魔法少女なヒロインにあこがれて   作:アマノジャック

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エピソード35 『ねこのこぬこぬここしにゃんにゃん』

マジアサルファがトレスマジアに戻ってきた翌日…篠原心愛はトレスマジアの3人と共に銭湯へと来ていた。

 

「あ~~、しみるわぁ~!」

「薫子、おばさんくさいわよ。」

「ええやろ別に。家の風呂やと足伸ばせれへんし…」

「わははは~!」バシャバシャ

「はるかちゃん、泳いじゃダメよ。」

「えー?楽しいのに?それに…心愛ちゃんだって昔は泳いでいたでしょ?」

「いつの話?私たちもう中学生だよ。流石にちょっとは大人にならないと…」

「みてみて心愛ちゃん!シンクロ~!」バシャッ

「はるかちゃん!!…もう、小夜。何か言って…」

 

「あ、泡が全然落ちないわ!?」

 

心愛ははるかを一緒に注意しようと洗髪していた小夜の方へと顔を向けると…背後から薫子により大量のシャンプーをかけられており、結果髪どころか全身が泡に包まれていた。

 

「薫子、何してるの?」

「…心配してくれたのが嬉しい反面、過保護にも感じてな。ちょっといたずらを…正直やり過ぎたわ。」

 

「薫子ちゃーん♪」ダキッ

 

湯船から上がったはるかが薫子へと抱き付いた。

 

「わひゃあ!?」

「はるかちゃん!?」

「心配するのは当たり前だよ!だって薫子ちゃんは…大切な友達だもん!」

「もちろん、私もよ。(…まぁ、そもそもの原因って私がエノルミータに捕まったから何だけど。)」

「はるか…心愛…かなわんなぁ、アンタらには。せやけどはるか、人前で…こないなこと…流石に恥ずかしいねんけど…」もじもじ

「ええ~?あたしはそんなことないよぉ?」

「なっ…何をしてるのあなたたちっ!?」

 

まわりの利用者に生暖かい目を向けられるはるかと薫子。泡まみれで状況が見えない小夜が声をあげた。

 

「はいはい、小夜は泡を流してあげるからじっとし……うわっ!」つるんっ

「ひゃんっ!?」ビクッ

 

一方の心愛はシャワーのヘッドを取ろうとするも足を滑らせて…顔から泡まみれの小夜へと突っ込んでしまった。

 

「柔らか……って、ごめん小夜!」

「…大丈夫よ心愛。ケガは無い?」

「無いけど…泡が目に入った…薫子、助けて…」

「何をしてんねん…」

 

───

 

同時刻、場所はナハトベース…

 

「え~、サルファがですね、とっても強くなりました。」

 

全身包帯で巻かれた柊うてな(*総帥)がニコニコと笑顔で仲間たちに報告をした。

 

「『なりました』、じゃないのよアンタ。危ないところだったのよ!」

「いやー、サーセン。トランセイザー様には逃げられてしまいました…」

「サルファ!コロス!」ドンッ

「Zzz…」

「そういえばネモ。アンタ、真珠の攻撃からサルファを守って無かったかしら?」

『はぁ?』

 

阿古屋真珠が心配をし、阿良河キウィは激昂、杜乃こりすは眠っていた。そして唯一、無言でいた姉母ネモに真珠が質問を投げると…全員の視線がそこに集まった。

 

「…弁明をさせてくれ。」

 

ネモは冷や汗を流しつつ両手を上げた。

 

………

 

「…ってことで魔幻獣を倒した後、サルファに拐われたトランセイザーを探すためにトレスマジアといたんだよ。」

「そうですかそうですか…それで、何か収穫はありましたか?」ゴゴゴ…

 

推しと一緒にいたネモへ嫉妬のオーラ丸出しのうてな…ネモは少しの間、目を泳がせていたものの…何とか言葉を吐き出した。

 

