篠原心愛の部屋で…突然に転神ステッキが輝き出した。
「な、ななな…何事!?」
「トランチアーの誰かが助けを求めるっチ!」
「あったわね、そんな機能!」
「一体、誰が……あー、別に助けに行かなくていいっチ。」
「はぁ!?何言ってるの!」
「マジアマゼンタがマジアベーゼとレオパルトに拐われているだけっチから…放っておけっチ。」
「出来る訳ないでしょ!もういい、私1人で勝手にいくから!」
心愛は転神ステッキを掲げ、呪文を唱えた。
「リリカルマジカル、トランスマジカル…チェンジ!」
ピカーン
「転神!超空転神トランセイザー!!」
超空転神トランセイザー!
篠原心愛は転神のかけ声とともに空気中の聖幻エネルギーを物質化して身にまといトランセイザーへと変形変身する!
その間わずか0.021ミリ秒!!
「転神しようがボク無しで居場所が…」
「ダークアナライザー起動!マゼンタさんは……ここね!すぐにいくわ!」
トランセイザーは外に飛び出すとSSS号を召還し、目的地へと飛んで行った。
「…ニコめ。余計なことをしやがって…」
───
「着いたわ…はぁ!!」
バコンッ
トランセイザーは廃墟の屋上からライトセイバーを逆手に構え…そのまま、天井を破壊しつつ真下へとダイブする。
「えっ…?」
「トランセイザー、だと!?」
「はぁ…はぁ…トランセイザー…さん?」
トランセイザーの目の映ったのは裸にひんむかれて倒れたマジアマゼンタと自身の登場に動揺するマジアベーゼとレオパルトの2人。トランセイザーは無言でライトセイバーを構え、マジアベーゼのたちの方へと身体を向けた。
「…」
「ヤベェよ…かなり怒ってるよ。」
「あ、あの…トランセイザー様?わたしたちはもう帰ろうとしていて…」
『トランスマジカル…ホーリー○ード』
「ふ、服が…いやぁぁぁ!!」ザクザクッ
「…恥ずかしがるベーゼちゃん、可愛い♡」ザクザクッ
光の刃を飛ばすと、マジアベーゼとレオパルトの衣装が切り破れ、そのまま全裸にさせる。さらに…マジアベーゼの左肩とレオパルトの右胸から一筋の血が流れていた。
「…」すっ
「え…血?これ、本当にヤバいやつじゃ…」
「ベーゼちゃん!?ク、クソが…!!」バンッ
「効かないわよ。」ブンッ
ライトセイバーを逆手に持ち、そのまま裸でガタガタと震える2人へ斬りかかろうと距離を詰めるトランセイザー。レオパルトの弾丸をあっさりと流すと、そのまま進み…斬撃の間合いに入った直後のことだった。
ポンッ
「──!」
マジアベーゼとレオパルトの姿が一瞬で消え、足元に小さなドールハウスが現れる。そして、それは黒い空間の中へと消えていった。
「「マゼンタ!!」」
エノルミータの2人が消えたと同時にトレスマジアの2人が入れ替わるように廃墟へと入ってきた。
「大丈夫!?ひどい…何をされたの?」
「蚊に刺されたところ…掻いてもらった…」
「蚊?それよりエノルミータは?」
「エノルミータは…トランセイザーさんが…追い返してくれた…」
「トランセイザー?…って、ほんまにおるやんけ!?」
「…私はほとんど何もしてないわ。エノルミータはもう帰ろうとしてた様子だったし。」
「いえ、そんな!マゼンタを助けてくれて…ありがとうございます!」
「…ひとまずマゼンタが無事で良かったわ。…けどなぁ、流石にトサカにきたで!!」
マジアサルファからは激しい怒りが漏れていた。それはマジアアズールも同じである。
「2人で1人を拐って手篭めにするってことは…ほんまに年貢の納め時が来たようやな!!」ゴゴゴ
