トランセイザーの変身者である篠原心愛は今…
「…」
「…♡」
『ネロアリスが満足するまで出られない部屋』に閉じ込められていた…ネロアリスと共に。
「あの…ネロアリスちゃん?この部屋は…?」
「…」ニコッ
「あ、可愛い……じゃなくて何なの、満足する部屋って!?」
「…ん?」かくん
「何その『言わなくても分かるでしょ?』って顔は!?」
「ん…」すっ
「トランプ?」
ネロアリスはトランプを取り出すとジョーカー2枚を除き、ハート&ダイヤ、スペード&クローバーの2つに分けるとシャッフルして片方を心愛へと渡す。
「えーと…『スピード』で勝負したいのかな?」
「ん!」こくっ
「分かったわ。負けないわよ。」
「…」ふんっ
心愛とネロアリスは場の準備を整えて…互いの山札の一番上にあるトランプを掴む。
「スピード!」
「ん!」
………
「…強いねネロアリスちゃん。」
「~~♪」ダキッ
数分後、勝利したネロアリスは心愛へと抱きつき、自身の頬を心愛へとすりつける。心愛はそんなネロアリスの頭に手を置いて撫でた。
「ん♪」
「満足した?」
「…」ふるふる
ネロアリスは首を横に振り、心愛の膝に寝転がると自身のエプロンドレスを捲って自身の白い尻を心愛に見せつけた。
「ネロアリスちゃん!?」
「ん!」ぐっ
「……はぁ、転神はしないからね?」
ペチッ…ペチッ…
「ん♡んん♡」
『バッチ来い。』、ネロアリスの言葉を聞かずともそう言っていることが理解出来た心愛。先ほどの勝負に負けたため…その要求を飲む以外に選択肢はなかった。そして尻叩きを実行している間、ネロアリスの額にある四芒星がめっちゃ増えた。
ーーー
「…」ずーん
「何や心愛?元気ないやん?」
「…薫子…いや、ちょっと色んな罪悪感で押し潰されそうになっててね…」
「何があってん…まぁ、何でもええわ。放課後…いつもところに来てくれへんか?」
「ん…分かったわ。それまでにいつもの調子に戻しておくから。」
「よろしゅうな。」
翌日の教室の休み時間にて…机に突っ伏していたところを薫子に声をかけられ、そのままの状態でふたつ返事をした。そして、薫子と入れ替わるように別の声が聞こえる。
「心愛ー!」
「ー!(この声…キウィちゃん!?まさか、光のパワーの効果が切れたの!?)」
内心焦りつつ、声の聞こえた方へと顔を向ける。いつものキウィだった。
「どうしたの?」
「いやー、聞きたいことあってな!昨日ちょうど『ふたりはプリキ○ア』を見終わってな!んで続編のマクスハーツ?を見る予定だっんだけどよ…前に言ってた『おし○パンチ』が頭から離れなくてよ…どのシリーズか教えてくんない?」
「『ハートキャッチプリキ○ア!』ってシリーズだよ。『おジャ魔女ど○み』と絵柄が似てて…昔に見てたりする?」
「見てないなー…それも時間出来たら見てみるわ!あんがとなー!んじゃ…次の授業までにちょっとトイレ行ってくるわ!」
「それは私にいちいち言わなくていいから…」
キウィはそのまま教室を出る。そういえばと言わんばかりに心愛はうてなの方へと顔を向ける…何かを書いているようだ。
「うへへへ…」カキカキ
こっそりと背後に回ると…マジアベーゼの尻を叩くトランセイザーの絵が描かれていた。
「ぶっ!?」
「こ、心愛ちゃん!?」
「…うてなちゃん?何て絵を…」
「ち、違うの!トランセイザー様がエノルミータを倒してる姿を想像しただけなの!」
「お尻を叩いているようにしか見えないけど?」
「違うよ!これはトランセイザー様の必殺技だよ!この技で何度もたくさんの魔物を倒してきたんだよ!」
「…そうなんだ。(んな訳あるかぁぁ!うてなちゃんとキウィちゃんと………昨日生身でこりすちゃんにしたくらいよ。)」
「そ、それより!ほら!この前、音痴なエノルミータの人いたでしょ?心愛ちゃんが捕まってたあの音痴な娘!」
「えーと、催眠音波の奴よね。」
「ロコムジカって名前らしいよ。トレスマジアがいるとはいえ、気をつけてね。ほ、ほら!授業始まるよ!」
「そ…そうね!」
ーーー
