とある日の山の中…トランセイザーはエノルミータの気配を感じたチーポと共にそこにいた。
「んー、どうみても怪しい以外の言葉が出ないっチな。」
「扉にマジアベーゼの角があるし…何だろ?エノルミータの秘密基地?」
「いやー、隠す気無さそうだし…罠っチよね。でも、トランセイザーなら大丈夫だっチ。ネロアリス以外をボコボコにしてさっさと帰るっチよ。」
「そうね…」
トランセイザーたちは怪しげな建物の中へと入ると…振り子のように揺れる斧、地面から生えたトゲ、マジアベーゼが使役している魔物たちが目に入る。まさにマンガやゲーム、バラエティ番組でしか見ないような本格的なダンジョン。それと同時にどこからか声が聞こえ始めた。
『…トランセイザー様って入ってきた?入ってきたよね?それじゃあ、始め……あれ?マイク入ってる!?えーと、えーと……』
ブチッ
「…」
「ぐだぐだっチね。」
「…言わないであげて。」
少し、時間が経つと何かスイッチが入ったような音が聞こえる。そして、マジアベーゼの声が聞こえてきた。
『ようこそトランセイザー様…わたしの作ったダンジョンに。』
「マジアベーゼ、これも何かの作戦?」
『そうですね…プレオープンといったところでしょうか。あなたである程度試してから…最終調整を行おうかと。』
「つまり…まだ未完成ってこと?」
『うぐっ!?…そうとも言えます。でもほぼ終わってはいるのですよ!』
「…そう。私がここを破壊するとは思わないの?」
『構いませんよ。そういえばですが…ヴェナさんから珍しいタマゴをいただきましてですね…今は液体に保存されている状態でわたしの手の中にあるのですよね。』
「ーっ!」
「魔幻獣のタマゴっチか!」
『さぁ?どうでしょう?』
マジアベーゼの言葉に緊張が走るトランセイザーとチーポ。しかし、その場はマジアベーゼの言葉のみが聞こえるだけのため真実かどうかは分からない。
『攻略出来た暁には…それをお渡ししようと思います。まぁ、万が一ここが破壊されるようなことがあれば………ねぇ?』
「…はぁ。」
「罠とは分かっていても、ダンジョンを進めていくしかないようっチね。いくっチよトランセイザー!」
「そうね!まずは正面の魔物を…ん?」カチッ
一歩進んだトランセイザーが何かを踏む…それと同時に床に穴が空き、トランセイザーは落ちた。
「ああぁぁぁぁ!!」
「セイザー!?」
ーーー
「いてて…あれ?チーポ?チーポ!」
落ちた先でチーポの名前を呼ぶトランセイザー…しかし、返事はない。
「…1人で進むしかないか。」
諦めてトランセイザーが前へと進んでいくと…そこに○と✕のかかれた看板に目が止まる。
「…クイズ番組?」
『第1問、レオちゃんについた口輪には…トランセイザー様が関係している?○か✕か?』
マジアベーゼの声が室内に響く。トランセイザーは辺りを見渡すが…カメラのようなものは見当たらない。
「何のつもり?」
『ダンジョンですから…色んな障害があるのは当然かと。』
「いや、某クイズ番組が混ざってるけど…これ、外れを引くと泥水とか粉まみれになるやつよね?」
『細かいことはいいじゃないですか。さぁ、解答をどうぞ。』
「レオパルトの口輪ねぇ…」
トランセイザーは迷うことなく『✕』の方へと突っ込んだ。『✕』の先には特に何も無かった…『○』の方にも。ただの薄い紙で出来ただけの看板だった。
「いや、どっちも何もないのかよ!!」
『色々とリソース不足でして…』
「じゃあ、作るなよ!!(…実際にエノルミータの面々は答えを知ってるのかしら?いや、私で答えを知ろうとしたのかも…)」