「…そうね、流石の私も今回は腹に据えかねるわ。」
「待っとれよエノルミータ…次に会うたがお前らの最後や!!」
マジアサルファの表明が廃墟へと響いた。
「(本気なのね…
───
『えー、本日はトレスマジアの3人のインタビューに来ております。サルファさん、デビュー曲でのヒットチャート1位おめでとうございます。』
『ありがとうございます。これも全て皆様のおがけや思てます。』
『今後の意気込みをお願いできますか?』
『意気込みですか?急に言われてもなぁ………おい、エノルミータ。』
『この間はマゼンタが世話んなったなぁ。ここらで決着付けようやないの。なあ?次会うた時が貴様の最後やさかい…楽しみに待っとき。ほんまに貴様らには我慢の限界や。○ァック。XXXXみたいにXしてXXXったるさかい…』
ブツンッ
『………。いったん、CMです。』
『毎日♪おいしい♪なめたけ茶~♪』
───
その日の夜、心愛はベランダにてSSS号へとまたがっていた。
「…よし、行くか。」
「心愛。こんな夜中に…どこに行くつもりっチ?」
「─!コ、コンビニ…」
「財布も持たずにっチか?」
「…」
チーポに自身の財布を置いた机へ指を差され…言葉を失くすトランセイザー。チーポがその場でため息をする。
「無駄に聖幻エネルギーを使わないって約束出来るっチか?」
「…うん。どっちも本気でぶつかり合う…最後の戦いになると思うから…見届けたくて。」
「…本当に最後になるっチかね。」
「チーポ?」
「何でもないっチ。バレないように決選場に送ってやるっチ。」
「…ありがとう。ねぇ、もしどっちかが負けて…命が危ないって感じたら…助けにいってもいい?」
「ボクが止めようとも心愛は動くでしょ?ボクも好きにするから…心愛も好きにすればいいっチ。」
「…ごめんね。そして、ありがとうチーポ。」
「時空転移っチ。」
その場から心愛の姿が消えた。
「さてと…ボクもボクで動くか。」
………
トレスマジアとエノルミータのいる決選場にて心愛は巻き込まれないよう、崖の陰へと身を潜めていた。
「今宵はお招き頂き、ありがとうございます。…御挨拶はこの辺りでよろしいですか?」
「御託はええわ…いくでアズール。」
「ええ。」
『
『マジアアズール
『マジアサルファ
両者の戦いが始まった。先制したのトレスマジア側…
『アズールWロケットパンチ』
『雷霆掌・連』
ドオォォォン
エノルミータへと氷と雷の拳を複数飛ばし、大きな爆発が起きる。
「すごい…た…倒しちゃったの…?」
「…そやとええねんけど。」
「ダメなようね。」
「正義のヒロインともあろうものが…ずいぶん不躾じゃ~ん。」
『レオパルト くそつよテイスト』
しかし、それらは真化したレオパルトの鉤爪により、防がれていた。
「トランセイザーが言うてた通りやな。」
「…サルファ、任せるわ。」
「アズールと…マゼンタも頼んだで。」
「いきましょうか…レオちゃん。」
「は~い♡」
「かかってこいやぁっ!!」
全員がいっきに戦闘体勢へと入る。マジアサルファはレオパルトを、マジアマゼンタはネロアリスを、マジアアズールは残った全員へと応戦する。
「…何て戦いなのよ。…お願い、皆…無事で終わってよ…」
心愛の想いとは裏腹に戦いは激しくなっていく。
『ヴォア・フォルテ』
『メナスヴァルナー』
「…」ブンッ
「きゃっ…!」
「ロコ!?」
「ロコちゃん!……これで!」
パンッ
「ミミミ~!!」ニョキ
