魔法少女なヒロインにあこがれて   作:アマノジャック

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いいタイトルが出てこなかったです…


エピソード42 『マジアベーゼ暴走』

「──っ!?」ぞくっ

 

篠原心愛に寒気が走り、転神ステッキが手から落ちた。慌てて拾い、マジアベーゼの様子を見てみると全身が真っ黒な魔力に包まれ…それは蕾の形へと変わり宙へと浮かんでいた。そばにいたマジアアズールとマジアサルファはすぐに距離をとる。

 

「くっ…!」

「なんやあれはっ!?」

 

驚いているのはトレスマジアだけではない。

 

「はぁ…?ンだよ…これ…?」

 

エノルミータであるレオパルトもマジアベーゼの変化に動揺を隠せていない。

 

 

「ア…ヒヒ…ハヒヒ…」

 

蕾が開き…欲望の華が咲く。大量の黒き星を纏うマジアベーゼがここに今、爆誕した。マジアベーゼから漏れる魔力は…触手へと変わりトレスマジアの3人を襲い始める。

 

「くっ…!」ブンッ

 

マジアマゼンタが前へと立ち、自身の槍で対抗する。しかし、槍は触手へと触れると瞬時にどす黒く染まった。

 

「マゼンタ、槍しまえェ!!」

「─!あ…危なかった…」

「あの触手に触れたらアカンで!」

「厄介な攻撃ね…!私の羽衣で守れば…」

「それも浸蝕されたらどないするんや!」

「あ…」

 

距離をとり、マジアベーゼを警戒するトレスマジアの3人…しかし、気がつけば足元へと黒い魔力が集まっていた。

 

「危ない!!」

 

次の瞬間、唯一気づいたマジアマゼンタが2人の背中を押す。それと同時に黒い魔力は浮かび上り、蜘蛛の巣の如くマジアマゼンタを捕らえる。

 

「い、いや…!」

「マゼンタ!!」

「や…やだ…。なに…か…はいっ……」

 

蜘蛛の巣はマジアマゼンタの衣装を破く。そして針と変形してマジアマゼンタの全身へと刺さり、黒い魔力が流し込まれ…

 

 

『トランスマジカル…めった切り』

 

ここで銀色のヒーローが乱入し、ライトセイバーで針を切り…倒れるマジアマゼンタを支えた。

 

「大丈夫、マゼンタさん!?」

「と、ら……うっ!」ビクッ

 

「マゼンタ!!」

「トランセイザー様!離れて!」

 

バキッ

 

「…え?」めこっ

 

「…」

「ハァァ…」

 

トランセイザーが気がつくと地面へと叩きつけられていた。攻撃してきたのは他でもない虚ろな目をしたマジアマゼンタだったのだ。その姿は髪先と身体全体が黒い魔力によりドレスの如く覆われており、そんな彼女にマジアベーゼが顔を近づけ…褒めるようにその頬を舐める。

 

「殺すぞゴラ"ァァ!!」

 

激昂し、マジアベーゼへと向かうマジアアズールとマジアサルファ。それを守るようにマジアマゼンタが2人を迎え撃つ。

 

「…」

「があっ!!」バキッ

「サルファ!?…はあぁぁ!」ブンッ

 

スパッ

 

「…」ニョキ

「再生し……ぁぐ!」バキッ

 

マジアマゼンタは左右のツインテールを伸ばし…マジアサルファを地面に押さえ込む。マジアアズールは氷の剣で自身へと攻撃してきたもう一つのツインテールを切るが一瞬で再生され、そのまま崖へと殴り飛ばされた。それにより2人の真化が同時に解ける。

 

「マゼンタさん、アズール、サルファ…」

 

「キヒ…」

 

「マジアベーゼ…!」

 

黒くなったマジアベーゼがトランセイザーの前へと来る…それと同時に蜘蛛の巣を伸ばして倒れたマジアアズールを捕まえ、自身の元へと手繰り寄せたのだ。

 

「アズール…」

「トランセイザーさま…」

 

「キヒヒ…」

 

ポタッ…シュッ…シュゥゥゥ…

 

「──あっ!あ、あぁぁ…」

 

マジアベーゼの指から垂れた黒い魔力が大きな塊になり、それをトランセイザーへと向けて飛ばすと…そのまま飲み込むように捕らえる。黒い魔力によるトランセイザーのパワードスーツへと浸蝕が始まった。

 

