場所は再び、トランセイザーたちのいる戦場へと戻る。仮面の魔物が全て消失し、残る敵は魔幻獣のみになっていた。3本角のスリーゲルガーがパープル・ウィッチへと狙いを定めて爪を向けた。
「ガガガ!」
「ん!」
『
自身に近づく3本角のスリーゲルガーに対して氷のビームを放つパープル・ウィッチ。しかし、その攻撃はかわされ続け…どんどん距離を詰められる。そして、数メートルまで近づいた辺りで…パープル・ウィッチは杖を下ろし、自身の動きを止めた。
『
「ガ?」
パープル・ウィッチが動きを止めたことで3本角のスリーゲルガーの動きも止まる。そこにシルバー・ストームが遠くから5本のクナイを投げ込んだ。
『
「ガッ!?」ブスブスブスブスブスッ
そして、パープル・ウィッチが動くと5本のクナイが3本角のスリーゲルガーの腕、足、頭へと刺さり、地面へと固定された。
『
「パープル!ウチがこのままコイツを抑えといたるさかい…他の魔幻獣を頼むわ!」
「ん!」ダッ
さらにシルバー・ストームは激しい風で3本角のスリーゲルガーを押さえつけ、パープル・ウィッチへと指示をする。パープル・ウィッチは軽く頷くと同時に猛スピードで他の所へと向かった。
………
「くっ…この!当たれ!」
「やあぁ!」
「ルルッ!」サッ
ブルー・ランスとマジアマゼンタは各槍で2本角のスリーゲルガーを攻撃していたが…高いスピードによりかわされ続けていた。
「はぁ…はぁ…」
「速い…」
「ル!」
「ブルーちゃん!そっちに行ったよ!」
「分かってる!」
今度は2本角のスリーゲルガーが爪を構え、ブルー・ランスへと向かう。それを迎え打とうとするブルー・ランス。そこに…緑色のエネルギー弾が飛んできた。
「ルルッ!」ボンッ
「しゃっ!当たったぞ!」
「アイツ…まさか…」
「ブルーちゃん、知り合い?」
「おっと!今は『グリーン・ドラゴン』って呼んでくれよ!そこの青いの一緒で成り立てホヤホヤのトランチアーだ、よろしくな!」
全身が深い緑の鱗に覆われたトランチアーが現れたのだ。さらに首の左右に付いたホルダーから2本の短剣を逆手に持ち、2本角のスリーゲルガーへと振り下ろす。
『
「ルッ…」ザクザクッ
「おかわりだ!すぅ…」
『
「ル…ルルッ!?」ボボボン
2本の短剣で一撃を与え、さらに緑のエネルギー弾を数発吐き出したグリーン・ドラゴン…2本角のスリーゲルガーへ大ダメージを与えた。
「凄いよグリーンちゃん!」
「グリーン…アンタのトランチアーは使い勝手がよさそうね。ブルーの武器は普通っぽいし…」
「てめーのその棒にも何かあんだろ?」
「棒じゃなくてどうみても槍でしょ!それに何かって何よ?」
「ル…ルル…ルッ!!」
「2人とも!来たよ!」
「ええい!槍!何か出なさい!」コンッ
ブルー・ランスが槍を地面へと叩く…
『
「ルッ…!?」
そして、地面から水の壁が現れ…それを浴びた2本角のスリーゲルガーの動きが少し鈍る。
「本当に何か出たぁ!?」
「チャンスだよ!」
「そうだな…行くかぁ!」
『
『マゼンタスピア』
「ルルルッ!?」
エネルギー弾と槍の一撃で2本角のスリーゲルガーへさらにダメージが入った。
………
「ゲゲ!」ブンッ
「受け流す…」
「よしっ!」ブンッ
「ゲッ!」サッ
「やっぱり速い…」
「『ロケットパンチ』や『ブレス』で凍らせてもダメ、相手の攻撃に合わせて隙を作ってもダメ…ちょっと厳しいですねトランセイザー様。」
トランセイザーとマジアアズールは1本角のスリーゲルガーと交戦していた。しかし、どの攻撃も素早い動きによりかわされ続けていた。そこに…チーポとパープル・ウィッチとレッド・ヒーローが現れる。
「お待たせしましたトランセイザー様♡」
「ん!」
「レッド!パープル!」
「え?…うてなさん?」
「どうしたのアズール?」
「な、何でもありません!コホン!トランセイザー様、彼女もトランチアーなのですか?」
「うん!赤のトランチアーは岩の魔幻獣を倒すのに協力してくれたの!」
「そう…ですか…」
やや落ち込むマジアアズール…突然に何かに自身の手を握られる。レッド・ヒーローだった。
「マジアアズールさん…ですよね?いつも応援しています!はわぁ…パワーアップしてて…美しいです…」
「ありがとう…って今は戦闘中よ!敵が来てるわ!」
「あ!すいません!」
「ゲゲゲ。」
爪を構えて、2人へと迫る1本角のスリーゲルガー…それをパープル・ウィッチが蹴り飛ばし、トランセイザーがライトセイバーで追撃する。
「ん!」ゲシッ
「ゲ…」
「おりゃ!」ブンッ
「ゲゲッ!!」
それ見て慌てて手を離すレッド・ヒーロー…そのまま自身のベルトへと触れて加速した。
『レッドアクセル』
「ん!」
ものすごい速度で前進するレッド・ヒーロー、それに負けじと猛スピードを出すパープル・ウィッチ…それが1本角のスリーゲルガーを囲むように動き、すれ違い様に繰り出したパンチがキックが次々と命中する。
「ゲゲゲゲー!」
「速い…何てスピードなの…」
「これがトランチアーの力なのね…」
「ここまで弱れば…時空転移っチ!」
「なっ!?トランセイザー様!?」
「ブルーちゃん?グリーンちゃん!?」
その場からトランセイザー、トランチアー、魔幻獣の姿が消え、マジアアズールとマジアマゼンタのみが残った。
ーーー
「何度体験しても慣れないわね…」
「どこだここは?」
「街中…じゃないわよね?」
「ん!」
「もしかして一瞬で移動した…ってことですか?」
「ほんまに凄い技術やなぁ…」
異空間へと移動したトランセイザーたち…そこにチーポが現れる!
