魔法少女なヒロインにあこがれて   作:アマノジャック

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エピソード33 『再生怪人が弱く見える原因は大人の事情による噛ませ犬化』

天川薫子(マジアサルファ)がいなくても…篠原心愛たちは自身の日常へと戻る。

 

「天川薫子………ん?天川は休みか?」

「せんせー!うてなちゃんも来てないんだけど!」

「え?柊もいないの?」

 

その日、天川薫子(マジアサルファ)柊うてな(マジアベーゼ)は学校を欠席した。

 

───

 

「…」

「小夜。」

「…え?あぁ、心愛。もう次の授業かしら?」

 

心愛は心ここに在らずの水神小夜へと声をかける。もちろん、現在のトレスマジアの事情を一方的に知っているうえで。そして、慌てるように心愛へと顔を向けた。

 

「お昼休みよ。はるかちゃんまでボーってして…薫子が休んだのがそんなにショック?」

「う、うん…でも、休んだことじゃなくて…」

「はるか!!」

「ご、ごめん!まぁ、色々あって…」

「え?もしかして喧嘩でもした?」

「…そうかも…しれない。」

「はるか、今はお昼にしましょう!ね?」

「そ、そうだね!今日はね、椎茸を…」

 

花菱はるかが精一杯の笑顔を作り、弁当箱を取り出す。すると、心愛はトボトボと教室を出る1人のクラスメイトの姿が目に付いた…阿良河キウィだ。

 

「ごめんね、はるかちゃん、小夜。今日はキウィちゃんの所に行くわね。うてなちゃんがいなくて寂しそうだから…」

「…分かったわ心愛。」

「はるかちゃん…無理はしないでね?私に出来ることがあるなら言って。」

「…うん、ありがとう。」

 

何かエノルミータの情報があるかもと心愛はそのままキウィの後を追いかける。すぐに追い付き、キウィは暗い顔でいつもの階段で、ちょうど自身の弁当箱を広げていた。

 

「キウィちゃん!」

「…心愛か?何の用?」

「うてなちゃんがいなくて今日は1人でしょ?だったら一緒に…」

「ったく。余計な気を回しやがって…」

「迷惑なら戻るけど?」

「…スマホ出せ。今週のはまだ見てない。」

「はいはい…」

 

心愛はスマホを出し…わんだふるぷりき○あ!の最新話を再生すると、そのまま無言でスマホを凝視しつつ互いにお昼を食べ始めた。

 

………

 

「今週も面白かったでしょ?」

「…あぁ。そうだな…ツチノコ、実際にいると思うか?」

「私はいないと思うけど…今回の石化ってメドゥーサじゃないの?」

「石化なぁ…いいかもな…」

「何がいいの!?うてなちゃ…あ!」

「…」

「…」

 

アニメが見終わり、感想を言い合う2人。しかし、うっかりうてなを名を呼んでしまい、内心焦る心愛だったが、突然にキウィは笑顔…では無いものの柔らかな表情になった。

 

「ごめんな心愛。うてなちゃんいなくて寂しいのはお前も一緒なんだな…」

「…まぁ、LINEが繋がらないのは薫子も一緒だけど。」

「おい!ここであの貧乳バカの名前を出すなよ!」

「…フフッ。いつものキウィちゃんだね。」

「お前な……あんがと。」

 

呆れた顔をしつつもキウィは心愛へとお礼を言う。

 

「帰りにうてなちゃんのお見舞いでも行く?」

「うっ!それは…止めておこうぜ!家にいるとは限らねぇし!」

「え?まさか、病院で検査しているとか…」

「違ぇよ!ただ…うん!今日は止めておこう!うん!」

「…キウィちゃんは事情知ってるんだ?」ジー

「…いや。アタシも連絡は取れてねぇけど…悪いな。こればっかりは言えな……痛っ!」ズキッ

「キウィちゃん!?大丈夫?」

 

突然にキウィは自身の頭を抑えたため、心愛は慌てて駆け寄った。

 

「大丈夫大丈夫…心配かけたな。んー、まぁ、アレだ。記憶操作……んん!たまになるやつだ。」

「何かとんでもないこと言いかけなかった?」

「言ってない言ってない。授業始まるしさ…さっさと戻ろうぜ。」

「…そうね。(何も分からずか。)」

 

………

 

その後、何事もなく授業は進み…放課後となった。

 

「バイバイ心愛ちゃん!」

「私たちは急ぐから!」

「うん、気を付けてね。」

 

慌てて教室を後にするはるかと小夜を心愛は見送る。そして、自身も帰ろうと教室を出ると、人型のチーポが制服を着て此方へと手招きをしてきた。そして、心愛はそれに従い…人気の無い空き教室へと入る。

 