『あ、クリアです!どうぞ、お先にお進みください!』
「これだけかよっ!!(本当にどういうつもりなの!?)」
頭の中で色々と考察しつつもトランセイザーは前進し、次の部屋へと入る。扉が1つみえるものの密室で…トランセイザーが入ると同時に入り口が閉められた。
「ここは…!?」
『ここは謎解きの部屋です…さぁ!たくさん頭を使ってください!』
トランセイザーが辺りを見渡すと…とある石板に目が入る。
「『1+1=□』…□を埋めろってこと?馬鹿にしてるの?」
トランセイザーが周りを探すと…"2"と書かれた石板を見つけたのでそれを窪みへとはめた。すると隅の床が開き…液体の入った三角フラスコを乗せた机が出てくる。
「へー、何かの液体を混ぜるのかしら?」
三角フラスコを片手に取り、新たな謎を探すトランセイザー…すると、右の壁にちょうど手に持っている三角フラスコがはまりそうな窪みがあった。
「…いやいやいや。何か混ぜて空にしてたからだよね?流石に今、使う訳無いよね…試してみるか。」
内心混乱しながらも三角フラスコを壁へと嵌めるトランセイザー。今度は左端の壁が開き、槍を持った甲冑が出てきたのだ。
「バトル……ん?動かない?これも何かに使うのかしら?槍が鍵になると……か?」
トランセイザーが扉の方を見ると…その隣に歪な窪みが出来ていた。そう、ちょうど目の前の甲冑が納まりそうな窪みである。
「壁に嵌め込むしか無いのかよ!!」
『色々とリソース不足でして…』
「それはもういいわよ!さっさとそっちに向かうからね!!」
トランセイザーは文句を言いつつも甲冑を運び、壁へとはめる。今度は地下へ続く階段が表れたのだ。
「前の扉関係ないのかよ!!」
『おめでとうございますトランセイザー様。さぁ、次の部屋へどうぞ。』
「…」
トランセイザーはマジアベーゼの言葉に従い、渋々と階段を下りた。
ーーー
トランセイザーが着いたの広く大きな部屋…その先には扉が見える。トランセイザーは何かが起こる前にと全力で扉に向けて走り出した。すると…そこに大量の魔物が現れたのだ。
「ハナァァ!!」
「キキキ…」
「チョキプリィィ!」
「何て数の魔物なの…」
『ダンジョン名物…『モンスターハウス』です!全ての魔物を倒してください!』
花の魔物、多腕マネキン、蝶型のハサミ、仮面の魔物、ウサギの人形、ネコの人形など…マジアベーゼとネロアリスが用意したであろう魔物たちが一斉にトランセイザーを襲ってきた。
「はぁ!」ブンッ
対してトランセイザーはライトセイバーを構え迎え撃つ。
………
『トランスマジカル…ホー○ーソード』
ザクザクザクザクッ
「ハナー!」しゅぅぅ…
「チョキ…チョキ…」しゅぅぅ…
数分後、トランセイザーは魔物を全て討伐した。
『おぉ!流石はトランセイザー様!ですが、少し息が上がっていますね?』
「はぁはぁ…前よりキツかったわ。何かしたの?」
『いいえ、何も。強いて言うならわたしたちが強くなったということです。』
「そうなるか…」
『ところで…そこでじっとしていていいのですか?早く進まないと…沈んでしまいますよ?』カチッ
「ー!」
マジアベーゼの言葉と共に何かのスイッチが入る。天井と壁の間から1本のパイプが現れ…そこから水が流れ始めた。
「…」
しかし、思い出してみよう…ここは大きな広い部屋。パイプ1本から流れる水の量などたかがしれている。トランセイザーはチロチロと流れるパイプから目を反らし、頭を抱え…冷静にツッコミをいれる。
「そういうトラップは狭い部屋で大量の水を一気に流し込むものでしょ?」
