桐藤カノンは二重人格である。   作:あるふぁせんとーり

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遭逢

「それで、何人でしたっけ?補習授業部」

「ええっと、私を入れて5人だと思います……」

「じゃ、そのうちの何人かがここにいるって訳ですか……」

 

 そう言って先生が扉に掛かった看板は「正義実現委員会」と書かれている。あの時助けられたハスミちゃんが所属していたのがここでしたっけ、と彼女は軽く思い出しながらその扉を開けた。少し重かった。

 

「おじゃましまーす」

「し、失礼します……」

 

 足を踏み入れると、部員たちは現在巡回中なのか、部室には小柄なピンク髪の少女が一人いるだけだった。彼女は椅子に座って何か熱心に読んでいるようだったが、扉が開いたのに気がつくなり勢いよくそれを閉じてカバンにしまい込んだ。

 

「な、何?!突然入ってこないで!」

「す、すいません……少し用事がありまして……」

「ならとっとと済ませて帰ってくれない?!私は忙しいんだから!」

 

 ぶっきらぼうな対応をされ落ち込むヒフミに先生は「ああいう子は総じて人見知りなだけです。しょうがないですよ」と励ましの声をかける。「誰が人見知りよ!」と抗議の声が聞こえた。

 

「……それで、何の用?正義実現委員会に来たってことはそれ相応の事情なんでしょうね?」

「えっと、その、実は人を探してまして……」

「は?!私達にわざわざ人探しを頼みに来たの?!正義実現委員会も見くびられたものね!」

「い、いえ、そうではなくて……あの、ここに閉じ込められていると聞いたんですが……」

 

 「あ、そうだったんですね」とヒフミの後ろで先生が呟く。どうやら知らされていなかったらしい。

 

「は?何言ってるの?」

「ですから、その……正義実現委員会に捕まっているらしい方に用がありまして……」

「え?あんたアレに用があるってこと?」

 

 「アレ?」と首を傾げるヒフミに「ちょっと待ってて」と少女は部屋の奥に消えていく。どうやら、根は悪い子ではないらしい。しかし、その次に聞こえたのは「うわっ?!」という悲鳴だった。

 

「こんにちは。もしかして、私達にご用事ですか?」

「十中八九そうだろうな。というか、私達以外に閉じ込められていた人間などいるまい。……いや、正確に言えば閉じ込められてはいなかったがな」

「ふふっ、確かにそうです。鍵、開いてましたもんね」

 

 そして彼女が猛ダッシュで戻ってきた後に姿を表した、二人の少女。それも、何故かスクール水着姿の。先生含めて、そこにいた人間全員の頭が「?!」で埋め尽くされる。

 

「な、なんで出てきてるのよ?!」

「だから、鍵が開いていたんですよ?」

「ああ、戸締まりには用心しておけ」

 

 そして二人は一通り少女をからかい終えると、ほぼほぼ同時に先生の方へ目をやった。

 

「……なるほど。これが噂の「先生」か」

「そのようですね。あらためまして、こんにちは。……ということは、もしかして「補習授業部」のお話ですか?」

「待ってってば!その前に二人とも服を着なさいよ!スク水なんて駄目なんだから!」

「ふふっ、別にいいじゃないですか♡誰かを困らせているわけでもありませんし♡」

 

 彼女の名前は浦和ハナコ。補習授業部所属となった2年生。水着姿で校内を徘徊しまくった結果、正義実現委員会に捉えられて収監されていた、ピンク色の髪を太ももくらいまで伸ばしたスタイル抜群の少女。身長160cmで、先生との身長差約20cm。ちょうど、先生のコンプレックスを逆撫でして「ぐぬぬ……」となるくらいのサイズ感である。

 

「全く、私は何も言わんからな」

 

 彼女の名前は桐藤カノン。ティーパーティーホスト、桐藤ナギサの実の妹であり、同じく補習授業部所属となった2年生。罪状はハナコと同様。プラチナブロンドの髪をショートカットにした、先程の彼女がグラビアアイドルのようなスタイルとすれば、彼女はモデルのようなスタイルの少女。身長174cmで、身長差はおよそ34cm。ここまでくるとコンプレックスとかは全く感じないレベルの体格差である。「足長すぎません?」とは思ったが。

 

「良いわけ無いでしょ?!早く服を着て!」

 

 彼女達と先生との間の、取り敢えずよろしくお願いします、みたいなムードの中で、少女の悲痛な叫びがこだました。




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