「心愛…魔幻獣が現れたっチ。」

「…まだエネルギーが全然回復してないのに。」

「それでもやるしかないっチ。はい、ステッキ…転神したらすぐに現場に転送するっチ。僕はトランチアーを呼べるだけ呼んでくるから…その間は何とか対処してほしいっチ。」

「…分かったわ。あ!今日はこりすちゃん、定期検診で歯医者にいってるから…他の人にお願いしてね。」

「もう真珠ちゃんかネモちゃんの2人しかいないけど…まぁ、贅沢は言ってられないっチね。」

 

心愛はステッキを受け取ると呪文を唱えた。

 

「リリカルマジカル、トランスマジカル…チェンジ!」

 

ピカーン

 

「転神!超空転神トランセイザー!!」

 

超空転神トランセイザー!

篠原心愛は転神のかけ声とともに空気中の聖幻エネルギーを物質化して身にまといトランセイザーへと変形変身する!

その間わずか0.021ミリ秒!!

 

「時空転移っチ!」

 

───

 

トランセイザーの前に広がるのは青々とした原っぱ…周りに人の気配は無く、1匹の魔幻獣がそこにいた。頭と背中が赤く、両腕がハサミの…

 

「アンタは…ヘドゲルガー!」

「ゲルゲルガー!!」

 

トランセイザーが最初に戦うこととなった魔幻獣だった。ヘドゲルガーはトランセイザーに気づくとハサミを向けて、戦闘体勢へ入る。トランセイザーはサブステッキから光の刀身を出そうとするもそれは現れない…よって、拳を構えて迎え撃つ。

 

「ゲルゲルガー!」プシャァァ

 

先制したのはヘドゲルガー。自慢の消化液を吐き出した。トランセイザーはそれをかわしつつ近づき…ヘドゲルガーの腹へと拳を当てる。

 

「ふんっ!」

「ゲルッ…!?ゲルゲルガー!!」

「きゃっ…!」

 

やや後退りしたものの…ヘドゲルガーはハサミを振るって反撃し、そのままトランセイザーは叩き飛ばされた。

 

「くっ…ライトセイバーが使えないのが痛いわね。」

「ゲルゲル…ガー!!」プシャァァ

 

再び消化液を吐き出すヘドゲルガー。トランセイザーは距離を取り…

 

『トランスマジカル…鉄拳』

 

自身のすぐ下にある地面を殴る。それよって起こった砂煙と消化液により溶けた草から発生した煙により、ヘドゲルガーはトランセイザーを見失った。

 

「ゲ…ゲル?」キョロキョロ

 

辺りは遮蔽物すらない原っぱ…しかし、トランセイザーの姿は無い。撤退したのか?ヘドゲルガーがそう思った瞬間…

 

『トランスマジカル…ヤクザキック』

 

ゲシッ

 

「ゲルゲッ!?」

 

突然に背後からトランセイザーの飛び蹴りを食らったのだ。

 

「ゲゲゲ…!」

「やっぱりダメか……何!?」

 

ボンッ

 

「ゲルッ!?」

 

そのまま地面へと倒れたヘドゲルガーだったが…すぐに立ち上がり、トランセイザーに追撃の隙を与えなかった。トランセイザーが次はどうしようかと考えていると、自身の隣を緑のエネルギー弾が通り抜け…ヘドゲルガーへと当たった。

 

「待たせたな、トランセイザー。」

「グリーン!」

 

グリーン・ドラゴンが合流してきたのだ。そして、首に付いた2本の短刀を抜き…ヘドゲルガーへと距離を詰める。

 

「さっさと片付けるぞ。」

「待ってグリーン!ソイツの吐く液は…」

「ゲルゲルガー!」プシャァァ

「…ッ!」

「グリーン!!」

 

ヘドゲルガーは消化液を吐き出した。グリーン・ドラゴンは咄嗟に腕で庇ったもののモロに浴びてしまい…表面の鱗が溶けて肌色の皮膚が露出する。

 

「大丈夫!?」

「痛みは無いが…悪い、むやみに突っ込んじまったな…」

「ううん。来てくれただけでも嬉しいから…アイツの吐く液体は何でも溶かすの。だから、接近戦は私に任せて、グリーンは遠くから援護をお願い!」

「…分かった。これを使え!」サッ

「ありがとう!」パシッ

 

トランセイザーはグリーン・ドラゴンから短剣を1本受け取るとそれでヘドゲルガーに攻撃を始める。拮抗しあうハサミと短剣、ヘドゲルガーの反撃が来る度に飛んでくる緑のエネルギー弾…それにより、トランセイザーはダメージこそ受けて無いものの決定打には欠けていた。

 