「…大したことじゃねぇが…『真化』すると魔力の消耗が激しくなるみたいだ。」

「え?そうなの?」

「何で『真化』出来てるアンタが分からないのよ…」

「と、なれば…長時間の維持は厳しい、ということですね。いざという時は時間稼ぎの手段も考えておきましょう。…ネモちゃん、最近のアナタは色々と活躍していますね。トレスマジアとの対決にも勝った訳ですし…」

「その後にトレスマジア全員をベーゼちゃんの所に行かせたけどな!」

 

冷たい目を向けるキウィ…しかし、ネモはどや顔を全員へと向けた。

 

「作戦に決まってんだろ!戦えないくらいボロボロのヤツが一緒いた方がトレスマジアは全力が出せねぇからな。」

「そこまで考えていたのですか!?」

「そういえば、勝ったらご褒美があるとか言ってたわよね。ネモに何かあげるの?」

「フフフ…では、ネモちゃんの願いを何でも1つ叶えてあげましょう。何かありますか?」

「あー、今は保留で。思い付いたら言うわ。」

「こういうのさっさと言わないと忘れ……え?トレスマジアってCDデビューするの?は?何?」

 

スマホを触っていた真珠の目にとんでもない記事が入った。真珠のアイドルスイッチが入る。

 

「ズルいズルいズルい~!真珠もCDデビューしたい~!」

「どうでもよくね~?」

「そうだな、トレスマジ……はっ!?」

 

何かを察した真珠とネモがうてなへと視線を向ける。そこには真っ白な灰へと燃え尽きたうてなの姿があった。

 

───

 

「じゃ…じゃあ、お願いするね。これ、連絡先…」

「ん…了解や。」

 

「あれ?うてなちゃんと…薫子?…うわぁ、関係が関係だけに何か色々と複雑な気持ち…でも、何を話してるのか気になるわね。」

 

また学校生活へと戻ったある日、心愛はうてなと薫子が話す現場を目撃した。心愛は早速、薫子に何なのかを聞く。

 

「薫子とうてなちゃんが話すって珍しいわね…私の関連?」

「あー、そうとも言えるかも。」

「…どういうこと?」

「実は…グリー…んん!ネモはんと真珠はんがウチに歌のコーチをして欲しいんやと。」

「…歌?」

「せや…何か学内の歌唱大会で優勝したいんやと。前のカラオケでのウチの歌い方に興味が出たとか…」

「確かに上手かったわね。でも薫子って歌はそんなに好きだったかしら?」

 

心愛は首を傾げると薫子はため息を吐きつつ、心愛の耳に手を当てて小声で言う。

 

「あんまり大きい声では言えんけど…実はな、トレスマジアとしてCDデビューするねん…」

「えぇ!?」

「喧しい!声を抑えんかい!」

「ご、ごめん…それでコーチの依頼は引き受けたの?」

「…せやな。」

「へー、こう言うのは何だけど意外ね。面倒とか言って断ると思っていたわ。」

「いや…その…な。前にサルファとして…ネモはんを一方的に攻撃してもうた罪悪感が…」

「あー、なるほどね…それで教えれるの?特に真珠は…ね?」

「ウチらが受けたボイトレのメニューを渡すさかい…多少はマシになるはずやで、多分。」

「それはそうと…トレスマジアのCDは買わせてもらうわね。」

「…おおきにな。」

 

そのメニューは、真珠のアイカツに使用されることになるのを薫子と心愛は知ることはなかった。

 

───

 

放課後になり、心愛とチーポはこりすと会っていた。

 

「へー、猫カフェに行きたいの?いいわね。」

「ん…」こくっ

「猫…カフェ?」

「あれ?チーポは知らないの?」

「うーん、猫でカフェと聞いて出てきたのは…インドネシアのジャコウネコのウン○から未消化のコーヒー豆を集めてつくるルアックコーヒーくらしいしか…」

「ん!?」

「よりにもよってパッと出てきたのがソレ!?てか、こりすちゃんに汚い言葉を聞かせるな!」ゲシッ

「だって、知らないものは知らないっチ!」

 

チーポに蹴りを入れる心愛。こりすはスマホから検索した猫カフェの画像をチーポへと見せた。

 