放課後になると、心愛はトランセイザーへと転神してトレスマジアの修行場へと直行した。そこには既に3人の姿があり、マジアマゼンタはマジアサルファは互いの武器をぶつけ合い、マジアアズールは滝に打たれていたのだ。トランセイザーの姿に気づいたのかマジアアズールが一瞬でトランセイザーの目の前まで移動する。
「トランセイザー様!来てくれたのですね!」
「わっ!?う、うん…」
「ねぇ、サルファ。今のアズールの動き…目で追えた?」
「追える訳ないやろ…凄い通り越して怖いわ。」
いきなり、ずぶ濡れのマジアアズールに手を握られるトランセイザー…あまりに速い動きにマジアサルファはドン引きする。
「…トランセイザー様、早速ですが…光の剣を出していただけますか?」
「…分かった!」ブンッ
『アズールソード』
マジアアズールは氷の剣を生成するとトランセイザーが構えたライトセイバーへと切りかかる。そして、氷の剣とライトセーバーがぶつかり…トランセイザーの手からライトセイバーが離れたのだ。
「え…?」
「マジか…」
「やったねアズール!」
ライトセイバーと同等レベルの剣を生成したマジアアズールに驚きが隠せないトランセイザーとマジアサルファ、それを喜ぶマジアマゼンタ。そしてマジアアズールはというと…
「ついに上手くいったわ!これでトランセイザー様との打ち合いが可能………なっ!?これは…?」
喜んだのもつかの間、首のハートより大量の四芒星が溢れ出していた。
「な、何やこれ!?アズールの魔力が…めっちゃ上がっとる!?」
「どうなってるの!?」
「というかアズールは大丈夫なの!?」
「これはもしかして…『
突然の声に反応するとそこには白い猫のようなマスコットの姿があった。
「ー!?」
「ヴァーツはん…」
「ヴァーちゃん!?」
「あ!初めてトランセイザーさん!ボクは『ヴァーツ』と申します。」
「白い…ヴェナリータ?」
「あはは…お恥ずかしながらあの子とは色々と事情がありましてですね。ボクは敵じゃありませんから…ってそれ所じゃありませんね!アズールさん、変身アイテムをもう一度手に取って『真化』と唱えてください!」
「分かったわ……『真化』!!」
『マジアアズール
次の瞬間、マジアアズールに変化が起きる。どこからか羽衣が現れ、髪が後ろに結ばれ、首のハートは胸の下へと移動し、肩と背中が露出し、青と白の巫女のような姿へと変わったのだ。
「こ、これは…?」
「『真化』と言いまして強い想いと高い魔力を持つ魔法少女がなれる現象…つまりパワーアップ形態ですよ!」
「なるほどなぁ…ウチやマゼンタも出来るようになるんか?」
「もちろんです!ただ…今までで『真化』までいけた魔法少女があまりいなくて…実際にはボクが今言ったこと以外にも条件はあると思われます。」
「ううん!十分だよヴァーちゃん!強い想いと高い魔力か…」
「んー、高い魔力なぁ。ウチもナックルの持続時間を伸ばしたいしな…」
「頑張ろうサルファ!」
「トランセイザー様、私たちも!」
「そうだね…いこうか!」
マジアアズールの『真化』によりやる気になった4人、早速修行を再開し始めた。
「ところでトランセイザーさん…ボクから1つ質問をよろしいでしょうか?」
「ん?何ですか?」
「ここ、結界を貼っている筈なのですけど…毎回どうやって入っているのですか?」
「…時空転移って分かります?」
………
『アズールブレス』
「危なっ!」
「前の技も使えるのね…でも、範囲は前と同じままか…」
「これならどう?」ブンッ
「流れるように……ここ!」サッ
しばらく、マジアアズールと修行をするトランセイザーの2人…マジアアズールが吐息と羽衣を上手く使い、トランセイザーの攻撃を回避する。
「凄いね、その羽衣。私の攻撃を受け流せるんだ…剣にもなるし!」
「トランセイザー様…何か強い技を撃ってみていただけますか?」
「…分かったわ。はあぁぁ…」
トランセイザーはライトセイバーをしまい、右の拳に聖幻エネルギーを溜める。
『トランスマジカル…鉄拳』
『羽衣・白藍…簾之型』
ボフッ
「なっ!?」
