自称ヒーラーの男 作:呪いの石仮面
……一日で3話投稿してるの凄くないです?
「──ですので虎杖君は二人と一緒に吉野順平の調査を進めてください」
「オス!」
「……!」
七海の言葉に敬礼する虎杖と補助監督官、伊地知潔高。
そんな2人の横で資料に目を通す青年。
最近の付近の失踪者、及び変死者と呪霊が残した残穢をまとめたその資料。
それを元にあのツギハギ男の居場所をある程度特定出来たという話だったが……。
「…………」
資料から目を離し青年は七海を見た。
あちらも青年に気づき、そして……少しばかり首を横に振る。
虎杖には聞かせないで欲しいという真意を読み取り口にチャックをする青年。
「よし、行きましょう!先輩!」
「……ん?おお」
張り切る虎杖に少しばかりの微笑ましさを感じる。
伊地知と共に部屋から出ていく虎杖を確認して彼は七海に声をかけた。
「ある程度……と言うよりもう特定は終わってるんでしょう?」
「…………」
「……ぶっちゃけ特級相当ですよ。単独で行くんです?」
「敵は残穢なんてその気になれば残すことは無いはずです。私たちは誘い込まれている。虎杖君を連れていくリスクと単身乗り込むリスク……よりリスクの低い方を選んだまでです。それに特級呪術師さんはやる気がなさそうですので」
「イヤミカキサマー。……普通に頼まれたら俺が行くのに」
「いえ、結構です。あなたは虎杖君と伊地知さんの護衛をお願いします。私の身に何かあってもあなたがいればどうとでも出来るでしょう」
「……結局俺ありきの無茶ですか。へいへい了解ですよっと──」
そんな会話をしていると唐突に開く部屋の扉。
飛び込んできたのは虎杖。
「七海せんせー!!言い忘れてた!気をつけてね!!」
「「「………」」」
伊地知と七海、そして青年はそんな虎杖にほほ笑みを浮かべる。
「虎杖君……私は教職ではありません。なので先生はやめてください」
「じゃあナナミン!」
「ブフォッ」
「ひっぱたきますよ?」
まさかの愛称に吹き出す青年。
七海と虎杖はいいコンビだな、なんてことを思っていた。
「いました」
伊地知の運転で移動して数分後。見つけた目的の人物。
吉野順平。青年が映画館で見かけた男だ。あのツギハギ男について行ったあの男。
「アレ?私服?」
「しばらく高校には行ってないそうですね」
「ふーん、で、どうすんの?」
「これを使います」
そう言って伊地知が取り出したのはひとつの箱。箱と言うよりも檻。中にはコウモリ大くらいの大きさの虫のような呪霊。
「蠅頭か」
「ええ、これを使います」
「ようとう?何それ?」
「4級にも満たない……まあ吹けば飛ぶ呪霊だよ」
「へー」
青年の言葉に面白そうに指でつんつんする虎杖。もはや扱いが小動物のそれである。
「人気のない所に行ったらこれに吉野順平を襲わせます」
「うえ!?」
「一般人だった場合は虎杖君が救助してください。視認できるが対処出来ないようでしたら、これもまた虎杖君が救助を。事件当日の聴取します。呪術で祓った場合は即座に拘束。2級術師相当のポテンシャルを持っていた場合は──」
「まあそんときは俺が対処しますよ。流石に」
「ありがとうございます」
そんな青年と伊地知のやり取りにそういえばと虎杖は声を上げた。
「先輩ってどれくらい強いんスか?」
「んー?まあそこそこ」
「そこそこなわけないでしょう。彼は特級です」
「特級……?あれ?五条先生と同じ……?」
「………」
無言の青年。
驚く虎杖。
呆れる伊地知。
「うえええ!?じゃあ先輩クソ強えじゃん!?」
「別に、俺はただのヒーラー役だっての」
「あくまで自称ですけどね。戦闘能力は五条さんレベルですよ」
「………っ」
「……この話はおしまい。いいから行くぞ」
車から飛び出す青年。
それを見て慌てて2人も彼の背中を追うように車から降りた。
吉野順平を追うこと数分。
街中から住宅街へと景色が変わり人気も少なくなってきた。
「そろそろやりましょうか」
「自作自演っぽくて気乗りしないなあ……」
折を地面へ下ろしいざ開けようと伊地知が手をかけ──
「あ、吉野順平が誰かと話してる」
「「……え?」」
青年の言葉にとぼけた声を上げる2人。
しかし、もう蓋は空いた。つまり蠅頭は外へと飛び立ってしまった。
向かう先は真っ直ぐ吉野順平。
「ちょ、ストーップッ!!」
飛び出していく虎杖。蠅頭を捕まえ、地面を転がり壁へと激突。
そんな光景を青年は痛そーだなあなんてことを思っていた。
「なあ、ちょっと聞きたいことあっからさ、ちょっとツラ貸して」
「おい待て、今俺が話してる途中だろ!」
「あーいやかなり大事なようでして──」
「大事な用!?子供が何を言ってるんだ!?」
吉野順平と話していたふくよかな男の言葉にカチンとくる虎杖。
しかし、そんな会話の隙に青年は男の背後に立っていた。
後ろから男の背中と腰に手を当てる青年。
「大体どこの制ふ……!?」
直後弾け飛ぶ男の衣服。
「え?あれ?ふ、服が!?俺の服は!?」
「ユウジー、あげる」
「うえ?」
「え?あ、それ俺の服!」
弾け飛んだ服が元通りになっている。それを青年から受け取る虎杖。それを見て手を伸ばす男。
虎杖はすぐさま踵を返し逃走。服を持って逃げる虎杖とパンツ一丁の男。もはやただのオヤジ狩りである。
「え?あの……」
「聞きたいことあるんだー。とりあえずユウジ待とうか」
「え?あ、はい」
「よし、それじゃあ行くか」
「え?はや」
「も、もう一周してきたの…!?」
いまさっき走り去っていた方向とは逆の場所から声をかけてきた虎杖。
さすがにその速さに青年も驚く。
呪力で強化したようには感じられなかった。つまり素の状態でこの速さ。素の時点で超人なのか。青年は顎に手を当て考える。
「とりあえず、あの男が戻ってくる前に移動した方いいよな?……それでいっスかね先輩」
「……んー、まあいいんじゃない?」
そうして青年と虎杖は吉野順平を引連れその場を後にした。
青年の名前が出てこないのは別に何か理由があるわけじゃないです。
出すタイミング逃してるのと、ぶっちゃけるとどういう名前にしようかまだ決まってなかったりするだけです。