魔法少女なヒロインにあこがれて   作:アマノジャック

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この話を最後にしばらく投稿はお休みします。原作にはないオリジナル回ってことで…どうぞ!


エピソード44 『幼馴染の定義は小学生になるより前』

「ねぇ、心愛ちゃん。今日…会えないかな?話したいことがあるの。」

「…うん、今からでもいいわよ。どこがいい?」

「じゃあ、心愛ちゃんの家で大丈夫?」

「大丈夫よ、待ってるわ…はるか(・・・)ちゃん。」

 

───

 

ピンポーン

 

篠原心愛の家のチャイムが鳴る。扉を開けると…花菱はるかの姿があった。

 

「ひ、久しぶり…だね…」

「そうね。とりあえず、あがって。」

「う、うん…」

 

そのまま心愛の部屋へと入るはるか。さっそく、手提げの中から何かを取り出した。

 

「これ、お土産。」

「別にいいのに…って"なめ茸"?」

「美味しいから!あたしオススメのやつ!賞味期限はまだまだ先で、すぐに開封しなくても大丈夫だから!」

「ありがとう…それで、何を話したいの。」

「えーと、その…」

 

言葉に詰まるはるか。心愛はただじっと待つ。覚悟を決めたのか遂に言葉を出す。

 

「今さらだけど心愛ちゃんって…トランセイザー何だよね?」

「そうね。今さらだけどはるかちゃんは…マジアマゼンタ、なのよね?」

「…うん。」

「…」

「…」

 

互いの正体を明言しあい、照れる2人。何とかはるかが会話を続ける。

 

「その、ね。今まであたしたちを…守ってくれてありがとう。」

「ううん。私こそ…マジアマゼンタとして街の平和を守ってくれてありがとう。」

「…」

「…」

 

再び沈黙する2人。今度は心愛が話題を出した。

 

「はるかちゃんは何時からマジアマゼンタになったの?名前聞くようになったのは進級した辺りからだけど…」

「実は薫子ちゃんが転校してくる前にはもう活動してて…」

「思っていたより前ね。いや…その辺りから授業中も突然にどこか行ったりとかあったわね…あ!小夜がお昼食べるのに加わったのって…マジアアズールになったから?」

「正解。」

「と言うことは……はるかちゃんがトレスマジアの最初のメンバー?」

「うん、そうなるね…」

「そっか…」

「…」

「…」

 

会話が止まり、三度目の沈黙がその場を支配する。

 

「あー、もう!焦れったいっチね!ボクちょっとやらしい雰囲気にするっチよ!」

「しなくていいわよ!てか、どうやんだよ!」

「チーポさん!?や、やらしいって…」

「それで!はるかちゃんは何が言いたいっチか?イエロー・フェアリーのことっチか?それとも心愛が変身した銀の魔法少女のことっチか?」

「チーポ!?アンタ、何で私が魔法少女になったことを知って………イエロー・フェアリー?」

「…うん。テレビ局でトランチアーになってたの…あたしなんだ。」

「えぇ!?」

 

チーポの介入により、とんでもない真実を知る心愛。はるかは照れるように頬をかく。

 

「大型の魔幻獣だったっチから…使えそうなものは何でも使おうとした結果だっチ。…薫子ちゃんには反対されたけど。」

「…それでも、あたしは力になりたかったから。魔法少女じゃ勝てない相手に…トランチアーでなら勝てる、って聞いて…」

「はるかちゃん…」

 

はるかの正義感に感動を覚える心愛。実際にトカゲルガー戦ではイエロー・フェアリーも討伐に大きく貢献していたのは事実である。

 

「だからね、魔幻獣戦はあたしも全力で協力するから何時でも呼んで…空を飛ぶのと歌うくらいしかできないけど。」

「はるかちゃん…ありがとう。」

「それと…その…もし、魔幻獣の件が終わって…イミタシオから変身アイテムを取り返したらの話だけど…4人目としてトレスマジアに入って欲しいな~…何て。」

「もちろん、いいわよ。」

 

