ゼーリエに転生したが、教え子たちが可愛すぎる   作:mazuton

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原作設定との矛盾があっても許してくだしあ。


2 弟子が可愛いし、活躍しすぎな件

 自棄になったあと少し冷静になって、地に足をつけて細々と弟子に魔法を教えていた。

 何人かの教育をしてみて、一番弟子はかなりのレアケースであったらしいことがわかった。彼女の半分もいかないくらいの詰め込みで音を上げてしまう弟子がほとんどだ。

 だが、ぽんぽんと上手くいかないのが魔法であると私は過去の経験から理解している。魔法は思ったよりは理屈っぽく、かと思えばその理屈をひっくり返されるような事象が起こったりする。

 

 そもそも、人間は教育によって世界の常識に縛られる。それは悪いことではなく、教育がなければ文化や倫理は醸成されず、自ずと治安も悪くなる。そうして、国が滅ぶきっかけにもなる。

 しかし、こと魔法に関しては得られた常識が邪魔になる。実際、私自身も日本で培われた常識によって魔法習得をだいぶ阻害された。

 

 人は空を飛ばないし、物事は物理法則に従うし、銃で打たれたら人は死ぬし、剣で切られても人は死ぬのだと。そんな当たり前のことを魔法は容易にひっくり返すことができる。元ネタは忘れたが、まさに『ありえないことなどありえない』のだ。だからこそ魔法は面白いわけだが大変であることには変わりはない。常識を疑えと言われてなんとかできないから常識なわけで。

 

 だから、私の場合はまず常識をなんとかして捨てられないかを考えた。なんなら、日本にいた記憶を消してしまおうとも考えた。しかし、日本の記憶は一応アイデンティティを構成する一つだ。自分が何者なのかもわからずどこから来たのかもわからないのでは、廃人となってしまうリスクもあるため、それはやめた。

 ではどうするか。結論としてはなんの面白みもないことだが、毎日膨大な時間を魔法に費やして魔法を常識とすることにした。但し、私には時間が人よりあるというのを知っていたので気兼ねなく時間をつぎ込むことができた。エルフさまさまだ。ずるいと思う。

 

 毎日黙々と魔法を唱え続けた。本に書いてあった魔法陣を写しまくった。頭の中で考えるよりも前に頭に絵が浮かぶまで続けた。五年くらい続けた気がする。ある日、何も考えずに魔法を唱えたら小さな火を出すことができたのだ。そこからはひたすら応用してさらに覚えるだけだ。

 

「魔法はイメージが大事だ。いや、全てと言っていい。思い描けないことはできないし、逆にいうとイメージできたのなら、こんなことも出来る」

 

 岩を手刀で切った断面をみせながら、弟子たちに自分の体験を伝える。

 魔法はイメージ。言葉でいうのは簡単だが、やはり人間には時間が足りない。私と同じやり方では人間にとって無駄な時間が多すぎる。そこで、色々な方法で魔法習得をショートカットできる方法を試したが、安易な方法では大体の場合、弟子が鼻血をだしたりぶっ倒れたりしてしまう。一番弟子の件で反省したので、今は事前に了承をとるようにはしている。

 結果は変わってない?技術の進歩には犠牲はつきものなのだよ。

 

「師匠、魔法みせてー」

 

 弟子のなかで一際小さいものが私におねだりをしてくる。この弟子もまた、身寄りのない子供だ。魔法を覚える速度は遅いが、魔法に対する興味、好奇心が強く私にちょくちょく魔法をねだりに来る。

 

「ああ。こっちの手にお花があるだろ。それが一瞬で、ほら。こちらの手に移動した」

「すごーい!」

 

 子供騙しの手品。魔法なしでも出来る者がいるがあれも魔法使いみたいなものだ。そして、言葉には出さないが弟子が可愛すぎる。

 一番弟子のような、才能がありスポンジのように教えたことを吸収していく弟子も良いし、教えたことを遅くとも吸収し、新たな事象に一喜一憂し学びを楽しむ。その姿をみせられるのもまた新鮮でよい。手間がかからないのはこちらの理想通りにいくので心地よいし、手間がかかるのもやりがいがあって悪くない。

 