「さぁ!キミたちの力を1つにして…あの魔幻獣に止めをさすっチ!」
「ゲ。」「ル…」「ガ!」
各々の活躍によりボロボロになったスリーゲルガーが3体…浄化する最大のチャンスである。
「よっしゃ!全員の個人技を一緒に当てれば…」
「待ちなさいグリーン!1つにするって…そういうことじゃないでしょ?」
「ん。」
「まぁ、技が当たる時間とかもバラバラやろし…」
「わたしの技って近距離だからみんなのに巻き込まれそう…」
「ちょっとチーポ!どうするのよ!」
「さて、ここでおさらいっチ…トランチアーの1番の役割は?」
「トランセイザーはんへのサポートやな…せや!ええ案が出てきたわ!」
………
「やぁ!」ブンッ
「ゲ。」バシッ
「ル…」バシッ
「ガ!」バシッ
スリーゲルガー3体へとライトセイバーを振るうトランセイザー…ボロボロであれど1対3である以上、トランセイザーは押しきれない。
「いくで……はぁ!」
その裏でシルバー・ストームが5本のクナイを飛ばす。
『
クナイの1本にパープル・ウィッチの氷のビームが…
『
1本にグリーン・ドラゴンのエネルギー弾が…
『
1本にブルー・ランスの水が…
『レッドスマッシュ』
1本にレッド・ヒーローの蹴りが…
『
最後の1本にシルバー・ストームの風が纏われた。
『チアーズエネルギー・チャージアップ』
紫・緑・青・赤・銀の色に染まったクナイがトランセイザーの持つライトセイバーへと集まった。そして…
『トランスマジカル…3体まとめてぶった斬り』
「ゲ…」「ル…」「ガ…」
『ゲルゲルガー!!』
ドカーーーン
5色に輝く斬撃がスリーゲルガーへ当たる。結果…3体同時に爆散した。
「やったっチ!!みんな、お疲れっチ!」
「うおぉぉ!これだよこれ!全員の合体技!」
「…ブルーの技って意味あった?」
「大丈夫だよブルーちゃん。ちゃんとトランセイザー様の力になってたよ!」
「ん…」
「しっかし、ウチから言っておいてなんやけど…丈夫なクナイやな。グリーンの炎とかで変形すると思てたわ。」
「あん?アタシのは炎って訳じゃねぇぞ。」
「そうなん?」
「アタシは炎タイプじゃなくて竜タイプだからな!」
「…何かのゲームかいな。パープルの氷技に弱そうやな…」
「かもな……なぁ。これで、本当に終わったんだよな?」
「そうですよ。でも、町の復興するまで時間はかかりそうですね…」
「ん…」
暗い顔になるトランチアーたち…それに対してチーポが明るい声を出す。
「大丈夫っチ!この町にはトランセイザーにトレスマジア…そして、キミたちがいるっチ!エノルミータだろうと魔幻獣だろうとみんなで力を合わせれば何とかなるっチよ!」
「せやな…ほな、そん時はまたよろしゅう頼みまっせ!」
「お、おう…」
「そ、そうね…」
「よろしく…お願いします…」
「ん…」
「なんや、ウチ以外ノリが悪いなぁ。」
「(そりゃそうでしょ…薫子以外全員エノルミータ何だから…)」
「それじゃあ、転神石を回収したらキミたちを元の場所に返すっチ!ブレスレットはそのままっチけど…今回から自分以外には分からなくする機能を付けたっチ!これで学校の校則で引っ掛かる心配も無いっチよ!」
「それはありがたいかも…」
「このお礼は後日、家に郵送で届けるっチ!みんな…今回は本当にありがとうっチ!時空転移!」
チーポがそう言うとトランチアーたちはその場から姿を消した。
「…ふぅ。」
「チーポ、今回はタマゴは無いの?」
「あれは生まれたばかりの魔幻獣だけっチ。それを瘴気の少ない聖幻獣界で孵化させることで害の低い幻獣として育つっチ。さっき倒した魔幻獣は成体だから…普通に消滅したっチ。」
「え…それって大丈夫なの?」
「大丈夫、大丈夫…聖幻エネルギーと闇に変換され、次元穴を通じてボクの星へと返り…次にまた聖幻獣か魔幻獣として生まれてくるだけっチから。」