心愛はスカウトしてきたはるかに即答した。

 

「やっぱりダメか~。まぁ、好きと実際になるのとは………え?今何て?」

「いいわよ、って言ったの。元々、トレスマジアになれると思ったら…トランセイザーになった訳だし。」

「本当!?嬉しい…約束だよ!あ、小夜ちゃんと薫子ちゃんにも言っていい!」

「別にいいけど…気が早すぎるような…」

「早くみんなに言いたいの!」

 

はるかは嬉しそうにスマホをポチポチと操作する。

 

「そういえば、テレビ局で思い出したけど…ネコッチとワンワンヌちゃんに会ったわよ。」

「そうなの!あたしはすれ違うことも無かったな…」

「ちょうど番組がリニューアルしてたっチ。それで新しいマスコットが来てたっチな。」

「そ、それは別に紹介しなくても…」

「どんなの?どんなの?」

「頭がクレーターだらけの星で、首がオニギリ、上半身がコンニャクで、下半身がクラゲだっチ!名前は絶望の使者(見たら死ぬ系)っチね。」

「…?」

 

はるかは宇宙ネコになる。

 

「ありゃ?伝わらなかったっチか?」

「伝わったからこうなってるのよ…大丈夫はるかちゃん?」

「心愛ちゃん…そのマスコットって見たの?死なない?」

「死なないから!本人は雰囲気って言ってたし…」

「その見た目で喋れるの!?」

「それはもうペラペラに。でも、新しいキラキラ体操では前屈に苦戦してたっチね。」

「柔らかそうな身体なのに!?新しいキラキラ体操か…そういえば、昔ね、心愛ちゃんとテレビ局で一緒に踊ったよね?」

「は、はるかちゃん!?その話は…」

「心愛ちゃんってば転んで泣いちゃってネコッチに抱っこしてもらっていたよね。羨ましかったな…その後、おんぶもしてもらって…」

「ああぁぁぁ!!」

「クラスのみんなに羨ましがられたね。」

「からかわれた、の間違いよ!」

 

自身の過去を言われ発狂する心愛。隣でチーポがメモをしているが気づいている気配は無い。

 

「それにしても絶望の使者(見たら死ぬ系)ってどんな姿?想像が出来ないよ!公式サイトに…あった!あった!………チーポさんの説明通りじゃん。」

「でしょ?絵描き歌もあるっチ。後で見てみるっチ。」

「うん、そうするね…んん!それじゃあ、そろそろ話の本題に入るね。」

「本題?今までのは?」

「もちろん、伝えておきたいって思っていた話だったよ!ここからは…その…心愛ちゃん個人に相談したい話で…」ちらっ

 

チーポの方を気にするはるか。すると、雑な厚化粧をした女の人型へと姿を変えた。

 

「何っチか?何っチか?恋愛相談っチか?経験豊富なボクに任せろっチ!とりあえず、まずはソ○プに…」

「いいからさっさとどっかに行けっ!」ブンッ

「おもしろそうな話なのにー!」キラーん

 

心愛はチーポの首根っこを掴むと窓を開けて、遠くへと投げる。星になったことを確認して、窓を閉めた。

 

「それで、相談って?」

「えーと、その…ね。心愛ちゃんってキスしたことある?」

「…はい?」

 

予想外の相談に頭が真っ白になる心愛。顔を真っ赤にしながらもはるかは話を続けた。

 

「この前の戦いで…心愛ちゃんが…トランセイザーがマジアベーゼに捕まったあたしを助けてくれたでしょ?なのに、あの時は攻撃してしまってごめん!」

「マジアベーゼに操られてしまったから仕方ないわよ…むしろ、私が来るのが遅かったからで…」ずーん

「ううん!心愛ちゃんが来てくれたからあたしも小夜ちゃんも薫子ちゃんも助かったんだよ!それで…その後のこと、何となく覚えているんだ。いや…家に帰ったら思い出してしまったんだ。」

「思い出した?まぁ、私はマジアベーゼに捕まって、必殺技もダメで…そのまま気を失った、くらいしか覚えてないけど…何かあったの?」

「その…薫子ちゃんを……」

「…はるかちゃん?」

 