トランセイザーのパンチはマジアアズールの羽衣に受け流され、そのまま地面に大きなクレーターが出来る。
「…凄い!凄いよアズール!力を込めた一撃だったのに…」
「…」
「アズール?」
「トランセイザー様、もう一度よろしいでしょうか?」
「へ?感覚掴めなかったのかな…分かった!」
『トランスマジカル…鉄拳』
『羽衣・白藍…簾之型』
ボフッ
羽衣はまた、パンチを受け流…
バキッ
「ぐっ!」
「アズール!?」
受け流したのがマジアアズールに命中した。
「大丈夫!?」
「あ、あぁ…はい!問題ありません!もう一度、お願いします!」
「…分かった!」
受け流したパンチはまたマジアアズールへと命中する…それにより、マジアアズールはボロボロになっていく。
「上手くいったのは最初だけだったね…」
「いいえトランセイザー様。これでいいのです…あなたの"愛"が私の力になるのですから。」
「…愛?」
突然にマジアアズールの身体が輝きだす。
「ーーあっ!すみません、トランセイザー様!愛が…私の愛が溢れ…!」
「アズール?」
「う、うぅ……ああぁーっ!!」
『愛のアヴァランチ』
次の瞬間、光の砲撃がトランセイザーへと放たれた。
「よ、よけてください!トランセイザー様!!」
「ー!(ダメだ…避けたら後ろのマゼンタさんとサルファの2人に当たる…なら、チャージは出来ないけど…)」
トランセイザーは自身のベルトに力を込めて…
『マジカル☆プリフィア☆スターライト』
極太のレーザーで迎え撃った。
ドォォォンン
激しい砂煙を巻き上げながらも、互いの攻撃は相殺される。そして、アズールの変身が解かれおり…
「ーー!」ダッ
正体を見ないようにトランセイザーはマジアマゼンタとマジアサルファのところまで移動する。
「2人とも大丈夫?」
「ウチらは無事やで…」
「アズールは……あ!?トランセイザーさん、すみませんがこのままの体勢で待ってもらえますか?」
「分かった。」
そういうとマジアマゼンタは変身が解けた小夜の方へと向かった。
「何や心愛…アズールの正体見んでええの?」
「…明かされるならまだしも、この状況で知るのは良くないかなって。(本当は知っているけど。)」
「…心愛のそういうところ、ウチは好きやで。」
「ちょっ…照れるってば。」
小夜の魔力が無くなったため、その日は解散となった。
ーーー
一方、エノルミータの様子はというと…
「さあ…満足させてくださいね♡」
「「ーーっ!?」」
マジアベーゼが自身(とネロアリス)の作った部屋にロコムジカとルベルブルーメが閉じ込めて楽しんでいた。
「…♪」
「機嫌良さそうだなアリス…何か肌がツヤツヤしてるし。にしてもコレ…マジで意味がわからん…」
それが終わるの待つキウィはプラモ作りに悪戦苦闘しており、その近くでネロアリスがトランプを1枚1枚眺めていた。するとキウィのそばに黒いマスコットが現れる。
「キウィ。」
「…ヴェナちゃん?なに?何か用?」
「先のシスタギガント、ロコとルベル、そして…トランセイザーとの戦い。キミはどう考えているのかな?」
「………ん?トランセイザー?それは覚えがねぇけど…」
「…キミ、記憶を操られているよ。魔力とは違う力が頭の神経に貼り付いていて…ボクでもお手上げなレベルだ。戦いは直接は見れていないけど…敗れたことでこうなったのは事実だよ。証拠ならあるけどみるかい?」
「…」
「まぁ、トランセイザーのことは別に気にしなくていいよ。でも、キミの力不足でルベルにも操られたことくらいは覚えているだろ?あんなことが今後も続くようでは困ってしまうな。このままでは身の振り方を考えてもらわないといけないよ…このままのキミではね。」
「………わーってるっつーの。」パチンッ
「ところでトランセイザーが正体がキミの友人だとしたら…迷わず始末できるかな?」
「あん?うてなちゃんがトランセイザーっていうのか?」
「もしもの話だよ。」
「うてなちゃんの敵なら…全力でやってやるだけだ。」
「全力、ね。その言葉、よーく覚えておくことだよ。」
その後…プラモデルは何とか完成した。