マジアアズールは2人の技を正面から受け止め、そのまま羽衣の剣をロコムジカへと振るった。ロコムジカは遠くに飛ばされるもの、マジアベーゼはその隙を突き、地面のミミズを魔物化させる。
「はぁぁ!」ブンッ
「ミ、ミミ…」シュゥゥ
しかし、それは剣の一振りによりあっさり退治されてしまったのだ。
「クソが!!」ゴシャ
同時刻、レオパルトがマジアサルファの拳をもろにくらい地面へと叩きつけられていた。
「おい、レオ!大丈夫か!?」
「大丈夫じゃねぇ…超キレてる~。手ぇ貸せバカップル!まとめて蹴散らすぞ!」ペッ
「…トランセイザーの時と同じことをするのね。ルベル!」
「いや、パンツを脱げよ…」
「いつからかしらね…パンツなら…変身したら消えるようになったわ…」
「お前…」
「いいから早く!」
「応!」
『フォルティシモ・カノン』
『滅殺光線シュトラール』
ゴゴゴゴゴ…
レオパルトとロコムジカ、ルベルブルーメの3人から強大な音波攻撃と無数のジグザグ動くレーザーが同時に放たれた。それは味方をも巻き込まんとばかりに分裂し、辺りへと飛び散っていた。
「すごいの来た…!」
「チッ、せめてマゼンタだけでも…」
「私に任せて!」
「いかせませんよアズール…」
「邪魔よベーゼ!」ブンッ
「ぐっ…!」
「はぁ!」シャラララ…
ドゴッン
マジアアズールはマジアベーゼを引き離し、羽衣を螺旋状へと広げ…自分1人でその攻撃を全て受けきった。
「アズール!!」
「は…はぁ…終わりよ…エノ…ルミ…タ…」
全身ボロボロになりつつも…マジアアズールは自身の頭上に大きなハートを形成していた。
「あれはカウンター技の…くっ!」
「させるか!」
マジアアズールを止めに入ろうするマジアベーゼへマジアサルファが間へと入る。
「テメーがなァ!」ガコッ
「─!」
「レオちゃん!」
ドカーン
しかし、それをレオパルトが横から鉤爪をマジアサルファへと当て…爆発させた。不意打ちを食らったマジアサルファはそのまま、地面へと落ち始める。
「時間は…稼げ…た…アズール…あと…は…」
『愛のアヴァランチ』
ダンジョンで使った時よりも、海で使った時よりも、数倍は大きな光の砲弾がマジアアズールから発射される。攻撃が全ての敵を飲み込んだことを確認し…マジアアズールも地面へと落ちた。
「ふたりとも!」
慌ててマジアマゼンタが2人の元へと駆け寄る。その場はマジアマゼンタを除き、全員が地面へと伏せていた。
「…決着ね。さて…マゼンタさんはどうす…嘘でしょ?
「ありがとう…レオちゃん…」
否、マジアベーゼだけが全身ボロボロになりつつも立ち上がり…マジアマゼンタへと近づく。
「悲しいですね…ここで…終わりなのは…」
「あ、あああああ…」
涙目になりガタガタと身体を震わせるマジアマゼンタ。それでも、倒れた2人の前から離れることはしない。そして、覚悟を決めて歯を食い縛ったその時…マジアマゼンタを中心に風が発生した。
「な…!」
「これは…!」
「傷が…!!」
その風はマジアアズールとマジアサルファを包んだかと思うと…ボロボロになった身体を治癒したのだ。衣装こそまだ不完全なものの…それは、2人が再び立ち上がるには十分な回復であった。
「ありがとうマゼンタ!」
「ウチら、まだやれるわ!!」
「マジかぁ…」
土壇場でマジアマゼンタが活躍したことにより感動し、その場で立ちすくむマジアベーゼ。その顔は非常に満足しており…復活した2人の攻撃が目の前まで迫る。
「
心愛は急いで転神ステッキを手に取る。次の瞬間…
「…!?」ぞくっ
突然の寒気が全身を襲い…手から転神ステッキが落ちた。