「とりあえず、難しそうな話ってことは分かった。…薫子から聞いてはいたけど…チーポのケガは本当に大丈夫なの?」
「それも大丈夫っチ…ただ、傷が内臓までいってなかったから労災がおりないみたいっチ…」
「ブラックだな!」
「まぁ、ボクのことは心配しなくていいっチよ。それより今回裏であったこと、知りたくないっチか?」
「そうね…教えてもらおうかしら。」
トランセイザーはその場へと座る。
「まずはマジアベーゼとロードエノルメのバトルっチ。」
「えーと、ロード団のリーダーっぽい人かな?」
「結論だけを言うと…黒猫にいいようにされてただけっチね。本人自身はそこまで強くなかったのもあるけど…パワーアップしたマジアベーゼに負けたっチ。」
「…え?マジアベーゼ、パワーアップしたの?」
「うん、トランセイザーを女の子と見れた時点から薄々感じてたけど…本当にクソヤバ女っチ。ロードエノルメを子供としてみることで逆転したっチ。」
「ちょっと何を言ってるか分からないわ。」
「ボクもだっチ。とりあえず、マジアベーゼは力でロードエノルメを抑え込んで、全裸にさせたかと思えば、お尻を叩いていたっチ。トランセイザーと一緒っチね。」
「流石に私は全裸にしないわよ!…でもいい大人が年下の娘にされたと思うと…」
「屈辱的だろうっチな。それでしばらく叩かれ続けて…最後は泣いて謝罪してたっチ。勝ったうてなちゃんたちはそのまま変身を解いて、ボクの所に来て…それでトランセイザーたちと合流したっチ。」
「…そっか。」
「ロードエノルメのその後のことも知ってるけど…流石にキミは知らない方がいいから喋らないっチ。…これは隠し事じゃなくて…大人としての配慮だっチ。分かって欲しいっチ。」
「…」
無言で下へと顔を向けるトランセイザー。チーポが慌てて言葉を続けた。
「とりあえず、行方を追うようにと会社に報告しといたっチ!次はレオパルトとシスタギガントについてっチけど…」
ーーー
「あ!こりすちゃん…うてなちゃんも!無事で良かった…」
「ん!」
「心愛ちゃん…」
30分後、避難所へと移動した心愛はこりすとうてなに再会した。
「あれ?キウィちゃんは?」
「…」
「ん…」
うてなは暗い顔で返事をする。そんなうてなを心愛は抱きしめると…うてなから涙が溢れる。
「ごめんね心愛ちゃん…絶対に連れ戻すって約束したのに…キウィちゃん巻き込まれて…ケガしちゃって…」
「今は安全な所にいるの?」
「…うん。」
「そっか…でもこれだけは言わせて。うてなちゃんは間違ったことはしてないよ。冷静に私とこりすちゃんにすぐに逃げるように言ってくれたし…かっこ良かったよ。」
「心愛ちゃん…」
「キウィちゃんは普段からうてなちゃんが大好きなのは分かるけど…うてなちゃんもキウィちゃんが大好きなんだね。」
「…うん。」
「ん!」ダキッ
みていたこりすが心愛の背中へと抱きついた。
「おっと、こりすちゃんのこと、忘れてないよ…うてなちゃんを探してきてくれたのでしょ?お疲れ様。」
「ん!」こく
「ただ、町が滅茶苦茶になったし…キウィちゃんもケガした以上…今日はもう遊べないわね。」
「そうだね…」
「ん…」
「キウィちゃんのケガが治ったら…今度こそ4人で遊ぶわよ!何がしたい?」
「ん!んん!」ふんす
「こりすちゃんはオモチャ屋に行きたいの?オッケーオッケー!うてなちゃんは?」
「えーと、えーと…考えてみるね。じゃあ、今日のところはここまでで…」
「こりすちゃんは私が送るわ…うてなちゃん、今日はゆっくり休んでね。…辛かったら私に電話してきていいから。」
「…ありがとう、心愛ちゃん。」
こうして、ロード団と魔幻獣の襲撃が終わった…町に大きな被害をもたらして。
ネモのトランチアーの姿はポケモンの『キバゴ』をモチーフにしています…中の人つながりで。だから、短剣が首に装備されているという機能性無視したデザインになってます。