自称ヒーラーの男   作:呪いの石仮面

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いつになったら青年の名前が出るのか。作者の自分でも分からない。


第3話

 

 

「あれ?今ちょっと揺れた?」

「多分。震度2くらい?」

「…………」

 

あれから3人は住宅街から河川敷に移動。

 

当たり障りのない会話をしつつ虎杖は電話で伊地知に連絡しようとコールを鳴らした。

 

「……ダメだ。伊地知さん出ねー」

 

しかし、連絡がつかない伊地知。

 

 

 

ちなみに伊地知は今、逃げ出したもう一方の蠅頭を追いかけるのに夢中になっていた。

 

 

 

どうするべきか悩む虎杖。

そんな彼に青年は声をかけた。

 

「いいよ、聞いちゃおう」

「あ、いいんスか?」

「………」

 

サムズアップを返す青年。

それを見て虎杖は吉野順平に向き直る。

 

「えーと、なんかこの前お前が言った映画館で人が襲われたんだ。なんか見なかった?こう、キモいやつとか?」

「………いや、知らないよ」

 

少しの間を作り返答する吉野順平。

そんな様子を見て青年は顎に手を当て考える。

 

繋がっているのか、はたまた騙されてるのか。ただ確実にあのツギハギ男の後を追っていたのは見た。

 

……だが別に追求するつもりもない。

ひとまずはこのままでいいだろう。そう思い口を閉ざす。

 

「そういうの見えるようになったのも最近なんだ」

「そっかァ。じゃあもう聞くことねえや。先輩からは何かないっスか?」

「んー?……まあ俺も別にいいかな」

「……え、あ、もういいんですか?」

「一応俺の上司みたいな人来るまで待っててくんね?」

「いいけど……」

 

そんな会話をしながら虎杖は吉野順平が座る階段に腰かけた。

そんな二人を見ながら青年は周囲を警戒。

吉野順平とツギハギ男が繋がっていたら……敵サイドの誰かが監視目的で近くにいる可能性がある。

 

そんな中、虎杖と吉野順平は映画の話で盛り上がる。

警戒をしつつもこんな呪いのはびこる世界で良い友人に巡り会えた2人に少しだけ和む青年。

そんな時だった。

 

「………あ」

「………っ」

 

こちらを見るフードを深く被った人物。視線が会いその素顔が見えた。

その人物は夏油傑。元特級術師で今は最悪の呪詛師と言われる彼。

 

目と目が会い……夏油は青年へ笑みを零し、踵を返して去っていった。

 

「………ふー、マジか」

 

ツギハギ男と吉野順平は繋がっている。そして、ツギハギ男と夏油にも繋がりがある。

確証はまだ得られないが青年の中ではほぼほぼ確定事項になりつつあった。

 

頭を悩ます青年。

知らないうちに水面下で何かが動きだしてるのは容易に想像できた。

 

「あれ?順平?」

 

そんな中聞こえてきた女性の声。振り返るとそこに居たのはレジ袋を片手に持った比較的若めの女。

 

「あ、母さん」

「珍しいね、友達?」

「さっき会ったばかりだよ」

「さっき会ったばかりだけど友達になれそーっス」

 

虎杖のコミュ力に青年は脱帽。

少し口下手な青年には真似出来ないものだ。

 

「何て子?」

「虎杖悠仁ッス!」

「あ、そっちの子は……」

「ユウジの先輩です。どうぞよろしく」

「あらよろしく」

「お母さんネギ似合わないっスね」

「分かる?ネギ似合わない女目指してんの」

「何言ってんの……?」

 

そんな微笑ましいやり取りを傍から見守る青年。

 

「あ、そうだ。悠仁くんと先輩くん、どう?晩飯食べてかない?」

「ち、ちょっと迷惑だろ…!?」

「私の飯が迷惑…?」

 

鳴り響く虎杖の腹の虫。

青年もまたそれなりにお腹が減っている。

 

「先輩……!」

「……まあいいんじゃない?」

「嫌いなもんとかある?」

「「ないっス!/無いです」」

 

 

 

 

 

「──てな訳で今は吉野順平のお宅に邪魔してますねー」

『じ、自宅にですか!?それはちょっと…!』

「まあ自分もいるんで、何かあればどうとでもできますんで」

『そ、それはそうでしょうけど…』

「とりあえず飯食ってるんで一旦切りますね」

『ご、ご飯ですか……!?と、とりあえず私もすぐそちらに向かいます』

「りょーかいです」

 

そうして伊地知との電話を切る。

 

吉野順平は普通の学生だった。

夕飯を共にした結果、 青年が抱いた印象はそれだけだった。

 

若者ゆえに持ってしまったひねくれた考えは見られたがそれだけ。ただの普通の不登校の学生としか見れなかった。

 

「……で、それが糸こんだったんスよ」

「ぶはははははは!!」

 

……笑う吉野順平の母親。

何の話で盛り上がってるのか全くついていけない青年。

 

吉野順平もまた呆れた様子の表情を浮かべていた。

 

「はい、じゃあ先輩君!」

「……え?」

「モノボケ!モノボケ!」

 

そう言って渡されるおぼん。

こういうノリは慣れてない彼だが──

 

「う、ウィルソーン…!す、すまなかった…!もうしないよ…!」

「ブフッ!」

「あ、それキャストアウェイのやつ!」

「えー?何それ、映画ネタ?」

 

たまにはこういうのも悪くないかな、なんて事を考える青年であった。

 

その後、酔いつぶれた母親を寝かせ映画を見る青年と虎杖と吉野順平。やがて迎えに来た伊地知の運転で彼らは別れたのだった。

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