魔法少女なヒロインにあこがれて   作:アマノジャック

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エピソード30 『ダンジョン攻略時はPPやアイテムを重視するけどHPは軽視しがち』

「…エノルミータの気配は…この辺りね。」

「あ!あったよ!」

「いかにも怪しい建物やなぁ…秘密基地にしては目立ち過ぎやし……ん?扉の前に誰かおるで?」

「あの娘は…ルベルブルーメ!」

 

「よぉ、トレスマジア。」

 

トランセイザーが中に入った数時間後、トレスマジアの3人がエノルミータの気配を感じ探していると…山の中にて怪しげな建物を発見する。そして、その入口の前にはルベルブルーメが腕を組んで立っていた。

 

「こんな所で何をしてるの!」

「アンタらを倒すために決まってんだろ…中に来いよ。面白ぇことになってんぞ?」

「アホか!そんな見え見えな罠に誰が…」

「トランセイザーとそのマスコットが人質だとしてもか?」

『…え?』

 

トレスマジア3人の思考が止まる。

 

「ト、トランセイザー様が…人質?な、何を馬鹿なことを言ってるのかしら?」

「言葉通りの意味だ。アタシらで倒して捕らえてる…嘘だと思うなら帰ってもいいぞ。人質がどうなってもいいのならな。」

「…っ!」

 

動揺し体を震わせるマジアアズール…そんな彼女の背中にマジアマゼンタが手を置いてゆっくりと撫でて落ち着かせた。

 

「…分かった。中に入るよ。」

「マゼンタ!?」

「エノルミータの嘘かもしれへんで!」

「うん、もし嘘だとしても…現時点では分からないから…中に入って確かめるしかないよ!」

「マゼンタ…」

「しゃーない、腹をくくるか。」

 

「話はまとまったか?…アタシもそろそろ自分の持ち場に戻る…何時でも来な。」

 

そういうとルベルブルーメは自身の影へと溶け込み、建物の中へと戻っていった。少ししてトレスマジアの3人も中へと入ると…中の光景に圧倒された。

 

「これは…!?」

「ダンジョンっちゅーやつやな…」

「罠がこんなにたくさん…!気をつけて進まない…と?」

 

かちっ

 

「かち?」

「マゼンタ…それ…」

「アホォ…」

 

バコッ

 

『あああぁぁぁ!!!』

 

落とし穴が作動し、3人は分断された。

 

ーーー

 

場所は変わってマジアベーゼとレオパルトがトランセイザーと共にモニター室へといた。

 

「うっ…!?」

「目が覚めましたかトランセイザー様。『真化』が出来るのはアズールだけでは無いのですよ?」

「ベーゼちゃんの言う通り!…ねぇ、このまま殺したらダメ?」

「レオちゃん、ダメ。…さて、せっかくですので一緒に見てもらおうじゃありませんか…トレスマジアの皆さんが貴方を助けにくる様子を。」

「マゼンタさん…アズール…サルファ…来ちゃ…ダメ…!」

「いや、ここで言ったところでアイツらには聞こえねぇよ。」

 

聖幻エネルギーの切れたトランセイザーの身体は天井から伸びたワイヤーで腕を拘束された状態で吊るされており、攻撃もすることも逃げることも出来ない状況だ。そして、自身の目に写るのは分断されたマジアマゼンタ、マジアアズール、マジアサルファの姿。

 

「くっ…」グイッ

「おい!動くなコラっ!」バンッ

「うぐっ!」

 

何とか逃げようとするもレオパルトから発砲を食らい、動きが止まる。

 

「レオちゃん?」

「殺して無いからいいでしょ別に。」

「…ダメです。これ以上トランセイザー様を傷つけるのは許可しません。んん!」

 

マジアベーゼは軽く喉を鳴らして、マイクを手に取った。

 

「さあ、トレスマジアの御三方…ダンジョン攻略の始まりです!数多のトラップを潜り抜け…わたしの元へと辿り着いてください!」

 

ーーー

 

分断されたマジアアズールが落ちた先は広い大きな部屋だった。

 

「ここは…?」

 

辺りを見渡すマジアアズール…するといきなり自身の足元から何かの気配を感じ、その場からジャンプして離れる。次の瞬間、ミミズのような細長く大きな魔物が飛び出してきた。

 

「ミミー!」

「…魔物!?なら…」

 

『アズールロケットパンチ』

 

「ミッ!?」

 

コチコチコチ…パリンッ

 