「みてみて、師匠。こっちの花が、消えた!」

「!」

「消えた花はね、師匠の頭の上にね。ほら」

「これはしてやられたな」

「驚いた?」

「ああ」

 

 小さな弟子は、消した花をかんむりの形で私の上にのっていた様に魅せた。これもまた子供騙しだ。魔法を使えばできないことなどない。種を知っている私にとって、魔法の知識として得られる物など何もない。

 だが、私一人ではできないことで、弟子が私のために行った魔法だ。口角が上がりそうになるのを抑えつつ小さな弟子の頭に手を乗せて告げる。

 

「さぁ、今日も魔法の練習をするぞ」

 

 今日もまた、弟子たちとともに魔法に没頭していく。

 

 

 

 

 

 何年かした後、気付くと一番弟子がこの時代において、世界を変革することを成し遂げていた。私には思いつかなかった魔法の開発や、人々への呼びかけをして魔法の普及に努め、魔法界の祖と呼ばれるレベルにまで有名となっていた。生意気だ、一番弟子の癖に。

 

 そして、一番弟子が久しぶりに私のところにやってきて弟子を紹介してきた。私にとっては孫弟子だ。

 同族であるエルフ。一眼見てわかったが、彼女は強い。気に入った。可愛い弟子の弟子のために、私の魔法を与えることにした。

 最近は魔法を相手に移すときに倒れさせることもなく伝授する方法を見つけた。代わりに、私自身がその魔法を忘れてしまうことが欠点だが。やはり、ただで魔法を与えるわけにはいかず、対価が必要となるらしい。変なところで理屈っぽいのが魔法の困ったところだ。まあ、忘れたらまた覚えればいい。

 というわけで、孫弟子に望む魔法を聞いてみる。

 

「いらない。」

 

 孫弟子、まさかの魔法を貰うのを拒否。

 魔法は探し求めている時が一番楽しいらしい。

 せっかく教えて貰えるんなら、覚えられるものは覚えて、別の魔法でその楽しさを発揮したらいいだろ!とは思いつつも当然言葉にはせず態度にも出さずに会話を続ける。

 

 この世界には魔族という言葉を話す魔物(一番弟子が定義した。定義される前から魔族と呼んではいた)がいる。

 その中でも、魔族を統べるものとして魔王と呼ばれるものがいた。一番弟子は魔王を倒したいらしい。そして、彼女は私のことをなぜか戦闘狂だと勘違いしており、平和な時代をイメージできない私や一番弟子ではなく、孫弟子が魔王を倒すのだと宣言した。

 確かに、個人的には魔族はどこかのGと同じで出会うと非常に不快であるし、出会ったら即殺するが、この世界から絶滅させることはできないものだ、と思い込んでいたかもしれない。

 それを信じられる者がいるのであれば、その者に任せた方がいいだろう。ということで魔王退治は孫弟子に任せることにした。それはともかくとして、一番弟子がせっかく会いにきたので、また修行をしてやろうとしたところ、ダッシュで逃げられた。なぜだ。

 それなら、孫弟子に魔法を授けるのではなく詰め込もうと思い視線を向けると、気づいたらいなくなっていた。まったく、ずいぶん勘のいい同族だ。

 

 

 

 

 

「よかったの?師匠なんでしょ」

「だからだよ。彼女の基準に合わせていると強くはなるが死ぬ」

「そんな大袈裟な」

「大袈裟だと思うか。私の命乞いのレパートリーは、師匠との修行によって身につけたものだ」

「それはまた、難儀だね」

「悪い人ではないんだがな。それに、私以降の弟子に対しては比較的丸くなっているらしい。羨ましい限りだ」

「嫉妬?」

「いいや。間違いなく、彼女のおかげで今の私がある。そして、そんな私だからお前と出会った」

「ふーん」

「全く。フリーレン、お前はそういう人との繋がりに関して疎いところがある。いつか後悔するから勉強しておけ」

「そんな大切にしている師匠から逃げた人に言われてもね」

 

 確かにな、と師匠にエルフを持ち弟子にエルフを持った人間が笑いながら歩みを進める。その後ろを弟子のエルフがついていった。

 

「あと、お前も逃げたから同罪だからな。あの人、そういうところは結構根に持つタイプだぞ」

「げっ」

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