「大丈夫かトランセイザー?」

「はぁ…はぁ…ジリ貧ね。正直、キツくなってきたわ…」

「…何か作戦とかは無いか?。」

「前に戦った時は…シルバーが液を吐く直前にクナイを口に当てて逆流させて大きな隙を生んだわ。それがまた出来たら…」

「そうか…なら、アタシ1人に任せろ!」

「グリーン!?1人でって…待ちなさい!そんな状態で…」

「安心しろ、ある程度は再生した。」

「でも1人じゃなくても…」

「まぁ、見てろ。はぁぁ!!」

 

竜の息吹(ドラゴンブレス)

 

グリーン・ドラゴンはエネルギー弾を放つと同時にヘドゲルガーの元へと走り出した。

 

「ゲルッ…!」ボンッ

 

エネルギー弾は見事に命中して、ヘドゲルガーは一瞬怯む…しかし、大きな隙とは言えないだろう。さらにグリーン・ドラゴンはジャンプして…身体を捻る。

 

竜の鎚打(ドラゴンテール)

 

その勢いのまま、肥大化させた尻尾をヘドゲルガーへと叩き付けるが…ヘドゲルガーは2本のハサミを交差させてガードする。尻尾とハサミが拮抗しあい、互いの動きが止まった。

 

「くっ…!」

「ゲルッ…!」

 

次にヘドゲルガーは消化液を吐き出すために口を膨らませ…

 

「そこだぁ!!」

 

竜の吹き矢(ドラゴンショット)

 

対してグリーン・ドラゴンは口に咥えていた短剣をエネルギー弾と一緒に飛ばす。それはそのままヘドゲルガーの顔へ向かうが…

 

「…」スッ

「嘘だろぉ!?」

「ゲルゲ…」スポッ

 

なんと、ヘドゲルガーは首を引っ込めて回避した。ヘドゲルガーは完全にグリーン・ドラゴンへと狙いを定めた。…そう、グリーン・ドラゴンのみに意識を向けてしまった。

 

ズブッ

 

「~ッ!!ゲ…ゲガガガ~!!」ゴロゴロゴロンッ

 

突然に短剣が口へと刺さり…消化液が逆流した痛みでヘドゲルガーはその場から転がりだす。少し離れた所には何かを投擲したであろうトランセイザーの姿があった。

 

「…やってくれたかトランセイザー!」

「えぇ!グリーンのお陰…とどめよ!」

「おう!」

 

トランセイザーはグリーン・ドラゴンの前へと立ち、飛び蹴りの構えを取り…ヘドゲルガーへと右足を向けた。グリーン・ドラゴンは緑のエネルギー弾を吐き出し、トランセイザーはそれを背中から纏いつつ一気に距離を詰め…

 

『トランスマジカル…竜の押印(ドラゴンキック)

 

 

「ゲ…ゲルゲルガー!!」

 

ドカーン

 

トランセイザーの蹴りがヘドゲルガーへと命中し、大きな爆発が起こる。そこには1つのタマゴがあり、すぐにチーポにより回収がされた。

 

───

 

魔幻獣との戦闘が終わる。トランセイザーはその場で倒れ、グリーン・ドラゴンは回復に集中することで身体の鱗を再生させていた。そんな2人へタマゴの転送が終わったチーポが声をかける。

 

「2人とも、お疲れ様っチ。」

「もう…スーツが重くて動けない…」ガクッ

「ちょうどエネルギーが切れたみたいっチね。グリーン、ある程度回復したらでいいから、トランセイザーに聖幻エネルギーを分けてあげてくれっチ。」

「そういえば、ブルーって呼べなかったの?」

「あー、それはだな…」

「補習受けてたっチ。まぁ、グリーンだけで解決出来て良かったっチ。」

「グリーン…本当にありがとうね…」

「…おう。」

 

トランセイザーに感謝され、少し照れるグリーン・ドラゴン…そのまま、解散の流れになるだろうとその場の全員が思っていた。しかし、何かの気配を感じ…チーポとグリーン・ドラゴンが動けないトランセイザーを守るように警戒体勢へと入る。それは空より飛んできた。

 

「おうおうおう!昨日の今日で魔幻獣退治とはご苦労なこって…トランセイザー。」

 

「マジアサルファ…!?」

「何でここに…え?その顔…」

「あ、裏切り者っチ。」

 

それは顔に大きな黒い四芒星のアザを付けたマジアサルファだった。マジアサルファは巨大なナックルを構え…

 

「…」ブンッ

 

「…ぐえっ!」メコッ

「チーポ!?サルファ、何を…」

「かはっ!」バキッ

「グリーン!?…きゃっ!」ガシッ

「大人しくしといてや…篠原心愛(トランセイザー)…」

 

 

チーポを地面にめり込ませ、グリーン・ドラゴンを殴り飛ばしたか思えば…トランセイザーの首を掴み、そのまま何処かへと連れ去った。

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