マジアアズールが氷の拳を飛ばすと、ミミズの魔物は凍結し、粉々に砕ける。しかし、それを皮切りにマジアアズールの周囲には大量の魔物が現れた。さらに…

 

『ヴォア・フォルテ』

 

「……ロコムジカ。」サッ

「ダンジョン名物『モンスターハウス』よ。今日こそアンタを倒すわ…マジアアズール!」

 

ロコムジカまでもが参戦してきたのだ。マジアアズールは氷の剣を構え、全ての敵に立ち向かう。

 

………

 

『あぅ!ああああぁぁぁん!!』

 

『この…クソ人形がっ!!』

 

「マゼンタさん…サルファ…くそっ!」

 

モニターからの映像を見ていたトランセイザーだったが…片や全身を拘束されて股間へと当たるハケ水車に耐え続けるマジアマゼンタ。もう片や落ちてくる天井を抑えつつもマジアマゼンタを模した人形から胸を揉まれて首や耳を舐められるマジアサルファ。助けに入れない自分にトランセイザーは打ちひしがれた。

 

「ベーゼちゃん。ロコがアズールに圧されているよ?ルベルでも援軍に付ける?」

「ううん、ロコちゃんに止められてるから何もしなくていいよ。それに…わたしも必要ないと思うし。」

「てかトランセイザー…お前、アズールの心配はしないのな。」

「戦闘力なら『真化』してるレオパルト(アンタ)より強いからね…」

「へー。そうなんだー。『()…」

「レオちゃん!」

 

顔に青筋を浮かべ帽子の四芒星へと触れようとしたレオパルトをマジアベーゼは制止させる。

 

「ごめんごめん。急に殺したくなってきて…アズールのところに行ってきてもいい?」

「さっきも言ったけどダメだよ。今のレオちゃんはトランセイザー様と戦った後でボロボロだから…無理はしてほしくないの。」

「…ズルいよベーゼちゃん。そう言われたら行くに行けないじゃん。」

「とりあえず、ルベルちゃんと一緒に先回りしててくれるかな?」

「オッケー!先回り♪先回り♪」

 

鼻歌混じりにレオパルトは部屋を後にする。そこに残っているのは捕らわれたトランセイザーとチーポ、モニターを恍惚な顔で眺めるマジアベーゼ、オモチャ(チーポ)で遊ぶネロアリスの4人だけだった。

 

ーーー

 

「チョキプリィィ!」ビュンッ

「すぅ…」

 

『アズールブレス』

 

「チョキ…チョキ…」コチコチ…

 

「まだまだいるのね!やあっ!」ブンッ

「シャワー!」コチコチコチ…

 

「ここっ!隙ありねマジアアズール!」

 

『ヴォア・ピアノ』

 

パチンッ

 

「…なっ!剣が…」

「ハナー!!」

「しまっ…きゃあぁぁ!」

 

グルグル…ギチッ

 

それは突然のことだった。ロコムジカを警戒しつつ魔物を殲滅していたマジアアズールだったが…右手に衝撃が走り、持っていた剣を離してしまった。さらにその隙を突かれ、花の魔物のツタに捕まったのだ。

 

「無様ねマジアアズール。」

「ぐっ…!何をしたのロコムジカ!」

「『ヴォア・ピアノ』…ロコの新技よ。『ヴォア・フォルテ』より少し威力は落ちるけど、その分スピードとコントロールを重視した技…それをアンタの手に向かって放ったの。結果、アンタは剣を落としてこうになったわ!(ネモのトランチアー時に使う『竜の吹矢』を参考にしたのは黙っておかないと。)」

「そう。タネが分かれば何てことの無い話ね…さっさと倒してあげるわ。すぅ…」

 

『アズールブ…』

 

「ハナー!」シュッ

「んん!?」ズブッ

「アンタ、自分の状況分かってるの?…ロコにとって格好の的よ!」

 

『ヴォア・フォルテ!』

 

「ーー!?」

 

マジアアズールは氷の吐息で自身を拘束しているツタを凍らせようとするも、花の魔物はツタの先端をマジアアズールの口内へと突っ込み阻止した。そこにロコムジカが音波攻撃を放ち、マジアアズールへと命中する。さらにロコムジカは音波攻撃を放ち続けた。

 

『ヴォア・フォルテ』『ヴォア・フォルテ』『ヴォア・フォルテ』『ヴォア・フォルテ』…

 

「うぐ…!」

 

ドサッ…

 