「うそ…、スーツが溶けて…」

 

腕と足が溶かされ素肌が見え始めるトランセイザー…ここで一か八かの行動に出た。

 

『マジカル☆プリフィア☆スターライト』

 

ドシャャャャ

 

まだ無事である腰のベルトから必殺技である極太レーザーをマジアベーゼに放ったのだ。

 

「……キヒヒ!ヒャハハハハッ!」

 

マジアベーゼを真っ正面からその技を受け止めた後…大声で笑う。無傷ではないものの満面の笑みを浮かべてトランセイザーへと歩みより…指からよりドス黒い魔力を直接、トランセイザーの頭へと垂らした。それにより…トランセイザーのマスクが溶かされ、中身の…心愛の顔が表れる。

 

「「…え?」」

 

同時に重なるマジアアズールとマジアベーゼの2つの声。思考が止まったままのマジアアズールに対してマジアベーゼは頭を押さえ苦しみだした。

 

「アッ…アアアアアアアアアアア!!」

「…っ。」ブンッ

 

その場で大声をあげるマジアベーゼ。心愛は残った力でライトセイバーをマジアベーゼへと投げる。しかし…それはマジアベーゼへは届かず、自身の目の前に落ちて刺さるだけとなった。トランセイザーは…心愛はそれを悔やみながら…意識を失った。

 

「…キヒ。ヒヒヒヒ!」

 

マジアベーゼが落ち着いたのか心愛を自身の腕で抱えると…その身体はマジアベーゼの中へと沈み始める。そんなお姫様抱っこをした状態でマジアベーゼはマジアアズールへと顔を向けた。

 

「トランセイザー様が…まさか…そんな…」

「アハァ…♡」

 

バチンッ

 

「あ"あ"あ"あ"!!」

 

そして、放心状態となったマジアアズールへと黒い魔力の一撃を叩き込む。今までに無い痛みにマジアアズールの悲鳴がその場で広がった。それに追い打ちをかけるようにマジアベーゼはマジアアズールの股間へと足を伸ばして踏み始める。

 

「…」ぐりぐり

「やめ…!そ…の、こを…はな…し、て。お、ねが……いっ!?」ビクッ

「…」ぐりぐりっ

 

攻撃を受けながらも心愛を下ろすように懇願するマジアアズール。しかし、マジアベーゼが無表情のまま股間を踏み続け…ついにマジアアズールの目から涙がこぼれ始めた。

 

『アズールファング』 

 

「──っ!?」ザクザクッ

 

マジアアズールの目から涙が落ち、左右の口角へと触れた瞬間…そこから2本の氷の牙が伸び…マジアベーゼの両肩へと突き刺さった。それによりマジアベーゼはバランスが崩れ…心愛を落とさないようにヨロヨロと後退する。その隙にマジアアズールは何とか立ち上がり氷の剣を構えた。

 

「その娘を取り返すまで…ぜったいに負けないわ!レオパルト…ロコムジカ…ルベルブルーメの攻撃に比べたらこんなもの…!」

「…」ボキッ

「かかってきなさ……!?」

 

「嬉しいこと言ってくれるじゃねーの!!」

 

ボカーン

 

マジアベーゼは自身に刺さった氷を砕き、心愛を抱えたまま、マジアアズールへと距離を詰める。そこに包帯を全身に巻いたレオパルトが復帰し、マジアベーゼへと鉤爪で攻撃をした。それに対してマジアベーゼは心愛を庇うように背中で受け止めると爆発が起き…周囲は煙に包まれる。

 

「ちょっとアンタやり過ぎよ!」

「ベーゼちゃんがこんなんで死ぬわけねーだろ!」

「待ってレオパルト!マジアベーゼの腕の中に女の子が…!」

「あん?人質だぁ?ベーゼちゃん、マジで何やってんの!?なんか意味わかんねーし、かわいくねーし、かっこよくない!!今のベーゼちゃん………ヤ!!」

「そうよ!アンタ、組織のポリシーはどうしたのよ!」

「目ェ覚ませバカヤロー!」

 

同じくボロボロになったロコムジカ、ルベルブルーメも合流し、マジアベーゼへと声をかける。煙が晴れると同時にマジアベーゼと心愛の姿に…3人は衝撃が走る。

 

「──何で!?何でここ…に人がいるんだよ!?」

「ちょっと待ちなさい!全身ボロボロだけど…あの腰のベルトって…」

「アイツが…トランセイザー…なのか?」

「あなたたちも…彼女を…知っているの?」

 

