桐藤カノンは二重人格である。   作:あるふぁせんとーり

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罪状

「良いわけ無いでしょ?!早く服を着て!」

 

 そんな正義実現委員会の部員、下江コハルの声に俺とハナコは顔を見合わせる。

 

「そう言われても……」

「ああ、何せ制服は寮に置いてきているからな」

 

 心底残念そうな口調で俺達は話を合わせた。当然、両方演技。このトリニティ総合学園という魔窟においてそのようなスキルは必須と言っても良い。

 

随分と心無いことを口にしましたね。あれだけ、先程まで羞恥で悶えていたというのに。

 

安心しろ、一周回っただけだ。明日の今頃には冷静になった頭でハナコとの無理心中に走るかもしれん。その時は無理に止めろ。

 

畏まりました。

 

「それでどうするハナコ?私は取りに行っても良いが……」

「はい、このままでは先生をお待たせしてしまいます」

 

 「先生はどちらがお好みですか?」とハナコは目の前の少女、先生に問いかける。「はぁ」と彼女は小さくため息を吐いた。

 

「割りかし私もすぐ終わらせたい感じなので、そのまんまで大丈夫ですよ。……ただ、少し目のやり場に困っちゃうので」

 

 「どうぞ」と先生は脱いだ白いパーカーをハナコに差し出し、使って下さい、と目で促す。「では、ありがたく」と彼女は袖を通そうとしたが、あまりにも違うサイズに着るどころか羽織ることすら困難だったようで、少し申し訳無さそうにそれを返したハナコに先生は僅かに愕然と、そして顔を赤くして「一生そのままで良いですっ!」と少しそっぽを向いた。

 

「……それで、そもそも何で二人は捕まってたんですか?」

「エッチなことしたからよ!それもとびっきりの!」

 

 ナギサの下に出入りしていたから偶然覚えていた彼女はヒフミ。至って平凡を名乗ってはいるが、その実はペロロとかいう珍妙なキャラクターの収集のためには手段を選ばない、どちらかと言えば気狂いに入るような気がしなくもない少女だ。そして彼女の疑問に顔を真赤にしてコハルは「そうよ!」と強い口調で答える。

 

「二人はね、真っ昼間から水着で歩いてたの!それも人の沢山いる広場をね!そんなエッチなこと死刑に決まってるじゃない!」

「そ、そうなんでしょうか……?」

「……?それはおかしくないでしょうか?」

 

 コハルの論理に、ハナコが論理武装で切り返した。

 

「だって、校内では学校指定の服装に身を包むこと、とは定められていますが、その種類までは指定されていません。水着を咎められる訳はないのでは?」

「何かおかしい気がしなくもないんですけど……」

「……ノーコメントだ」

 

 先生から向けられた視線に、俺は僅かに目を逸らした。

 

「それで、補習授業部のことだろう?それについて話さなくて良いのか?」

「あ、そうでした」

 

 そう言って、先生は横のヒフミの肩を叩き、補習授業部の名簿を借りる。パラパラと捲っていたが、どうやら確認が取れたようだった。

 

「……ま、これであと一人ですけど……」

 

 「この子は何処にいるんですかね……」と顎に指を当てて考える先生。その時、部室の扉がガチャリと開いた。

 

「ただいまパトロールから戻りました!」

 

 対物ライフルを備えた正実部員が報告する。そして部室に入ってくる正実の群れの中で、先生は一人の少女に向かっていった。

 

「……もしかして、白州アズサちゃん、ですか?」

「うん、そうだけど」

 

 彼女はグッとガッツポーズした。

 

「よし、これで全員揃いました!阿慈谷ヒフミ、浦和ハナコ、桐藤カノン、白州アズサ!」

 

 一人一人指差してもう一度確認する先生。補習授業部のメンバーが一撃で揃ったのが余程嬉しかったらしい。

 

「……それと、下江コハル!」

「……は?!」

 

 コハルは目を見開いた。




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