事務所を詰ることの悪循環。

 

それでも仕事が全くなくなることがなかったのは救いだった。

 

「重曹ちゃん、やっほ⭐︎」

「またアンタと共演?」

 

ドラマやバラエティでアイと共演することが度々あった。

苺プロがアイの仕事の際に、共演者に私を薦めているのが理由なのだと知ったのは少し経ってからのことで、当時の私としては、ありがたくも初めて自分に挫折を味合わせてくれたアイとの共演は素直に喜べなかった。

だって、アイの輝きなんて側にいたって学べるようなものでもないし。そりゃ頑張ればアイを装うように演技出来るかもしれないけど、それは私の性には合わない。

 

でも、アイとの共演を断ることはなかった。

数少ない収入源だったことが理由の一つ。

 

そして、もう一つは。

 

「よう、かなちゃん」

「また子守り?アンタも大変ね。幼稚園の先生かしら?」

「うわー、可愛くねー」

「うっさい!……わかってるもん…」

「…お前最近は結構しおらしくしてるんだって?」

「…だって、そうしなきゃ誰も使ってくれないもん。アンタが言ってたのってこういうことだったんだね」

「ま、どっちかっていうと、お前さんの事務所のアホっぷりとお母さんの暴走のせいだけどな」

 

ポンと頭に手を乗せられる。

大人の人に頭を撫でられるのが凄く久しぶりで、泣きそうになったのはナイショだ。

 

「ふふふっ、ありがとう」

「ちなみに、ピーマン体操はウチの子達にも大好評だぞ。見るか?この世に降臨した天使達だぞ?」

 

可愛い双子ちゃんのピーマン体操は確かに可愛かった。

ていうか私より人気出そう。

 

「バズりそうね」

「嫌だ。この可愛い天使達の姿は俺だけのものだ」

「親バカ過ぎて引くわ」

「るせぇ」

 

こういう先生との会話が凄く楽しくて、私は密かにアイと共演することが楽しみだった。

 

 

 

「ねぇ先生…」

「どうした?」

「パパがね、女の人と出て行っちゃったの…ママ、前よりも怒りっぽくなってね、私のお仕事が前より減ったのが悪いのかな…」

「んなわけあるかよ……有馬は頑張ってるよ」

「え?」

 

気のせいか、今一瞬、先生じゃない人に呼び掛けられたと思った。

 

「かなちゃんは少しやり方を間違っただけで、君の頑張りも才能も嘘じゃない。そりゃあ大人を顎で使うような態度は反省すべきだと思うが、だからって今までの君の努力までなかったことにしちゃいけない。

もし、君の周りの大人が、君を責めるようなら…」

 

先生は私の前に片膝を付いて、真っ直ぐに私を見つめた。

どんなドラマの現場でも見たことがない、パパにだって向けられたことがない真剣な眼差しに息が止まる。

 

 

 

「俺のところにおいで」

 

 

 

 

 

それから何があったのか、私は詳しくはわからない。

「大人には大人の話し合いがある」と言っていたのは先生。

 

事務所は子役としての有馬かなの商品価値はもはやないと判断したのかあっさりと私を苺プロに押し付けた。

 

ママは実家に帰ることになった。

まともに働いたことのなかったママはお婆ちゃんのところでもう一度やり直すらしい。

やり直せるのかはママ次第だと先生は言っていたけど、あの世間知らずのママが自立した大人になれるのかは怪しいところだけど。

私がそう言うと、先生は「頑張り屋のかなちゃんのお母さんなんだ、きっと頑張れるさ」なんて笑って頭を撫でてきた。

まったく、妻子持ちが気安く乙女に触れるのはやめた方がいいのに。

けど、お婆ちゃんの家に帰る時、泣きながら私に謝っていたママを見て、少しだけ救われた気がした。

まだ、多少は私はママに愛されていたのだと思えたから。

 

 