「地面へ押さえ込んで、無理やりキスしちゃって…その後はおっぱ…胸にも噛みついて…薫子ちゃんは『やめて』って言ってたのに…なのに…なのに…うぅ…」

 

「これ以上は無理に言わなくていいわ。」

 

ポロポロと涙を溢し始めるはるか…心愛は優しく抱きしめる。はるかの涙が止まるまで、心愛が離れることはなかった。

 

………

 

「…」

「落ち着いた?」

「…うん。」

「次から薫子ちゃんの顔…見れないよ…」

「大丈夫。正気じゃなかったことは薫子も分かっているわよ。」

「…だとしても…」

「自分を責めない。悪いのはマジアベーゼ…私から言えそうなのはそれだけね。」

「…」

「覚えてないふりは…はるかちゃんには難しいか。」

「それはボクに任せるっチ!」

「「!?」」

 

心愛とはるかの2人しかいない空間に聞こえる別の声…チーポだった。

 

「アンタ、いつ帰ってきたの?てか、どこから聞いていた。」

「心愛のまな板にはるかちゃんが顔を乗せてるところっチね。」

「まな板言うな…で、どうするの?」

「『お色気パワー』っチ。」ポンッ

 

チーポは再び厚化粧の女へと姿を変える。

 

かぱっ

 

「ひぃ!?」

 

そして、チーポの口が開き…中から触手が現れる。はるかは前の戦いでのトラウマから悲鳴をあげるが…抵抗する間も無く一瞬で拘束された。あまりに予想外な展開に心愛の脳がショートする。

 

「い…いやぁぁー!?」ギチギチッ

「んじゃ、心愛…キスしろっチ。」

「………は?はぁ!?色々と待ちなさい!」

「安心しろっチ。今回は正気じゃなかった部分だけをいい感じに誤魔化すだけっチ。最小限の処理だっチよ。」

「そういう問題じゃないわよ!あん時と同じことをしろと!?」

「あの時…?」

「はぁ…しないなら、マジアマゼンタとしての記憶も全部消えるけど…いいんだっチか?」

「ダ、ダメ…!それなら別にそんなことしなくてもいいから…」

「…はるかちゃん。さっきの質問、答えるわね。」

「心愛ちゃ………ん!?」

 

捕縛されながらも意見をいうはるか。対して心愛は…はるかの顔を抑え、強引に唇を重ねた。次の瞬間、1本の触手がはるかの頭へと刺さり…すぐに抜かれ、はるかは触手から解放された。

 

「『光の』…あ、間違えた。『お色気パワー』完了っチ!」

「…」

「キスはね、私の正体を知った子に1回だけしたことがあるの…これで2回目だけど。それではるかちゃん、前の戦いでマジアベーゼに何されたか覚えてる?」

「…。全部忘れた訳じゃないけど…ほとんど曖昧になってるかな。でも…あの事実は変わらないよね…」

「ちょっとずつ思い出すことにはなるっチ。けど、薫子ちゃんはきっといつも通りのはるかちゃんを望んでるっチよ。」

「それはそうよ。」

「…ありがとう心愛ちゃん、チーポさん。」

「魔幻獣が出たらトランチアーとして頼むっチよ。」

「うん…そろそろ、帰るね。…心愛ちゃん!」

「な……んん!?」

 

チュッ

 

今度ははるかから心愛へと唇を重ねた。

 

「───!?」

「3回目、だね。バイバイ!」

 

はるかは小悪魔な笑顔を見せ…心愛の家を後にした。

 

「心愛…百合ハーレムでも作るつもりっチか?」

「…」

「ん?どうしたっチ?」

「…ううん、何でも。」

 

何でもない、ということはない。3度目のキスをされた瞬間…心愛の目にははるかの姿にマジアベーゼ(うてな)の姿が重なって映っていたのだ。しかし、それはチーポにバレないように心の奥底へと隠した。




それでは、アニメ2期放送時にまで…さようなら!
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