魔法少女なヒロインにあこがれて   作:アマノジャック

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エピソード36 『マスコットの世界は縦社会』

「心愛、準備はいいっチか?」

「そろそろ時間ね…オッケーよ!」

「じゃあ…通信を始めるっチ。あ、あー!こちらチーポ君!こちらチーポ君!聞こえてるっチか?」

 

チーポが機械を操作しながら言葉をかける。すると機械の画面より黒い猫が映った。最初に言っておくがヴェナリータではない。

 

『音声に映像…バッチリですね。はじめまして、心愛さん。いつも世界のためにバトルお疲れ様です。私はチーポの上司の『ニコ』と言います。』

「ネコちゃんだ!礼儀正しいし…可愛い!」

「ちょっとニコ。現地の人と喋るには、その姿では心愛に失礼ですよ。人間界なら人間界に合わせた姿に変身しないと。」

『それはそうか…』

「ああっ!別にいいのに…」

『これで大丈夫でしょうか?』ポンッ

 

そこに映ったのはネコ耳のついた童顔のメガネ少年だった。

 

「いやん、かっこいい~」

「一体どうしろと言うんだっチか!!」

「何がよ!?」

「ちょっとニコたん?随分狙った格好っチね?何ですかそのメガネ?この頃流行りのメガネ男子ってやつですか?オシャレアーンド媚びっ媚びっ!」

『これはその…人間態だと視力がちょっと…』

「っていうかチーポ、上司に向かってそんな態度でいいの?」

 

心愛の台詞にチーポは笑顔で心愛の肩へと手を置いた。

 

「心愛…心配いらないっチ。ボクはちゃんと人を見て態度を変えてるっチ。この上司は暴言吐いても大丈夫な上司!」

「何いいこと言ってるみたいな感じで最低な発言してるのよ!」

『あの…チーポ?ここでの会話、上層部に筒抜けだよ?』

「嘘でーす!ニコ様、ボクになんでもご命令くださいワン!」ゴロン

「コイツ、プライドがねーなっ!!」

 

ニコの発言と同時にその場で服従のポーズをとるチーポ。その後、落ち込みながらボーナス査定が、などと言っているチーポを無視して心愛はニコへと話しかける。

 

「しっかりした組織関係が築かれているのね聖幻獣界…」

『すいませんね心愛さん…お忙しいところ…あ!それでお話というのはですね、あなたたちには必要と思うものがありまして…1つ目はこれです。じゃん!』

 

画面越しにニコはとあるデバイスを取り出して見せた。

 

『闇のパワー探知機『ダークアナライザー』。この機械が魔幻獣の位置を知らせてくれます。』

「そんなもん、なくてもチーポ君の耳が…」

『これ、すごいんですよ!周辺マップも出てきて…ナビ機能も完璧!出会った魔幻獣のある程度のパワーを分析できるし…あと一時的にに魔幻獣のタマゴも保管しておけます。』

「本当すごい!普通にポケットに入りそうだし…持ち運べも楽そう♡ニコさん、ありがとうございます。」

『いえいえ、そんな。お礼を言うのはこちらの方です。突然押しつけた魔幻獣退治もそうやって笑顔で引き受けてくれて…』

「あ、そうだった!元はといえば押しつけられたのだったわ!!…まあ、でも…結果的には自分の住む世界を守ってる訳だし…憧れのトレスマジアと一緒に戦えているし…やっぱりありがとうございます。」

『それですよ!』

「えっ?」

 

ニコにお礼を言った心愛は予想外の反応をされ、身体が固まった。そんな心愛にニコは言葉続けた。

 

『あなたのその前向きな心!純粋に世界を守りたいという心!いつでも、この世に一番強いのはそういうまっすぐな思いなんです!…心愛さん、あなたを『トランセイザー』を託してよかった。チーポに見る目があったことに感謝します。これからもお願いしますね心愛さん。』

「ニコさん…」

「…」ぶつぶつぶつ

 

黙り込んだチープの身体に大量の鳥肌が表れた。心愛は容赦のない蹴りを入れる。

 

「ちょっと何それチーポ!せっかくニコさんが良いこと言ってくれてるのに!!」ゲシッ

「はっはっはっ!臭ぇ台詞に持病のサブイボが出てきたっチ。」

『まあまあ、早速そのダークアナライザーを使ってみてください。そちらに転送しますね。』

 

そう言うと先ほど見せてきたデバイスが心愛の前に届く。早速、チーポが操作をする。

 

「登録完了っチ。えーと、近辺のマップが出てきて…この点がボクたちの現在地ね。」

『そうですね。もう一度押せば魔幻獣のサーチが始まります。近くいれば何かしらの反応が…』

 

ピコンっ

 

画面にある所が点滅をする。

 