「かなちゃん、今日晩ご飯何がいい?」

「アイ…さんが作るの?」

「あれれ?なんか凄く信用がないんだけど…」

「というか先生の方が上手いし」

「ゴローはかなちゃん専属じゃありません!そんな気軽にゴロー頼りにするのはダメだから」

「ふん。私はその『ゴロー』に口説かれてここにいるんだから文句は『ゴロー』に言ってよね」

「あーあー、そういう性格だから干されるんだからね!」

「ゴローゴローって、先生にべったり甘えてるからお腹周りが怪しくなるのよ」

「そんなことないもん!……ないよね?」

「なんで自信なさげなのよ」

 

 

 

 

「私ね、パパは世界で一番素敵だと思ってるけど、ロリを口説くのはどうかと思うの。あかねちゃんにも声掛けてたでしょ?大丈夫?警察の厄介にならない?」

「酷い誤解だよエメ!!黒川さんはかなちゃんのファンだから盛り上がるんだよ。オタトークが」

「9歳の子と有馬オタ友にならないでよ…」

「わ、私はパパが捕まってもいつまでも待ってるからね!!」

「ルビー優しい!天使!けどその優しさが一番辛い!!」

 

 

 

 

 

「ミヤコさん、編集終わりました〜」

「あら、ありがとうメムちゃん。いつもごめんなさいね」

「いえいえ、こちらこそありがとうございます。お給料は良いし、アイさんの側にいられるし、何かお給料貰うのが申し訳ないくらいです」

 

憧れのアイの事務所のオーディションに合格したと連絡を受けた直後のことだった、お母さんが倒れたのは。

まだ幼い弟達の為にもすぐにでもお金を稼がないといけなかった私は合格辞退をするつもりだった。

そんな私を引き留めてくれたのが苺プロの人達だ。

合格を保留にして、アイのマネージャー業のお手伝いをさせてもらうように便宜を図ってもらえた。

正直、お給料がただでさえ良いのに、任される仕事は得意な動画編集作業で、アイや元B小町のメンバーの動画をタダでひと足先に見れてしまうというこんなに良くしてもらっていいのかというレベルだ。

 

「雨宮先生があなたの事随分買ってるのよ。あの子は絶対いいアイドルになるから手放しちゃダメだって」

「雨宮先生が…」

 

雨宮吾郎先生。

苺プロお抱えのお医者さん。ママの身体のことでも色々相談に乗ってくれていて、先生に紹介していただいた病院のおかげで、当初の見込みよりも早くママの身体は回復傾向に向かっているらしい。

優しくて温かくて素敵な人。

何かと気にかけてくれて、歳の離れたお兄ちゃんが出来たみたいで少しくすぐったい。

 

「…幼い雰囲気がストライクゾーンだったのかもね…」

「何か言いました?」

「なんでも無いわ」

 

ミヤコさんが小さな声でぽそりと呟いていたけど、なんて言っているかまでは聞き取れなかった。

 

「メムちゃん、今日はもう仕事終わっていいわよ」

「今日はアイさんとかなちゃん直帰なんでしたっけ」

「ええ。今連絡が来たわ。編集動画も一区切り付いたし。何か出前でも頼みましょうか?」

「いいんですか?やったー!」

「ふふ、大袈裟ねぇ」

「それにしても、かなちゃんとアイさんのコンビ人気出てますね」

 

#アイかな、#母娘漫才、#雨宮家の長女等々、

 

SNSでは早速タグ付きで今日の放送の反響が溢れている。

 

「有馬かなちゃんね…ウチの事務所に来てくれたのは嬉しいけど、雨宮先生が引き抜いてきた時は驚いたわ。スカウトマンとして雇うべきだったかしら」

「あぁ〜…」

 

有馬かなちゃんとそのお母さんがウチの事務所に来た時、お母さんのゴネっぷりに移籍話は頓挫するかと思った。

お茶出しがてら、盗み聞きしていた程度だけれども、有馬ちゃんのお母さんは自分の娘をなんだと思っているのかと怒鳴りたくなるくらい自分勝手で、そして自分で自分を酷く追い詰めている人だった。

有馬ちゃんには悪いけど、私はママが私のママで良かったと心から思ってしまった。

有馬ちゃんのお母さんはヒステリックに声を荒げて、終いには泣き出してしまった。

そんな有馬ちゃんのお母さんを宥め、じっくりと話を聞いてあげたのは雨宮先生だった。

泣き腫らす目元に冷やすために冷やしたタオルを差し出してあげながら、先生は静かに染み込ませるように有馬ちゃんのお母さんに語りかけていた。

 

