「はぁ……はぁ……やぁっと見つけましたヒフミちゃん……!」
「あ、先生!お久しぶりです!」
想像通りの輝く笑顔を浮かべて先生を出迎えたヒフミ。いっつも背負っているお気に入りのペロロリュックは相変わらずで、そのほわほわとした雰囲気はひだまりのような空気を作り出している。
そしてその穏やかな雰囲気とは対称的に、歳に合わない激しい運動を終えた先生はぜぇぜぇとそれはそれは肩で大きく息をしていた。廊下でヒフミの背中を見つけるなり全力疾走してきた彼女は今へなへなと力なく道端に座り込んで廊下の壁にもたれ掛かっていて、ヒフミはしゃがんで彼女に目線を合わせている。
140ちょっとと自称しているが、それでもサバを読んでいる140ぴったり程度の女子小学生くらいのサイズの彼女はヒフミとの身長差およそ18cm。連邦生徒会の首席行政官であり、連邦生徒会長代行でもある七神リンは事前に用意していたシャーレの先生用のスーツを全て廃棄して彼女専用のものを新しく仕立て直す羽目になったらしい。一応これでも名門私大の院卒の26歳、即ちアラサー。自らの体格を呪ってしょうがない26歳児である。
「ええっと、それで……多分、あの件ですよね……?」
「そうですその、はぁ……その件で……はぁ、はぁ……」
「……お水、飲みますか?」
そう言ってヒフミが一本のペットボトルを差し出すと、彼女は多少の格闘の末にそれを開封し、ゴクゴクと喉を鳴らして飲み始めた。
「あぁ、生き返ったぁ……っていうか寿命10年くらい伸びましたね今……」
「あはは、それは何よりです……」
生き返りはしたものの、とっくのとうに全盛期を過ぎた先生の体力回復は相当遅い。結局先生は廊下に座り込んだままで本題を切り出した。
「それで、あれですよね。「補習授業部」。ヒフミちゃんが部長って聞いたんですけど?」
「あ、はい。実はこの前ナギサ様に任されてしまいまして……」
「へえ、そうなんですね。じゃあ頼りにしちゃいます。……ま、そんなのはどうでもいいんですけど」
「あ」とヒフミの声が漏れた。なんてことはない。ただ、猛烈に悪い予感がした。それはそれは、特大の雷が落ちるような、そんな予感が。
「なんでヒフミちゃん補習引っかかってるんですか?」
ピシャリ、という音が聞こえたようだった。目が笑ってない。その赤い瞳が全く笑っていないのだ。ヒフミは僅かに冷や汗をかき始める。
「ええっと、その……」
「まさか、「ペロロ様追っかけてたらテスト勉強忘れちゃいました」とか言いませんよね?」
「……お、怒らないで聴いてくださいね……」
「はぁぁぁぁ?!?!「ペロロ様のゲリラライブと被ったからテストサボった」ぁ?!?!」
「ち、違うんです……これはなにかの間違いで……」
「論外です!「好きなこと」と「やらなきゃいけないこと」の優先順位を履き違え過ぎ!確かに好きなことを貫くのは良いことですけど、だからって何しても良いわけじゃありません!それ分かってますか?!」
「は、はい……ごめんなさい……」
「……いいです。やっちゃったことは仕方ありません。私もちょっと過剰に反応しちゃいました。これ以上言ったら楽しい思い出を台無しにしちゃいます。……ちなみにどうでした?」
「とっっっても楽しかったです!」
「……もう言いません。次から気をつけてくださいね」
先生の忠告にコクコクと頷き、そしてヒフミは本題に戻った。
「それで、まずは部員を全員集めないといけません。人数は……私含めて5人ですね」
「じゃあぱっと集めちゃいましょう。補習なんてものはさっさと終わらせたほうがお互いハッピーですし」
「はい!じゃあ行きましょう!」
二人は意気揚々と駆け出した。
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