眠い!
下校中、ふと気になって聞いてみた。
「ウナちゃんって、なんでアイドルをやってるんですか?」
音街ウナ。私の同級生にして今を輝くアイドルだ。芸能活動のかたわら小学校にも通っている、多忙な人間だ。
本来なら私なんかとゆっくり下校する時間はないはずなんだけど、ウナちゃんがマネージャーにお願いして時間を作ってもらっているそうだ。気持ちは嬉しいけど、私がウナちゃんの邪魔になっているかもしれないと思うと申し訳なくなる。
「逆にさ、きりたんのお姉さんはなんでずんだ餅を作るの、ってことだよ。それと一緒」
「雷に打たれたってこと……!?ウナちゃん大丈夫だったの?」
「そこは逆にお姉さんが心配になるところだけどね?」
苦笑しながら誤魔化された。あんまり言いたくないことだったのだろうか。
「なんてね。ウナがアイドルをやってるのは、舞台に立てるからなんだよ」
「舞台に?」
私はどちらかというと注目を浴びるのが苦手な方なので、あんまり共感はできなさそうだ。
「舞台からだとさ、世界が広く見えるの。今、ここから空を見てもビルが邪魔だったりしてそんなに広くないけど、舞台に立って見る観客席って本当に広いんだよ。宇宙くらい」
「あ、そっちなんだ」
見る側だとしても、よくわかんないけど。
「深淵を覗いてるとき、深淵もまた~、ってやつあるでしょ?アイドルだって同じなんだよ」
「芸能界は奥が深いんだね」
なんて知ったような口を聞いてしまう。
「最近はアイドル密着ドキュメンタリーみたいな番組でさ、アイドルだって一人の人間で、懸命に練習してるんだよ、って言ってるけど、観客だって誰もが一人の人間なわけで」
「ウナはそれを沢山見れる舞台って場所が好きなの。だから歌って踊ってるの」
「でも、当たり前だけどウナちゃんも見られるわけでしょ?それはいいの?」
「正直、ウナはウナを見られるのが苦手なんだよね。仕事って思うからなんとかできてるけど、それがなかったら無理だと思う」
意外も意外だ。けど、もし私が絶えず衆目に晒され続けたら一日も持たないだろう。たとえお金を積まれていても。そう考えると、やっぱりウナちゃんはすごい。
「でもね?練習とか撮影とかの末に、舞台に立てると、やっぱりアイドルやっててよかったなって思うの。ウナが頑張った甲斐あったなーって」
「ウナが舞台に立つから、観客席に人が来て、そこに宇宙が生まれるの。ウナはそれを見るの。見られながら。見て、見られて、見て、見られて……」
「ウナちゃん?」
突然壊れたテープのように同じ言葉を繰り返すようになってしまったウナちゃんの目は虚ろながら煌めていて、まるで星空みたいだった。
早寝しましょう。私もするからさ……。
雑記:テラリアでCellPhoneを作れてホクホク。