「ビンゴ!どうやら今1つ反応があるっチね。」

「嘘!?これが魔幻獣?動きは無さそうね…」

『多分まだ孵化していないタマゴの状態かと。ですが、レーダーが反応しているということはもうすぐ活動が始まるということでもあります。』

「でも、ここからかなり遠いわよ。走っていくんじゃとても…」

『分かりました。では、飛行ユニットの使用を上司権限で承認いたしましょう。 シューティングスタースプラッシュ号、転送!』

 

ニコの発言と共にバイクと飛行機が合わさったような乗り物が心愛の部屋へ現れた。

 

「…ニコさん、ちょっとこの大きさだと部屋から出せないので…外に出してもらってもいいんですか?」

『あ、失礼しました…』

 

───

 

『では、タマゴの回収をよろしくお願いします。これで目的地まで一直線ですよ心愛さん。』

「うわーん!出てくるアイテムがことごとく可愛くないー!!」

 

心愛は若干の涙を浮かべつつも反応のあったところへとシューティングスタースプラッシュ号(以下SSS号)で飛んでいく。

 

『ああ…』

「どうしたの?ニコさんに何かあったの?」

『書類不備のまま備品の使用を自己判断で許可してしまいました…後で上層部にこってりしぼられる…』

「女子中学生ヒロインにあまり生々しい大人の世界を見せないでくれる?」

「心愛も後10年経てば分かるっチよ。」

「だから喋るなって言ってるでしょうがっ!!」

 

そうこう言っているうちに目的地近くまで着いた。

 

「あの建物って…テレビ局!?昔、1回だけ入ったことはあるけど、その時はハガキ持ってたママが一緒だったからで…どうやって入ろう?監視が超厳しいよね…あ!そういえば、今日はトレスマジアが出演するからその関係で…」

『何か証明できるものはありますか?』

「…無いわね。」

「なら、こーゆー場の定番は…変身チーポ君!」ボンッ

 

チーポがスーツを着た人型へと変身した。

 

「…何でその姿に?」

「それでこのへんに変装アイテムが…あった!あった!これをかぶれば衣装チェンジ☆トランスウォーター!」

「えっ…ちょっと…」

『心愛さん、少し冷たいかもしれません。』

「それ変身っチ!」

 

バシャッ

 

「ななななにごとー!?」

 

謎の水を浴びた心愛はメイクがされており、服装がヒラヒラしたアイドル風の衣装へと変わった。

 

「ただいま絶賛売り出し中アイドルの篠原ココアのお出ましっチ!」

「なにこの展開!?…アイドルだなんて…そんな…♡」

 

心愛は窓ガラスに映る自分をみて照れを見せる。

 

「まんざらでもなさそうっチね。ボクはマネージャーってことで…よし!この格好なら誰がどう見ても芸能関係者!これで堂々とテレビ局に入れるっチ!」

『2人とも、よろしくお願いします!』

「早くタマゴを探さなきゃだし…それ急げー!」

 

心愛とチーポは全力で駆け出し…

 

「君たち入局許可書は?」

 

警備員の前で膝をついた。

 

「チーポ?にゅーこくこかしょーは?まさかそんな基本アイテムないわけないよね?」

「あはは、心愛。言えてない言えてない。」

「アイドルキック!!」ゲシッ

「変装の気に入りっぷりがうかがえる技名!!」

 

蹴られたチーポはニコへと話を振る。

 

「ニコ、入場許可証ってどーゆーモンだっチ?とりあえず偽装してみるっチ!」

『えっと…見せれば中に入れてくれるようになる…カードみたいなものかな?』

「ほほう。厳しい警備員の心さえ操れるカード…そうとうな魔力があるに違いないっチ!多分こんな感じ?」

 

『入れろ!中に入れろ!』

 

「こここ怖ぇー!!」

 

チーポが取り出したのは目玉が付いて、しかも言葉を喋る謎のカード…その不気味さに心愛はドン引く。

 

『チーポ、許可書は機械に通したりするみたいだから…これは偽装するのはちょっと難しいかな。』

「なるほど…こうなればアレしかないっチね!潜入モノの定番…色仕掛けっチ!」

「ええっ!?無理よ!私、そんなの…」

「変身チーポ君…心愛の先輩アイドル!!」ボンッ

「…うわぁ。」

 

チーポは別の人型へと変身した。胸を大きく盛り、露出の多い服装へと変わる。

 

「女体化チーポ君です…どうですか?」

「女体化いうな。」

『オカマみたいだよチーポ…』

「人呼んでチーポ子君。」

「ゴロ悪…」

「チ○ポ子君。」

「ふせるな!!」

「では、ちょっくらお色気パワーで警備員をメロメロにしてくるっチ!」

「頑張ってチーポ!」

『お願いします!』

 

チーポはハイヒールをカツカツ鳴らしながら警備員の前へと移動した。

 

「うふん、こんにちは警備員さぁん♡」

「なんだね君は?」

 