「…」

 

ごぷっ…ぼたぼたぼたぼた…

 

マジアベーゼが4人に顔を向けると身体中から大量の黒い魔力がこぼれ…自身を中心に周囲を覆い始める。それはその場にいたエノルミータとトレスマジアの全員を飲み込んだ。

 

「何か来たわよ!」

「くそっ、逃げれ…ぐおっ!」

 

「力が抜け…!があああぁぁぁ!!」ズキッ

 

皆が飲まれる中、レオパルトに頭痛が走り大声をあげる。

 

「私が心愛を…皆を助ける!!魔力なら…ここにあるわ!!」

 

ゴクリッ

 

一方の、マジアアズールは自身を飲み込む黒い魔力を逆に自身の口へと含む。その瞬間…

 

ピカーン

 

2つの腕輪が輝きだし、レオパルトとマジアアズールを中心に飲み込んでいた黒い魔力が避けるように離れたのだ。そして、それぞれの腕輪に転神石がセットされるように生成され…2人はキーワードとなる呪文を唱えた。

 

『転神』

 

ピカーン

 

再び腕輪が輝きだし、マジアアズールとレオパルトが別の姿へと変わる。

マジアアズールは髪が橙へと変色し、右目が髪で覆われ…露出の多い黒のボンデージファッションを纏ったトランチアーとなる。そして、棒と鉄球が繋がれた鎖の武器…モーニングスターがその手にあった。

レオパルトは髪が白へと変色し、黒い喪服のようなドレスを纏ったトランチアーとなる。そして、赤と黒の混ざった魔剣がその手にあった。

 

2人は動きだし、自身の仲間を黒い魔力が溢れている範囲外へと運ぶと…マジアベーゼの前へと立ったのだ。

 

「…レオパルト、不服かもしれないけど今だけは…」

「皆まで言うな。とりあえず、ベーゼちゃんとあの娘を助けねぇとな。」

 

「ん…!」スタッ

 

そこにパープル・ウィッチが姿を表す。

 

「あなたは…!」

「パープルか…ったく、手ェ貸してくれよ!」

「ん!」

「さてさて…作戦、どうすっかな。」

「私に考えがあるわ。」

「…へぇ。」

 

白のトランチアーとパープル・ウィッチは橙のトランチアーの作戦に乗ることにしたのだ。

 

………

 

「ん!」

「頼むぞパープル!」ガシッ

「よろしくお願いするわね!」ガシッ

 

パープル・ウィッチが白のトランチアーと橙のトランチアーを両脇に抱える。すると橙のトランチアーがモーニングスターに付いた刺鉄球を黒い魔力の中へと叩きつけ…パープル・ウィッチが跳躍する。鉄球を軸に鎖が伸びきり、そのまま黒い魔力の中へと着地しかけると…

 

『火炎放射』

 

橙のトランチアーが口から炎を吐き、着地点となる所の黒い魔力を一時的に焼き払う。そこにパープル・ウィッチが杖を構え…

 

不動積雪(Refusal of Train)

 

冷凍ビームにより氷の柱を生成し、そこに3人が着地する。聖幻エネルギーで出来ているためか氷の柱が黒い魔力により一気に浸蝕される様子はない。

 

「あと3回くらいで届きそうね。」

「ん!」

「パープル、マジアアズール。アタシが絶対に助けるから…頼んだ。」

「もちろんよ。」

「ん。」

 

ダンッ

 

パープル・ウィッチは再び跳ぶ。

 

───

 

「よくぞここまで大きくなったものだ。自らと周囲の魔力をこれ程に育み…それらを今、全て喰わんとしている。感謝しているよ。今までありがとう。これ以上の邪魔が入らな……!」ガシッ

「いやー、危なかったっチね。」

 

黒い魔力の中心にいるマジアベーゼの元へと向かおうとしていたヴェナリータだったが…腕を人型に変形させたチーポにより捕らえられたのだ。

 

「…クソウサギ…何のつもりだい?ボクの邪魔を…」ギチギチッ

「何を言ってるっチか?ボクはお前を助けているのだっチよ糞ネコ。」

「ボクを…助ける?どうい…」

 

ヴェナリータの言葉が最後まで続くことはなかった。次の瞬間、自身のすぐ隣で蛇のような、触手のような…細い何かが通ったのだ。それはそのままマジアベーゼを貫いて…抱えられた心愛へと巻き付き、再びヴェナリータの隣を通り過ぎた。