「うへぇ…上司と白ネコ(ヴァーツ)糞ネコ(ヴェナリータ)を思い出すからボクとしてあまり乗り気になれないっチな。店の場所はどこら辺?」

「ん…」

「ここか、結構近い………『猫さわり飲食店『猫野郎の館』』?店名にセンスの無さを感じるっチ。」

「え?そんな店名なの?」

「ん。」

「ま、まぁでも猫カフェだから店の見た目がおかしいなんてことは…」

「あれ見てもそう言えるっチか?」

 

そこには『猫野郎の館』と書かれた建物と8頭身の猫の像が一体化した、具体的には建物から猫の上半身と足が生えた…正直、誰もが入りたいとは思えない見た目の店だった。

 

「こりすちゃん、今日はゲームセンターに変更しない?可愛いぬいぐるみを取ってあげるから。」

「待ちたまえ!入ったら絶望すると決めつけるのはまだ早いですよ!」

「誰!?てか、するのよね?絶望するのよね?」

 

気がつけば無表情の少女がそばにおり、心愛たちへと声をかけていた。

 

「私はバイトの『美咲』…気軽に"みさきち"と呼んでくれ。」

「こんな建物をパンツみたいしてる猫の像がある店何か入りたくないわよ!」

「ふっ…認識が甘いな。入ってみれば分かる…3名様ご案内~。」

「…え?」

 

心愛たちはそのまま美咲に導かれ店内へと入ると…最初に猫の尻が映った。何故か尻尾は無い。

 

「中途半端に外見をくっ付けわけではない!ちゃんと外から見えぬ部分も造りこんであるのさ!」

「尻の真下でコーヒーが飲めるかぁ!?」

 

心愛の絶叫が店内に響く。

 

「とりあえず、座って座って。」

「ん、んん…ん!」キョロキョロ…

「猫…確かにいないっチね。みさきち、猫はどこにいるっチ?」

「にゃーん。」

 

美咲が無表情で猫のポーズを取る…こりすは顔をしかめた。

 

「冗談冗談。今のところちょっと他の客に全員出払っていまして…もうすぐ、1匹空きが出来ます。」

「な、何だ。安心し…!?」

 

スタスタスタ…

 

心愛たちのすぐそばを誰かが通る。身長180cmはある…背中にチャックが見える8頭身の猫が客をお姫様抱っこをして扉の前へと運び…すとんと下ろした。

 

「…行け。」

「ひっ…ヒイィィィ!!」バターン

 

下ろされた客は悲鳴をあげながら店を後にした。

 

「さて、オプション料金の説明をさせていただきますね。」

「待て待て待って!何アレ?店にくっついてた8頭身像の猫?そもそも何で人の言葉喋るの?」

「みさきち~、オプション頼むっチ。ネコジャラシと猫飯をくれ。」

「何で今の流れで注文するのよ!?」

「5000円です。」

「高ぇなオイ!?」

「ほい、ちょうど。」

「払うのかよ!?」

「ありがとうございます。これがフードとオモチャになります。無理やり構うのはNGですからね。」

「分かったっチ。」

 

チーポは猫飯とネコジャラシを受け取るとこりすと一緒に8頭身の猫の元へと移動した。猫は手を前に出して拒否のポーズを取る。

 

「最初に言っておく……さわるな。」

 

「5000も払ってるのにケチ臭ぇな!?」

「しょうがないっチね…こりす、このネコジャラシは好きにしていいっチよ。」

「…」こく

「メシはもらってやるよ。」ムシャムシャ…

「立ち食いするなよ!?完全にオッサンじゃん!」

 

そして、そのまま8頭身の猫は美咲に連れられ退場した。

 

「さて…我が『猫野郎の館』には他にもたくさんの猫ちゃんがいます。」

「まぁ、流石にアレ1匹(?)って訳じゃないわよね。」

「えー、先ほどのは短毛種だったので次は長毛を…」

 

美咲の手には長毛で覆われた何かがいた。

 