かぱっ

 

チーポは口を開ける。そして…

 

ドスドスドスッ!ドクドクドクッ…

 

警備員の口、頭、尻に触手が突き刺さり…何かが流し込まれた。そして、それが引き抜かれ…

 

「どウぞ…お…トオ…リ…下さ…イ…」ふらっ…

「お色気パワー!!」

「あんたそれ、いつぞやの『光のパワー』と同じじゃないの!?」

「お色気パワー!!」

『ごまかし切るまで何度も言うつもりみたいですよ!!』

 

そうは言いつつも目が虚ろになった警備員のそばを心愛は走って通った。

 

『…とはいえ、何とか中に入れましたね…さて、タマゴはどこにあるのでしょうか?』

「この辺なのは確かみたいなんだけど…」

「片っ端しから潜入して探すっチ!とりあえず、あそこから!」

 

心愛たちは何処かの撮影スタジオへ入った。

 

───

 

『3・2・1…キュー!生討論番組『真剣10代語り場!』はい、こんにちは!今日もやって参りました激論タイム!さて今回、若者たちの語り場にゲスト参加してくれる人生の先輩は…』

 

と、ここで『しばらくお待ちください』のテロップが入る。 その裏で心愛がカメラの前にテロップを置き、チーポがMCの2人の頭に『お色気パワー』を流しつつ、ニコが音声で番組出演者に何事もなかったかのように進めよう説得がされていた。そして…出演者たちが首を縦に振ったのを確認して、テロップがカメラの前から取り除かれ、再びMCの2人(洗脳済)にカメラが向けられた。

 

『げすとしてくれルじんせいのせンパいは…』

『こちらのフタリでスススス…』

『ただいま売り出し中フレッシュアイドルデュオ『リリカル魔女っ娘組・トラン☆くりぃみぃず』!』

 

「もぎたてフレッシュなオレンジみたい♡『トラン☆くりぃみぃず』でーす!」

「キャッチコピーは『爛れた芸能界に咲いたアダ花』っチ!」

 

「「えぇ!?」」

 

出演者にドン引きされつつも番組は進行される。

 

『さて、今回の議題は『学生の恋愛・勉強どっちが大事?』です。真剣10代語り場スタート!』

 

「私は学業と恋愛どちらに重きを置くかといえば、やはり学業だと思いますね。なぜなら恋愛はいつでもできるけど、学校というコミュニティで勉強できるのは学生である数年間だけなわけですから。」

「えっ?でもその若い頃の数年間が大切なのは恋愛だって同じ訳でしょ?」

「私といたしましては恋人同士がベッドの上で組んず解れずをしてるおセンシティブな光景をみるのが好きでして…」

「それって恋愛なの?」

「何事も経験かと…結構いいですわよ。」

 

『うーん、若者たちが自分の意思に基づき討論しています…素晴らしいですね!では、ここでゲストの意見を聞いてみましょう!チーポ子さん、どう思いますか?』

 

出演者たちが机を囲み討論しているとチーポに話が振られた。そして、チーポは口を開く。

 

「四の五の口先ばかりでグダグダ言う頭でっかちばかりで話にならんな!いいかい小娘ども!口を動かすより先にまずはソー○へいけ!話はそれからだ!」

「どこの北○謙三だお前はー!?」ゲシッ

 

チーポのまさかの発言に心愛は蹴りを入れた。

 

「心愛…中学生で『試み○地平線』を知ってるのはどうかと思うっチ。今の40~50代辺りが世代じゃ…」

「う…うるさい!○田○田とかで知る機会はあるのよ!」

『あの…2人とも、探しましたが…ここにタマゴはないようです。』

「チーポ!タマゴないって!次にいくわよ!」

「よし分かった!では、最後にチーポ子君から君たち真剣10代にひと言!お前ら全員、この番組をDVDにでも焼いて残しておけ!そして8年ぐらい後にもう1回見ろ!この番組のこと覚えてる奴を全員消しにいきたくなるから!」

「8年ってところがリアルね…」

「それではアデュー!!」

 

「何だったんだ、お前らはー!?」

 

心愛たちは収録場を後にした。

 

───

 

「次はどこを探すっチ?」

「えーと…そうだ!ダークアナライザー!」

 

心愛がデバイスを起動させる。しかし、位置が重なっていることが分かるだけだった。

 

『すみません、正確な場所となるとちょっと…』

「というかここの環境自身に何かジャミング的なものを感じるっチ。孵化してないとボクの耳も反応が悪いっチから…勘か総当たりしか無いっチよ。」

「勘ね…じゃあ、次はここよ!」

 

心愛がある場所の扉を開く。

 

「ウオォォォン!!」

 

入ると同時に目に映るのは異様に細長い腕と足を持ち、大きな顔に首から翼の見える異形の化物。

 

「魔幻獣が孵化しちゃってる!?」

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