何度も音波攻撃を受け続けたマジアアズールは、一緒に巻き込まれた花の魔物が消滅したのもあり、地面へと落ち倒れた。既に魔法少女としての衣装の原形は無く、身体のあちこちから血が流れている。ロコムジカは肩で息をしつつマジアアズールの前へと立った。

 

「はぁ…はぁ…アンタの負けよマジアアズール。変身アイテムをもら…」

 

『アズールソード』

 

次の瞬間、ロコムジカの首から下が凍っており…目の前には氷の剣が向けられていた。

 

「え?嘘…あんなにロコの攻撃を受けたのに…」

「えぇ、逃げれないと判断したからあなたの魔力が切れるまで攻撃を耐えることに専念したわ。お陰でツタの拘束も取れたしね。」

 

そしてマジアアズールは耳から何かを取り出して地面へと落とす…氷の耳栓だった。

 

「体内にあった冷気を耳から出して鼓膜を守っていたのね。くっ…ロコの負けよ。好きにしなさい。」

「そう。じゃあ、次の部屋に行くわ。」

「待ちなさい!…ロコに止めをささないの?」

「私たちの目的はトランセイザー様の救出よ…これ以上あなたに使う時間は無いわ。」

「っ!舐めたことを…『ヴォ…」

「…」スッ

「んぐっ!?」ズブッ

「さようならロコムジカ。次の機会にでもまた相手をしてあげるわ。」

 

マジアアズールはロコムジカの口内へと氷の剣を差し込み、ボロボロの身体で次の部屋へ進んでいった。

 

ーーー

 

「はぁ…はぁ…ったく。無駄に疲れたわ…」

「やぁサルファ。大変そうだね。」

「!?」

「この前の話だけど考えてくれたかな?答えを聞きたくてね。」

「アンタ、ヴェナリータやったっけ?今ウチえろう機嫌がええさかいに…後にしてもろうでよろしおすか?」

「そうかい?機嫌がいいなら今がいいんじゃないかな?」

「消えろ言うてんねんけどなぁ!」

 

ーーー

 

モニターに写ったマジアアズールとロコムジカの戦闘にマジアベーゼは目を輝かせた。

 

「嗚呼~っ!素晴らしいっ!何て素晴らしいバトルだったのでしょう!はぁ…魔法少女たちをアジトに呼び寄せる。どうしてもっと早くにこれを思いつかなかったのでしょうか。」

「…」

「惜しむらくは大量の魔物にリソースを割いてしまい、わたし自身がプレイヤーになれないところですが…それはそれ!」

「ほぼ私とアズールに倒されたけどね。」

「えぇ、魔力を割いた甲斐がありました!ロコちゃんの脱落は残念ですが…ここからが見所ですよトランセイザー様!」

「そういえば、アズールがいた部屋の次ってルベルブルーメとロコムジカがいたのよね?どんな部屋なの?」

「えーと、まさかアナタが直接ここに来るとは想定外でしたので…まぁ、見ていれば分かりますよ。ちょうどトレスマジアの3人が合流します。」

「…」

 

マジアベーゼはマイクを掴み、総帥として部下に指示を送った。

 

「レオパルト、ルベルブルーメ…手筈は整っておいでですか?ヒロインを可愛がって差し上げましょう!」

 

ーーー

 

「マゼンタ…サルファ…無事だったのね…」

「何とか…ってアズールこそ大丈夫!?大ケガしてるよ!」

「30近い魔物に加え…ロコムジカと戦ったからかしら…」

「えぇ!?本当に大丈夫なの!?」

「…」

「サルファ?」

「ん?あぁ。アズール、アンタも大変やったんやな…」

「すぐに回復魔法を…」

「ありがとうマゼンタ。でも見た目ほどじゃないから大丈夫よ。衣装のほとんどが回復したし…それに『真化』できる余裕もあるから…アナタは自分の魔力を大事にしておきなさい。」

「う、うん…」

「これが次の部屋の扉か…大きいなぁ。」

「今開けるわね。」

 

マジアアズールが扉へと触れようとした瞬間、アナウンスが入った。

 

『よくぞここまで辿りつきましたねぇ。この先が我がダンジョンの最奥…トランセイザー様も入れなかった領域。果たして貴女方に攻略することが出来ますか?』

 

キキキ…

 

「これって…」

「まさか…」

 

マジアベーゼのアナウンスと同時に扉が開く。そこには…

 

「○ASUKEやないかい!?」

 

大量のアスレチック施設があった。

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