「長毛か……って長毛の何!?」

「長毛の…種です。」

「いや、大まかなくくりを尋ねてないから!長毛種は見ればわかるわよ!それ猫?猫なの?」

「何をおっしゃる。猫カフェで猫以外の何を出すと言うのか!」

「じゃあ、さっきのオッサンは何!?」

「見ていなさい。この猫ちゃんの鳴き声を!」

 

「猫。」

 

「くっきり流暢にこの通り!」

「それで『わ~、やっぱり猫だ~』って安心出来ないわよ!美咲さん、私たちは狐狸妖怪の類を見に猫カフェに来てないからね!」

「…」ギュッ…スリスリ…

「猫…」

 

心愛がツッコミを入れる横でこりすは長毛種の何かをもちあげ、頬ずりをしていた。

 

「こりすちゃん!?」

「おっ?毛の間から顔が見えるけど、けっこう愛らしい顔っチね…猫ではなさそうだけど。」

「猫カフェって…店内が猫にまみれてて、その辺の猫を撫でたり抱いたり出きるカフェじゃなかったの?」

「フッ…その考えはもはや古い。最先端を行く猫カフェは…猫がいない!」

「あ、ついに1匹もいないことを認めたわね!…もう、ただのカフェじゃないの。」

「なめたことを言ってもらっちゃ困ります。アナタが言う普通のカフェは…メニューにコーヒーのコの字も無いのかな?」

「ぎゃあぁぁ!!もやはカフェですらないじゃない!!」

 

美咲が見せたメニューには天丼、あなご焼き、つくね串と書かれており…コーヒーは無い。さらに美咲は丼を心愛の目の前に置いた。

 

「はい、天丼お待ち。」

「頼んでないけど!?」

「ん~、美味いっチ。こりす、海老天1つあげるっチ!あーん…」がつがつ

「…んぐ。」もぐもぐ

「どうっチか?」

「…!」ぐっ

「わ、私も1つ…」

「はい、お待ち。」

「早っ!」

 

天丼を食べたチーポとこりすは絶賛する。心愛もつられて注文をして味わい始めた。

 

「…エビの身が大きいし、衣がサクサクでめっちゃ美味しい。もうドンブリ屋をした方がいいんじゃないの?猫の要素もカフェの要素も無いんだし…」

「まぁ、確かに本当は猫はいないのに猫カフェと名乗る店長のやり方には私も少々疑問を持っている。」

「え?アンタ、店長じゃないの?」

「最初にバイトと言ったが?」

「じゃあ…あの8頭身の猫に入っていたのが店長さん?」

「あぁ、アレの中身は…猫では無い色んな動物たちが助けあって人の形になっていた。」

「嘘でしょ!?どんな原理!?」

 

8頭身の猫の背中にあるチャックが開くと…中からアルパカやカピバラ、ウサギ、オウムなどの動物が出てきた。さっそく、こりすがウサギへと抱き付いた。

 

「フッ…とんだお笑いぐさだよ。可愛い動物しかいないのに猫専門カフェを開こうなどとは。」

「いや、正直この辺の動物を集める方が絶対に大変でしょ!」

「ん…」こくこくっ

「みさきち、店長に伝えておけっチ。この店には猫カフェにない素晴らしい所がある。推すべき部分を考え…新たな店を作り上げろっチ!」

「分かった…そのアドバイスはクレーム報告書に書き入れ、店長に伝えるとしよう。」

「クレーム扱いなの!?でも、まぁ…こんなに可愛い動物たちがいれば素敵なカフェになるわよね。また今度来るわね。」

「ん!」こくっ

 

天丼に満足した心愛たちは店を後にした。後日、店はリニューアルされ…天丼専門カフェとして繁盛していた。

 

「動物要素はどこに!?」

「ん~、カフェの要素も無いっチけど…これはこれでありっチね。みさきち、天丼おかわりっチ。」がつがつ

「かしこまりました。その前に…お待たせしました、ミニ天丼です。」

「ん…」くいくいっ

「はいはい。こりすちゃん、あーん…」

「♡」もぐもぐ

 

そして、心愛たちも気に入り常連となった。

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