 

「…なんだ…これは?」

「さぁ?それよりも…あーあ、あのクソヤバ女から魔力が抜け始めたっチな。じゃあ、ボクはトランセイザーを回収してくるからもう行くっチ…バイバイ、糞ネコ!」

「…」

 

チーポはそう言うとヴェナリータを解放して、崖の上で心愛を抱える3人の元へと飛んでいった。

 

───

 

時間は少し巻き戻り、トランチアーの3人はパープル・ウィッチが生成した氷の柱の上にいた。

 

「後1回ね…パープルちゃん、大丈夫かしら?」

「…」こく

 

無言で頷くパープル・ウィッチ…しかし、その額から大量の汗が見られる。そこに白のトランチアーがある提案した。

 

「よし!作戦変更ー!パープル、お前はここで待機なー!」

「ん!?」

「レオパルト…何のつもり?」

「失敗しそうなやつを連れていく気はねぇっての。それに…ここなら時間止めれるアレの範囲内だろ?」

「…」

「ベーゼちゃんが何か動いた時は頼むわ。いくぞマジアアズール…着地したらお前の炎で黒いのどけてくれ。お前の限界が来る前に…アタシの攻撃をベーゼちゃんに届かせる。」

「…分かったわレオパルト、あなたを信じるわ。マジアベーゼとあの娘を助けましょう。パープルちゃん、ここまでありがとう。」

「…」こく

 

白のトランチアーが橙のトランチアーを抱え…氷の柱から跳んだ。

 

「…って全然足りねぇ!!」

「レオパルトォ!?…もう!このままいくわよ!」

「おうよ!!」

 

『火炎放射』

 

パープルほど跳躍力は無かったため、橙のトランチアーが長時間、炎を吐き続けることで道を開いたのだ。2人はマジアベーゼのいる方向へと全力で走りだす。そして…

 

「あれはトランセイザーのライトセイバー…ってことはベーゼちゃんはこの上か!マジアアズール!派手なのいってくれ!」

「分かったわ。レオパルト、乗って!」

 

白のトランチアーは橙のトランチアー背中へと貼り付いた。そして、橙のトランチアーはその場でモーニングスターを取り出して…ハンマー投げの如く回転する。

 

 

『ファイヤートルネード』

 

橙のトランチアーがモーニングスターの鎖と刺鉄球を炎で燃やし…回転の軌道にあった黒い魔力をはね除けた。黒い魔力の無い空間が出来たことで宙から黒い魔力を吐き出し続けるマジアベーゼを発見した。さらに黒い魔力が満たされるまで攻撃の隙が生まれるも…橙のトランチアーはここで限界を迎えたのかその場で倒れこむ。

 

「…私は…ここまでね…後はよろしくねレオパルト…」

「…おう!目を覚まして…ベーゼちゃん!!」

 

 

『ヘルズファキナウェイ』

 

白のトランチアーが剣に自身にある全ての聖幻エネルギーを込めて投擲する…剣は赤黒いオーラを纒いながら柄についた赤い目を開眼させてマジアベーゼのお腹と突き刺さった。するとその刺し口から大量の黒い魔力が溢れ、霧散し始め…元のマジアベーゼへと戻り地面へと落ちた。

 

「はぁ…はぁ…あれ?アイツ…いねぇ…じゃん…」

「どこに…行ったの…かしら…」

 

しかし、心愛の姿はそこに無かった。トランチアーの2人は限界を迎えトランチアーの変身が解けて魔法少女の状態へと戻り…そのまま、意識を失う。その後、エノルミータ全員がヴェナリータにより回収された。一方で心愛とトレスマジアの3人は…

 

───

 

「小夜…起きてよ…お願いだから…」

「ん…?」

「小夜!良かった…」

「こ、こ…あ?」

 

目が覚めた小夜に心愛が抱きついた。小夜も心愛も服装こそは綺麗なものの…身体は互いにボロボロになっていた。

 

「良かった。目が覚めたの~、水神小夜ちゃん♡」

「あなたたちは?」

 

声が聞こえ、小夜が顔を向けると小さな少女と高校生であろう制服を着た2人の少女の姿がそこにはあった。




モチーフですが、橙のトランチアーは六道悪女の『椰子谷唯』、白のトランチアーはFGOの『クリームヒルト』です。どちらも中の人つながりです。
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