『いや、想定ではもっとドバッと……あ!ドールハウス基準になってた!?ここも直さないといけませんね。とりあえず、次に進んでください。戦った後ですのでお疲れですよね…好きなタイミングで進んでいいですから。水道代が勿体ないので水も止めておきましょう…』
「…」
マジアベーゼの音声が消え、パイプも壁へと引っ込んだ。次の部屋に行こうと目の前の扉へ歩こうとするも、トランセイザーはあることを思い出した。
ーーー
場所はダンジョン全体の様子が見ることができるモニター室。マジアベーゼはトランセイザーの活躍をみようとカメラを操作していた。
「さて…次の部屋はロコムジカさんとルベルブルーメさんの待つ部屋ですね。マジアマゼンタとマジアサルファを圧倒した力で…」
「ふーん、そうだったんだ。」
カメラに映るはずのトランセイザーが何故か自身の背後にいたのだ。当然、マジアベーゼに焦りが生まれる。
「トランセイザー様!?どうしてここに…」
「謎解きの部屋の扉…気になってしょうがなかったの。まさか、ここに繋がっているとは思わなかったわ。」
「鍵をかけていた筈ですが?」
「ライトセイバーで簡単に壊れたわよ…さて、魔幻獣のタマゴを渡してもらおうかしら。」
「タマゴ?あぁ、これのことですね…」
マジアベーゼが取り出したのは鶏のタマゴより数倍は大きな白いタマゴ…しかし、魔幻獣の気配は感じない。
「…魔幻獣のタマゴじゃないのね。」
「えぇ、ダチョウのタマゴだそうです。日本でも売ってるみたいで…」
トランセイザーは肩の力を抜き、大きなため息を吐いて、安堵の言葉を出す。
「そう…良かった…」
「良かった?何故ですか?」
「魔幻獣のタマゴが孵化したら…マジアベーゼも危ない目に会うかもしれなかったから。」
「…もおぉ!トランセイザー様、ここは怒るところですよ!これ以上わたしをあなた様のことを好きにさせないでください♡わたしとあなた様は敵なのですよ♡わたし、エノルミータの総帥なんですよ♡」
「…え?総帥?」
初耳の事実に固まるトランセイザーを余所にマジアベーゼは顔を真っ赤にして語り出す。
「しかし、一部ではありますがダンジョンの問題点を指摘していたことには感謝します♡このタマゴはトランセイザー様に…」もじもじ
バンッ
「ぐっ!」
「トランセイザー様!?」
ハート目のマジアベーゼがダチョウのタマゴをトランセイザーに渡そうとすると…トランセイザーの脇腹に衝撃が走る。レオパルトによる発砲が原因だ。
「ベーゼちゃん…最初の目的忘れたの?」
「…はっ!そうでした!トランセイザー様が絡むとどうも…コホン、レオパルト。エノルミータ総帥として命令します…ここからは全てあなたに一任します。」
「オッケー…ってことだトランセイザー。ここから出てぇなら…さっきのデケェ部屋に来な。アタシが相手になってやる。」
「…分かったわ。」
トランセイザーはレオパルトに付いていき…再び魔物たちと戦った部屋へと移動した。
ーーー
「ネロアリス…ボクを離してくれないっチか?」
「…」ふるふる
「ほら!…ボク何かよりもそこにある新しいオモチャたちの方が…」
「ん!」ギュッ
「ぐぅ…苦ちっ…!」
ーーー
広い部屋へと移動したトランセイザーとレオパルト…合図と言わんばかりにレオパルトがコインを1枚、上へと弾く。そして、床への衝突音と同時に戦闘が始まった。
「おらっ!」バババンッ
「効かないわよ!」
レオパルトの銃撃を正面から受け止めライトセイバーを片手に距離を詰めるトランセイザー。
カチッ…ドカーン!