 

『貴女は十分に頑張ってますよ』

 

『けれど、今はまず貴女自身のことを休ませてあげてください』

 

『自分のためにお母さんが苦しんでるのを見たら、かなちゃんもきっと悲しみます』

 

『まず、貴女は頑張ってきた貴女自身に優しくしてあげてください』

 

『かなちゃんみたいな子をここまで育ててきた貴女は自分をもっと誇るべきだ』

 

『その上で、これからのことをゆっくり考えていけばいいんですよ』

 

目線を合わせて、手を握りながら、静かに、優しく語りかける内に、有馬ちゃんのお母さんが落ち着いていくのが傍目にもよくわかった。

 

 

「あれって説得というより丸め込んでましたよね…」

「そうともとれるかもしれないわね…」

「先生ってお医者さんですよね?お医者さんてみんなあんな風に口が上手いんですか」

「い、色々な患者さんと接してきたんでしょうし…」

「有馬ちゃんのお母さん、最後『貴方がかなのパパなら良かったのに…』って言ってたのは…」

「娘を預けられる信用できる人っていう意味なのよ、きっと…」

 

「……」

「……」

 

 

 

「先生刺されませんよね?」

「だ、大丈夫よ。マンションのセキュリティーは万全だもの」

「いえ、アイさんに…」

「……せめて監禁で済ませてくれないかしらね」

「ミヤコさん!?」

 





 雨宮吾郎
有馬母娘を口説き落として、有馬かなを苺プロに勧誘。
有馬母娘の状況を見て、一度離した方がいいと判断。かなも同意。
なお、斉藤夫妻に預けることも検討したが、かなの希望により雨宮家にて預かることに。
妻と娘達からロリコン疑惑を抱かれ始めている。


☆雨宮アイ
かなとのアイかなコンビが人気になっているが、お茶の間に着実に浸透するおバカキャラには思うところがある。
医者の妻としてはもう少しインテリイメージを付けたいところだが、それはペンギンに空を飛べと言ってるのと同じことなのである。
ゴローのロリコン疑惑が本当なら12歳の頃の自分が全盛期だったのか?ならば、いっそ12歳の母になることもやぶさかではなかったというのに、と論点のズレたことを考えている。
手錠かナイフか。手錠で妥協しとけ。


☀️有馬かな
アイと出会ったことで9秒で泣けるようになった天才子役。
ゴローを先生と呼び父のように慕う。
会話のやり取りが心地良い。
性格的にはゴローは好みであるため、もう少し歳が近くて王子様みたいな顔だったら良かったのにと惜しく感じる。
双子達から嫉妬の目で見られている。
あれ、母親も加わってね?


・有馬母
ホストにハマる気持ちがわかった。


 メムちゃん
憧れのアイのマネージャー業のお手伝いや、付き添い名目でアイのレッスンに参加させてもらったりと、本当にこんな幸せで良いのかと、幸せ過ぎて少し怖い状態。
MEMちょとして苺プロのネットアイドルデビューを控えている。
ゴロー先生は頼りになるお兄さんのように思っている。
双子ちゃんの世話も任されており、ゴローからはある意味でアイよりも信頼され、細やかな仕事や家のことを頼まれている。
ゴロー先生がいつか刺されるのじゃないかと心配。


 黒川あかね
ララライ所属の期待の天才子役。
最近年上のオタ友が出来て楽しい。雨宮吾郎って言うんですけどね。
有馬かなトークで自分クラスに熱意を持って語り合える猛者がいるとは思っていなかったと興奮が抑えられない。
無自覚にかなに入ってくる役者の仕事の何割かを奪ってる子。
この子に「雨宮のおじ様」と呼ばれたゴローは、また一つ紳士の扉を開いた。




 日本のお巡りさん
日夜、日本の平和の為に頑張ってくださっている方々。
YESロリータ、NOタッチなど彼らの辞書には無い。疑わしきは逮捕。ロリコンは絶対に許さない。


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