白梅に明くる夜ばかりとなりにけり   作:FOOO嘉

2 / 17
ロリのぷにぷにほっぺはもはやおっぱいと呼んでも過言ではない。


20◼︎⚫︎年1月3日

 

 

「餅飽きた」

「まだまだあるぞ」

 

冷蔵庫にある分が終わったら、冷凍庫に入れてる分もある。

そう告げると「うへぇ」と言いたげにクソガキ(ツクヨミ)が顔を歪める。

不満気な顔をしつつも雑煮の椀を受け取るあたり態度は割と素直な奴だ。

 

干し椎茸だけで取った出汁から作ったつゆに丸餅、鶏肉、里芋、豆もやし、白菜を入れる。

最後に柚子の皮と三つ葉を乗せて完成。

シンプルな雑煮だが、雑煮はこれくらいの方が飽きずに食べられる。

 

「豆もやしの食感悪くないね」

「これ入れてこそだな。ん、椎茸も美味い」

 

味の染みた椎茸の旨味が酒でくたびれた胃腸に沁みる。

 

「おかわりいるか?」

「いる」

「餅は?」

「2」

 

毎回飽きたと文句を言うくせに雑煮をおかわりするのは育ち盛りだからだろうか。

自分の分も合わせて餅を四つ煮始める。

雑煮を待つ間付け合わせのたくあんを齧りながらツクヨミはサブスクを開く。

もはやつまらない事が恒例と化している正月番組に早々に見切りを付けたらしい。

バンジーを飛ばされて半泣きになってるMEMの姿は見たので俺も特に異論は無い。

 

アイツ新年早々身体張ってんな…

 

 

「つきたてのお餅はやっぱり違うね」

「お前そんな違いわかるのか」

「はぁ?わかるし。舐めんな」

 

食べてる餅に負けじと膨れ面をするクソガキ(ツクヨミ)に椀を渡すと、嬉しそうに餅に齧り付く。

餅を伸ばしながら食べる姿は年相応だな。

てか行儀悪。

コイツ、心なしか顔が丸くなってね?

言えばキレるだろうから言わないが。

 

「もうこの映画配信してるんだ」

「つい最近上映してたばかりなのにな。映画館から客足が遠退くわけだ」

「元作り手としては色々思うところがあるのかな」

「一作だけでクリエイターを気取れねーよ。あれは監督とアイの作品で、俺は煽って唆しただけだよ」

「……まったく、その辺の自己評価は低いね君は」

「客観性に基づいた真っ当な評価だろ」

「ふふ」

 

クソガキがムカつく笑い方する。

なんでもわかってますと言いたげな顔やめろ腹立つ。

里芋頬張った顔で何大人ぶった顔をしても説得力が無い。

 

「この映画、有馬かなと黒川あかねの共演なんだね」

「どっちが主演かで炎上してたな」

 

主にファン同士が。

いつの時代も当事者よりファンの熱が高いことはままある。

当事者が気にしてないことでファン同士が醜い争いをすることなど珍しくも無い。

有馬とあかねのファンに至っては、闘争そのものを求めてるかのように血の気の多いファンも多いし、その啀み合いを煽って楽しんでる連中もいるのだから、あかねがSNSでまたダメージを受けてないか少し心配にもなる。

 

有馬は…まぁ、大丈夫だろ。

 

「ちなみにアクアの意見は?」

「メルトだろ」

 

メルト演じる主人公を有馬演じるツンデレ転校生とあかね演じる義理の姉が奪い合うというストーリーだったはずだ。

この2人に比べてメルトは確かに格落ちしているが、辛うじて食らいついて行ける程に演技力は上達している。

もしまた今日あまをやったら演技力でぶっ叩かれるのは俺の方だろう。

 

「キスシーンあるかな。観てもいい?」

「あるだろ恋愛ものだし。勝手に観てろ。俺は飲む」

「自棄酒?」

「アホか」

 

キスシーン如きで今更どんなリアクションを求めてるんだコイツは。

アイツらは女優、それもトップレベルで売れてるのだからキスシーンなど珍しくも無い。

雑煮の出汁で出汁割りを作ると、ツクヨミに付き合って有馬とあかねの映画を観始める。

有馬もあかねも21歳なのに制服着る役なのか。

25歳で高校生を名乗る奴もいるし問題無いな。

 

「これルビーも出演してるんだ」

「原作ないないオリジナルキャラだな」

「苺プロのゴリ押しだね」

「……プロデューサーじゃねーかな」

 

鏑木さんだし。

 

「ルビーのキスシーンもあったりして」

 

それは流石に見たくなかった。

 

「シスコン」

「心を読むなクソガキ」

 

幸いルビーのキスシーンは無かった。

信じてたよミヤコさん。

 

 

酔っ払ってしまう前に、隣人に餅のお礼の品を渡しに行く。

新年早々に新春初売りで買ってきた以前に立ち話でチョコレートが好きだと言っていたのを覚えていたからチョコレートの詰め合わせ。

 

「いつもいつもすみません。大したものじゃありませんけどよかったら」

 

タイミングが悪かったのか、隣人はおかしなテンションだった。顔の赤さで酒が入ってるのがバレバレだったのかもしれない。

同伴していたツクヨミが「女誑し」とボソリと呟いた。

人聞きが悪い。

当分そういうのはいい。




揚げ餅そばがツクヨミを待っている。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。