「ーーっ!?地雷!」
「まだまだまだ!」
ドドドドーン
レオパルトへと接近すると設置された地雷をトランセイザーが踏み爆発が起きる。そこを追撃するようにレオパルトは大量の手榴弾を投げ込み爆発させる。しかし…
「…攻撃が止んだわね。」
「…嘘だろ!?」
「隙あり!」ブンッ
「ぐぇっ…!」
ライトセイバーの一振がレオパルトの腹へと叩かれ…軍服が切れ、ふっくらとした胸が露になる。そして、トランセイザーはそのままレオパルトの目の前にライトセイバーを向けた。
「さて…アンタの負けよレオパルト。」
「…ったく、一撃当てただけでもう勝ったつもりか?」コツン
ドカーン
首を振り、口輪でライトセイバーを触れたかと思えば…近距離からミサイルを召還し、そこから生じた爆風で距離を取る。そして、自身の帽子にある四芒星の変身アイテムへと手を触れた。
「レオパルト…!何のつも…」
『
レオパルトの身体が輝き…黒い四芒星が大量に溢れ出す。
「…嘘でしょ?エノルミータもそれがあるの!?」
『レオパルト くそつよテイスト』
口輪はそのままに、ネコの耳と尻尾が追加され、身体の左側は肌を露出しているものの、右手に5本の鉤爪が付いたレオパルトの新しい姿。ちなみにノーパンだ。
「あーあ。ここで御披露目するとは思って無かったんだけどな……おらっ!」
「デカっ!?」
レオパルトは巨大なミサイルを撃ち出した…トランセイザーはライトセイバーで迎え撃つ。
『トランスマジカル…ぶった切り』
対してトランセイザーは聖幻エネルギーを込めた一撃をミサイルへと当て…真っ二つに切る。しかし、それと同時に背中に何かが刺さる。
ザクッ
「ぐあっ…!」
「んー、やっぱ堅ぇスーツだな…貫く気で刺してやったのに。」
レオパルトの鉤爪である。『真化』前のものより数段は高い一撃…スーツの中の心愛へも少なくないダメージが入る。
「ふんっ!(不味い…
痛みと焦りを抑えつつも、逆手持ちにしたライトセイバーで反撃をするトランセイザー。しかし…
ドカーン
「っ!?」
背中に付いていた鉤爪が爆発し、そのままレオパルトはトランセイザーから距離取った。
「はぁ…はぁ…」
「おら?どうしたどうした?それで終わりか?」
そのままトランセイザーの周囲を猛スピードで動きながら煽るレオパルト。そして、再びその鉤爪がトランセイザーへと迫る。
「死ねぇ!」
「そこっ!」
ガキンッ
トランセイザーのライトセイバーがレオパルトの動きに反応して鉤爪を捕らえた。
「…チッ!もう適応出来るのかよ!」
「私の仲間にもっと速い娘がいるからね…」
トランセイザーの頭に浮かぶのはこりすの転神する
「おらおらおらっ!」
ドドドドンッ
「(『真化』したことで火力もかなり上がってる…これは受け止められない。なら…)はあぁぁ!!」
『トランスマジカル…ホー○ーソード』
トランセイザーは無数の光の刃で対抗した。兵器の弾幕と光の刃がぶつかり合い相殺され…大きな砂煙が巻き上がる。
「バーカ!ライトセイバーでお前の位置なんて……あれ?どこ行きやがった!」
「ここよ!」
ライトセイバーを頼りに狙いを定めようしたレオパルトだったが…トランセイザーは既に光の刀身を引っ込めており、ステッキが自身へと向けられていた。
『トランスマジカル…ブリザード』
コチコチコチ…
ステッキから出た猛吹雪はレオパルトを飲み込み…小さな氷山となってそれを捕らえる。
「なっ!動けねぇ…」
「止めよ!」
『マジカル☆プリフィア☆スターライト』
ドシャャャャャ…
トランセイザーの腰のベルトから極太のレーザーが放たれる。それはレオパルトへと…
「バカップル!…頼むわ。」
『フォルティッシモ・カノン』
「……え?何それ…?」
片膝をついたトランセイザーの目に必殺技である極太レーザーに対抗してきた強大な音波攻撃が映る。ロコムジカが乱入し、レオパルトの前から放ったのだ。だが、その攻撃は極太レーザーに押されており…時間稼ぎにしかなっていない。
「しゃ!グッジョブだバカップルども!……終わりだトランセイザー。」
しかし、その時間は凍ったレオパルトの右手が動けるようになるまでには十分だった。レオパルトは右手の鉤爪に魔力を込めて…光線を放つ。
『滅殺光線シュトラール』
鉤爪から出てきたジグザグ動く無数の光線は極太レーザーを捕らえる。そして、極太レーザーは消滅し…残った光線がトランセイザーへと当たった。トランセイザーはそのまま倒れ…立ち上がることはなかった。